未経験者も好印象を残せる! 「医療事務」の志望動機の書き方・例文

転職活動において、採用担当者からの印象を大きく左右する志望動機。採用担当者に採用後の活躍イメージを持ってもらうためにも、応募先の仕事内容や、求められる能力・適性を理解して書くことが重要です。

この記事では、医療事務の志望動機の書き方と、すぐに使える例文を紹介します。志望動機のなかでアピールしたいポイントもあわせて紹介するので、確認しておきましょう。

【書く前に確認を】医療事務の仕事内容

医療事務は、病院やクリニックなどの医療機関で、受付・会計処理などを担当する事務職です。

専門知識を要する業務が多いことが特徴で、カルテをもとに診療報酬明細書の作成・点検を行うレセプト業務」と、患者の入退院に関する事務手続きやカルテの整理などを行うクラーク業務」を行います。

〈医療事務の主な仕事内容〉

▼受付・会計処理

  • 診療・検査内容の説明
  • 患者の案内
  • 診療金額の計算・会計

▼レセプト業務

  • 診療報酬点数の算出
  • 診療報酬明細書(レセプト)の作成・点検

▼クラーク業務

  • カルテの整理・入力
  • 検査データの準備
  • 入退院に関する事務手続き …など

医療事務をするには、資格が必要?

医療事務は専門知識が求められる職種ですが、資格なしでも就業することが可能です。医療事務の資格はすべて民間資格であり、取得は任意となっています。

ただし、人気が高い職種のため、転職の際に有資格者が有利になるケースや、応募要件で資格が求められるケースもあります。余裕があれば、資格取得を検討してもいいでしょう。

コラム:医療事務の仕事は、AIによって無くなる?

AIの発達によって事務系職種の業務は自動化・効率化が進んでおり、近い将来、仕事が無くなると言われています。医療事務の業務でも、電子カルテの普及や、ツールを使ったカルテのチェックなどによって、会計・レセプト業務の自動化が進んでいく見込みです。

一方で、AIが苦手とする「人と接する業務」は今後も残り続けるとされています。たとえばクラーク業務は、入院患者への説明や、医師とのコミュニケーションが発生するため、AIでは対応が難しいのが現状です。

また、レセプト業務においても、医師や看護師のコメントを目視で確認してはじめて、正しく診療報酬点数を算出できるケースがあります。AIによって減る業務があるものの、人の手が必要な業務が残っている点は、安心要素と言えるでしょう。

医療事務の志望動機で伝えるべきこと

転職の志望動機で伝えるべきことは、大きく「その求人に応募した理由」と「転職後に活かせるスキル・経験」の2つです。

なぜこの2つが必要かといえば、「こうした業務につきたいから」「このように貢献したいと考えた」といった志望理由に加えて、それを実現するスキルや経験があると伝えることで、採用担当者に転職後の活躍イメージを持ってもらうことができるからです。

ただ、医療事務に応募してくる人は、業務に必要なスキル・経験や資格を持っている人がほとんどです。

そのため、選考を突破するには「その求人に応募した理由」を強くアピールする必要があります。中でも「その施設のどんなところに魅力を感じたのか」「なぜその施設で働きたいと思ったのか」といった、「その施設を選んだ理由」を具体的に伝えることをおすすめします。

なぜなら、採用側としては、その施設を選んだ理由が明確な人であれば、それだけ熱意を持って仕事をしてくれる・目標に向けて積極的に動いてくれるといった期待を持っているからです。「その施設を選んだ理由」は採用候補者を絞り込む上で重要なポイントになるため、できる限り具体的に伝えましょう。

その施設を選んだ理由の伝え方

たとえば「施設の理念に共感した」「自分が受診したときの窓口対応に感銘を受けた」など、「その施設のどんなところに魅力を感じているか」をできるだけ具体的に伝えましょう。

その際、ただ「魅力を感じた点」を伝えるだけでなく、「なぜ」そこに魅力を感じたのか、理由もあわせて伝えることができるといいでしょう。「業務で○○の経験をしたことで、△△と考えるようになったため」といったように、自身の経験と紐づいた理由を語れると説得力が増して、熱意や志望度の高さを印象付けることができます

また、未経験から医療事務を目指す場合は、そもそもなぜこの仕事を選んだのかが問われるため、必ず「医療事務を志望した理由」もあわせて伝えましょう。「その施設を選んだ理由」と同じく、自身の経験と紐づいた理由を伝えられると医療事務の仕事に対する熱意や志望度の高さを印象づけることができます。

