経験者・未経験者どちらにも対応 「営業事務」の志望動機の書き方・例文
転職活動で必ずといっていいほど聞かれる志望動機。仕事内容を理解し、求められる能力や適性を把握した上で作成するのがポイントです。
この記事では、営業事務の志望動機の書き方と、すぐに使える例文を紹介します。アピールすべき経験や資格についても紹介するので、確認しておきましょう。
志望動機を書くには、まず仕事内容を理解しよう
営業事務は、営業部門や営業職のバックアップやサポートを担当する職種です。
見積書・契約書などの書類作成や、顧客データの入力といった事務作業のほか、顧客からの問い合わせ対応などコミュニケーション能力が求められる業務にも対応します。
〈営業事務の主な仕事内容〉
- 見積書・納品書などの作成
- 顧客情報・受発注/入出荷データの入力
- 顧客からの問い合わせ対応
- プレゼン資料の作成
- 営業職のスケジュール調整・管理 …など
コラム:営業事務の仕事は、AIに取って代わられる?
近年、AIによって業務の自動化・効率化が進んでおり、事務職の仕事が無くなるのではという予測がされています。実際、データ入力や単純作業、ルーティン業務はAIで自動化しやすいため、減少する可能性が高いようです。
一方で、営業事務の業務はAIが苦手とするコミュニケーション能力が求められるものが多く、代えがきかないとされています。
来客や問い合わせ対応など、社外の人と接する業務では会社の窓口としてふさわしい対応が求められます。営業職のサポート業務においても、業務を効率よく進めるためには担当者の状況を察して先回りした行動が求められることもあります。このような高いコミュニケーション能力が求められる仕事は、AIでは対応できないのが現状です。
また、契約書など重要書類の作成においては人の目によるチェックが必要です。部分的にAIに取って代わられる業務はあるものの、営業事務の業務が無くなることは当面無いと言えるでしょう。
営業事務に求められる能力とは?/何をアピールすべき?
営業事務の業務は、書類作成やデータ入力といった事務作業だけでなく、営業担当や顧客と接する機会も多い点が特徴です。そのため、主に「事務処理能力・PCスキル」と「コミュニケーション能力」の2つの能力が求められます。
企業は志望動機から「求人に応募した理由」と同時に「営業事務に求められる能力・経験を有しているか」を見極めようとしています。そのため、応募した背景とからめて「事務処理能力・PCスキル」や「コミュニケーション能力」がアピールできる経験・資格を伝えるのがおすすめです。
具体的にどのような経験・資格をアピールするとよいか見ていきましょう。
事務処理能力・PCスキル
営業事務の業務の中心は、書類作成やデータ入力といった事務作業です。特に、納期内に素早く、ミスなく業務を完了させる「スピーディな対応力」と「作業の正確性」が求められます。たとえば、短納期で大量の処理を行った、重要書類をミスなくスピーディに作成したといった経験をアピールできると、業務への適性があると感じてもらえるでしょう。
また、WordやExcel、PowerPointといったOfficeソフトの使用頻度が高いため、使用経験があることもアピールしておくのがおすすめです。最近では、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートを使用する企業も増えているので、業務で使用している場合は伝えておきましょう。
▼経験
- Excelを使用し、売上データの入力を行っていた
- データ管理にGoogleスプレッドシートを利用しており、関数を使ったデータの集計やグラフの作成など、ひととおりの操作を行っていた
- PowerPointを使って、社内向けの報告資料を作成していた
▼資格
- MOS(Microsoft Office Specialist)
→Word、Excelなどを使った書類作成のスキルが身についている証明として
- 日商簿記(日本商工会議所簿記検定)
→経理系の業務も含まれる場合、対応できることをアピールするため
コミュニケーション能力
営業事務は、社内外のさまざまな人とやりとりするシーンが多い職種です。顧客とのコミュニケーションはもちろん、たとえば契約書の作成では、営業職だけでなく法務部門とのやりとりも発生します。
