相場や有給・遅刻の扱いは? 皆勤手当とは?

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所定の期間、1日も欠かさず出勤したときにもらえる皆勤手当。制度として用意されている企業も多く存在します。

ここでは、その意味や相場、有給取得・遅刻・退職をした場合に受け取れるかどうかなどについてレクチャーします。

そもそも皆勤手当とは?

まずは、皆勤手当とは何なのか、そのキホンについてご紹介します。

企業が設ける手当の一種

皆勤手当とは一般に「所定の期間、1日も欠かさず出勤したときにもらえる手当」を指します。その主な目的は、手当を出すことで従業員の安定した出社を促すことです。

皆勤手当は、手当のなかでも法定外手当に含まれます。企業で働いて受け取る給与は「基本給+手当」で構成されており、手当には以下の種類があります。

<法定手当>
法律で定められている時間外手当(残業、休日、深夜に働いたときの割増料金)

<法定外手当>
企業が独自に定めている家族手当(住宅手当、役職手当、資格手当、皆勤手当など)

皆勤手当の相場は1万円程度

厚生労働省が2015年に発表した調査によると、皆勤手当の平均額は1万506円です。

また、同調査では通勤手当の平均額は1万1,462円、住宅手当の平均額は1万7,000円となっています。

ほかの法定外手当と比べて特に多い金額ではないものの、給与への上乗せ額としてはうれしい金額といえるでしょう。

手当の種類別労働者1人当たり平均支給額(2014年11月分):精皆勤手当、出勤手当などは1万506円 。通勤手当は1万1,462円。 住宅手当は1万7,000円 。家族手当、扶養手当、育児支援手当などは1万7,282円 。地域手当、勤務地手当などは2万2,776円 。単身赴任手当、別居手当などは4万6,065円。

※参考:厚生労働省「平成27年度就労条件総合調査」

企業全体の30%ほどが導入

皆勤手当は企業独自で定める法定外手当であるため、全ての企業で支払われるわけではありません

厚生労働省の調査によると、皆勤手当てを支給している企業の割合は2014年11月時点で29.3%に留まります。皆勤手当ての支給率は1974年時点では64.7%でしたが、その後は落ち込んでいきました。

※参考:日本労働研究雑誌2009年4月号「なぜ賃金には様々な手当がつくのか」

中小企業、サービス業、運輸業などに多い

厚生労働省の調査によると、社員が1,000人以上の大企業での皆勤手当の採用率はわずか7.2%なのに対し、社員数が100人未満の小企業での採用率は32.8%でした。すなわち、皆勤手当は大企業よりも中小企業に多い手当と言えます。

また、業種別に見てみると、運輸・郵便業、鉱業や製造業、サービス業・娯楽業では35%を超える会社が皆勤手当を支給しています。

皆勤手当がある職種や会社は、社員のモチベーション維持や突然の欠勤を防ぐために皆勤手当を採用しています。そのため、社員一人当たりの役割が大きく、欠勤が大きく業績に響く中小企業や特定の業種で採用される傾向にあるのです。

就業規則で定められている

皆勤手当は、会社独自で設定されている手当であるため、その支給方法については就業規則に書かれています

欠勤や遅刻早退があった場合・有給を取得した場合の支給の有無や計算方法について気になった場合、まずは就業規則に書かれていないか確認してみましょう。

また、皆勤手当がある企業の場合、提示されている月給に皆勤手当が含まれていることがあります。そのため、企業に入社する前に雇用契約書や就業規則を確認し、提示されている月給のうち、「基本給はいくらで、手当がいくらなのか」を確認すると良いでしょう。

コラム:精勤手当とは?

皆勤手当と似た言葉で、精勤手当というものがあります。

皆勤の判定期間やもらえる手当の内容で両者を区別するケースもなかにはありますが、ほとんどの場合は、皆勤手当も精勤手当も同じ意味で使われます。

遅刻や早退、多少の欠勤を許す企業の場合、皆勤手当という名称だと「全て出勤しなければもらえない」という誤解を与えかねません。そのため精勤手当という呼び方にする企業もあるようです。また、精皆勤手当と呼ばれる場合もあります。

いずれにせよ、会社独自で定められている手当であるため、詳細は就業規則で確認できます。

有給を取ってももらえる? 遅刻・早退との関係も

有給、遅刻や早退があった場合の皆勤手当の扱いについて、法律を参考にしながらわかりやすく解説します。

有給休暇を取っても、基本的に皆勤手当はもらえる

有給を取っても基本的には皆勤手当はもらえます。

労働基準法附則第136条に「使用者は有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」という条文があるからです。

