未経験者の書き方も紹介 【転職】貿易事務の志望動機の書き方・例文

志望動機は、書き方や内容によって採用担当者に与える印象が大きく変わる項目です。採用担当者に熱意を伝え、「入社後の活躍イメージ」を持ってもらうにはどうすればいいのでしょうか?

この記事では、貿易事務の志望動機の書き方と、すぐに使える例文を紹介します。志望動機で必ず伝えたい内容も紹介するので、あわせて確認しておきましょう。

【志望動機を書く前に】仕事内容を確認しておこう

貿易事務は、商品の輸出入に必要な書類の作成や、船便の手配などの事務手続きを行う職種です。

仕事内容は、大きく分けて3種類。輸出入する品物の情報や、取引の条件などをまとめた書類を作成する「貿易書類の作成・確認業務」と、輸送手段や通関手続きの手配など、輸送に必要な手続きを行う「(輸送・通関などの)手配業務」、商品情報や納期などのデータ入力や、商品在庫の管理、トラブル時の納期調整などを行う「納入管理業務」に分かれています。

書類作成やメール・電話連絡など、あらゆる場面で英語を使う頻度が高い職種です。

〈貿易事務の主な仕事内容〉

▼貿易書類の作成・確認

  • 輸出入に必要な書類の作成・送付・確認
    (インボイス、パッキングリスト、船荷証券、信用状など)

▼(輸送・通関などの)手配

  • 輸送手段の手配(トラック、船、飛行機など)
  • 通関書類の作成、通関手続き

▼納入管理

  • 注文内容や納期などのデータ入力・管理
  • トラブル発生時の納期調整・代替案の提案

▼その他

  • コレポン業務(海外からの問い合わせへの、メール・電話対応)
  • 来客対応や、郵便物の発送・仕分け、備品の管理など

また、勤務先の業種によって、貿易事務の業務範囲が異なります

たとえば「商社・メーカー」であれば、輸出入の工程の上流にあたる「貿易書類の作成・確認」がメイン。「国際物流・フォワーダー・船会社」であれば、輸送にまつわる「手配業務」がメインになるといった違いがあります。

主な業種と業務範囲をまとめたので、確認しておきましょう。

〈企業の業種による仕事内容の違い〉

▼商社・メーカー
貿易書類の作成・確認がメイン

  • 取引先との連絡・契約内容の確認
  • 船積手配
  • 輸出用書類の作成
  • 輸送手段の手配 …など

▼国際物流・フォワーダー・船会社
輸送・通関などの手配納入管理がメイン

  • 輸送手段の手配
  • 輸出入の関連会社との調整・交渉
  • 船積手配
  • 輸出用書類の作成
  • スペースブッキング(船積み原簿への登録記入)
  • 納入管理 …など

▼海貨業者(海運貨物取扱業者)・倉庫会社
通関手続き、納入管理がメイン

  • 通関書類の作成
  • 船積・荷卸し …など

志望動機で伝えておくべき内容

志望動機で伝えておくべき内容は、大きく「応募先を選んだ理由」と「転職後に活かせるスキル・経験」の2つに分けられます。

一般的に、事務職は転職希望者の多い人気職種です。そのため、採用担当者は応募者を絞り込むために「明確な理由があって自社を志望している人物か」といったことを確認して、応募者の熱意や志望度を見極めようとしています

意欲をアピールするためにも、志望動機では「応募先の企業のどのような部分に魅力を感じたか」「その企業で、自分は何を実現したいのか」といった応募先を選んだ理由を明確に伝えて、応募先で働きたいことを強くアピールするといいでしょう。

