受かるポイントも解説 【例文付き】建築設計の志望動機の書き方

設計(建築)の転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。

設計(建築)の志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。

設計(建築)の転職で志望動機はどれだけ重要?

設計(建築)の場合、書類選考で主にチェックされるのは職務経験であり、ほとんどの場合は志望動機は重要視されません。職務経験から、応募先の企業でも活躍できるスキルや経験があると判断されれば、書類選考を通過できるケースが多いと言えるでしょう。

ただし、一部の組織設計事務所や大手総合デベロッパーを受ける場合は、書類選考の段階で明確な志望動機を求められます。応募人数が多いため、職務経歴に加えて志望動機もチェックして候補者をスクリーニングしているからです。

また、書類選考では志望動機を重視しない会社でも、面接では志望動機が問われます。企業は、自社について十分理解した上で、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確な意思を持った人を採用したいと考えているからです。

内定を勝ち取るだけの説得力ある志望動機をまとめるにはどうすればいいのか、順を追って見ていきましょう。

設計(建築)職の志望動機を書くために必要な2つのこと

転職活動で企業に評価される志望動機を作るためには、次の2つを整理しておくことが大切です

志望動機を書くために| 整理すべき2つのこと|/1 転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと|2 活かせる経験/スキル・資格

 なぜなら、志望動機が評価されるかどうかは、大きく次の2点にかかっているからです。

〈評価される志望動機のポイント〉

  • 転職理由と選社理由に一貫性がある
  • これまでの経験とキャリアビションを踏まえた貢献イメージが描けている

ひとつは、「なぜ転職を考えたのか」という転職理由と、「その理由で転職を考えたときに、この企業を選んだのはなぜか」という選社理由に一貫性があること。そして、もうひとつは、入社後にどのように活躍したいのか、応募者自身のこれまでの経験とキャリアビジョンを踏まえた貢献イメージが描けていることです。

「転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと」は、転職理由とその企業に応募した理由に繋がります。また、「活かせる経験/スキル」は入社後の貢献イメージを裏付ける根拠となります。

設計(建築)職の転職においては、上記の2点をあらかじめ言語化しておき、第三者から見て納得度の高い、説得力ある志望動機を組み立てることが必要なのです。

転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと

「現職では叶えられないこと」を書き出してみる

まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。設計職のなかにも待遇の改善を求めて転職を考える人は少なくありませんが、「給料が低い」「残業が多い」といった待遇面に関わる「きっかけ」をそのまま伝えるのはNGです。

たとえば、「設計業務に専念できる環境にない」「もっと設計の発想力を伸ばせる環境で働きたい」といったように、仕事上の「現職では叶えられないこと」を整理して、「だから自分はどうしたいのか」、つまり、転職先で叶えたいことを考えてみましょう。

(例)設計(建築)職への転職のきっかけ→叶えたいこと

  • (経験者)事業主から依頼される案件がメインで設計の発想力が鍛えられない→事業の川上から携わることで自由度の高い設計を手掛けたい
  • (未経験者)今の業界や職種でのキャリアに不安がある→需要が高い建築分野で手に職をつけて働きたい

…など

応募先企業なら希望が叶うと考えた理由は?

転職で叶えたいことが整理できたら、なぜ応募先の企業なら希望が叶いそうだと考えたのか、整理してみましょう。

たとえば、「設計者として街づくりの川上から川下まで携わりたい」ので、「デベロッパーの設計部であれば、計画がまっさらな段階から事業に関われると考えた」といったように、「転職のきっかけ(現職では叶えられないこと)」から、「応募先企業でなら自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることで、説得力ある志望動機を作ることができます。

活かせる経験/スキル・資格

次に、入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を整理しましょう。

過去の経験/スキル・資格をもとに、「○○の経験/スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲・貢献イメージをアピールできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。

