サラリーマンの給与と手取り 平均月収は何歳でいくら?
自分の月収は多いのか、少ないのか? 誰もが気になる平均額を、国税庁の調査を元に、表やグラフでわかりやすくご紹介します。
年齢別、性別、業種別、扶養家族の有無など、さまざまな切り口で平均月収の実態に迫ります。
あなたは平均以上? 年齢・性別 平均月収一覧
「月収」の定義については、「月収とは年収の12分の1である」という見解が広く知られているようですが、実ははっきりと決まっているわけではありません。
サラリーマンなら多くの場合が毎月もらえる給料(月給)、自営業者なら経費を引く前のひと月の収入、年俸制の人なら年俸の12分の1が月収に該当すると考えればよいでしょう。
まずは民間企業で働くサラリーマンの年間給与をもとに、12分の1を月収と仮定して年齢や性別の平均を比べてみます(ボーナスは考慮しません)。
サラリーマンの平均月収は38.1万円
サラリーマン全体の平均月収(推計)は、38.1万円です。年齢と性別で分けてグラフにすると以下の通りです。
※参考:令和4年分民間給与実態統計調査|国税庁(公表日:2023年9月27日、参照日:2024年2月15日)
20代前半の平均月収は22.7万円。この時点では男性24.3万円、女性21.1万円で男女差は3.2万円とあまり大きくありませんが、50代になると男性は約57万円まで上昇する一方、女性は28万円前後で年齢とはほとんど関係なく横ばいです。その結果、倍以上の差がついてしまいます。
これは、男性は退職することなくキャリアを継続する一方、女性は出産を機に退職したり、短時間勤務に切り替えたりする傾向にあることが影響しているものと考えられます。
しかし、第1子出産で退職する女性の割合は2005~09年は40.8%でしたが、2010~14年は31.1%、2015~19年は23.6%と減少傾向にあります(第16回出生動向基本調査-国立社会保障・人口問題研究所より)。
今後は男女の差が少しずつ縮まっていくのかもしれません。
平均月収はここ10年、34万円台~38万円台で推移
ここ10年間のサラリーマンの平均給与を見てみると、34万円台半ば~38万円台前半となっています。
※参考:令和4年分民間給与実態統計調査|国税庁(公表日:2023年9月27日、参照日:2024年2月15日)
2008年のリーマンショック以降、2013年まで34万円台と低い水準が続いていましたが、2017年には36万円台に回復。2022年には38万円台前半まで上昇しています。
有効求人倍率は、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年8月に1.04倍に低下しましたが、2023年12月には1.27倍まで回復しています。また、景気の先行きについては、物価上昇の影響などが懸念されますが、緩やかな持ち直しが続くとみられています。
※参考1:景気ウォッチャー調査:令和6年1月調査結果(抜粋)|内閣府(公表日:2024年2月8日 参照日:2024年2月15日)
※参考2:一般職業紹介状況(令和5年12月分)|厚生労働省(公表日:2024年1月30日 参照日:2024年2月15日)
コラム:同じ月収なら基本給が高いほうが有利?
同じ月収でも、基本給は少なめでボーナスが多め、その逆だったり、みなし残業代やさまざまな手当が含まれていたりと、内訳は人によって異なります。
これから転職や就職を考えている人は、求人票の給与欄では「基本給」をしっかり確認しましょう。
ボーナス(賞与)や残業代の計算は基本的に基本給がベースになっていますので、基本給の額が年収にも大きく影響します。ボーナスは貯金がしやすいものの、会社の業績により変動するため、毎月の決まった収入に含めて考えるには適していません。
逆に、基本給よりも収入全体(年収)が重要になってくるのは、ローンの審査を受けるときのような「収入が多い方が良い」シーンです。
ボーナスや臨時の手当、副業の収入を含めてもよかったのに、普段の月給だけを基準に申請してしまい、収入を少なく評価されてしまった…などとならないよう、ローンを組む時は条件をよく確認してみましょう。
業種別 平均月収ランキング
業種別に平均月収を見てみると、電気・ガス・熱供給・水道業のライフライン系が62.3万円でトップです。
全業種の平均月収一覧は以下の通り。
※参考:令和4年分民間給与実態統計調査|国税庁(公表日:2023年9月27日、参照日:2024年2月15日)
(平均月収=平均年収の12分の1として算出)
ライフライン系に次いで平均月収が高いのは、約54.6万円の金融・保険業。高給のイメージと一致しているようです。6番目の建設業界は大手ゼネコンの平均収入は高いものの、業界全体が一様に高収入とはいえないため、約44.1万円となっています。
平均月収の水準が低い業界は、宿泊業・飲食サービス業や農林水産・鉱業などです。
最も低い飲食サービス業は、約22.4万円となっています。「名ばかり管理職」「ワンオペ」など厳しい労働実態を表す言葉が話題になることもあり、月収の低さはやはり業界全体の特徴といえるのではないでしょうか。
このように業界によって月収に格差があるのは事実です。でも、それを逆手に取れば、収入アップのためには平均月収の高い業界へ転職するのが近道。20代、30代であれば異業種への転職もそれほど難しくありません。
平均月収が高いのはどんな業界なのか、月収が高い業界に転職するにはどうしたらいいのか、下記の記事にまとめました。
平均月収の手取りはどれくらい?【年齢別一覧】
平均的な収入がある人の場合、実際に使える手取りの額はいくらになるのでしょうか。
20代前半から60代前半までの各世代で、扶養家族無しの場合と扶養家族2人の場合の手取りをシミュレーションしました。
たとえば20代前半で扶養家族無しの場合は18.1万円、30代後半で扶養家族が2人いる場合は31.0万円という結果です。詳しくは以下をご覧下さい。
※平均月収を基本給とし、雇用保険は「一般事業」、社会保険と住民税は東京都在住として試算。40歳以上には介護保険を加算。
扶養対象となるのは収入の少ない配偶者や16歳以上の子どもなどです。扶養する人がいると天引きされる所得税が少なくなるため、手取りが多くなります。また、40歳以上では介護保険料が徴収されます。
※関連記事→103万の壁がここにも?!意外と知らない扶養控除のすべて
扶養家族無しの場合と扶養家族2人の場合で比較すると、月の手取りの差は1万円程度となっていますが、単純に12倍しただけでも、年間では大きい差となることがわかります。
また、月収が増えれば天引きされる額も多くなるため、収入が増えた分まるまる手取りが増えるというわけではありません。
※実際の手取り額は、居住する地域や家族構成により細かく変わりますので、あくまで目安として参考にしてください。
まとめ
平均月収は想像通りだったでしょうか?多い、少ない、予想通りなど、感想はご自身の給与や生活環境によってさまざまでしょう。
ぜひこの記事を「○年後には平均月収10万円UPを目指したい!」など、仕事や生活の目標を立てるための参考にしてみてください。