4つの回答例を紹介 もしも面接で「尊敬する人」を聞かれたら?
面接での「あなたに尊敬する人はいますか?」という質問。実はこの質問を面接官から聞くのはタブーとされています。その理由や、もし聞かれた場合の回答例を紹介します。
面接で尊敬する人を聞くのはタブー?聞かれたら?
面接で尊敬する人を聞くことがなぜタブーなのか、もしも尊敬する人を聞かれたらどう答えるべきかを解説します。
思想・信条に関わる質問はタブー。今後は減っていく
尊敬する人物に関する質問は、採用面接ではタブーとされています。
なぜなら、そうした質問は応募者の思想・信条に関わる内容であり、それを理由に選考の合否を決めるのは差別につながるからです。
厚生労働省は、「尊敬する人物に関することは本来自由であるべき思想・信条に関わる事項で、本人の適性や能力とは関係がないもの」と定めています。
現状は、タブーであることを知らずに質問する面接官もいますが、面接の場で「尊敬する人」を聞かれることは、今後さらに少なくなっていくと考えられます。
※参考:公正な採用選考の基本|厚生労働省
聞かれたら好感度の高い偉人を答える
もしも面接で尊敬する人を聞かれた場合、答えたくない事情がない限りは答えるのが無難です。尊敬する人についての質問はタブーとされていても、面接官によっては、応募者の価値観や将来の理想像を知るために聞いてくることがあります。
その場合、偉大な功績を残した有名な人物や誰もが好感の持てる人物を答えると、面接官に悪い印象を持たれるリスクが減ります。例として、織田信長、マザー・テレサ、スティーブ・ジョブズなどが挙げられます。
反対に、ヒトラーやスターリンなど、その功績が世間的に良く思われていないような人物を挙げるのは、面接官の心証を悪くする可能性があるので避けた方がいいでしょう。
また、政治家・宗教家などを挙げると、過激な考えを持っているのではと疑われる恐れもあるため、採用選考の場では控えましょう。
身の回りの人物もリスクが低いのでおすすめ
有名人ではありませんが、両親や部活の顧問など身の回りの人物を挙げるのもOKです。
こちらは逆に面接官にとっては全くの他人。好みが分かれるリスクもないので安心です。
ただ、面接官に具体的なイメージを持ってもらえるよう、わかりやすい説明が求められます。
尊敬する人がいない場合の対処法
「尊敬する人」が浮かばない場合は、以下の手順で身近に該当する人物がいないか掘り下げてみましょう。
- これまでの人生で良い影響を与えてくれた人物を振り返る
- その人物から尊敬できる部分を抽出する
- 尊敬できる部分に対して自分の考えを整理する
まず、学生時代の恩師や部活の顧問、両親や兄弟姉妹など、自分のこれまでの人生に良い影響を与えてくれた人物、憧れを持った人物を思い浮かべましょう。
次に、その人物とのエピソードの中から尊敬できる点をピックアップします。最後に、尊敬する理由を面接官にしっかり伝えられるよう整理します。
例えば「学生時代の部活の顧問」を選んだ場合、以下のように回答を組み立てることができます。
<深掘りの具体例>
【1】これまでの人生で良い影響を与えてくれた人物を振り返る
→学生時代にお世話になった部活の顧問の先生
【2】その人物から、尊敬できる部分を抽出する
・調子が悪くて納得のいくプレーができず、結果が出せないとき、的確でわかりやすいアドバイスをしてくれた
→すぐに的確なアドバイスができるほど、部員一人ひとりをいつも気にかけている面倒見の良さ
【3】尊敬できる部分に対して自分の考えを整理する
・どうして「面倒見が良いところ」を尊敬するのか
→誰かから気にかけてもらえていると、その想いに自分も応えたくなり、信頼関係が生まれ、パフォーマンスも上がるから。自分も周囲の人間をよく観察し、どんなときでも的確なフォローができるような人になりたい。
<回答例>
私の尊敬する人物は、学生時代にお世話になった部活の顧問の先生です。
なぜなら、先生は、部員一人ひとりを常に気にかけていて、面倒見がよかったからです。一時期私は調子が悪く、納得のいくプレーができませんでしたが、先生はすぐに的確で分かりやすいアドバイスをしてくれました。
いつも気にかけてもらえると、その想いに自分も応えたくなって、信頼関係が生まれます。
その結果、パフォーマンスも上がります。実際、先生はメンバー全員から信頼されていましたし、私もブランクを抜け出すことができました。
私も、周囲の人間を気にかけ、常に的確なフォローができるような人になりたいです。