〈その施設を選んだ理由の例〉

▼方針に共感した

  • 貴院の「何よりも患者さんの話に耳を傾けて、温かい医療を提供する」という理念に共感した
  • 「地域に寄り添う医療の提供」という理念を掲げて歴史を重ねている貴院で、地域医療の一端を支えたいと考えた

▼受診した際に、魅力を感じた

  • 患者として利用した際、手術前の不安に寄り添ってくれたことが印象的で、自分も同じような応対をしたいと考えた

▼スキルアップしたいと考えた

  • 現職よりも診療科目が多い病院で経験を積み、スキルアップしたいと考えた

▼その施設の診療科目・規模ならではの仕事に惹かれた

  • (小児科の例)受付業務などを通して、子どもの不安だけでなく、ご家族の不安も取り除くような応対をしたいと考えた
  • (小規模な病院の例)少数精鋭で、ひとりひとりが広範囲な業務を担当している貴院で、スキルアップしたいと考えた
  • (大規模な病院の例)患者さんが多く、お待たせすることが多い大病院だからこそ、待ち時間を少しでも減らせるようなサービスを提供したいと考えた …など

〈医療事務を志望した理由の例〉

  • 事務のスキルを活かしつつ、より専門的な知識を習得したいと考えた
  • 受付業務を通じて、患者さんの不安を和らげることができる医療事務の仕事にやりがいを感じた …など

医療事務に活かせるスキル・経験の伝え方

医療事務の場合、「コミュニケーション能力」「作業の正確さ」「医療事務に関する知識」の3つが重視される傾向があるので、過去の経験と絡めてアピールしましょう。

〈コミュニケーション能力〉

医療事務は、受付業務で患者と接したり、医師とやりとりしながらカルテの作成などを行うため、コミュニケーション能力が必要不可欠です。

具体的には、「相手が求めていることを汲み取る」「相手に合わせて、わかりやすい言葉を選ぶ」能力が求められています。また、医療施設で働くという性質上「患者や、その家族の不安を和らげる」コミュニケーションが取れることも重要です。

未経験者の場合は、接客・販売・営業など、人と接する業務を通じてこれらの能力を発揮した経験があれば、伝えておきましょう。

  • (経験者)前職でも医療事務として受付業務を担当し、専門用語を患者様が理解できる形に言い換えて伝える工夫をしていた
  • (未経験者)前職の接客業では、お客様から笑顔を褒められることが多かった。この長所を活かして、笑顔を通じて患者様に安心感を与えられるような対応をしたいと考えた

〈作業の正確さ〉

カルテの記入などを行う医療事務は、作業の正確さも求められる仕事です。特にレセプト業務では、記載漏れや誤記によって診療報酬が正しく支払われなくなるため、高い精度が求められます。

正確さが求められる業務の経験や、ミスなくこなしてきた実績を伝えることが評価に繋がるので、可能ならば志望動機にも記載しておきましょう。

  • (経験者)前職で医療事務として勤務していた5年間で、一度も書類関係のミスを起こさなかった
  • (未経験者)前職の営業職では、契約書の作成など、ミスが許されない仕事を受け持っていた

〈医療事務に関する知識〉

無資格で転職できるものの、レセプト業務・クラーク業務をはじめ、専門知識も必要になる仕事です。資格を取得している人は、伝えておくとアピールに繋がります。

未経験者や資格を持っていない人でも、資格取得の意欲があることや、資格取得のために実際に勉強していることを伝えると前向きな印象を持ってもらえる可能性が高まります。

  • 独学で医療事務の勉強を続け、診療報酬請求事務能力認定試験に合格した
  • 転職に向けて、医療事務の資格(※)を取得するための勉強をしている …など

※医療事務資格の例…「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク(R))」「医療事務管理士」「診療報酬請求事務能力認定試験」「医療事務認定実務者(R)」 …など

医療事務の志望動機の書き方

履歴書の志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.その背景やエピソード」→「3.採用後の意気込み」の3段構成でまとめるのがセオリーです。「応募した理由」を丁寧に書くことで、熱意が伝わりやすく、説得力も高まります

