ストレスを抱えている人は多い 職場の人間関係に悩んだときの対処法
仕事では、プライベートのように付き合う人を選ぶことができないため、職場の人間関係で悩む人は少なくありません。
今回は、よくある職場の人間関係の悩みを6つ取り上げ、悩んだときに実践したい対処法を紹介します。
職場の人間関係にストレスを感じている人は多い
職場の人間関係にストレスを感じている人は多く、仕事をする上で「人間関係」の悩みは避けられないもののひとつでしょう。
2021年の厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活において「強いストレスになっていると感じる事柄がある」と答えた人は、全体の約53%で半数以上にのぼります。
そのうち、強いストレスを感じている内容として「対人関係(パワハラ・セクハラを含む)」を選択した人は25.7%で、約4人に1人という結果になりました。
これは「仕事の量(43.2%)」「仕事の失敗、責任の発生(33.7%)」「仕事の質(33.6%)」に次ぐ4番目に高い割合でした。
仕事や職業生活に関する
強いストレスの有無および内容
1位 | 仕事の量(43.2%) |
2位 | 仕事の失敗、責任の発生(33.7%) |
3位 | 仕事の質(33.6%) |
4位 | 対人関係(パワハラ・セクハラを含む)(25.7%) |
5位 | 会社の将来性(20.8%) |
6位 | 役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)(17.9%) |
7位 | 顧客や取引先などからのクレーム(17.7%) |
8位 | 雇用の安定性(11.9%) |
9位 | その他(11.6%) |
10位 | 事故や災害の体験(1.9%) |
※「ストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えた労働者が選ぶ、強いストレスの内容(主なもの3つ以内)
※参考:厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」
強いストレスを感じると想像しやすい「顧客や取引先などからのクレーム(17.7%)」よりも「対人関係」を選択する人が多いことからも、人間関係の悩みは職場のストレスの大きな要因の一つとなっていることがわかります。
【ケース別】職場の人間関係に悩んだときの対処法
ここでは、職場の人間関係でよくある悩みを6つ取り上げます。
職場の人間関係に悩んでいる人は、上記のなかから自分が置かれている状況に近いケースを選び、対処法を確認してみましょう。
ケース1:性格が合わない人がいて疲れる
職場にはさまざまな性格・価値観を持った人がいるため、自分と性格が全然合わない人とも一緒に働かなければならないことがあります。
例えば「自分は何事も淡々とこなすタイプだが、自分とは真逆の気分の波が激しい人と同じ仕事を担当しなければいけない」など、性格が全然合わない人との人間関係に悩んでいる人は多くいます。
一緒に働く人と性格が合わないと、価値観の違いで話がかみ合わず、仕事がスムーズに進まないこともあるでしょう。ときには相手の言動や行動にイライラして、「ストレスが溜まる」「疲れる」という状況になることもあります。
対処法:相手と自分の共通点を見つける
職場に性格が合わない人がいて疲れるという場合は、自分の仕事にそれほど支障がないなら、その相手と無理に仲良くなろうとする必要はありません。自分の仕事に真摯に取り組んでいればOKです。
しかし、「職場で2人だけで過ごす時間が長い」「業務上コミュニケーションを密に取りながら進める必要がある」など、働く上で仲良くなった方が楽だと思う場合は相手と自分の共通点を探すようにしましょう。共通点が見つかれば、その話題をきっかけに距離を縮めることができます。
共通点を探すには、普段身に付けているものを観察して好きなものを把握する、休みの日の過ごし方を聞いて相手の趣味を知るといった方法が有効でしょう。
すぐに相手との共通点が見つからなくても、大丈夫です。相手をより知ろうと観察したり話しかけたりする過程で、相手の尊敬できるところや日頃の苦労など、新しい気づきが得られて、苦手意識が薄まることがあります。
ケース2:仕事の進め方が合わない人がいてイライラ
仕事の進め方が合わない人とは、意見がぶつかってしまい、業務がスムーズに進まずイライラするというのもよくあるケースです。
