交渉を成功させるには? 転職時の給与交渉のやり方・例文を紹介
「現職よりも給与が低くなりそう」「家族のために給与をアップしたい」といった理由で、転職時に給与アップの交渉をしたいと考えるのは一般的です。
では実際、給与交渉はできるものなのでしょうか?
採用担当者の話をもとに「給与交渉の可否」や、交渉のタイミング、メール・トーク例文などをご紹介します。
転職で給与交渉してもいい?
給与交渉は可能
応募先の企業から提示された給与額に対して、給与額をアップしてもらえないか相談することは可能です。
交渉成功のポイントは、企業側が納得できる理由を説明すること。
たとえば「現職と同等の額をいただきたい」「別の会社から高待遇のオファーをもらっていて悩んでいる」「家族のために収入を上げる必要があって転職活動をしたので、もう少し給与を上げてほしい」といった理由であれば、企業側も悪い印象は抱かずに検討してくれる可能性が高いでしょう。
逆に、十分な理由もなく「給料を上げてほしい」と交渉するのは、企業側は検討しづらく、印象も良くないので避けましょう。
コラム:未経験の仕事に就く場合は難しい
未経験者の場合、交渉の材料が少ないため給与交渉は難しいのが実情です。
前提として、前職のスキル・経験が活かせる場合や、人手不足で給与額が高めに設定されているといった場合を除けば、未経験者の給与は低めに設定されるのが一般的。入社後にスキルを磨いて、地道に給与を上げていきましょう。
ただし、企業から提示された給与額が現職より大幅に下がっており、生活が苦しくなるなど事情がある場合は交渉の余地があります。金額の大幅アップは難しいですが、まずは事情を伝えてお伺いをたててみましょう。
給与交渉のタイミングは?
内定後~内定承諾前がベスト
転職時の給与交渉のタイミングは、内定後~内定承諾前がベストです。
合否に影響が出る可能性があるので、面接時の給与交渉は避けたほうが無難です。内定後であれば選考への影響もないため、提示された給与額を見て相談するようにしましょう。
給与交渉の切り出し方は「給与交渉のトーク例文」でくわしく紹介します。
交渉NGなタイミングは?
給与交渉がNGなタイミングは、内定承諾後(内定承諾書の提出後)です。
というのも、内定を承諾することで「会社側が提示した労働条件を了承して入社する」と伝えたと解釈されます。一度了承しているので給与交渉の成功率も低く、前言を撤回したことで心証を損なう可能性もあります。
希望金額の相場は?
明確な相場は無い
給与交渉の場において希望金額の明確な相場はありません。待遇の向上を目指して転職活動を行っていた方であれば、現職より高い給与を希望しても問題はありませんが、一般的には「前職の給与額と同等」または「前職の給与を若干上回る金額」を目標にしましょう。
なお、給与の上げやすさは業界や職種によって変わります。人手不足などで人材のニーズが高い業界・職種では給与を上げやすい傾向があるので、調べてみるといいでしょう。
コラム:前職の給与額の水増しはNG
給与交渉の基準として重要な前職の給与額ですが、水増しして申告するのは絶対にNG。入社時に提出する源泉徴収票に実際の金額が書かれているので、嘘をついても内定先の企業に発覚してしまいます。
給与交渉のトーク例文
ここからは、実際の給与交渉の切り出し方の例文を紹介します。
「内定後~内定承諾前に交渉する場合」と「面接時に交渉する場合」について、それぞれトークの例文・ポイントを見ていきましょう。
【内定後~内定承諾前】に交渉する場合
内定後~内定承諾前に交渉する場合、労働条件通知書で給与額を確認したうえで、条件を調整できないか相談します。
連絡は内定後のなるべく早いタイミングでするのがベスト。遅くとも、内定の返事の期限日までには連絡してください。
メールで連絡する場合は下記の内容を明記して、あくまでもお伺いをたてるイメージで送りましょう。
- 給与面の相談をしたい旨
- 給与額を調整したい理由
- 希望の給与額はいくらか
件名:給与に関するご相談(氏名)
本文:
株式会社◯◯◯
人事部 △△様
お世話になっております。
[氏名]と申します。
この度は内定のご連絡をいただきありがとうございました。
高く評価していただけたこと、大変嬉しく思います。
ご提示いただいた労働条件通知書の給与面に関してご相談したく、ご連絡いたしました。
年収420万円とご提示いただいたのですが、現職の年収500万円を下回るため、
不躾なお願いで誠に恐れ入りますが、同水準への引き上げをご再考いただくことは可能でしょうか。
精一杯努める所存ですので、どうか給与面についてご再考いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
氏名:○○○○
メールアドレス:○○○○@○○○○
電話番号:○○○○
住所:〒○○○-○○○○
(都道府県から市区町村、番地、建物名、号室を正確に記載)
また、内定後にオファー面談が設定されている場合は、その場での給与交渉も可能です。面談の場では、上記のメールで伝えている内容を企業の担当者に直接伝えましょう。
▼オファー面談とは?