特に、来客や顧客からの問い合わせ電話・メールに対しては、ビジネスマナーを守ってきめ細かく対応するのはもちろん、場合によってはただ営業担当に取り次ぐだけはなく、自ら判断して必要な情報を確認する、顧客がうまく言葉にできない要望を汲み取るといった力も求められます。
これまでの仕事を振り返って、このような力をアピールできるエピソードを見つけておきましょう。
▼経験
- 営業事務として、電話応対や来客対応を一手に担っていた
- 発注書の請求・処理など、外部とのやりとりを担当していた
- (未経験者)アパレルショップの販売員として◯年間勤めた
- (未経験者)営業担当として、顧客との折衝や連絡を行っていた …など
▼資格
- 秘書技能検定
→社会人としての一般常識やマナーが身についている証明として
営業事務の志望動機の書き方
転職の志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.その背景やエピソード」→「3.入社後の意気込み」の3段構成でまとめましょう。結論を先に述べて、その後に応募した背景や入社後にやりたいことを伝えることで、わかりやすく説得力のある志望動機を作ることができます。
実際に3段構成でまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。
〈営業事務(未経験)の志望動機の例文〉
(1)
周囲をサポートすることで事業に貢献できる業務に携わりたいと考え、貴社を志望いたしました。
(2)
現職では飲食業の接客担当を2年間経験しており、接客業務以外に店長業務のサポートやスタッフのシフト作成、食材の発注管理などを行っていました。それらの業務を通じて周囲から感謝されることが多くなり、他のスタッフが業務に集中できる環境づくりや人をサポートする業務に就きたいと考え、転職を決意いたしました。
貴社は営業職の方が多く営業事務の役割を非常に重視されていること、未経験で入社された方も活躍していることを伺い、魅力を感じております。
(3)
営業事務の経験はありませんが、接客で培ったコミュニケーション能力や、Word・Excelといったソフトの使用経験を活かして、一日でも早く戦力になれるよう努めたいと考えております。
(347文字)
1.応募した理由(結論)
志望動機の冒頭では、「応募した理由(結論)」を簡潔に伝えます。
「〇〇を実現したいと考えて志望した」「営業経験者ならではの視点で、営業をサポートしたいと考え、応募した」といった形で、応募の決め手になったことを1~2文にまとめましょう。
2.その背景やエピソード
応募した理由(結論)を補足する形で、転職に至ったきっかけ・背景やエピソードを説明します。
なお、未経験者と経験者では、伝えるべき内容が異なります。
未経験者の場合は「営業事務に興味をもったきっかけは何か?(なぜ興味をもったのか)」+「営業事務の仕事のどんなところに興味をもったのか」を。経験者の場合は「転職に至った具体的な理由(現職ではできなかったことを手掛けたい…など)」を、具体的に伝えましょう。
3.入社後の意気込み
志望動機の締めとして「入社後の意気込み」も伝えておきましょう。
未経験者の場合は「これから積極的に学んでいく姿勢」や「転職に向けて、すでに努力していること」を伝えて、熱意をアピールするのがおすすめです。経験者の場合は「経験を活かして貢献したい」という前向きな姿勢をアピールしましょう。
【例文】営業事務の志望動機
ここでは営業事務の志望動機の例文を、「未経験者」「経験者」向けにそれぞれ紹介します。例文に添えてある押さえておくべきポイントも参考にしてください。
未経験者の場合
〈例文〉
(1)
事務処理スキルを活かして周囲の人をサポートする業務に就きたいと考え、貴社の営業事務を志望いたしました。
(2)
前職ではアパレルの販売職を3年間経験しており、接客業務に加えてシフト作成や受発注業務といった事務作業を担当しておりました。周囲の人が効率よく作業できる仕組みづくりにやりがいを感じており、同僚から「細かなところまで先回りしてサポートしてくれて、助かっている」といった感謝の言葉をかけられたことをきっかけに、サポート職への転職を決意いたしました。
貴社の営業事務は、担当営業をマンツーマンでサポートしていると伺い、専任ならではのきめ細やかなサポートができると感じ、惹かれております。
