【未経験者も使える】 金融事務の志望動機の書き方・例文

志望動機は、転職の応募書類の項目のなかでも、選考の通過を左右する重要な項目です。採用担当者に熱意を伝え、「入社後の活躍イメージ」を持ってもらい、書類選考の通過に繋げるにはどうすればいいのでしょうか?

この記事では、金融事務の志望動機の書き方と、すぐに使える例文を紹介します。志望動機で必ず伝えたい内容も紹介するので、あわせて確認してください。

【志望動機を書く前に】仕事内容を確認しておこう

金融事務は、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関で、口座開設手続きや見積書・契約書の作成、営業のサポートなどの事務作業を幅広く担当する職種です。

金融事務の業務は、窓口や電話・メールで問い合わせ対応や説明を行う「顧客対応」と、書類作成や手続きを行う「後方業務」の2つに大きく分けられます。一般的な事務職と比べて、顧客との接点も多い接客業的な側面のある仕事といえます。

なお、同じ金融事務でも、勤務先の業種によって仕事内容が異なる点が特徴です。代表的な業種である「銀行・信用金庫」「証券会社」「保険会社」それぞれの主な仕事内容は、下記のとおりとなっています。

〈「銀行・信用金庫」の主な仕事内容〉

▼顧客対応

  • 口座開設・解約手続き
  • 入出金処理
  • ローンや定期預金などのサービスの説明・受付

▼後方業務

  • 取引額の計算・確認
  • 為替業務(振込、手形の発行など)
  • 外国通貨の両替 …など

〈「証券会社」の金融事務の主な仕事内容〉

▼顧客対応

  • 口座開設・解約手続き
  • 預金受付・入出金処理
  • 金融商品の説明

▼後方業務

  • 証券口座の管理
  • 受注伝票や証券関係の書類の整理
  • 市場データや決算データなどのリサーチ・整理 …など

〈「保険会社」の金融事務の主な仕事内容〉

▼顧客対応

  • 保険商品の紹介・説明
  • 保険適用に関する問い合わせの受付
  • 事故の受付、保険金支払い対応

▼後方業務

  • 加入手続き(見積書・契約書の作成)
  • 契約内容のチェック・データ入力
  • 保険金の請求、入金確認 …など

コラム:金融事務の採用の傾向は?

個人の資産運用にも注目が集まっている昨今、金融業界における採用ニーズも高まることが予想されています。そのため、即戦力として金融業界の経験者募集があるだけでなく、主に若手をターゲットとした未経験者の募集も数多く出ています

未経験者の場合、はじめは一般的な事務業務からスタートして、専門知識を覚えながら徐々に業務の幅を広げていく形で採用することが多いようです。育成することが前提の採用なので、変に萎縮せずに応募するといいでしょう。

一方で、年齢が上がれば上がるほど、即戦力を求める経験者採用となることがほとんど。これまでに経験した業種や業務内容と、応募先との相性に注目が集まるため、自分が応募先にマッチすることをアピールしていきましょう。

志望動機で伝えておくべき内容

志望動機で伝えておくべき内容は、大きく「応募先を選んだ理由」と「転職後に活かせるスキル・経験」の2つに分けられます。

一般的に、事務職は希望者が多い人気職種です。採用担当者は、書類選考の段階で応募者を絞り込むために、志望動機から「明確な理由があって自社を志望している人物か」といったことを確認して、応募者の熱意や志望度を見極めようとしています

そのため、志望動機では「応募先のどのような部分に魅力を感じたか」「その企業で、自分は何を実現したいのか」といった応募先を選んだ理由を明確に伝えて、熱意や意欲を強くアピールしましょう。

また、意欲と同時に「活躍できるだけのスキルや経験がある」こともアピールして、採用担当者に「入社後に活躍できるイメージ」を持ってもらうことも重要です。

具体的にどのようなことを伝えればいいか、下記でくわしく見ていきましょう。

「応募先を選んだ理由」の伝え方

応募先を選んだ理由を伝える際のポイントは、「魅力を感じた部分」と「何を実現したいと考えているのか」を、セットで具体的に伝えること。

たとえば、「現在よりも業務の幅を広げられると感じた」「地域に根ざし、お客様と長期的な信頼関係を結ぶ姿勢に惹かれた」など、応募先だからこそいえる内容を伝えましょう。

加えて、「魅力を感じた部分」を伝える際には、魅力を感じた理由(「なぜ」魅力を感じたのか)も伝えるのがおすすめです。「〇〇の業務を通じて、✕✕と考えるようになった」など、過去のエピソードを紐づけて応募先を選んだ理由を語れると、説得力を高められます。

▼応募先を選んだ理由の例

  • 地域の相談役として、お客様と密接に関わりながらサービスを提供できる点に魅力を感じた
  • (現在も金融事務をしており)対応できる業務の幅を広げたいと考えた …など

