応募前に知っておくべきポイントを解説 理論年収(想定年収)とは?

求人票などに記載されている「理論年収」というワードを見て、「理論年収とは?実際にもらえる年収は違うの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

この記事では、理論年収を見るときに注意すべきポイントを解説します。

理論年収は嘘?
理論年収を見るときの注意点3つ

転職サイトや企業ホームページで求人を探しているときに見かけることが多い「理論年収」という表現ですが、なかには「求人票に書かれている理論年収って本当なの?」「実際は理論年収より安くなってしまわないの?」といった不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

ここでは、求人票に記載されている理論年収を見るときの注意点を3つ解説します。

【理論年収を見るときの注意点】・実際の年収は内定が出ないとわからない/・初年度の賞与は満額もらえない可能性が大きい/・「基本給が高い」「賞与がある」から年収が高くなるわけではない

なお、求人票などには「想定年収」と記載されていることもありますが、理論年収と同じ「1年間会社に在籍した際に受け取れるであろう年収」という意味で捉えて問題ありません。

実際の年収は内定が出ないとわからない

1つ目の注意点は、実際の年収は内定が出て、労働条件通知書を見るまではわからないという点です。

求人票に記載されている理論年収はあくまでも参考値であり、正式な年収額が提示されるのは内定後、労働条件通知書をもらうタイミングです。

実際の年収は、理論年収をベースにしながらも、転職者の「経験値」「スキル」「保有資格」「前職の年収」「年齢」など、さまざまな要素を踏まえて決まるということを理解しておきましょう。

さらに言えば、入社後に受け取れる正確な年収は1年間働いてみないとわかりません。

例えば初年度は賞与額が満額支給されなかったり、入社後の経営状況が悪化すれば翌年以降の賞与額が減ったり、そもそも支給がないケースも考えられるからです。

また、理論年収はあくまでも額面の年収なので、所得税や社会保険料などが差し引かれる前の金額です。手取り年収は8割程度になることも覚えておきましょう。

初年度の賞与は満額もらえない可能性が大きい

2つ目の注意点は、初年度は賞与が満額支給されない可能性が高いという点です。

賞与が満額支給されないとなると、初年度は求人票に記載されている理論年収よりも年収が低くなると考えておいた方がよいでしょう。

賞与については、基本的に就業規則で支給要件が定められており、その要件は企業ごとに異なります。

特に中途入社の場合は、直近の賞与における算定期間を満たすことが難しいので、満額支給されるケースはほとんどありません。

例えば4月入社の場合、夏の賞与の一般的な算定期間である去年の10月〜今年の3月は在籍していないので、夏の賞与は支給されません。最初の支給は4月〜9月に在籍することで支払われる冬の賞与になるのが一般的です。

求人票に記載されている理論年収を見る際には、初年度の賞与は満額支給されない前提で、どの程度の年収になるかをイメージするようにしましょう。

「基本給が高い」「賞与がある」から年収が高くなるわけではない

3つ目の注意点は、理論年収を自分で計算する場合「求人に記載されている基本給が高い(もしくは賞与がある)から年収が高そう」という、ぱっと見のイメージで判断するのは避けた方が良いという点です。

2つの求人の例を参考に計算してみましょう。

求人A 求人B
  • 基本給28万円
  • 固定残業代3万円
  • 各種手当1万円
  • インセンティブ5万円
  • 賞与あり
    (基本給2カ月分)
  • 基本給36万円
  • 固定残業代3万円
  • 各種手当1万円
  • インセンティブ5万円
  • 賞与なし

理論年収 500万円

計算式:月給37万円×12カ月+賞与56万円

理論年収 540万円

計算式:月給45万円×12カ月

※月給…基本給+固定残業代+各種手当+インセンティブ

上記のように、求人Aは2カ月分の賞与が支給されるものの、基本給が低めに設定されているため、賞与なしとはいえ基本給が8万円高い求人Bの方が理論年収は高くなります。

理論年収を参考に求人を比較する際は、計算方法を理解したうえで、基本給の額と賞与の有無をしっかり確認しておくようにしましょう。

理論年収に含まれる項目、含まれない項目は?

ここでは「理論年収」に含まれる・含まれない項目、計算方法について解説します。

理論年収に含まれる項目と含まれない項目は、以下のとおりです。

【理論年収に含まれる項目・含まれない項目】含まれる/基本給/・賞与/・固定残業代/・各種手当/・インセンティブ(成果報酬)/支給の有無とおおよその支給額が決まっている|含まれない/・残業代/・通勤交通費/支給の有無と支給額が決まっていない

理論年収に含まれる項目の共通点

理論年収に含まれる項目の共通点は、支給の有無と支給額がある程度決まっているということです。このうちインセンティブの金額については、既存社員の平均値を用いるのが一般的です。

また、残業代のなかでも、固定残業代は実際の残業時間に関わらず決まった金額が支給されるため、理論年収に含まれます。一方、それ以外の残業代は、毎月どのくらいの残業時間になるかは実際に働いてみないとわからないため、理論年収に含まれません。

通勤交通費については「通勤手当」と表現されることもあるため、一見すると理論年収に含まれるように思えますが、含まれていません。通勤交通費(通勤手当)は従業員の手元に残らない必要経費であり、所得税や住民税などの課税対象からも外されているからです。

※通勤交通費が15万円を超えた場合は課税対象になります

理論年収の算出方法

理論年収を算出するための計算式は、以下のとおりです。

理論年収の計算式

月給(基本給+固定残業代+各種手当+インセンティブ)×12カ月+前年度の平均賞与額

理論年収は、諸手当を含む月給12カ月分に賞与を足すことで算出するのが一般的です。

しかし、ルールとして定められているわけではないので、企業によっては独自の算出方法を用いるケースもあります。

求人票に理論年収が載っているワケ

求人票に理論年収が記載されているのは、転職者がその求人に応募するかどうかの判断材料の1つになるためです。

転職者にとって、年収は応募を決めるうえでの重要な判断材料の1つであり、理論年収が記載されていることで入社後の収入をイメージしやすくなります。

求人によっては、年齢や経験年数なども併記し、「モデル年収」として提示している場合もあります。

「労働条件」や「働きやすさ」も考慮して応募先を決めよう

給料面はもちろん重要ですが、それだけでなく労働条件や仕事内容、職場環境なども考慮して応募先を決めるようにしましょう。

下記の記事では、納得できる転職をするための応募先の選び方や、求人票の賢い見方を解説しているので、ぜひ確認してみてください。

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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