具体的には、自分は上司への報告の際には「チャットを使った方が効率的だ」と思っているが、上司から必ず対面で報告するように要求されている状況などがあてはまります。
自分の考えを伝えても聞き入れてもらえない場合は、不満を感じながら指示に従うことになるため、ストレスが溜まるという人も多いでしょう。
このようなお互いに意見を尊重し合えない状況では、ピリピリした空気を業務以外の場面でも引きずってしまいがちです。その状況に陥ると、いつまでも関係を深められずストレスフルな職場環境になってしまうでしょう。
対処法:相手の意見を聞きつつ自分の考えも伝える
相手と仕事の進め方が合わないと感じたときは、まず相手になぜその方法がよいと思うのか尋ね、相手の意見の背景にある考え方や意図を理解しましょう。相手の考え方や意図が理解できれば、相手のやり方がよいと納得して、業務に取り組むことができるでしょう。
もし相手の考えや意図を聞いても納得できなかった場合は、自分の意見や考え方もしっかり相手に伝えることが大切です。お互いの意見をしっかり伝え合うことで、価値観や考え方が理解できて誤解が解け、相手に対する信頼感を持つことができます。
その際、感情的にならず「冷静に」「論理的に」「建設的に」話すことを心がけましょう。
ケース3:真面目に働かない人がいて困っている
同僚のなかに真面目に働かない人がいると、職場の生産性が低下して自分やほかの社員の負担が増えてしまい、対応に困ることがあります。また、怠けている人も給料をもらっているのに、自分だけ業務の負荷が増えている状況に対して不平等に感じる人も少なくありません。
例えば、同僚が勤務時間中にPCでネットサーフィンばかりをしていて業務をせず、その分自分にしわ寄せがくるケースなどがあてはまります。
また、不真面目な態度の人がいるせいで職場全体の士気が下がり、「仕事へのやりがいを感じにくい」「ストレスが溜まる」と悩む人もいるでしょう。
対処法:事実を伝えて改善策を一緒に考える
真面目に働かない人の存在が、自分の仕事や業務の生産性に直接影響しないのであれば、放っておいて問題ありません。自分がやるべきことに集中すればOKです。
一方で、相手の怠惰によって自分の仕事に悪影響があるなら、まずは上司に状況を報告し、対応を相談しましょう。
また、真面目に働かない人に対して「自分を含めて周囲に負担がかかっている」という事実を具体的に伝え、「何か力になれることはないか」と一緒に改善策を考えることも対処法の一つです。
適当に仕事をしている人は自分自身のタスクでさえ十分に管理できていないことが多く、周囲の人に迷惑をかけていると自覚できていない可能性があるためです。
ただし、相手が仕事に集中できていない背景には何か事情があるかもしれないため、話し合える状況ならば、協力者としてのスタンスを保ち、冷静に原因を探ってみるのも1つの手でしょう。
ケース4:特定の人から嫌がらせをされてしんどい
職場に自分に対してあからさまな嫌がらせをする人がいると、その人の存在が気になったり、そのせいで目の前の業務に集中することが難しくなったりします。
具体的には、職場の古株社員になぜか嫌われてしまい、話しかけても自分だけ無視されたり、陰で自分の悪口を言われたりするケースがあてはまります。
過去の自分の行動や言動を考えても、なぜそうなったのか、原因がわからず悩んでいるという人もいるでしょう。
対処法:我慢せず信頼できる人に相談する
職場で特定の人から嫌がらせを受けている場合は、一人で我慢せずに信頼できる人に相談することが大切です。例えば、先輩から嫌がらせを受けているなら直属の上司に、上司から嫌がらせを受けているならその上の上司や人事、社内の相談窓口などに相談しましょう。
しかるべき人に話をすれば、プロジェクトを別にしてもらう、部署異動するなどして、嫌がらせをする相手と関わる頻度を減らせる可能性があります。
また、同じ職場に信頼できる人がいれば、相談を通して自分が相手に嫌われている原因や背景について知ることができるかもしれません。
事情があって社内の人への相談が難しい場合は、厚生労働省が運営している相談窓口「こころの耳」や、弁護士に対して無料で法律相談を行える司法サービス「法テラス」など、公的機関・民間団体に相談することも有効です。
ケース5:職場に派閥があり面倒くさい
会社によっては、社歴が長い人や上の立場にある人が、社内に派閥やグループをつくっていることがあります。
