ここだけは見るべき4つの項目 わかりやすい給与明細の見方

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毎月の給与が示されている給与明細(給料明細)。毎回「手取り金額」だけチェック、という人も多いのではないでしょうか。

しかし、月ごとに変わる残業代や、給料から引かれる社会保険料、税金もぜひ把握しておきたいところ。

ここでは、給与明細の見方や確認すべきポイントをご紹介します。

給与明細の基礎知識

毎月、給与が振り込まれるとともに書面で手渡しされたり、ネットで閲覧できたりする給与明細。どんなことが書いてあるか、どんな役割があるのか知っていますか?

まずは給与明細の基礎知識を確認しましょう。

給与明細のサンプル画像。項目は、大きく分けて支給・控除・勤怠・集計の4つ。支給内訳は基本給、時間外労働手当など。控除内訳は健康保険、介護保険など。勤務は、労働日数や出勤日数、時間外労働時間など。集計欄には、総支給額28万円-総控除額6万670円=差引支給額21万9030円が記載。

給与明細とは、給与の内訳が書かれた書類

給与明細には、支給される給与や手当、会社を経由して支払う税金や保険料などの金額が詳しく書かれています

ほとんど確認しないという方もいるようですが、自分がいくらもらっているのか、何にいくら払っているのかを把握しておくべきです。

記載が間違っているケースもあるので、損をしないためにも普段から給与をもらったら明細を見る習慣を付けておくと良いでしょう。

給与明細の項目は支給・控除・勤怠

給与明細には、主に以下の3つの項目が記載されています。

  • 支給……基本給や通勤手当、出張手当など会社から支給される金額
  • 控除……会社を通じて支払われた保険料や税金の金額
  • 勤怠……出勤日数や遅刻・早退日数など1ヶ月の勤務データ

それぞれの細かい項目は、給与明細で注意して見るべきポイントで解説します。

給与明細、最低2年は捨てないで!

給与明細は、できるだけ全て保管しておくのがベター。どうしても捨てなければならない場合は、失業給付の確認期間や未支払いの給与の請求期間である2年間は最低でも捨てずに取っておきましょう

自分がどれだけ働いてきたのかの記録としてはもちろん、失業給付金の申請や未払い残業代の請求、離婚調停の手続きなどを行う際に証拠書類として必要になることもあります。

給与明細で注意して見るべきポイント

ここからは、(1)支給編(2)控除編(3)勤怠編(4)その他編の4つに分けて、給与明細を確認する際のポイントを説明します。

(1)支給編

支給では、基本給や残業手当などを主に確認しましょう。残業手当などの計算は難しいため、基本的には残業時間が申請の通りになっているかを確認すればOKです。

基本給や手当は正しく支給されているか

普段「給与」と呼んでいるものは、大きく基本給と手当に分かれています。基本給が雇用契約の通りに支払われているか、もらえるはずの手当が入っているかをしっかり確認しましょう。

手当には例えば以下のようなものがあります。

時間外労働手当/超過勤務手当/役職手当/住宅関連手当/通勤手当/出張手当/資格手当/扶養手当/職能手当/皆勤手当/転勤手当

その他にも独自の手当を設定している企業があります。

コラム:基本給はもっとも大切な賃金

基本給とは、月によって変動することのない賃金のことです。手当はなくなる可能性がありますので、基本給が「毎月必ずもらえる最低金額」となります。

転職を考えている人が求人を見る際は、手当などを含めた「月給」ではなく「基本給」がいくらかを確認しましょう。 一見、月給が高く見える求人でも、実は残業代や営業ノルマのインセンティブを含んでおり、実際にもらえる給与は低かった、ということもあります。

また、ボーナスは「基本給◯ヶ月分」と計算されることが多いため、基本給が低いと想定よりもボーナスが抑えられてしまう可能性があります。転職後に「こんなはずじゃなかった」とぼやく事態に陥らないためにも、必ず基本給を確認しましょう。

