【すぐに使える例文つき】 不動産事務の志望動機の書き方
志望動機は、採用担当者からの印象を大きく左右する項目です。では、採用担当者に「入社後の活躍イメージ」を持ってもらい、選考の通過に繋げるにはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では、不動産事務の志望動機の書き方と、未経験者・経験者それぞれの志望動機の例文を紹介します。志望動機で必ず押さえておきたいポイントも紹介するので、あわせて確認しておきましょう。
【志望動機を書く前に】まずは仕事内容の確認を
不動産事務は、不動産会社に所属し、物件の問い合わせ対応や契約書類の作成、物件データの管理など、不動産の売買・賃貸に関する事務作業を行う職種です。
書類作成や電話・メール対応といった一般的な事務職と共通の作業に加えて、営業担当者のサポートとして、来客対応や物件案内の代行、物件の説明を行うこともあるなど、接客業の側面もある点が特徴です。
〈不動産事務の主な仕事内容〉
- 問い合わせ対応(電話・メール)
- 窓口でのお客様対応
- 物件データの入力・更新
- 書類作成(契約書、請求書、間取り図など)
- 入居手続き(大家さんへの連絡や保険手続きなど)
- 広告物(チラシなど)の作成、SNS運用
- 物件案内(営業担当者の不在時や繁忙期に対応する可能性あり)
- 送金手配、入金確認(家賃や仲介手数料、税金など) …など
なお、中小規模の不動産会社の場合、不動産事務ひとりひとりの業務範囲が広く、上記の業務を横断的に対応するのが一般的です。一方で大規模な企業の場合は、不動産事務の人数が多く、業務効率化の観点から特定の業務に特化する傾向があります。
これらの違いを踏まえて、「専門性を高めたい」「幅広く対応できるようになりたい」といった自分の希望にマッチした応募先を選ぶといいでしょう。
志望動機で伝えておくべき内容
不動産事務の志望動機で伝えておくべき内容は、大きく「応募先を選んだ理由」と「転職後に活かせるスキル・経験」の2つに分けられます。
一般的に事務職は人気が高く、応募が集まりやすい傾向があります。そのため、応募者を絞り込むために、採用担当者は志望動機から「自社の社風や理念を理解しているか」「明確な理由があって自社を志望している人物か」といったことを確認して、応募者の熱意や志望度を見極めようとしています。
意欲や志望度が高いことを印象付けるために、志望動機では「応募先の企業のどのような部分に魅力を感じたか」「その企業で、自分は何を実現したいのか」といった応募先を選んだ理由を明確に伝えましょう。
同時に「活躍できるだけのスキルや経験がある」こともアピールして、採用担当者に「入社後に活躍できるイメージ」を持ってもらうことも重要です。
具体的にどのようなことを伝えればいいか、下記でくわしく見ていきましょう。
「応募先を選んだ理由」の伝え方
「応募先を選んだ理由」を伝える際は、「魅力を感じた部分」や「何を実現したいと考えているのか」を具体的に伝えるのが重要です。
たとえば、「〇〇という企業理念に共感した」「業務の幅を広げられると感じた」など、企業情報や業務内容を下調べしたうえで、応募先ならではの内容を伝えましょう。
その際、「魅力を感じた点」に加えて、「なぜ」魅力を感じたのか、魅力を感じた理由もあわせて伝えるのがおすすめです。「〇〇の業務を通じて、✕✕と考えるようになった」など、過去のエピソードを紐づけて応募先を選んだ理由を語れると、説得力が増して熱意や志望度が伝わりやすくなります。
また、未経験者の場合は、そもそも「なぜ不動産事務に就きたいと考えたのか」という理由も問われます。そのため、必ず「不動産事務を志望した理由(興味を持った理由)」も伝えましょう。「事務作業が好きだから」といった事務職共通の理由ではなく、「PCスキルとコミュニケーション能力、どちらも活かせる業務内容に惹かれた」といった、不動産事務ならではの理由を伝えるようにしてください。
▼応募先を選んだ理由の例
- 事務職のなかでも、コミュニケーション能力とPCスキルどちらも活かせる不動産事務の仕事に魅力を感じた
- (現在も不動産事務をしており)業務の幅を広げたいと考えた …など
「転職後に活かせるスキル・経験」の伝え方
不動産事務の業務では、特に「コミュニケーション能力」「PCスキル」「不動産業界の知識」の3つの力が求められる傾向があります。
転職後に活躍できるイメージを持ってもらうために、これらの力の裏付けとなる業務経験を、志望動機でも伝えておきましょう。
〈コミュニケーション能力〉