【面接時】に交渉する場合
面接時の交渉は避けたほうが無難です。しかし待遇の向上を目的とした転職で「条件が折り合うこと」が入社の条件であれば、面接時の相談もありでしょう。
面接時に交渉する場合、逆質問のタイミングで切り出すのがベターです。
ただし、いきなり給与交渉から始めるのはNG。待遇面ばかり気にしている人という印象を持たれるリスクがあります。そのため、まずはいくつか仕事に関する質問をするのがおすすめ。
その後、給与テーブルの話や、自分と似た能力の人の給与がいくらになるのかといった話を挟んでから「給与を上げていただくことは可能か?」を切り出すと話がスムーズです。
なお、希望金額を伝える際は「なぜ給与額を調整したいのか」「その金額を希望する根拠は何か?」を必ず伝えて、納得感を持たせましょう。
会話例
あなた:
仕事内容をくわしくご説明いただき、志望度が一層高まりました。
最後に恐れ入りますが、改めて給与体系や給与テーブルについてご確認させていただけますでしょうか?
面接官:
中途採用の場合、前職の年収とこれまでのご経験を加味して給与を決定します。
あなた:
私と同じようなスキルや年次の方だと、給与額はどのくらいになるのでしょうか?
面接官:
◯◯さんと同水準の方でしたら、月収40万円からのスタートとなります。
あなた:
ありがとうございます。
前職の月収が42万円だったのですが、もし私が内定をいただけるようでしたら、
月収を前職と同額にしていただくことは可能でしょうか?
身勝手なお願いで恐縮ですが、可能でしたらご検討いただけますと幸いです。
転職エージェントを使っている場合は?
転職エージェントを使っていて給与額を交渉したい場合は、エージェントに希望を伝えればOK。エージェントが企業の採用担当者と交渉してくれるので、直接交渉しなくていいメリットがあります。
またエージェントに相談すれば、あなたの実績と相場観を照らし合わせて、現実的な給与額を提示してもらえるのもポイントです。
エージェントへの依頼の際は、直接交渉するときと同じく下記の内容を伝えると、その後のやりとりがスムーズになります。
- 給与面の相談をしたい
- 給与額を調整したい理由
- 希望の給与額はいくらか
件名:給与に関するご相談(氏名)
本文:
株式会社◯◯◯
△△様
お世話になっております。
[氏名]です。
先日内定をいただいた【内定先の企業名】について、
給与額を調整をお願いできないでしょうか。
年収420万円とのことですが、現職の年収500万円を大きく下回るため、
同水準に引き上げをお願いしたいと考えています。
お手数をおかけしますが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。
氏名:○○○○
メールアドレス:○○○○@○○○○
電話番号:○○○○
住所:〒○○○-○○○○
(都道府県から市区町村、番地、建物名、号室を正確に記載)
給与交渉が終わったら?
給与交渉が終わって入社の意志が固まったら、内定承諾書を提出します。ですが、提出前に給与以外の条件についても最終確認しておくと安心です。
▼内定承諾書を送る前に、確認すべき15の雇用条件
雇用条件が問題なければ、なるべく早いタイミングで内定承諾書を企業に提出しましょう。書き方や郵送の方法などは下記の記事にまとめているので、参考にしてください。
▼内定承諾書の記入方法・送り方を解説!