会社選びに失敗したら…? 転職失敗時の対策と回避方法
転職活動を終え、心機一転入社した職場にはできれば長く勤めたいもの。とはいえ残念ながら、「この転職、やっぱり失敗だったかも…」と後悔してしまうこともあります。
次の会社選びは失敗したくない方も、すでに失敗してしまった!と後悔している方も、二度と転職に失敗しないために知っておくべきポイントをまとめました。
転職に失敗した!と思ったらするべき3つのこと
「転職に失敗した」と決め付ける前に、それは本当に「失敗」なのかを再度見直してみましょう。
新しい環境に身を置けば、多かれ少なかれギャップは生じるものです。もしかすると仕事に慣れていくことで解決するかもしれませんし、自分の意識を変えれば上手くいくかもしれません。
辞職に向けて行動を起こす前に、まずは冷静に、「失敗した」と思う原因を整理した上で対策を考えることが重要です。
なぜ失敗だと思うのかを冷静に分析しよう
あなたが転職に失敗したと思っている理由を具体的に分解して考えてみましょう。
まずは考えを整理し、あなたの後悔の原因を突き止めることが、後悔しないための近道です。
【よくある「転職失敗」の理由】
- 憧れの仕事に未経験で転職したら、イメージと違った
- 待遇に惹かれて転職を決めたけれど、やりがいが感じられない
- 社風が合わなかった・会社になじめない
- 入社前に提示された給与や休日などの条件が違った
- 残業が少ないと言われて入社したが、実際は毎日残業続きだった
- 面接時に伝えられた職務内容と違う仕事を任された
仕事を始めてまだ短い期間しか経っていないのであれば、職場に慣れていくことで問題が解決する場合もありますので、安易に退職してしまうのは時期尚早かもしれません。
また、採用時に伝えられていた給与などの条件と実際の条件が違ったなど、企業側に明らかな問題がある場合は、担当部署に相談しましょう。
それによって解決すれば問題ないですし、もしそれで解決せず退職を余儀なくされたとしても、自ら解決のためにアクションを起こしていれば、退職理由を伝える際にネガティブな印象を与えずにすみます。
仕事における優先順位を整理しよう
自分が仕事において優先したいこと、譲れないことをもう一度整理してみましょう。
転職の失敗とは、言い換えれば転職先の職場と自分の理想とする働き方がマッチしなかったということ。
自分自身がどんな働き方をしたいか、譲れない条件は何かをきちんと把握した上であれば、それが転職先の職場で叶えられるかどうかを判断することができます。
まずは転職活動を始めたときの気持ちに立ち戻って、自己分析をしてみてください。
転職後すぐに辞めるリスクを知ろう
まず前提として、もし今あなたが転職して間もないのであれば、すぐに辞めて再度転職することには慎重になるべきです。
1年に満たない短期間での退職にはリスクが伴います。
(リスク1)再転職に不利になる可能性がある
まず言うまでもないことですが、短期間での転職は次の仕事を探す際に不利になります。次も短期間で辞めてしまうのではないか?職場への適応性がないのでは?と思われてしまうためです。
どうしても短期間で辞めて再度転職活動をする際には、なぜ転職する必要があったのかを相手が納得できるように伝えなければなりません。
そのためにも、すぐに辞めたいと思っても一度考えを整理し、改善にむけてできることがないか考えてみましょう。
(リスク2)無職の期間ができる可能性がある
衝動的に退職してしまった場合、すぐに次の職場が決まるとは限りません。一般的に、離職期間が長くなるほど転職は不利になります。
無職の期間が長引けばそれだけ生活も苦しくなりますし、精神的にも追い詰められてしまうかもしれません。退職を決めたとしても、できるだけ今の職場での仕事を続けながら転職活動を行うのがベター。
(リスク3)次の職場に影響が及ぶ可能性がある
企業側は、コストをかけてあなたを採用しています。採用されてすぐに退職するということは、そのコストを無駄にするということですから、企業からの印象はとても悪くなります。
例えば同じ業界・職種での転職を考える場合、業界によってはあなたの悪い印象が次の職場に伝わらないとも限りません。
やむをえない場合を除き、できるだけ円満退職を目指しましょう。
(リスク4)年齢、回数によっては再就職が困難になる可能性がある
転職は、一般的に20代~30代が有利といわれています。
専門的なスキルや経験があったり、ニーズの高い職種であったりする場合以外の転職は、年齢が上がるにつれて難易度が増していきます。
また、転職回数が多いことも一般的には転職に不利になります。何回以上だとNG、という明確な基準はありませんが、その転職回数に見合うだけの経験をしたのか、スキルを得たのかなどがシビアに見られることは覚えておきましょう。
上記のように、ある意味で転職における「ハンデ」がある場合、短期間での転職を重ねることで更に不利な状況を生み、再度就職のハードルが上がる可能性が高くなります。
ただし、前述のように企業側に明らかな問題があり、それが改善されなかった場合に限っては、すぐに退職してより良い職場を探すべきです。それ以外の場合は、退職後のリスクを考えた上で慎重に行動することをオススメします。