また、意欲と同時に「活躍できるだけのスキルや経験がある」こともアピールして、採用担当者に「入社後に活躍できるイメージ」を持ってもらうことも重要です。

具体的にどのようなことを伝えればいいか、下記でくわしく見ていきましょう。

「応募先を選んだ理由」の伝え方

応募先を選んだ理由を伝える際には、「魅力を感じた部分」と「何を実現したいと考えているのか」を、具体的に伝えることが重要です。

たとえば、「現在よりも業務の幅を広げられると感じた」「『日用品の輸入を通して、人々の暮らしを豊かにする』という理念に共感した」「輸出業務を通じて、貴社の製品を世界に広めたいと考えた」など、応募先だからこそいえる内容を伝えましょう。

その際、「魅力を感じた点」を伝えるだけでなく、魅力を感じた理由(「なぜ」魅力を感じたのか)もあわせて伝えるのがポイントです。「〇〇の業務を通じて、✕✕と考えるようになった」など、過去のエピソードを紐づけて応募先を選んだ理由を語れると、説得力を高められます。

また、未経験者の場合は、そもそも「なぜ貿易事務の仕事に就きたいと考えたのか」も問われるため、必ず「貿易事務を志望した理由」も伝えましょう。「デスクワークをしたい」「サポート業務に携わりたい」といった事務職全般に通じる内容ではなく、「語学力を活かしたい」「生活に欠かせない物資の輸送を支える仕事をしたい」など、貿易事務ならではの内容を伝えると、仕事への熱意や志望度の高さが伝わりやすくなります

▼応募先を選んだ理由の例

  • 事務職のなかでも、得意とする語学力を発揮できる仕事に就きたいと考えた
  • (現在も貿易事務をしており)対応できる業務の幅を広げたいと考えた …など

「転職後に活かせるスキル・経験」の伝え方

貿易事務には、「語学力」「コミュニケーション能力」「貿易に関する知識」の3つの力が求められます。

転職後に活躍できるイメージを持ってもらうために、これらの力の裏付けとなる業務経験や資格を、志望動機でも伝えておきましょう。

なお、3つの力のうち「語学力」は必要不可欠なものですが、貿易事務に応募する人の大多数が備えている力のため、それをアピールするだけではほかの応募者との差別化になりません。そのため、語学力に加えて「コミュニケーション能力」か「貿易に関する知識」も必ずアピールしましょう

〈語学力〉

輸出入に関する書類やメールでは主に英語が使われるため、ビジネス英語を読み書きできる語学力が必要不可欠です。また、海外の取引先と電話でやりとりが発生する場合では、英会話のスキルも求められます。

そのため、TOEICのスコアや、ビジネスシーンでの英語の使用経験を伝えて、必要な語学力が備わっていることをアピールしておきましょう。

▼語学力を発揮した経験を伝える例

  • 海外事業部との連絡を担当しており、現地スタッフと英語でメール・電話のやりとりを行っていた
  • 前職でも英語でビジネス文書を作成しており、TOEICスコアも700点取得している …など

〈コミュニケーション能力〉

貿易事務は、営業部門や法務部門と連携して書類を作成したり、取引先と契約内容の確認を行ったりと、社内外の関連部署と連携することが多いため、コミュニケーション能力が重要です。特に海外とやりとりを行う際には、文化や商習慣の違いから誤解や行き違いが発生しやすいため、相手に合わせたコミュニケーションが必要不可欠です。

たとえば、「日本ではサービスで対応するようなことも、海外では契約に含まれなければ一切対応しない」など、文化や商習慣の違いを理解したうえで、スムーズにやりとりするための工夫が求められるため、機転を利かせた経験などをアピールするといいでしょう。

▼コミュニケーション能力の例

  • 「急な予定変更が多い」「支払いが遅れやすい」といった取引先の商習慣を踏まえて、予定の確認を密に行う・予定変更に対応できるバッファを含めた日程で交渉を進めるなど、スムーズに業務が進むよう工夫をしていた
  • 認識のずれが生じやすい点は、細かなことでも丁寧に確認をとり、コミュニケーションロスの発生を防ぐよう努めていた …など