残業代が正しく支払われているか

残業代(時間外労働手当、超過勤務手当)については、自分が残業した時間分、きちんと支給されているかを見ておきましょう。

とくに深夜まで残業をした場合や休日に働いた場合は、他の残業代とは割増率が変わることがあります。タイムカードなどと照らし合わせて確認するとベターです。

※残業代の計算方法について詳しくはこちら
正しい残業代の計算方法【すぐわかる図解つき】

また、みなし労働時間制で働いている場合は要注意。本来はみなし労働時間を超えて働くと、超えた分の残業代は別途で支払われるはずです。

例えば、「給与25万円。ただし残業手当5万円(月45時間分)を含む」という雇用契約を結んでいた場合、50時間残業すれば5時間分の残業代がプラスされます。支払われていない場合は、上司や経理担当者に確認してみましょう。

 通勤手当に課税されていないか

会社から支給される交通費は基本的に非課税ですが、長距離通勤の高額な交通費には税金が課されるケースがあります。自宅から会社が遠い人は、自分が課税対象ではないか確認しておきましょう。

バスや電車などの公共交通機関を利用している場合は、通勤費が「1ヶ月当たり15万円まで」であれば、課税対象にはなりません(2016年度の税制改革から)。

自転車や自動車で通勤している場合は、毎月の通勤費が以下の限度額を超えると、超えた分の金額が課税対象となります。

片道の通勤距離

1ヶ月当たりの限度額

2km未満

全額課税

2km以上~10km未満

4,200円

10km以上~15km未満

7,100円

15km以上~25km未満

1万2,900円

25km以上~35km未満

1万8,700円

35km以上~45km未満

2万4,400円

45km以上~55km未満

2万8,000円

55km以上

3万1,600円

(2)控除編

控除では、社会保険料や税金がいくらくらいなのかを把握しておきましょう。とくに確認が必要な点は以下のとおり。

各保険料金の計算は正しいか

健康保険、厚生年金保険、雇用保険など、各種保険の料金の記載に間違いがないか確認しましょう。基本的には先月の金額と比べて大きく増減していなければ問題ありません。

金額まで確かめたい場合は、以下を確認しましょう。

健康保険と厚生年金保険の保険料は「標準報酬月額(4・5・6月の総支給額の平均)×保険料率」で計算します。料金は会社との折半です。

※健康保険の保険料を確認したい方はこちら
平成29年度保険料額表(平成29年4月~)-全国健康保険協会

※厚生年金の保険料を確認したい方はこちら
平成28年10月分からの厚生年金保険料額表(PDF)―日本年金機構

雇用保険料は、平成29年度の場合は「毎月の給与総額×雇用保険料率」で計算されます。平成29年度の一般事業の場合、雇用保険料率は0.9%です。0.9%のうち0.6%が会社負担、0.3%が自己負担となります。

【平成29年度の雇用保険料率表(平成30年3月31日まで)】

一般の事業は、雇用保険料率0.90%,会社負担率0.60%,自己負担率0.30%。農林水産・清酒製造業は、雇用保険料率1.10%,会社負担率0.70%,自己負担率0.40%。建設業は、雇用保険料率1.20%,会社負担率0.80%,自己負担率0.40%。

 40歳未満なのに介護保険料が引かれていないか

介護保険料が徴収されるのは40歳からなので、20~30代なのに引かれている場合は経理担当者に問い合わせましょう。

40歳以上65歳未満の人は健康保険料に介護保険料が追加されます。介護保険の運営は市区町村が行っており、加入している保険の種類や地域により保険料率が異なります。

例えば中小企業が多く加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、保険料率は1.65%です(2017年6月現在)。仮に標準報酬月額が20万円だとすると、毎月の介護保険料は20万円×1.65%=3,300円です。介護保険料は会社と半分ずつ支払うので、自己負担分は1,650円となります。
※参考→平成29年度保険料率-全国健康保険協会

所得税は正しいか

所得税とはその年1年間の収入に応じて課される税金のことですが、会社員は毎月、仮に計算した所得税が給与から引かれています。国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(平成29年分・月額表)」で確認することができます。

ちなみに1年間で過不足分が生じた場合、年末調整で帳尻合わせが行われます。例えば、給与天引き以外に社会保険料を払ったり、1年間で扶養家族が増えたりした場合は年末調整を経て12月に払い過ぎた分が戻ってきます。逆に不足金額があった際は追加で支払わなければなりません。

