「未経験・NG・職種別」例文も 志望動機の書き出し3パターン

履歴書の志望動機の書き出しは、どのように始めればいいのか悩んでしまう人も多いでしょう。

この記事では、転職支援を行う株式会社クイックのキャリアアドバイザー大熊氏に聞いた、志望動機の重要性や使える書き出し3パターン、実際にあったNGな志望動機をご紹介します。

業界・職種別の例文集も掲載しています。

志望動機の書き出しは「第一印象」につながる

編集部:志望動機の書き出しは、なぜ重要なのでしょうか?

大熊氏採用担当者にとって、その応募者の第一印象につながるためです。

そもそも採用担当者は、毎日何十人~何百人もの履歴書に目を通しています。1人にかけられる時間は限られているため、志望動機に限らず、書き出しが端的でわかりやすい結論になっていると、印象に残りやすいでしょう。

また、結論から書くことで、論理的な思考・説明ができる人というイメージも与えられます。

志望動機の書き出し3パターン

編集部:実際に使える、志望動機の書き出しを教えて下さい。

大熊氏おすすめの志望動機の書き出しは、大きく分けて3パターンあります。具体例も参考に、書きやすそうなものを選びましょう。

【志望動機の書き出し3パターン】 1:志望する理由は◯◯である 2:貴社の○○に最も魅力を感じている 3:これまでの〇〇の経験をもとに□□したい

パターン1:志望する理由は◯◯である

応募企業を志望する理由を、シンプルかつストレートに伝える書き出しです。

  • 「私が貴社を志望する理由は、○○だからです。」
  • 「○○するために、貴社を志望しました。」

大熊氏志望理由を端的に伝える書き出しは「志望動機はなにか?」に対する最もシンプルな受け答えになるため、比較的作成しやすく、採用担当者にとっても結論部分が明確にわかるので、おすすめです。

書き出しの一文に続けて「過去の経験などから、入社後に活かせることはなにか」「入社後にどういったキャリアを描きたいのか」という流れで、志望動機を組み立てましょう。

〈例文〉

私が貴社を志望する理由は、年齢や状況にとらわれず、より多くの人に寄り添ったファッションの提案をしたいと考えたからです。

前職では、紳士服業界で販売スタッフを担当しておりました。ビジネス洋品だけではサポートできるお客さまに限りがあると感じたことに加え、スーツ以外のファッションスタイルも提案したいと思い始めたため、転職を決意いたしました。

中でも貴社は、10代~50代と幅広い年齢層のお客さまに向けたサービスを展開されていて、カジュアルからフォーマルまで自由なファッションをご提案できる点に魅力を感じております。

前職で培った接客力を活かし、尽力していく所存ですので、よろしくお願いいたします。

パターン2:貴社の○○に最も魅力を感じている

応募企業のどこに魅力を感じたのか、具体的なポイントを伝える書き出しです。例えば事業内容や企業理念、今後のビジョンなどが挙げられます。

  • 「貴社の○○という事業に魅力を感じております。」
  • 「貴社の〇〇という社風に魅力を感じております。」
  • 「貴社の〇〇という将来的なビジョンに魅力を感じております。」

大熊氏惹かれたポイントを具体的に述べる志望動機の書き出しは、企業への熱意の強さや、しっかりと企業分析をしていることを伝えられます。この場合、特に応募企業の中長期目標や将来的なビジョンを踏まえて書かれていると好印象。

企業のホームページやIR資料などから確認したり、人材紹介やエージェントなどを利用する場合は、担当コンサルタントに直接聞いたりすると良いでしょう。

〈例文〉

貴社の事業目標の1つである「住宅・保育・シニア事業の連携」に大変魅力を感じております。

前職ではハウスメーカーで、20~30代の子育て世代のお客さまへの住宅営業に携わっておりました。物件購入の際に馴染みのない地域や子育て環境に対する不安を持つ方も多く、常々お客さまおひとりおひとりだけではなく、地域全体を視野に入れて支援できる仕事をしたいと考えておりました。

貴社が2030年達成を掲げる「平和町再開発プロジェクト」では、まさに様々な世代のお客さまのご要望やご不安に寄り添いながら、豊かなコミュニティづくりに向けた幅広いご提案ができると考え、非常に魅力を感じております。

これまで培った信頼関係の構築力を活かして、事業主さまやお客さまと良好な関係を築き、いち早く即戦力になれるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします。

パターン3:これまでの〇〇の経験をもとに□□したい

前職やこれまでの経験をもとに「何ができるのか」「どんなことをしていきたいのか」を伝える書き出しです。

  • 「これまで○○の業務を行ってきました。△△を活かしつつ、□□したいと思い、転職を決意いたしました。」
  • 「これまで○○に注力してきた経験を、貴社の□□の分野に活かせると感じ、志望いたしました。」

大熊氏過去の経験をもとに志望理由を述べる書き出しは、即戦力となることをアピールでき、志望動機の納得感も与えやすいのが特徴です。

その上で「その業務経験を入社後にどのように活かすことができるか」ができるだけ具体的に書かれていると、採用担当者も入社後の姿がイメージしやすくなります。

〈例文〉

前職では、国産車ディーラーで営業をしておりました。さまざまな年代や立場の人々と関わった経験を活かしつつ、輸入車という新たなフィールドに挑戦したいと思い、転職を決意いたしました。

貴社がメイン顧客としている経営層の方々とも頻繁にお取引をしており、その際に得た様々な業界に関する課題や知識は、入社後の実務でも活かすことができると考えております。

将来的には得意な英語も活かしながら、関連企業とのやり取りも担当したいと思っております。

書き出しが決まったら、志望動機を組み立てよう

どんな書き出しにするかが決まったら、志望動機を組み立てていきましょう

志望動機のエピソードの探し方や職種別の例文について、くわしくは下記の記事を確認してください。

コラム:未経験の業種・職種に転職する場合は?

