初めての人に、ここだけ伝えたい 転職エージェントを使いこなすコツ3つ

転職活動をサポートしてくれる「転職エージェント」サービスですが、頼り方次第で、得られる成果が大きく異なってきます

では、上手に使うにはどうすればいいのでしょうか? 「エージェントを上手く使いこなすコツ」について、今回は転職エージェントとして、延べ1,000名の転職活動を支援してきた結城賢治さんにお話を聞きました。

そもそも転職エージェントとは?

結城:転職エージェントとは、転職活動のサポートを無料で行うサービスです。

サービスに登録することで、希望にマッチした求人の紹介や、応募書類・面接のアドバイス企業とのスケジュール調整など、手厚いサポートが受けられます。仕事をしながら転職する場合など、時間がない人にはありがたいサービスと言えるでしょう。

加えて、求人サイトなどで公表されていない非公開求人も紹介してもらえるので、上手く使えば心強い味方になってくれる存在です。

結城賢治(ゆうき・けんじ)20年以上にわたりキャリアアドバイザーとして転職支援に携わり、企業の採用戦略にも精通している。コーチングの手法を取り入れ、求職者と伴走しながら個人の可能性を引き出すキャリアコンサルティングが強み。求職者からの信頼も厚く、転職後のキャリア相談の依頼も多い。

転職エージェントはどこまで信頼できる?

結城:ひとつ注意したいのは、転職エージェントのクライアントは誰なのか、という点です。

転職エージェントの仕事は、企業と求職者をつなぐことです。求職者の希望を聞きつつ企業のニーズに合った人材を探して、それぞれの希望をマッチングする役割を担っており、その意味で、転職エージェントのクライアントは企業と求職者の双方であると私は考えています。

ただ、転職エージェントもビジネスですから、売上をあげて利益を出さなければなりません。そして、転職エージェントの売上の源泉は、採用側である企業が支払う報酬です。企業と求職者のマッチングが成立し、求職者が入社した場合に、企業から成功報酬を受け取るのが転職エージェントのビジネスモデルなのです。

そのため、エージェントのなかには、企業の求める人材像にマッチするかということばかり気にして、求職者の希望をあまり重視しない人もいるのが実情です。

結城:一方で、求職者の希望に合わない企業を紹介しても転職は成立しにくいですし、仮に入社が決まった場合でも、その人がすぐに辞めてしまえば、求職者はもちろん企業からの信頼も損ねることになりかねません。

こうした事情を踏まえると、やはり転職エージェント求職者と企業の双方をしっかり見て仕事をするべきですし、そのようなスタンスの転職エージェントこそ信頼できると言えるでしょう。

信頼できる転職エージェントを見つけるには?

結城:では、信頼できる転職エージェントを見極めるにはどうしたらいいのでしょうか。そのポイントは、大きく3つあります。

ポイント1:話を聞こうとしてくれる

結城:1つ目のポイントは、求職者の話を聞こうとするかどうか。

良いエージェントは、自分が薦める求人の話に終始せず、「なぜ転職するのか?」「転職で何を叶えたいのか?」をしっかり聞いてくれるもの。求職者が言語化できていない希望を引き出すことまでしています。当たり前のことですが、求職者の希望を理解できなければ、転職を成功に導くことはできないからです。

また、転職を「求職者がより良い人生を実現するための手段」ととらえて、転職活動を中長期的な視点からサポートするエージェントもいます。

なかには、求職者に住宅ローンの有無や金額、配偶者の年齢まで聞くエージェントも。仕事選びと人生は密接に関わっていますから、その人の持つスキルや経験がどんなものか、どんな会社が合うかといった仕事の面だけでなく、その人がどんな生活をしていて、どのような人生を望んでいるかといったライフの面まで考えてサポートするためです。

こうした手厚いサポートをしたいと思いながらも、日々の業務に追われてそれができずにいるエージェントが多いのが現実ですから、そのようなエージェントと出会えたら幸運と言えるかもしれません。