また、前職で経験したことや、自分が得意とすることと絡めて「採用後にどう活躍したいか」を伝えることで、採用後に活躍する姿がイメージしやすくなります

3段構成にそってまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。

〈例文〉

(1)
コミュニケーション能力を活かして人に寄り添う仕事をしたいと考え、医療事務に応募いたしました。

(2)
前職ではアパレルショップの販売員として、接客業務を行っておりました。業務においては「お客様の困りごとには、腰を据えて回答する」をモットーに、丁寧な対応を大切にしており、実際にお客様からお褒めの言葉もいただいています。こうした経験から、もっと人に寄り添える仕事に就きたいと考え、患者様の不安に寄り添う医療事務への転職を決意いたしました。

「丁寧な説明で、患者様の不安を取り除く」という方針を掲げている貴院なら、自分が目指す医療事務の姿と合致すると考え、応募いたしました。

(3)
転職に向けて現在、医療事務の資格取得に向けた勉強を進めております。前職で培った丁寧なコミュニケーション能力をベースに、医療事務の業務を学び、貴院に貢献したいと考えております。

(366文字)

1.応募した理由(結論)

志望動機の冒頭では、まず「応募した理由(結論)」を伝えます。

貴院の〇〇という方針に共感した」「患者として利用した際の温かな応対に惹かれ、貴院に応募した」といった形で、応募の決め手となったことを簡潔にまとめましょう。

2.その背景やエピソード

応募した理由(結論)に続いて、転職を決意した背景やエピソードを具体的に伝えます。

未経験者の場合は、「なぜ医療事務の仕事をしたいと考えたのか」+「応募先を選んだ理由」を伝えましょう。医療事務を目指した理由が伝わらないと、「医療事務じゃなくてもいいのでは?」と熱意を疑われることにもなりかねないため、注意してください。

経験者の場合は、これまでの経験を踏まえて「培ったスキルを活かして、さらに高いレベルで活躍したい」「前職とは違った方針の病院で、本当にやりたかったことに挑戦したい」といった前向きな表現で、転職を決めた理由を伝えましょう。

3.採用後の意気込み

最後に、志望動機の締めとして「採用後の意気込み」を伝えます。

未経験者の場合は、医療事務でも活かせる経験やスキルを活かしつつ「積極的に学んでいく姿勢」や「転職に向けて勉強をしている」といったことを伝えるのがおすすめです。経験者の場合は「経験を活かして貢献したい」という姿勢を伝えましょう。

【例文】医療事務の志望動機

ここではあらためて医療事務の志望動機の例文を、「未経験者」「経験者」向けにそれぞれ紹介します。

押さえておくべきポイントとあわせて確認して、自分の志望動機を作成しましょう。

未経験者の場合

〈例文(コミュニケーション能力をアピール)〉

(1)
「受付業務を通じて患者様に寄り添う」という医療事務の仕事に惹かれ、志望いたしました。

(2)
前職では5年間にわたり飲食店のスタッフとして、接客や、商品の受発注処理などの事務作業のサポートを行っていました。接客では「お客様に心からくつろいでいただくこと」を大切にしており、お客様の要望に先回りした対応を心がけておりました。たとえば、お子様連れのお客様には広々としたお席をご案内する、お子様が泣き出して申し訳なさそうにしている親御さんにフォローの言葉をかけるといった対応を行っておりました。こうした接客をお客様に褒めていただいたり、笑顔で帰られる姿を目にしたことをきっかけに「もっと人の心に寄り添う仕事をしたい」と考えるようになり、転職を決意いたしました。

転職活動のなかで「病院の顔として患者様に寄り添い、不安を取り除く」という医療事務の仕事を知り、自分も挑戦したいと考えるようになりました。特に小児科である貴院では、「お子様と親御さんの不安をなくし、常に笑顔を」という理念を掲げ、不安を抱きやすい子どもや保護者のフォローに力を入れていると知り、貴院の一員として働きたいと考え応募いたしました。

(3)
現在、通信講座で医療事務資格取得のために勉強を進めております。飲食店でお子様連れの方々と接するなかで得たコミュニケーション能力を活かしつつ、医療事務の業務を一日も早く覚えて貴院に貢献したいと考えております。

(594文字) 