「転職後に活かせるスキル・資格」の伝え方

金融事務には、「コミュニケーション能力」「PCスキル」「簿記・会計関連の知識」の3つの力が求められます。

転職後に活躍できるイメージを持ってもらうために、これらの力の裏付けとなる業務経験や資格を、志望動機でも伝えておきましょう。

〈コミュニケーション能力〉

電話・窓口でのお客様対応や、社内の営業・アナリスト・トレーダーのサポート業務など、社内外のさまざまな人と接する金融事務には、コミュニケーション能力が求められます。

特に、窓口業務においては店舗の顔としてお客様と接するため、丁寧な言葉遣いや相手への気遣いなど「ホスピタリティの高い対応力が重要です。加えて、複雑な金融サービスの説明も行うため、わかりやすく伝える「伝達力も求められます。

一方、営業やアナリスト、トレーダーなど、社内人材のサポートを行う際は、相手の要望を正確に汲み取る「傾聴力が必要不可欠です。

それぞれ、下記のような経験を交えてスキルをアピールするのが効果的です。

▼コミュニケーション能力のアピール例

  • ホスピタリティを伝える例:お客様の疑問にいち早く気付いてフォローすることを心がけており、先回りして補足説明を行うといった配慮をしてきた
  • 伝達力を伝える例:用件がすぐに伝わるよう結論ファーストで情報を伝えたり、相手の理解度にあわせて説明内容を変えたりすることを常に心がけてきた
  • 傾聴力を伝える例:相手の状況を正しく理解するため、話の内容をこちらで整理しながら、深堀りしていくようなコミュニケーションを心がけてきた …など

〈PCスキル〉

金融事務の業務では、PCを使ったデータ入力や整理を行うことが多いため、PCスキルが必要不可欠です。「金銭の取引に関わる重要な情報を入力する」という業務の性質上、素早く正確にデータを入力するスキルが特に重要視されています。

また、社内の資料作成やデータの入力には、WordやExcel、PowerPointがよく使用されます。これらのOfficeソフトの使用経験がある場合は、どのような資料を作成したことがあるのか、具体例を交えて経験を伝えると効果的です。

▼PCスキルのアピール例

  • Word・Excelを使った契約書類の作成や、PowerPointを使った営業資料の作成サポートなどを行っていた
  • Excelを用いたデータの入力や表計算を行っており、関数・マクロを用いて業務の効率化も行った …など

〈簿記・会計関連の知識〉

金融事務は、為替に関する知識をはじめ、多くの専門知識が必要な職種です。そのため、応募する企業と同じ業種での金融事務の経験や、金融・保険に関する資格がある人は優遇される傾向があります。

専門知識や業務経験をアピールする際には、担当業務や所持している資格名などを、可能な限り具体的に伝えることを心がけましょう。特に担当業務については、作成していた書類などを出すと、どの業務を任せられるかがイメージできるようになり効果的です。

一方で、未経験者の募集も多い職種のため、知識や資格が無いからといって過度に萎縮する必要はありません。入社後に資格取得のサポートや研修を設けている企業も多いので、それらを活用して積極的に学ぼうとする姿勢や意欲を伝えて、採用担当者にポジティブな印象をあたえていきましょう。

また、転職に向けて資格を取得した(取得を目指して勉強をしている)といったエピソードも、熱意や意欲のアピールに繋がるので、伝えておくのがおすすめです。

▼「簿記・会計関連の知識」をアピールできる経験の例

  • 地方銀行の金融事務として、口座開設や入出金処理、為替業務など、ひととおり担当していた
  • 保険会社の金融事務として、各種保険サービスの紹介や問い合わせ対応といった窓口業務から、契約内容の入力・書類作成といった後方業務まで担当していた …など

▼「簿記・会計関連の知識」をアピールできる資格の例

  • 証券外務員資格
  • 日商簿記
  • BATIC(国際会計検定)
  • ファイナンシャルプランナー …など

志望動機の書き方・構成

履歴書の志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.その背景やエピソード」→「3.入社後の意気込み」の3段構成で作成するのがおすすめです。

応募した理由を冒頭で端的に伝え、そう考えるに至った理由や背景を具体的に補足することで、応募した背景を採用側が理解しやすくなり、志望動機の説得力も高まります。

3段構成にそってまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。

〈例文(未経験者の例)〉

(1)
需要が高まっている金融分野でキャリアを積みたいと考え、金融事務を志望いたしました。

(2)
現職では営業事務として、見積書・契約書の作成や、企業・顧客データの入力、営業資料の作成サポート、お客様からの問い合わせ対応などを行っております。契約に関わる重要な数字なども預かっていたことから、ミスなく作業することを心がけており、周囲からも正確性を評価されていました。

営業事務にもやりがいを感じていたのですが、個人的に資産運用について学ぶなかで「金融分野の仕事に関わりたい」と考えるようになり、事務職経験を活かせる金融事務への転職を決意いたしました。なかでも豊富な金融商品を扱っている貴社なら、金融事務として多くの知識を習得できると考え応募いたしました。