〈貿易に関する知識〉

貿易事務は、事務職のなかでも特に専門知識が求められる職種です。貿易関係の専門用語や、輸出入に必要な書類の種類、貿易に関するルールなど、業務にあたって数多くの知識を習得しなければなりません。

専門知識があると選考で有利になるので、貿易事務の経験(具体的な担当業務や、作成していた書類など)や、貿易関連の資格があれば、積極的にアピールしていきましょう。また、経験を伝える際は、どの業務を担当していたのかを具体的に伝えるようにしてください。

▼貿易に関する経験を伝える例

  • 前職では食品系の商社の貿易事務として、輸送ルートの手配や貿易書類の作成など、輸入に関する業務をひととおり担当していた …など

▼貿易関連の資格の例

  • 貿易実務検定〇級(20〇〇年✕✕月合格)
  • 通関士試験(20〇〇年✕✕月合格) …など

志望動機の書き方・構成

転職の志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.その背景やエピソード」→「3.入社後の意気込み」の3段構成でまとめるのがセオリーです。応募した理由や背景を深堀りしつつ、入社後にどう貢献していきたいかを整理して伝えることで、志望動機の説得力が高まります。

実際に3段構成に沿って作成した例文を見ながら、具体的な書き方を確認しましょう。

〈例文〉

(1)
接客業で培った語学力を活かして貿易事務に挑戦したいと考え、志望しました。

(2)
現職の旅行代理店では旅行事務として、お客様の対応やホテル・飛行機の手配、ビザ申請などを担当しております。海外旅行の手続きを担当することも多く、日常的に海外のホテルや航空会社と英文でやりとりを行っています。なかでも、「書類を正確に作成することで、海外とのやりとりを円滑にする」という事務業務のやりがいを強く感じ、お客様対応中心の業務から事務作業中心の仕事に挑戦したいと考えるようになりました。特に、海外とのやりとりを専門的に行い、現職で培った語学力が活かせる貿易事務に魅力を感じ、転職を決意いたしました。

転職活動のなかで貴社の求人を拝見し、生活必需品の輸出入を通じて多くの人の生活を支えている点や、未経験からスペシャリストへ育成する研修が充実している点に惹かれ、応募いたしました。

(3)
貿易事務は未経験ですが、海外取引先と英語でやりとりを行ってきた経験や、海外の商慣習に関する知識は、貿易事務の業務にも活かせると考えております。一日も早く専門知識を習得し、貴社の業務に貢献できるよう励みたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

(504文字)

1.応募した理由(結論)

志望動機の冒頭では、まず「応募した理由(結論)」を伝えてください。

「語学力を活かして貿易事務に挑戦したい」「(応募先企業の)〇〇な部分に惹かれて志望した」といった形で、応募の決め手になったことを簡潔にまとめましょう。

2.その背景やエピソード

応募した理由(結論)に続いて、転職を決意したきっかけ・背景やエピソードを説明して、志望動機に説得力を持たせましょう。

未経験者の場合は、「貿易事務に興味を持ったきっかけ」+「どこに魅力を感じているか」を整理して伝えるのがセオリーです。

一方、経験者の場合は、現職における経験を踏まえて「経験を活かしてキャリアアップしたい」といった、前向きな理由を伝えると効果的です。

3.入社後の意気込み

志望動機の締めとして、最後に「入社後の意気込み」を伝えます。入社後にどのように活躍していきたいかを宣言することで、採用担当者に「入社後に活躍する姿」を想像してもらいやすくなります。

未経験者の場合は「前職の経験も活かしつつ、入社後に積極的に学んでいく姿勢」を、経験者の場合は「経験・知識を積極的に活かして貢献したい」という姿勢をアピールしましょう。