〈例文(作業の正確さをアピール)〉

(1)
事務職のスキルを活かして社会に貢献できる仕事をしたいと考え、医療事務への転職を志望いたしました。

(2)
前職では営業事務として、売上データ入力・管理や契約書の作成など正確性が求められる業務を担当しておりました。迅速でミスのない仕事を心がけており、営業担当から感謝の言葉を伝えられたことをきっかけに「もっと多くの人の役に立つ業務をしたい」と考え、転職活動に踏み切りました。

さまざまな仕事を調べるなかで「事務作業を通じて医療を支える」という医療事務のやりがいを知り、転職を考えるようになりました。特に貴院は地域の中核病院で利用者も多く、より多くの人に貢献できると考え志望しております。

(3)
営業事務の仕事で培った作業の正確さは、診療報酬の計算やカルテの作成といった医療事務の業務でも活かせるものと考えております。一日も早く医療事務ならではの専門知識を習得し、貴院に貢献したいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

(404文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 未経験から応募する場合は、「なぜ医療事務になりたいと考えたのか」が問われるため、必ず記載する。
  • 医療事務の適性があると思ってもらうためには、過去の経験のなかから「医療事務と共通点のあるもの」を伝えるのがポイント。応募先の業務内容を確認し、接客や事務など活かせそうな業務の経験があることを伝えるのがおすすめ。

経験者の場合

〈例文(スキルアップの例)〉

(1)
医療事務として対応できる業務の幅を広げるため、貴院に応募いたしました。

(2)
前職では〇〇区の中核病院で4年間、医療事務として主に受付会計業務とレセプト業務を担当しておりました。担当業務の知識は一通り身についており、昨年から後輩の指導も任されております。一方で、効率化のために業務分担が細かく分けられており、クラーク業務などの経験が積めていない状況でした。医療事務を今後も続けるためにも幅広い業務を経験したいと考え、転職を決意いたしました。

「ひとりひとりのスキルを高めることで、サービスの品質を高める」という方針のもと、医療事務ひとりひとりの業務範囲を広げている貴院であれば、スキルアップが実現できると考え応募いたしました。

(3)
これまでに担当した業務の知識・経験を活かしつつ、より多くの業務に対応できるようになることで、貴院のサービス品質の向上に貢献したいと考えております。

(383文字)

〈例文(新規開業する施設に応募する例)〉

(1)
医療の仕事を通じて地域貢献したいと考え、貴院に応募いたしました。

(2)
前職では6年間、✕✕市にある精神科の医療事務として受付会計業務・レセプト業務・クラーク業務を経験しておりました。患者様と接するなかで、私が住む〇〇市からも通院している方が多くいることを知り、同じ地域の方々の力になりたいという想いが強くなりました。

そんななか、〇〇市で数少ない精神科として貴院が開業することを知り、地域の方々の力になれるまたとない機会だと考え、応募いたしました。「積極的な医療で地域社会に貢献する」という貴院の理念も、自分の想いと重なっており、深く共感しております。

(3)
精神科における医療事務の業務を一通り担当した経験は、開業後の業務を円滑に進める際にも役立つと考えております。同僚となる方と協力しながら、貴院の発展に貢献したいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

(377文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 経験者の場合、施設側は即戦力を期待しているため、経験した業務はできる限り具体的に書く
  • 特に新規開業する施設は即戦力を求める傾向が強いため、応募先と共通する業務の経験や、同じ診療科目・規模の施設での経験は必ず記載する。
  • リーダーとして人を束ねていた経験や、後輩を指導した経験も加点要素になるため、記載できるとベター。

コラム:正直な志望動機は書いてもいい?

志望動機は、基本的には自分が考えていることを正直に書くものです。ただし「家から近いから」「給料が高いから」「腰を据えて働けそうだから」といった待遇に関する内容を伝えるのはNG

「待遇面しか見ていない」「ほかに待遇がいい施設があれば、転職してしまいそう」といった印象に繋がり、応募先に就職したいという熱意・意欲が低いと判断されてしまいます。

原則、志望動機では「応募先の理念に共感した」「経験を活かしてスキルアップしたい」といった業務に関する内容を伝えましょう。

【書き終わったら…】ポイントにそって見直しをしよう

志望動機の内容によって、応募先への熱意の高さなど、採用担当者に与える印象は大きく変わります。そのため、時間を置いてから見直すのがおすすめです。

見直す際には、下記の記事で解説している「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」なども参考にしてみましょう。

また、下記の記事では医療事務以外の志望動機の書き方・例文を紹介しています。応募を予定している場合は、あわせて活用してみてください。

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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