(3)
金融事務は未経験ですが、営業事務で培った作業の正確性や、周囲とコミュニケーションを取って業務を進めるスキルを活かし、貴社に貢献したいと考えております。

(393文字)

1.応募した理由(結論)

志望動機の冒頭では、まず1~2文で「応募した理由(結論)」を伝えましょう。

「金融分野でキャリアを積みたいと考えた」「地域密着型の信用金庫で、個人商店をはじめとした地域の方々を支える業務に従事したいと考えた」といった形で、応募の決め手になった想いを簡潔に伝えることで、志望動機の内容を採用担当者に理解してもらいやすくなります。

2.その背景やエピソード

応募した理由(結論)に続いて、転職を決意したきっかけ・背景やエピソードを説明します。

未経験者・経験者ともに、「どんなきっかけから転職を考えたのか」+「応募先を選んだ理由」+「転職によって何を実現したいのか」の3点を、これまでに経験した業界や業務内容を交えて、具体的に伝えてください。

なお、未経験者の場合は、そもそも「なぜ金融事務を目指しているのか」が問われる傾向があります。志望動機の説得力を高めるためにも、応募先を選んだ理由とあわせて必ず伝えましょう。

3.入社後の意気込み

最後に、志望動機の締めとして「入社後の意気込み」を伝えます。

未経験者の場合は、「これまでの経験・スキルをベースに、積極的に学んでいく姿勢」を、経験者の場合は「経験を活かして貢献したい」「新しい環境でさらなる成長を目指したい」という姿勢をアピールするのがおすすめです。

【例文】金融事務の志望動機

ここではあらためて金融事務の志望動機の例文を、「未経験者」と「経験者」に分けて紹介します。

押さえておくべきポイントとあわせて確認し、自分の志望動機を作成してください。

未経験者の場合

〈例文〉

(1)
事務職経験を活かしつつ、お金にまつわるサポートを行う仕事に挑戦したいと考え、金融事務を志望いたしました。

(2)
現職では機械メーカーの一般事務として、契約書類の作成やデータの入力・集計、社内資料の作成などを担当しております。経理業務も任せていただいており、融資に関する業務で銀行のスタッフの方々のお世話になるなかで、自分も経営者や会社をサポートする側にまわりたいと考えるようになり、金融事務への転職を考えるようになりました。

貴社を志望したのは、豊富な金融商品やサービスを扱っており、金融事務として幅広い知識を習得できると考えたためです。未経験から金融事務のプロフェッショナルを育成するという方針を掲げている貴社で、金融事務として長期的なキャリアを築いていきたいと考えております。

(3)
金融事務は未経験ですが、契約書類をミスなく作成する正確性や、事務処理スキルを活かし、貴社に貢献したいと考えております。

(394文字)

〈押さえておきたいポイント〉

  • 未経験者の場合は、これまでの業務経験のなかから金融事務でも引き続き活かせる能力を探してアピールする。特に金融業界では「作業の正確さ」が求められるため、伝えておくと好印象に。
  • 窓口業務も担う金融事務では「コミュニケーション能力」が必要不可欠なので、「作業の正確さ」とあわせてアピールすると効果的。

経験者の場合

〈例文〉

(1)
金融事務として、お客様と密接に関わり、長期的にサポートするようなサービスの提供に関わりたいと考え、貴社を志望いたしました。

(2)
現職では派遣社員としてメガバンクの金融事務を担当しており、金融サービスの説明や契約手続きといった窓口業務から、契約書の作成や営業のサポートといった後方業務まで携わっております。

大手企業のご支援を中心に行っており、やりがいも感じていたのですが、個人のお客様と接するなかで「手厚い支援が必要な方々を、長期的に支援したい」と考えるようになり、よりお客様と密接に関わり、サポートできる信用金庫への転職を考えるようになりました。

地域に根ざしたサービスを提供し、お客様との長期的な信頼関係構築を大切にされている貴社なら、自分が理想とするサービスを提供できると考え応募いたしました。

(3)
これまでに培った金融業界の知識や、金融商品に関する問い合わせへの対応力、正確に事務処理を行うスキルなどを活かし、貴社に貢献したいと考えております。

(418文字)

〈押さえておきたいポイント〉

  • 経験者の場合、「なぜ現職ではなく、応募先に転職する必要があるのか」という疑問に対する説得力を持たせることが重要。現職の業務内容を踏まえたうえで、「〇〇をやりたいと考えた」→「応募先なら、それができると考えて応募した」という思考の流れを伝えることを意識する。

書き終えたら、必ず見直しをしよう

志望動機は、内容や書き方によって採用担当者へ与える印象が大きく変わる項目です。そのため、記入し終わったら、必ず時間を置いてから見直すようにしましょう。

下記の記事では、「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」などを説明しているので、見直しの際のチェックポイントとしてぜひ参考にしてください。

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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