(例)設計(建築)職で活かせる経験

  • 建築物の設計経験(意匠・構造・設備など)
  • クライアントへの折衝経験
  • CAD経験
  • BIM経験
  • 建設業界における技術系職種の経験

…など

(例)設計(建築)職で活かせるスキル・資格

  • 一級建築士/二級建築士
  • CASBEE建築評価員
  • 構造設計一級建築士
  • 設備設計一級建築士

…など

応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを

入社後の貢献イメージを具体的に描くためには、まず応募先企業の業務内容や、そこで求められるスキル・経験を理解することが必要です。

同時に、たとえば「これまでに培った顧客折衝の経験を、事業主であるデベロッパー担当者との折衝に活かしたい」といったように、自身の経験やスキルをどように活かしたいと考えているのか、誰もが納得できるように語ることができなければなりません。

求人票などから「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」をよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルを踏まえて貢献イメージを伝えましょう

設計(建築)職の志望動機の書き方

ここでは、設計(建築)職の志望動機の書き方を解説します。

まず、設計(建築)職の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。

設計(建築)職の|志望動機の基本構成/応募した理由(結論)|その背景やエピソード|入社後の貢献イメージ

〈設計(建築)職(経験者)の志望動機の例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、構造設計の経験を活かして海外の大型プロジェクトに携われる点に魅力を感じたからです。
  2. 現職では、国内の商業施設やオフィスビルの建築工事を中心に、構造設計を約7年間担当してきました。実務経験を積んで一級建築士の資格を取得しております。資格取得をきっかけに、「世界で活躍する建築士になりたい」という学生時代の夢を叶えるため、これまでの経験や資格を活かして海外の案件にチャレンジしたいと考えて転職を決意しました。アジアの国際都市を中心に、空港や有名タワーなど海外の大型案件を数多く手掛けている貴社であれば、世界を舞台に活躍する建築士という自分がイメージするキャリア像に一歩近づけるのではないかと感じております。
  3. これまで自然災害対策に重きを置いた構造設計案件に多く携わってきた経験を活かし、アジアの都市の安全と貴社の発展に貢献したいと考えております。

(382文字)

設計(建築)の志望動機は、上記のように(1)応募した理由(結論)、(2)その背景やエピソード、(3)入社後の貢献イメージ、の3要素で構成するのが基本です。この基本構成にしたがって、具体的な志望動機の作り方を見ていきましょう。

1.応募した理由(結論)

志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。「海外の大型プロジェクトに携われる点に魅力を感じた」といったように、「なぜその企業で働きたいと考えたのか」を端的に伝えましょう。

〈応募した理由(結論)〉

  • 海外の大型プロジェクトに携われる点に魅力を感じたから

志望動機の書き出しに明確なルールはありませんが、表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

2.その背景やエピソード

次に、1)で述べた「応募した理由(結論)」に至った背景やエピソードを説明します。

これは、なぜ転職しようと考えたのか(転職理由)その理由で転職を考えたときに、その企業を選んだのはなぜか(選社理由)を伝えるパートです。

まず、現職(前職)では叶えられなかったものの、転職で叶えたいこと・チャレンジしたいと思っていることを具体的に伝えつつ、第三者から見て納得できる転職を考えた理由・背景を伝えましょう。

〈転職で叶えたいこと〉

  • 「世界で活躍する建築士になりたい」という学生時代の夢を叶えるため、海外の案件にチャレンジしたい

続けて、その思いや希望が「応募先なら叶えられる」と感じた理由やポイント、つまり、その企業を選んだ理由に触れます。

重要なことなのであえて繰り返しますが、説得力ある志望動機を作るには、「転職のきっかけ」から「応募先で自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることが重要です。