転職に失敗したときの動き方
自分の考えを整理して、改善のための行動をとると決めたら、それぞれの手順は以下を参考にしてください。
企業に対して改善・変更を相談する場合
採用時の条件と実際の条件が違う場合や、仕事内容、部署等が違う、残業が多すぎるなどの場合は、まず社内の担当部署に相談しましょう。
仕事内容についての相談であれば、業務の全体をマネジメントする立場の上司に相談しましょう。
ただしその際には、相手との関係性も考える必要があります。これからもその企業で勤めたい場合は、特に慎重に判断しましょう。
<手順>
- どの部署の誰に相談するべきかを確認する
雇用条件の不一致などについて:人事・総務など
仕事内容への疑問や不満:直属の上司など、業務を割り振るポジションにある人 - 採用条件などの書面があるかを確認
・ある場合は、書面を提示して交渉する
・ない場合は、「問題と思っている点」「どう改善したいか」を伝える
転職する場合
上記の相談をしても改善できなかったり、自分の力ではどうにもできなかったりして退職の意思を固めたら、なるべく早く申し出るのが原則です。
とはいえ、退職~転職に際しても衝動的に動くのはNG。次の転職こそは失敗しないように、慎重に転職活動・退職交渉を進めましょう。
1転職先を探す
退職することを決めた場合にも、すぐに現職を辞めてしまうのは避けるべきです。
前述の「転職後すぐにやめるリスク」のとおり、退職後すぐに次の職場がみつかるとは限りません。ハローワークや転職サイト、人材紹介会社などを利用して、できるだけ働きながら転職活動を進めましょう。
2退職を申し出る
転職先が決まって退職のめどが立ったら、退職を申し出ます。
まず大前提として、自身が退職を申し出る場合は「自己都合退職」となります。もちろんきちんと手順を踏めば企業が退職を拒むことはできません。
退職の手続きは企業の就業規則に則って進めますが、なるべく早めに申し出ることが原則です。
「今日で辞めたい!」と思っても、即日退職することは基本的にはできません。例えば「退職を申し出る場合は退職希望日の1ヶ月前までに申し出ること」等の規定があれば、それに従って申し出る必要があります。
<手順>
- 直属の上司に、話がある旨を伝えてアポイントメントをとる
- 直接口頭で、はっきりと退職の意思を伝える。可能であれば退職願を持参する
- 退職日、条件等を相談し決定する
- 雇用保険・社会保険と諸手続きを確認する
- 引継ぎ、退職準備
なお、試用期間中であっても、企業の就業規則に則って必要な手順を踏めば退職は可能です。
もし企業側が退職を認めなくても、民法(第627条第1項)により、自己都合での退職を申し出てから「2週間」が過ぎると自動的に雇用契約が解除されると定められています。
ただし、それはあくまで「退職の意思を伝えてから2週間は就業規則に沿って勤務した」場合。一方的に意思を伝えたまま出社しない場合は無断欠勤扱いとなり、上記の対象にはなりません。
きちんと手順を踏み、できる限り円満退職を目指しましょう。
※試用期間中の退職について詳しくは→試用期間中の退職手続き&履歴書への書き方・伝え方マニュアル
【これから転職する人向け】よくある転職失敗事例と回避方法
ここからは、これから転職する方や、すでに転職活動を始めているけれど「会社選びに失敗したくない!」という方のための対策法をお伝えします。
よくある転職失敗事例ごとに、原因と事前にできる対策をまとめますのでご参考ください。
▼「こんなはずじゃなかった…」転職の失敗例(体験談)はこちら
憧れの仕事に未経験で転職したら、イメージと違った
その仕事や業界が実際にはどんな様子なのか下調べが足りない場合、このような後悔を生む可能性が高くなります。
「きっとこんな仕事だろう」「こんな雰囲気だろう」という想像や憧れだけで転職を決めてしまうと、現実とのギャップに悩むことになるかもしれません。
面接時に、未経験で入社した社員の仕事ぶりや最初に任せてもらえる仕事内容、キャリアステップなどを具体的に聞いておきましょう。クチコミサイトでの情報収集や、人材紹介会社を利用して、求人情報に載っていない社内の情報を得るのもひとつの方法です。
また、即戦力が求められる中途採用の中での未経験採用ですから、キャッチアップのためには努力しなければならない部分もたくさんあります。
未経験の仕事にチャレンジすることになったら、自ら学べることはないか考えてみたり、これまでの経験が活かせる部分を探してみるのもよいかもしれません。
入社前に提示された給与や休日などの条件が違った
条件面でのトラブルは、入社前に労働条件等を書面で確認すれば避けられることも多いです。
労働契約は口頭でも成立しますが、労働契約を結ぶ際、会社には労働条件を明示する義務があります。面接で提示されたからといって書面での確認を怠ると、あとで「言った」「言わない」の問題となってしまいます。
なお、入社してから雇用条件と違う給与額や手当て、労働時間や休日などに気付いた場合、まずは人事・総務などの担当部署に相談しましょう。