【例文】貿易事務の志望動機

ここでは、あらためて貿易事務の志望動機の例文を、「未経験者」「経験者」向けにそれぞれ紹介します。

押さえておきたいポイントも併せて紹介するので、参考にして志望動機を作成していきましょう。

未経験者の場合

〈例文〉

(1)
営業職を通じて培ったコミュニケーション能力を活かし、貿易事務の仕事に挑戦したいと考え応募いたしました。

(2)
現職では業務用食材の営業を担当しており、新規のお客様への提案や、既存顧客へのルート営業を行っております。商談を円滑に進めるため、「相手に合わせたコミュニケーション」を大切にしており、お客様の理解度に合わせた説明や、取引先の慣習を踏まえた契約書の取り交わしなどを心がけてまいりました。その結果、顧客にも喜んでいただけ、取引の継続といった成果にも繋がっております。

書類作成の丁寧さや、契約までの連絡の丁寧さを評価されることも多く、こうした事務処理能力を活かした仕事に挑戦したいと考え転職活動を開始いたしました。海外留学の経験から「海外の方と関わる仕事に就きたい」という想いもあったため、事務職のなかでも海外との接点が多い貿易事務を志望しております。貴社では営業職から貿易事務になった方も多いと伺い、私も同じように活躍したいと考え応募いたしました。

(3)
貿易事務は未経験ですが、取引先の商習慣を理解し、それに合わせたコミュニケーションを取ることで取引を円滑に進めたいと考えております。また、TOEICのスコアは700点で、ビジネス文書の読み書きや英語でのメール・電話対応も可能です。コミュニケーション能力と語学力をベースに貴社に貢献したいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

(590文字)

〈押さえておきたいポイント〉

  • 未経験から貿易事務を目指す場合、過去の経験のなかから「貿易事務の業務に繋がる経験」を伝えることがポイント。「商習慣の異なる取引先とスムーズに取引を行った経験」や「語学力を発揮した経験」「事務系職種の経験」などがあれば、具体的に紹介すると効果的。
  • 貿易関係の知識が重要な仕事のため、「通関士」や「貿易実務検定」といった資格があると選考で有利に。受検していなくても、資格の取得に向けて勉強をしていることを記載すれば貿易事務への意欲・熱意が伝わる。

経験者の場合

〈例文〉

(1)
貿易事務として、より幅広い業務を担当したいと考え、貴社を志望いたしました。

(2)
現職では貿易事務として5年間勤務しており、主に貿易書類の作成・確認や、海外取引先との電話・メール対応などを行っております。また、OJTとして、後輩社員への業務内容のレクチャーなども担当しておりました。一方で、社内での役割分担が明確で担当業務が絞られていたことから、業務の幅を広げるために転職を決意いたしました。

貴社は貿易事務ひとりひとりの業務範囲が広く、書類作成から輸送ルートの手配、通関手続きなども任せていただけると伺い、魅力を感じております。また、国内有数の規模を誇る商社のグループ会社として、生活に欠かせない商品の流通を支えるという業務の意義にも共感し、経験を活かして広く社会に貢献したいと考えております。

(3)
現職の経験や、通関士資格を取得するなかで得た知識を活かして業務の幅を広げ、貴社で貿易事務のプロフェッショナルを目指したいと考えております。

(412文字)

〈押さえておきたいポイント〉

  • 経験者の場合、自分の業務経験が応募先でも活かせることをアピールすることが重要。活かせるかどうかを判断できるように、経験した業務は具体的に伝える
  • 応募先を選んだ理由に説得力を持たせるためには、「転職に至ったきっかけ」を伝えるのが効果的。現職での課題や、感じたことなど、転職を決意した前後のエピソードを伝えるのがおすすめ。

書き終えたら、必ず見直しをしよう

志望動機の内容によって、採用担当者に与える印象は大きく変わります。そのため、書き終えたら必ず見直しをしておきましょう

このとき、客観的にチェックできるように、時間を置いてから振り返るのがポイントです。

見直す際には、下記の記事で解説している「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」なども参考にするのがおすすめです。誤字・脱字などを含めて、間違いがないかチェックしておきましょう。

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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