〈その企業を選んだ理由〉

  • アジアの国際都市を中心に、大型案件を数多く手掛けている貴社であれば、自分がイメージするキャリア像に一歩近づけると感じた

3.入社後の貢献イメージ

最後に、入社後の貢献イメージを語って締めましょう。現職(前職)での経験を活かしていきたいという姿勢具体的な貢献イメージをアピールしてください。

〈入社後の貢献イメージ〉

  • 構造設計案件に多く携わってきた経験を活かし、アジアの都市の安全と貴社の発展に貢献したい

なお、締めくくりの表現に迷った場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

【6パターン】設計(建築)職の志望動機の例文

ここでは設計(建築)職の志望動機の例文を、6パターンに分けて紹介します。

アトリエ系設計事務所から組織設計事務所へ

〈例文〉

  1. 貴社を志望したのは、意匠設計の経験を活かして大規模な案件に携われる点に惹かれたからです。
  2. 現職では約5年間、アトリエ系設計事務所の設計職としてビルや商業施設の意匠設計業務に従事しています。自身が設計した建築物が形になることに大きなやりがいを感じていますが、経験を積むにつれ、設計だけでなく施工から完成までのプロジェクト全体に関わりたいと考えるようになり、転職を決意しました。貴事務所は大型商業施設の案件を扱う設計事務所のなかでも、意匠設計に特化したキャリアパスが整っているため、これまでの経験を活かしながら自分の理想のキャリアに近づけるのではないかと感じております。
  3. 現職では一級建築士の資格を取得しました。クライアントとの折衝経験も活かして貴事務所の発展に貢献したいと考えております。

(340文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 現職で身につけたスキルや経験のうち有用なものを記載し、即戦力になれることをアピールする
  • 応募先の企業でどのようなキャリアを実現したいのか説明し、熱意と貢献意欲を伝える

組織設計事務所からゼネコン設計部へ

〈例文〉

  1. 貴社を志望したのは、大規模案件に携わりながら設計から施工まで幅広い知識と経験を得られる点に惹かれたからです。
  2. 現職の設計事務所では約5年間にわたり、オフィスビルや大型商業施設の設備設計を手掛けてきました。自身が設計した建築物が形になることに大きなやりがいを感じていますが、経験を積むにつれ、設計だけでなく施工から完成までのプロジェクト全体に関わりたいと考えるようになり、転職を決意しました。公共事業も含めた大規模プロジェクトを数多く手掛ける貴社であれば、私が理想とするキャリアを積めると考えております。
  3. 現職では一級建築士の資格を取得したほか、BIMソフトを使った3次元検討の経験を積んできました。これまでの経験を活かし、貴社の設計部の一員として事業の発展に貢献したいと考えております。

(341文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • なぜゼネコンへの転職を考えたのか、その理由を具体的に伝えて志望動機に説得力を持たせる
  • 現職で身につけたスキルや経験のうち、応募先でも活かせるものを伝え、活躍イメージを持ってもらう

組織設計事務所から総合不動産デベロッパーへ

〈例文〉

  1.  貴社を志望したのは、分譲マンションやホテルなどの商品企画の段階から、用地仕入、建築企画といった不動産開発案件の上流に携われる点に惹かれたからです。
  2. 現職では約5年間、設計事務所でビルや分譲マンションの設計業務に従事しております。多くの人の仕事と生活の場を設計する仕事にやりがいを感じていますが、経験を重ねるにつれ、事業主の構想に合わせて設計を進めるのではなく、事業の川上で自由度の高い設計を手掛けることで、設計の発想力を鍛えたいと考えるようになり、転職を決意しました。総合不動産デベロッパーとして社会を先取りした事業を展開し、「子どもがのびのび育つマンション」など大胆な商品企画を実現されている貴社であれば、自身が目指す建築士としてのキャリアを積めると考えております。
  3. これまで手掛けた分譲マンションの設計では、遊び心を大切に考え、事業主に多くの設計提案をしてまいりました。その経験を活かしてこれまでにない商品を企画し、貴社の発展に貢献したく存じます。