結城:逆に、求職者の希望や事情などをほとんど聞かず、求人の話ばかりするエージェントは注意が必要です。

そういったエージェントの場合、「企業の採用ニーズに合うかどうか」という視点でしか求職者を見ていないケースが少なくありません。自分の希望とは合わない求人を薦められる可能性もあるので、避けるのが無難でしょう。

ポイント2:約束を守る

結城:2つ目のポイントは、約束を守るかどうか。基本的なことかもしれませんが、社会人として信用に足る人物かどうかを見ていきましょう。

もし「面談の時間を守らない」「約束の日までに求人を送ってこない」といったことがあり、違和感を覚えたなら、担当エージェントを変えてもらうことを考えてもいいでしょう。

一般的なエージェントサービスでは、求職者が希望すれば担当者を変更してもらえることがほとんど。担当変更は、よりよい転職先探しの手段の一つと言えます。新しい担当者も信用できないようであれば、別のエージェントサービスに乗り換えることも検討した方がいいかもしれません。

ポイント3:理由を話してくれる

結城:3つ目のポイントは、理由を話してくれるかどうか。

たとえば、「A社に応募したいのですが…」と希望を伝えたのに、紹介できないと言われたときは、その理由をストレートに聞いてみましょう。「取引がない会社なので、紹介できない」など、納得できる理由を正直に話してくれるエージェントなら問題ありません

逆に、明確な理由を伝えずに「お勧めできない」「合わないと思います」などと曖昧な返答をするエージェントもいますが、そういう人は避けるのが無難でしょう。求職者の希望を横に置いて、エージェント側の都合で企業を勧めようとしている可能性があります。

また、求人を紹介してもらうときにも、なぜその求人を紹介したのか理由を聞くことをおすすめします。その理由に納得感が無い、そもそも答えてくれないといった場合には、マッチングと関係なく、ただその時に紹介できる求人を並べているだけという可能性もあるので要注意です。

転職エージェントを使いこなすコツ3つ

結城:どんなに優秀な転職エージェントと出会えても、使い方次第で結果は大きく変わってきます。転職エージェントの利用価値を最大限に引き出すために、次の3つのコツを意識してください。

【転職エージェントを使いこなす3つのコツ】コツ1:目的別にエージェントを使い分ける|コツ2:エージェントには本音を伝える|コツ3:軸をしっかり持っておく

コツ1:目的別にエージェントを使い分ける

結城:1つ目のコツは、目的別にエージェントを使い分けること。

一般的に言われているのは、総合型エージェントと特化型エージェントの使い分けです。総合型の転職エージェントは幅広い業界・職種の求人を紹介してくれます。一方、特化型は、特定の業界・職種の求人に強い領域特化型、特定の年齢層や属性に絞ったサービスを提供する年齢特化型の2つに分けられ、それぞれの強みに応じた求人を紹介してくれます。

たとえば、業界・業種を問わずに幅広く求人を探したければ総合型がおすすめですし、業界や職種を絞り込んで求人を探したいなら領域特化型、第二新卒向け、ハイキャリア向けといった年齢や属性を絞った求人情報が欲しければ年齢特化型を利用すると効率的です。

また、エージェントの仕事のスタイルによっても使い分けが可能です。エージェントには、希望に近い求人情報をできるだけ幅広く探して紹介してくれるタイプもいれば、求職者とじっくり相談しながら絞り込んだ求人だけを紹介するタイプもいます。

結城:担当のエージェントがどんなタイプかによって、「この人は求人の情報収集で活用しよう」「この人には迷った時の相談に乗ってもらおう」といった形で付き合い方を変えるといいでしょう。相手に何を求めるかという観点でエージェントを使い分けると、そのエージェントごとに最大限のサービスを引き出すことができます

そのためには、いくつかのサービスに登録して、実際にエージェントに会ってみること、そして複数のエージェントと付き合ってみることをおすすめします。複数の転職エージェントを同時に利用するのは一般的なことなので、遠慮する必要はありません。

コツ2:エージェントには本音を伝える

結城:2つ目のコツは、エージェントに本音を伝えること。エージェントの前でカッコつける必要はありません。

転職エージェントとの信頼関係を構築するためにも、退職理由や転職先に希望することなど、言いづらいと感じることがあっても正直に伝えてください。何よりも自分の本音を伝えなければ、希望に合った求人を紹介してもらうことも難しくなってしまいます