「尊敬する人がいない」と正直に答えると、他者の良いところを見つける能力がない人、将来の目標がない人というマイナスイメージを持たれる可能性があります。
答えに困らないよう、できれば事前に「尊敬する人」を考えておくのが良いでしょう。
尊敬する人の回答例4つ
尊敬する人を聞かれたときは、下記の順で伝えるようにしましょう。面接では、基本的に結論→理由の順で答えます。
- 尊敬する人物
- 尊敬する理由やエピソード
- 「自分もそのような人物になりたい」という締め
「尊敬する人」の回答例を、人物のカテゴリ別に紹介します。
父親・母親を選んだ場合の例文
【回答例:父親】
尊敬する人は私の父親です。
尊敬するところは、自分が楽しそうに仕事に打ち込むことで、一緒に働く仲間のモチベーションも上げることです。
父は飲食店を経営していて、私は父の働きぶりを幼い頃から間近で見ていました。
お客様が喜んでくれそうなメニューを考案したり、積極的にコミュニケーションを取ったりして、お客様にとっての居心地の良さをつねに追求していました。
父の姿を見ているうちに自分もお店を盛り上げるために何かしたいと思うようになり、その時間がとても充実していて楽しいと気づきました。私も父のように、仕事の楽しさを共有できる人になりたいです。
【回答例:母親】
私は自分の母親を尊敬しています。
理由としては、忙しい中でも楽しみと好奇心を常に持っていた人だからです。
父は単身赴任なので、母は仕事をしながら家事を全部一人でこなさなくてはならず、忙しくて疲れているはずなのに何故かいつも楽しそうでした。
その理由は、母は好奇心旺盛で、日々の新しい発見を楽しむことができるからだと感じています。実際、日頃から新しい知識を得ようと、家事の合間合間に勉強して資格を取っていました。
仕事に追われるようになると、あらゆる作業を投げやりにこなすようになってしまい、日々に楽しさを見出すことが難しくなります。しかし、私は母のように、忙しい中でも楽しみと好奇心を常に持てる人でありたいです。
父母などの身内を回答に挙げる場合、「一生懸命育ててくれたことに対する感謝」だけではありきたりで、面接官に印象を残しにくくなります。客観的に見ても尊敬できるという部分を、具体的なエピソードと一緒に説明すれば、他の応募者と差別化できる回答になります。
スポーツ選手を選んだ場合の例文
【回答例】
私の尊敬する人は、元メジャーリーガーのイチロー選手です。
数々の輝かしい功績を残していて、引退した現在でも「生きる伝説」としてたたえられています。
「重圧がかかる選手であることを誇りに思う」という名言を残すほどのプロ意識と、長年にわたって習慣化した努力が尊敬できる部分です。
社会人になるにあたって、イチロー選手のような高いプロ意識は見習うべきだと思っています。
私も努力すること自体を習慣化し、自分にとって最大限のパフォーマンスをつねに発揮できるような人間になりたいと考えています。
スポーツ選手を尊敬する人として挙げる場合、選手としての成績だけでなく、結果を出すためにどのような努力をしてきたのか、どのような価値観を持っているのかなど、パーソナルな部分について深堀りしましょう。
自分の目指す姿と重ねて説明することで、面接官は応募者がどのようなマインドで会社に貢献しようとしているのかを想像しやすくなります。
歴史上の偉人を選んだ場合の例文
【回答例】
私は坂本龍馬を尊敬しています。
日本を新しく立て直すために、薩長同盟や大政奉還など、後世まで語り継がれる大きな出来事に貢献しました。
彼は、立場が違う人たちの言葉でもしっかりと耳を傾けたところと、偉業を成功させられる行動力を持っていたところが尊敬できるポイントだと思います。
私は「何の志も無きところに、ぐずぐずして日を送るは、実に大馬鹿者なり」という彼の名言に感銘を受けました。
私も坂本龍馬のように、どのようなことに対しても目的意識や使命感を持って、すぐに行動に移せるようなエネルギーを持って仕事をしたいと思っています。
歴史上の人物を挙げる場合、功績だけでなく、人物の人柄や中身まで調べた上で、尊敬できる部分を伝えましょう。
有名人の有名なエピソードを挙げるだけでは自分の考えがないように受け取られかねないので、自分ならではの視点で尊敬する理由を伝えることが重要です。
その他の質問やマナーも要チェック
面接では「尊敬する人」以外にも、志望動機や長所・短所など、さまざまな質問がされます。その他のよくある質問と回答例について、下記の記事にまるっとまとめました。ぜひご確認ください。
また、面接当日のマナーについてもあわせてチェックしておくと安心です。