(424文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • デベロッパーへの転職は難易度が高いため、「なぜデベロッパーなのか」「そのなかでもなぜその企業なのか」を丁寧に伝える
  • 応募先の企業の特徴と、自身のこれまでの経験・スキルとの親和性を踏まえ、貢献イメージをアピールする

住宅の設計から土地活用の設計へ

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、多方面のプロと協働して集合住宅の設計にチャレンジできることに魅力を感じたからです。
  2. 現職では約5年間、工務店で戸建住宅の構造設計業務全般を担当してきました。ひとつひとつの住宅に深く関われる点にやりがいを感じていましたが、建築士としてのキャリアを磨くことを考えたときに「より複雑な設計や関係者との協力が必要になる集合住宅の設計にチャレンジしたい」と思い、転職を決意しました。土地活用を手掛け、多くの集合賃貸住宅の新築工事を行っている貴社であれば、自分が望む経験を積むことができるのではないかと考えております。
  3. 現職では、既存の設計手法の見直し、安全性と経済性の向上に貢献してきました。これまでに培った構造設計の経験を活かして貴社の発展に貢献したいと考えております。

(335文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 志望動機の納得感を出すために、戸建住宅以外の設計業務に挑戦することにした理由を具体的に説明する
  • 現職で培ったスキルや知識をどのように活用して応募先の企業に貢献したいのかを説明する

第二新卒での転職

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、設計業務に専念してスキルアップを目指せる点に惹かれたからです。
  2. 現職では、建築士事務所で入社から約2年間、二級建築士として設備設計業務と施工管理業務を行っています。今後の会社の方針として設計よりも施工管理の割合を増やすことになり、改めて「大規模施設の設計に携わる」という自身のキャリアビジョンを見据えたときに、「設計のスキルを集中して磨ける環境に身を置きたい」と考えて転職を決意しました。設計業務に専念できる環境があり、また1つの案件にチームで取り組む仕組みがある貴社であれば、一緒に働く建築士と切磋琢磨しながら設計のスキルを磨くことができると感じております。
  3. 現職では、施工管理業務を経験したことで、現場目線を大切にした設計の考え方を学びました。この考え方を活かして施工がスムーズに進むような詳細な設計を心がけ、構造・意匠・設備などさまざまな設計に対応できるプロフェッショナルとして貴社に貢献したいと考えております。

(418文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 第二新卒でも実績や経験があることや、仕事への適性・意欲をアピールする
  • 経験が未熟である分、入社後にどのように成長したいのかを具体的に説明する

未経験での転職

〈例文〉

  1. 貴社を志望したのは、未経験から戸建住宅の設計業務に携われる点に魅力を感じたからです。
  2. 現職の人材紹介会社では、営業担当として約3年半、企業の採用活動の支援をしてきました。1年ほど前にあるハウスメーカーの担当になり、採用支援の一環で社員の方々に仕事のやりがいについてヒアリングするなかで、顧客とじっくり向き合って要望を叶えていく戸建住宅設計の魅力を実感しました。ちょうど質より量が重視される現職の営業体制に疑問を感じていた時期でもあり、専門的なスキルを身につけたい気持ちも後押しして、設計士を目指して建築業界への転職を決意しました。
  3. 現職では、顧客の不安や要望を丁寧にヒアリングすることを大切にしてきました。貴社でもこの姿勢を持ち続け、顧客の理想を実現する設計士として事業の発展に貢献したいと考えております。

(352文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 未経験の職種へのチャレンジはキャリアや人生において大きな決断であるため、なぜ設計職を目指すことにしたのかを具体的に説明し志望動機の説得力を上げる
  • 未経験ではあるものの入社後の活躍を期待してもらうために、仕事への意欲をアピールする

志望動機への理解をさらに深めるなら…

志望動機は合否に関わる大切な質問項目。一度書き終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう

下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールに繋げるためのコツなどについて解説しています。

こちらもあわせてチェックしておきましょう。

この記事の担当者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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