大熊氏書き出しに限った話ではありませんが、未経験への転職の場合「熱意や意気込み」は忘れずに書きましょう。経験が無いぶん「一から必要な知識を身に付けていきます」「積極的に業務に取り組んでいきます」など、前向きな気持ちを伝えることが大切です。

また、今までの経験や実績は応募職種に関連づけて伝えましょう。例えば、接客業から事務職のように全く異なる業務だとしても、電話での応対やOfficeツールを使った管理票の作成など、応募する職種でも活かせそうなものを志望動機に盛り込むようにします。

書けることが少ないという場合は、応募職種にも共通しそうな働く上でのモットーや仕事観などを盛り込むのもOKです。

人気のある8職種の例文や、未経験職種に応募するときの穴埋め式の志望動機フォーマットなど、くわしくは下記の記事で解説しています。

実際にあった、志望動機のNGな書き出し

編集部:志望動機のNGな書き出しを教えて下さい。

大熊氏転職者がやってしまいがちな書き出しのNGパターンは、以下の3つです。

  • 志望理由が抽象的で、その企業である必要性を感じられない
  • 前職の待遇や業績に対する不平不満をもとにしている
  • 「人材紹介会社に紹介された」とそのまま伝えてしまう

例文とともに確認していきましょう。

NGケース1:志望理由が抽象的

大熊氏採用担当者に「うちの会社ではなくてもいいのでは?」と思われてしまうような、抽象的な志望動機はNG。

「数ある中でもどうしてその企業が良いと思ったのか」が伝わらない志望動機だと、書類選考を通過するのは難しいでしょう。

〈×NG例文〉

近年IT業界の市場規模が大きくなっているため、貴社を志望いたしました。

今年の4月より、小中学校の教育現場にもタブレット端末が導入されたため、需要の拡大が見込めるネットラーニングの営業に携わりたいと思っています。

これまでの営業の経験も活かして、貴社に貢献できるよう努めて参ります。

NGケース2:前職への不平不満

大熊氏前職の待遇や業績に対する不平不満をもとに、志望動機を書くのはもってのほか。

ネガティブな印象を与えてしまうのはもちろん、採用しても業績によってはすぐに辞めてしまいそうと思われてしまいます。

〈×NG例文〉

現職のABC株式会社が、2020年下期より業績不振となったため、転職を決意しました。

転職活動では、業績が安定している会社を中心に探しています。貴社の採用ホームページを拝見し、2018年度より業績が右肩上がりである点が魅力と感じております。

入社後は一日も早く貴社に貢献できるよう努めて参ります。

NGケース3:紹介されたとそのまま伝える

大熊氏人材紹介サービスを利用する場合にやってしまいがちなのが「紹介してもらった」とそのまま伝えてしまうパターン。

過去の経歴と企業が求める人物像がマッチしているからこそ紹介しているものの、熱意が伝わらず受け身な印象を与えてしまいます。

〈×NG例文〉

利用していた転職エージェントからおすすめされたため、貴社を志望しました。

担当の方によると、前職で培ってきた法人向けの営業経験が、貴社の不動産事業の営業職兼チームリーダーのポジションに合っているとのことです。

伺った業務内容も現職と大きく変わらないと感じたため、入社後は即戦力として働くことができます。

【業界・職種別】志望動機の例文集

業界・職種ごとに、未経験者や新卒者向けの例文転職者向けの例文を用意しています。

志望動機を考える際のポイントやエピソード、具体例を紹介しているので、チェックしてみてください。

「志望動機」は面接でも絶対に聞かれる質問の一つです。履歴書作成の時点で、どのようなことを話すかイメージを持っていくのが良いでしょう。

面接」で志望動機を答えるときの流れや答え方のコツについては、下記の記事で解説しています。

ちなみに、履歴書と面接で「企業」を示す敬語は異なります。違いを理解できていない人は、くわしい解説を確認しておきましょう。


下記の履歴書の書き方ガイドでは、「自己PR」などほかの欄の書き方、企業に送る封筒の宛名の書き方や手渡し時のマナーなど、履歴書についてくわしく解説しています。ぜひチェックしてみてください。

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

キャリアアドバイザー

大熊 文人

株式会社クイック

転職支援を行うキャリアアドバイザー。これまでの担当業界は医療業界、建設業、不動産業、製造業、IT業界と多岐にわたる。豊富な支援実績から得た採用市場や業界の事情、転職活動の最適な進め方などの情報提供を積極的に行い、4,000人以上の求職者の転職成功に貢献。『ビズリーチ ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤー』のメーカー部門で2018年度MVPを受賞。

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