(3)
営業事務の業務はこれから学ぶことになりますが、前職での事務作業の経験や、顧客・同僚とコミュニケーションを取ってきた経験を活かし、貴社の営業スタッフを支えられる存在になりたいと考えております。
(384文字)
〈例文(営業経験あり)〉
(1)
営業の経験を活かし、営業事務に挑戦したいと考え、貴社を志望いたしました。
(2)
前職では3年間にわたり、業務用食品の営業を行っておりました。自分の営業目標を達成するだけでなく、他のメンバーの業務をサポートしてきました。たとえば、個人で作成した顧客管理表や受発注・売上管理表を共有する、プレゼン資料作成をサポートするといったことが周囲のパフォーマンス向上に繋がることにやりがいを感じ、サポート業務を通じて会社に貢献したいと考えるようになりました。
新事業の立ち上げにともなって営業部門を拡大している貴社であれば、営業事務として事業成長に大きく貢献できると感じ、応募いたしました。
(3)
営業職の実務経験を通じて、書類作成や顧客応対など基本的な業務内容は理解しております。これまでの経験を活かして早期に戦力化することで、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。
(371文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 未経験者の場合、なぜ営業事務に応募したのか、その理由を必ず明記する。具体的には「営業事務に興味を持ったきっかけ」や「前職(現職)と営業事務の共通点」を伝えることが重要。
- 共通点を語る際は、事務処理能力・コミュニケーション能力をアピールできるよう、「契約書などの書類作成」や「データ入力」の経験、「周囲とコミュニケーションを取りながら業務を進めた」経験を伝えるのがおすすめ。
- なお、営業経験がある場合は「営業の業務の流れや、作成する書類についての知識がある」ことや、「実際に営業事務(アシスタント)と連携した経験がある」ことを伝えると、対応できる業務が具体的にイメージできるのでおすすめ。
経験者の場合
〈例文〉
(1)
営業事務として、対応できる業務の幅を広げたいと考え、貴社を志望いたしました。
(2)
現職でも営業事務として契約書類の作成や、顧客からのメール・電話対応などを担当するほか、業務フローの改善提案やチーム全体で使える営業用資料を作成するなど、部署全体の業務の効率化にも取り組んでまいりました。こうした経験を活かし、対応できる業務の幅を広げたいと考え、転職を決意いたしました。
貴社では営業事務も営業戦略の立案に関わるなど、幅広い面で営業をサポートする業務ができることに魅力を感じております。
(3)
現職で培った業務のノウハウ・知識を活かし、幅広いスキルを身につけることで、貴社の売上拡大や事業成長に貢献したいと考えております。
(301文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 経験者の場合、なぜ前職(現職)のままではダメなのか疑問を持たれることが多いため、「転職を決断したきっかけ・経緯」を具体的に伝える。
- ネガティブな理由で転職を考えている場合でも、ストレートに不平不満を伝えるのはNG。「前職でできなかったことを実現するため、転職を決意した」など、あくまでフラットに事実を伝える表現にする。
- 経験者の場合は即戦力採用が多いため、「営業事務としてどんな経験・実績を積んだか」+「業務を通じて得たスキル・知識」を伝えるようにする。
【完成後にチェック】ポイントにそって見直そう
志望動機は、応募書類のなかでも重要度が高い項目です。内容によって採用担当者に与える印象が大きく変わるため、書き終えたら時間を置いて見直すようにしましょう。
下記の記事で「志望動機を書くうえでのポイント」や「NGパターン」などを紹介しているので、見直しの際に参考にしてください。
また、営業事務以外の事務職についても応募を検討している人は、下記の記事もあわせて確認するのがおすすめです。代表的な事務職の志望動機の書き方を例文付きで紹介しているので、ぜひ活用してください。
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。