そのため、皆勤手当のカットのように有給休暇の取得制限につながる行為は、基本的には不当であるとみなされます。

※参考:厚生労働省大阪労働局「年次有給休暇(Q&A)」

遅刻、早退、退職したときは会社の規定による

遅刻、早退、退職したときに皆勤手当がもらえるかどうかは、会社の就業規定によります

皆勤手当は会社独自の規定により支払われる手当なので、基本的には支給の判断も会社にゆだねられるからです。

まずは就業規則に「遅刻や早退○回で欠勤とみなす」「途中入退社の場合、皆勤手当は支給しない」「途中入退社の場合は、日割り計算をする」といった規定がないか、確認してみましょう。

規定がない場合は、上司や総務担当者に問い合わせてみることをおすすめします。

有給取得で皆勤手当がカットされたら?

万が一、有給を取得したことを理由に皆勤手当がカットされていた場合の対処法について解説します。

専門家に相談する

有給休暇の取得により皆勤手当をカットされていた場合、就業規則を確認した上で、専門家に相談してみましょう。例えば以下のような相談窓口が用意されています。

<総合労働相談>

料金:無料
相談形式:電話か面談
予約:不要
時間帯:主に平日9時〜17時

総合労働相談は、都道府県労働局が紛争解決のために設置している窓口です。
あらゆる分野の労働問題の相談を直接専門家にできることが特徴です。

<NPO法人POSSE>

料金:無料
相談形式:電話、面談、メール
予約:メール・電話は不要、面談は必要
時間帯:メールは24時間、電話は平日17時~21時・土日祝13時~17時・水曜定休日

NPO法人POSSEでは、相談内容に応じた法律知識や解決策をアドバイスしてくれます。スタッフによる解決のためのサポート、弁護士や労働組合への紹介も受けられるのが特徴です。

有給手当がカットされても違法にならない場合とは

ほとんどの場合、有給取得による皆勤手当のカットはNGですが、手当をカットした理由が有給取得を抑制するためでないと認められた場合であれば、違法にならない場合もあります。

有名な例は1993年の沼津交通というタクシー会社の判決です。

この会社の皆勤手当は「勤務予定表の通りに勤務した従業員に支給されるもの」で、勤務予定表が決定した後に休んだ場合、それがたとえ有給休暇であってもカットされていました。

それを不服だとして従業員が提訴しましたが、会社がシフトに穴をあけるリスクを減らすため皆勤手当制度を設けたことを考えると、この運用は適正だと判断され、会社側が勝訴したのです。

このように「皆勤手当が有給の取得を抑制する意図から設けられたかどうか」が判断の分かれ目であるといえます。

皆勤手当は残業代の計算に使える? 課税はされるの?

最後に、残業代計算や課税など、皆勤手当の法律上の扱いについて説明します。

残業代計算の基礎賃金に含まれる

皆勤手当は残業代計算の基礎賃金に含まれます。

つまり、残業した場合は、皆勤手当て分も含めて計算した割増賃金を受け取ることができます。残業だけでなく、休日出勤や深夜労働をした場合の割増賃金の計算にも皆勤手当は含めることができます。

なぜなら、労働基準法(第37条第5項、労働基準法施行規則第21条)により、基礎賃金から除外できる手当として以下の項目が挙げられており、それ以外の手当は基礎賃金に含むとされているからです。

<基礎賃金から除外できる手当>

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

ただし、皆勤手当てが基礎賃金に含まれるのは、支払いが1ヶ月以内のペースで行われる場合だけです。皆勤手当が支払われるのが2ヶ月に1回や3ヶ月に1回であれば、「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」として除外項目に含まれてしまいます。

※残業代の計算について詳しくは→すぐわかる図解つき 正しい残業代の計算方法

皆勤手当は課税対象

皆勤手当は、所得税の課税対象です。所得税法の定めにより、特別に非課税になる手当は以下の3つのみです。

  1. 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
  2. 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
  3. 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

※参考:国税庁「No.2508給与所得となるもの」

上記のいずれにも含まれない皆勤手当は給与所得としてカウントされるため、源泉徴収の対象となります。税法上の基本的な知識として覚えておくと良いでしょう。

まとめ

皆勤手当は所定の期間、1日も欠かさず出勤した時にもらえる手当のことで、企業が独自の裁量で規定しています。

遅刻や有給取得などの場合の扱いについては、まずは就業規則を確認しましょう。

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