不動産事務は、来客対応も行う職種です。いわば会社の窓口であり、その対応によって企業の第一印象が決まります。そのため、失礼のない言葉遣いや、丁寧な対応など、来客からの印象を高めるための「ホスピタリティの高いコミュニケーション」が大切です。
「機転を利かせて、相手に満足してもらった経験」や「相手の感情やニーズを汲み取り、先回して対応した経験」などを伝えると、ホスピタリティ精神のアピールに繋がるので、志望動機内でも触れておきましょう。
▼裏付けとなる経験の例
- 接客において「お客様の不安に寄り添うこと」を大事にしており、お客様の知識に合わせて、丁寧に説明を行うといった機転を利かせてきた
- お客様の不安や疑問にいち早く気付いてフォローすることを心がけており、先回りして補足説明を行うといった配慮をしてきた …など
〈PCスキル〉
不動産事務は、PCを使って契約書類の作成や物件データの入力、広告物の制作なども行うため、PCスキルが必要不可欠です。Word・ExcelといったOfficeソフトを使用することが多く、基本操作ができる程度のスキルが求められています。
スキルを伝える際は、「データの入力業務を担当していた」「Excelを使って契約書や請求書などの書類を作成していた」といった形で業務経験を具体的に伝えると、何ができるかが採用担当者に明確に伝わり、説得力が増します。
▼裏付けとなる経験の例
- Word・Excelを使用して、契約書類の作成や、商品の発注書類などを作成していた
- Excelを用いたデータの入力や表計算を行っており、関数・マクロを用いて業務の効率化も行った …など
〈不動産業界の知識〉
不動産の契約にまつわる書類の作成や手続きなども行うため、不動産事務の募集では「不動産業界の知識」のある人が優遇される傾向があります。職種を問わず、不動産業界で働いた経験や、不動産関連の資格がある場合は、志望動機でもアピールすると効果的です。
特に宅建士(宅地建物取引士)の資格は希少であり、求人票の応募資格でも「有資格者は優遇します」と明言されていることが多いため、必ずアピールしておきましょう。
一方で未経験者も多い職種であり、知識や資格が無いからといって過度に萎縮する必要はありません。入社後に積極的に学ぼうとする姿勢や意欲を伝えて、採用担当者にポジティブな印象をあたえていきましょう。
▼裏付けとなる経験の例
- 不動産事務として、賃貸契約に関する書類の作成や、間取り図の作成、物件データの登録、お客様からの問い合わせ対応など、ひととおりの業務を担当していた
- 現職で不動産の営業を担当しており、宅地建物取引士の資格を取得している …など
志望動機の書き方・構成
履歴書の志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.その背景やエピソード」→「3.入社後の意気込み」の3段構成で作成するのがセオリーです。
応募した理由を冒頭で端的に伝え、そう考えるに至った理由や背景を具体的に補足することで、応募した背景を採用側が理解しやすくなり、志望動機の説得力も高まります。
3段構成にそってまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。
〈例文(未経験者の例)〉
(1)
販売職で培ったコミュニケーション能力を活かして事務職に挑戦したいと考え、志望いたしました。
(2)
現職では雑貨店の販売スタッフとして、接客や商品の提案、発注に関する事務処理などを手掛けておりました。接客の際は「お客様に気持ちよくショッピングを楽しんでいただくこと」を心がけており、柔らかな応対や、お客様の疑問や不安を汲み取った提案を大切にしておりました。お客様から感謝の言葉をいただくこともあり、仕事にやりがいを感じていたのですが、もともと興味のあった事務職にも挑戦したいという想いがあり、転職を決意いたしました。
転職活動のなかで、お客様対応と事務業務の双方を担う不動産事務の仕事を知り、販売職で培ったコミュニケーション能力を活かせることに魅力を感じました。なかでも「接客を通じて感動を提供する」という貴社の理念に共感し、応募いたしました。
(3)
不動産事務は未経験ですが、現職で培ったコミュニケーション能力や、Word・Excelを用いた書類作成スキルを活かし、1日も早く業務を覚えて、貴社に貢献したいと考えております。
(453文字)
1.応募した理由(結論)
志望動機の冒頭では、まず「応募した理由(結論)」を伝えます。
「接客の経験を活かし、不動産事務に挑戦したいと考えた」「不動産事務として、仕事の幅を広げたいと考えた」といった形で、応募の決め手になった想いを簡潔にまとめましょう。
2.その背景やエピソード
応募した理由(結論)に続いて、転職を決意したきっかけ・背景やエピソードを説明します。