例えば、社歴が長いパートと社歴が浅い社員の間で派閥ができていて、お互いの悪口を言ったり仕事を妨害したりしているケースがあてはまります。職場に派閥があると「いざこざに巻き込まれそうで関わりたくない」「両方の派閥に気を使うのが面倒くさい」と感じる人も多いでしょう。
また、派閥とまでいえないものの、特定の社員同士の仲が険悪で職場の雰囲気が悪くなることもよくある状況です。「派閥やグループの板挟みになって困っている」という人も少なくないでしょう。
このような場合、これ以上関係を悪化させないように両者に気を使わなければならないため、精神的に疲れてしまいます。
対処法:むやみに関わらない
職場で特定の人たちの仲が悪かったとしても、それは当人同士の問題であるため、積極的に関わる必要はありません。
「職場の人間関係は良くないといけない」「自分が解決しなければ」と思う方もいるかもしれませんが、むやみに関わると板挟みになり、自分が一番ストレスのかかる立場になってしまう可能性も。普段は距離をおいて両者の様子を見ておき、仕事で必要なときだけ中立の立場でコミュニケーションを取るようにしましょう。
もし両者のトラブルに巻き込まれて板挟みになってしまった場合は、ほとぼりが冷めるまで一時的に強い派閥の方についても問題ありません。もし気持ちの余裕があれば、中立の立場を活かして、両者の話し合いの場を設けるなど、自分で職場の人間関係を調整するために行動するのも手です。
ケース6:職場で自分だけ孤立していてつらい
「社内で盛り上がっている話題に入れない」「自分だけ飲み会や遊びに誘われない」など、社内で孤立していると悩む人も少なくありません。こういった場面が多いと職場に居づらいと感じ、仕事にも打ち込みにくくなります。
状況によって、職場で孤立してしまう原因はさまざまです。よくある原因としては、「職場の文化に自分が馴染めていない」「ほかの社員との共通点があまりない」「影響力がある社員とトラブルになった」などが考えられます。
また、「表情が暗く不機嫌そうに見える」など、周囲からネガティブな印象をもたれてしまって孤立してしまうケースもあります。
対処法:コミュニケーションの量を増やす
トラブルがあったわけでもないのに、職場で孤立してしまっている場合は、まわりの人とのコミュニケーションが不足していて、信頼関係がまだ築けていない可能性があります。業務中のやりとりや休憩時間などを活用して、ほかの社員とのコミュニケーション量を増やすようにしましょう。
例えば、報告・連絡・相談を今よりもこまめにする、休憩時間に1人で過ごさずまわりの社員に話しかけるなど、実践しやすいことから少しずつ取り組むことが大切です。また、ネガティブなイメージを持たれているかもしれないと思ったら、周囲に自分の印象を率直に聞いてみるのも一つの手です。
一方で、特定の社員とのトラブルが原因で孤立したかもしれないという場合は、上司に相談して職場の席を変えたり担当業務を変更したりして、ほとぼりが冷めるまでその社員と距離をおいた方がよいでしょう。
ただし、トラブルになった社員が自分に対して大きな誤解をしているようなら、最終的には誤解を解消する努力が必要です。ほとぼりが冷めた段階で、自分から話しかけるなど行動してみましょう。
職場の人間関係はドライに考えてOK。気にしないことがカギ
職場はあくまで仕事をするための場所であるため、強いストレスを抱えてまで職場の人と仲良くする必要はありません。
「そもそも職場は仕事をする場所だから、人間関係はドライでいい」と考えると、まわりの人や職場の状況に惑わされることがなくなり、仕事に集中しやすくなります。
また、職場の人間関係で悩みすぎないためには、プライベートの人間関係を大切にすることも重要です。プライベートの人間関係が充実していれば心の余裕が生まれ、職場の人間関係がうまくいっていなくても、精神的なダメージが少なくて済みます。
もし自分なりに努力しても状況が改善しなかったり、精神的につらく限界を感じたりした場合は、転職を検討してもよいかもしれません。
職場の同僚との人間関係に悩んだら…
「今の上司と合わない」「部下が真面目に働かない」など、職場の人間関係に悩んだときは、以下の記事で紹介している対処法もぜひ参考にしてみてください。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。