 住民税が引かれているか

住民税を支払う方法は、自分で支払う普通徴収と、給与から天引きされたものを会社がまとめて支払う特別徴収の2種類があります。特別徴収されるはずが引かれていない、逆に普通徴収で支払っているのに給与からも引かれているなど、自分の事情に合わせて確認しましょう。

また、住民税は前年の収入に対して発生する金額を翌年に支払う仕組みなので、働きはじめて1年目の人の給与からは天引きされません。大学や高校を卒業して働き始めた入社2年目の6月から支払うことになります。

※参考→社会人2年目の6月、住民税で給与の手取り額が減る-All About

(3)勤怠編

勤怠の項目や最終的な金額に間違いがないか確かめておきましょう。

出勤日数や欠席日数が正しいか

「勤怠」の項目にある出勤日数や欠席日数、遅刻や早退の回数に間違いがないか確認しましょう。タイムカードなどで申請したとおりになっていれば問題ありません。

会社によっては残りの有給日数が記入されていることもあります。

 (4)その他編

総支給額や差引給与額は正しいか

「総支給額」とは基本給や手当など、会社が支払った報酬の合計金額を指します。また、「差引給与額」とはいわゆる「手取り金額」のことで、総支給額から各種保険料や税金を引いた金額のことです。

これらの数値が正しいかどうかも計算して確かめておきましょう。

給与明細をもらえないときの対処法

給与明細は大切な書類です。万が一、会社から給与明細をもらえなかった場合は必ず経理担当者や上司に問い合わせましょう。

ここでは、給与明細をもらえずに困っている方に向けて対処法を説明します。

給与明細の発行は企業の義務

実質的に、企業は給与明細の発行が義務付けられています。労働基準法では給与明細書の発行義務が定められていませんが、所得税法第231条、健康保険法第167条第3項、厚生年金保険法第84条第3項では控除額がわかるよう支払明細を交付しなければならないと定められています。

そのため、給与明細がもらえないのはいわば違法な状態。経理担当者に発行を依頼してももらえない場合は、近くの労働基準監督署に相談するのもよいでしょう。

源泉徴収票がもらえない場合は税務署へ

年末調整の結果を記載した「源泉徴収票」に関しても所得税法第226条で発行が義務付けられています。

転職した人が現在の勤め先で年末調整をしてもらう際は、前職の源泉徴収票が必要になります。前の会社に連絡しても源泉徴収票を発行してもらえない、また倒産などでなくなってしまっている場合は、最寄りの税務署で「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。税務署から企業に連絡してもらうことができます。

コラム:英語で給与明細は何と言う?

英語で給与明細をもらった方や、給与明細を翻訳したい方に向けて、給与明細にまつわる英単語を紹介します。ただし、英語圏の中でも言い回しが異なる場合がありますのでご注意ください。

また、ビザ申請では翻訳証明がなければ書類申請が受理されない場合もあるため、専門業者に英訳を依頼することをおすすめします。

給与明細 Payslip/Pay Slip/Pay Stub

支給 Payments/Earnings/Entitlements
―基本給 Base salary/Basic pay/Regular pay
―時間外労働手当(残業手当) Overtime allowance
―休日出勤手当 Holiday allowance
―深夜勤務手当 Midnight shift allowance
―非課税通勤費(通勤手当) Commutation allowance
―役職手当 Position allowance
―住宅手当 Housing allowance
―家族手当 Family allowance
―歩合給 Commission

控除 Deductions
―健康保険料 Health insurance premium
―介護保険料 Nursing care insurance premium
―厚生年金保険料 Welfare pension insurance premium
―雇用保険料 Unemployment insurance premium
―住民税 Inhabitant tax
―所得税 Income tax

勤怠 Service record
―時間外勤務時間 Overtime hours
―休日勤務時間 Holiday hours
―代休 Compensatory day off
―遅刻・早退 Late/Early
―欠勤 Leave deduction

その他
―差引給与額(手取り金額)Net pay
―総支給額 Gross pay

まとめ

給与明細をもらってから、気をつけるべきポイントは以下の通り。

  • 残業時間や残業代の計算が合っているか必ず確認
  • 手当や控除、勤怠などで項目がないかチェック
  • もらってから最低2年はとっておく

自分が社会人としていくら稼いできたのかの記録にもなるものですから、大切に扱いましょう。

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