未経験者・経験者ともに、これまでに経験した業界や業務内容を伝えつつ、「どんなきっかけがあり、転職を考えたのか」+「応募先を選んだ理由」+「転職によって何を実現したいのか」の3点を伝えてください。
なお、未経験者の場合は、そもそも「なぜ不動産事務を目指しているのか」が問われる傾向があります。志望動機の説得力を高めるためにも、応募先を選んだ理由とあわせて必ず伝えましょう。
3.入社後の意気込み
最後に、志望動機の締めとして「入社後の意気込み」を伝えます。
未経験者の場合は「これまでの経験・スキルをベースに、積極的に学んでいく姿勢」を、経験者の場合は「経験を活かして貢献したい」「新しい環境でさらなる成長を目指したい」という姿勢をアピールするのがおすすめです。
【例文】不動産事務の志望動機
ここではあらためて不動産事務の志望動機の例文を、「未経験者」と「経験者」に分けて紹介します。
押さえておくべきポイントとあわせて確認し、自分の志望動機を作成してください。
未経験者の場合
〈例文〉
(1)
現職で培った事務処理スキルを活かして不動産事務に挑戦したいと考え、志望いたしました。
(2)
現職の食品メーカーでは営業職を3年間担当しており、主に新規顧客の開拓に携わっております。営業チームの中核メンバーとしてチーム全体の業務サポートにも取り組んでおり、契約書類の作成・管理や、ミスなく効率よく作成するためのテンプレートの作成などを行っておりました。こうした業務を通じて事務処理スキルを磨くうちに、事務作業メインの業務に挑戦したいと考えるようになり、転職活動を開始いたしました。
不動産事務を志望したのは、事務職のなかでも営業職で培った能力を活かせる職種だと感じたためです。なかでも貴社は、契約書類に加えてチラシなど広告物の作成を行う機会も多いと伺い、営業で販促ツールを作成していた経験を活かせると考え応募いたしました。
(3)
不動産事務は未経験ですが、Word・Excelで契約書類を作成するスキルや、お客様や関係者と円滑にコミュニケーションを取る能力を活かし、貴社の業務に貢献したいと考えております。
(443文字)
〈押さえておきたいポイント〉
- 未経験者の場合、これまでに培った経験やスキルを不動産事務にも活かせることをアピールする。特にお客様応対で身についた「コミュニケーション能力」や、Word・Excelで書類作成をして身につけた「PCスキル」をアピールするのが効果的。
- 同じ不動産事務でも、応募先によって業務範囲は異なるので注意。大規模な会社ほど分業化が進んでいる傾向があるので、求人票で業務範囲を確認し、自分の担当業務で活かせそうな経験・スキルをアピールすることが重要。
経験者の場合
〈例文〉
(1)
不動産事務としてスキルアップしたいと考え、貴社に応募いたしました。
(2)
現職の賃貸不動産仲介会社では3年間事務を担当し、主に契約書類や物件資料、販売促進用の広告物の作成などを行っております。また、問い合わせ業務や来客対応なども含めて、不動産事務のひととおりの業務を経験しております。不動産事務のスキルを習得するなかで、契約件数の多い企業でさらに経験を蓄積し、対応力を伸ばしたいと考えるようになり、転職を決意いたしました。この地域において賃貸契約件数がトップクラスの貴社なら、より多くの実務経験が積めると考え応募いたしました。
(3)
貴社でも現職と同じくお客様への契約内容の説明や書類作成など、不動産事務の業務をひととおり行うと伺い、培った経験や専門知識が活かせると考えております。これまでに培ったスキルを発揮し、貴社の事業拡大に貢献したいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
(389文字)
〈押さえておきたいポイント〉
- 経験者の場合は即戦力が求められる。そのため、「自分が何をできるのか」を伝えるために、担当業務は具体的に伝えるのがポイント。
- 応募先で求められている経験やスキル、担当業務が明確な場合は、それにマッチした経験・スキルを選んで伝えると、効果的なアピールに繋がる。
書き終えたら、必ず見直しをしよう
志望動機は、内容や書き方によって採用担当者へあたえる印象が大きく変わる項目です。そのため、記入が終わったら、必ず時間を置いてから見直すようにしましょう。
下記の記事では、「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」などを説明しているので、見直しの際のチェックポイントとしてぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。