書面で残っていなかったり、企業側との認識が違ったりして問題が解決しなければ、最悪の場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます(労働基準法15条2項)ので、最寄りの労働局に相談してください。
残業が少ないと言われて入社したが、実際は毎日残業続きだった
労働環境にギャップがあることもよくあります。これは面接時に、働き方を具体的に確認しなかったことが原因です。
残業時間については、「多い」「少ない」などの表現では、人によって感覚が違うためそのまま鵜呑みにするのは避けるべき。ただし、その点ばかりを聞くと印象がよくありませんので、仕事内容とあわせてさらっと聞くのがベター。直接聞きにくい場合は、クチコミサイトを利用したり、人材紹介会社を通して情報を得るのもよいでしょう。
待遇に惹かれて転職を決めたけれど、やりがいが感じられない
もともとはやりがいや仕事内容を重視していたのに、転職活動中に高給与などの待遇や企業のブランドに惹かれて転職を決めてしまうケースは多くあります。早く内定が欲しいと焦ったり、「なぜ転職したかったのか」を自分の中で整理しきれていなかったりすると、このような事態に陥りやすいでしょう。
たとえば面接中に希望と違う職種を打診された場合、「こちらの職種でもいいかも」と思ってすぐに決断してしまうのは後悔のもと。仕事で何の希望を叶えたいのかをきちんと整理しなければ、何度転職しても満足できず、転職回数だけを重ねることになりかねません。自分が仕事に求めるものをよく考え、明確にした状態で転職活動を進めましょう。
社風が合わなかった・会社になじめない
企業の体質や働く人たちの雰囲気は、入社前にはある程度までしか知ることができないため、入ってから「居心地が悪い」「自分とは合わない」と感じることはあるはずです。
事前にできることとしては、可能であれば社内を見学させてもらいましょう。それが難しくても、面接時の面接官の人柄や社内の様子から、その企業の風土や職場の雰囲気を感じたり、質問したりすることはできます。
例えば社内の様子やどんな人が働いているか、報連相はどんなふうに行われているかなどを質問してみると、職場のコミュニケーションの状況や人間関係が透けて見えるかもしれません。
また、入社直後にギャップを感じたとしても、転職したての時期であれば、まだなじめていないだけで時間が経つにつれて気にならなくなるかもしれません。
人間関係が悪くてコミュニケーションが取れないなど、業務に支障がある場合は対策を考える必要がありますが、社内の雰囲気や考え方はどの企業も違って当たり前。
また他の企業に移ったとしても、あなたの思い描く雰囲気かどうかはわかりません。自分とぴったりの雰囲気の会社を見つける方が難しいものです。あくまで仕事の場と割り切ってしまうのもひとつの解決方法です。
前職への「出戻り」は慎重に検討しよう
他の職場を経験したからこそ、前職のよさがわかることもあります。
前職への「出戻り」は、企業側としては、コストをかけず即戦力を採用することができるため、歓迎している企業もあります。あなたとしても、一度働いた場所で安心感があるのであれば、ひとつの選択肢として検討してもよいでしょう。
ただし、誰でも安易に出戻りできると安心するのは禁物です。
エンジャパンが企業の人事に対して行ったアンケートによると、「一度退職した社員を再雇用したことがある」という企業は72%。(※)
一見門戸は広いように思えますが、同じアンケートでは、「再雇用を制度として設けている」企業は8%にとどまり、多くが個別に出戻りの対応をしていると答えています。つまり、どんな人でも出戻りが可能というわけではなく、あくまであなたと企業との関係性によるようです。
出戻りが可能なのは、前職である程度評価が高かったり、あなたのキャリアが活かせるポジションで人員が必要だったりした場合がほとんどです。また、以前と同じ職務であっても、同じ条件のまま再雇用されるとは限りません。
以前勤めていたとはいえ、一度そこから離れたということは、基本的には改めて転職するのと同じように考えておきましょう。
※出典→アンケート集計結果レポート(2018年)第133回 「出戻り社員(再雇用)について」|エン・ジャパン
他にも、元同僚との関係性を改めてつくる必要があったり、ブランクがある分昇進・昇格に影響が出る場合もあったりと、一般の就職・転職とは違うことも多々あります。さまざまな要素を鑑みたうえで、それでも戻りたいかどうかをよく考えてみる必要があります。
また、出戻り転職は、前職の同僚や上司などからの打診がきっかけであることも多いです。
企業として推進していたり、制度がある場合を除いては、辞職した側から積極的にアクションを起こしても歓迎されないこともあります。
出戻りを考えるのであれば、まずは親しい同僚や元上司などに前職の状況を聞いたり、自分の状況を相談してみることから始めてはいかがでしょうか。
さいごに
誰でも「次の転職で最後にしたい」と思うものですが、なかなかうまくいかないこともあるのが現実です。
失敗したな、と思っても、それを成長の糧にするくらいのポジティブな気持ちでいることが、何よりも転職の失敗を防ぐ良い方法かもしれません。
▼「後悔しない転職」を実現するには?