本来の希望とズレた求人を紹介されても、転職を成功させることはできません。それは求職者にとっても転職エージェントにとっても不幸なことだと思います。

結城:転職エージェントとしても転職を実現させたいので、求職者にとってマイナスになる情報をむやみに企業に伝えることはありません。どうしても不安な場合は「この情報は伝えないでほしい」という希望を言っていただければ、必ず守ります。

コツ3:軸をしっかり持っておく

結城:3つ目のコツは、転職で何を叶えたいのか、転職活動の軸をしっかり持っておくこと。

本音を伝えることとも重なりますが、やりたい仕事や希望条件といった転職活動の軸が明確だとエージェントも支援しやすく、希望に合う求人と出会える確率が上がります。逆にそこがブレていると、エージェント側はどんな求人を紹介すべきかわからなくなってしまいます。

あとは、自分のポータブルスキルや貢献価値を自覚できているとベターです。

ポータブルスキルとは、会社や仕事内容が変わっても活かせる能力のことです。その人が、どんなスキルを持っていて、これまでどんな場面でどのように会社に貢献してきたかがわかれば、どんな仕事で活躍できるのか、能力を活かせる求人は何かを絞りこむことができます。スキルを自覚することは難しいですが、そういうときこそエージェントを頼って、一緒にスキルの棚卸しをしてもらいましょう

▼ポータブルスキルとは? 具体例を紹介

もうひとつ、転職活動には環境的な要因も大きく影響することも忘れないでいただきたいと思います。

たとえば、コロナ禍やリーマンショックなど経済環境の変化があった時には、当然、転職市場も影響を受けますし、AIなどの技術革新によって仕事のあり方そのものが変わってくる可能性もあります。

また、結婚や出産といったライフイベント、ご家族やご自身の体力、健康状態といったプライベートの要因も、転職先選びに影響してきます。特に20代後半からは、結婚や出産をする人も増え、環境が変わり始めるタイミングです。「どんな仕事がしたいか」という視点だけで転職先を選ぶのではなく、「将来的にどんな生活を送りたいか」という視点を持つことが必要になってくるはずです

何をしたいか何ができるのかという仕事選びの視点に加えて、経済状況や技術革新といった外部環境の変化を捉える視点、そして、どんな生活を送りたいのかという生き方を選ぶ視点。これら3つの視点から、ご自身がどのような転職を実現して、どのようなキャリアを築きたいのか、じっくり考えていただきたいと思います。

「転職の成立=成功」ではない

結城:これは転職エージェントとしての実感ですが、転職活動をしていると「転職先を決める」という目先のゴールにとらわれてしまう人が少なくありません。

特に20代の場合、人材不足で売り手市場ということもあり、求人の数も多く、条件も良いものが揃っています。ですが、目先の条件に惑わされて安易に転職を決めてしまうと、後々「こんなはずじゃなかった」「この転職は失敗だった」と後悔することになりかねません。

転職は、よりよいキャリアや人生を実現するための手段であり、転職そのものが目的ではないはずです。同時に、転職の成功とは、単に転職先が決まることではありません。転職先で力を発揮して、長く活躍できてこそ成功と言えるでしょう。

転職で何を叶えたいのか、どんな人生を実現したいのか、中長期的な視点をもって転職活動に臨んでいただきたいと思います。

▼【これから転職するあなたへ】失敗しないために読んでおきたい記事3選

この記事の話を聞いた人

キャリアアドバイザー

結城 賢治

株式会社クイック 最高人事責任者/上席執行役員

株式会社クイックに新卒入社。20年以上にわたりキャリアアドバイザーとして転職支援に携わり、企業の採用戦略にも精通している。コーチングの手法を取り入れ、求職者と伴走しながら個人の可能性を引き出すキャリアコンサルティングが強み。求職者からの信頼も厚く、転職後のキャリア相談の依頼も多い。現在は最高人事責任者として、自社の採用・育成・評価制度を牽引。新卒・中途採用の面接官も務める。キャリアコンサルティング技能士の資格も保有している。

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