年収600万円ある人はリッチなのかプアなのか

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デフレ脱却に向けて前進が続き、景気は緩やかな回復傾向にあるものの、生活は一向に楽にならない昨今。今のサラリーマンにとって年収600万円が人生の勝ち負けを決める一つのボーダーラインだという声も聞こえてきます。

では、年収が600万円あれば実際にどのような生活が送れるのでしょうか。その懐事情を探り、厳しい時代を生き抜く術を見つけていきましょう。

【目次】
1.日本で年収600万は10%未満! 年代・性別にみる年収
労働者全体で年収600万円超は約19%
20代前半で年収600万円はほぼゼロ
女性で年収600万以上は5.6%とわずか
2.年収600万円の生活スタイルってどんなの?
満額もらえるわけではない! 手取りでおよそ470万円
年収600万円のリアルな生活①~単身男性の場合
年収600万円のリアルな生活②~既婚・子どもアリの場合
年収600万円は税金を安く収め、手取りを増やすのに好都合
3.転職して手堅く年収600万を目指すには
年収600万円超えの職業は社会保険労務士、歯科医師、マグロ漁師も!
年収ベースの高い同業種の会社を狙う
職種はそのままにキャリアを生かし、年収が良い他業種に的を絞る
4.まとめ

1.日本で年収600万は10%未満! 年代・性別にみる年収

紙幣と双葉

雇用は増えても賃金の伸びは鈍く、巷では「アベノミクス景気を実感できない」という意見が少なくありません。実際に今の日本人の年収をのぞいてみても、なかなか暮らしが楽にならない現状が浮き彫りになります。

労働者全体で年収600万円超は約19%

国税庁が発表した平成27年度「民間給与実態統計調査」によると、年収601万円以上の労働者の割合は全体の18.8%。年収601万円~700万円の層だけを見るとわずか5.9%です。

給与所得者の年収別構成比グラフ(男女計)

給与所得者1人あたりの平均年収は420万円で、前年の415万円と比べると若干上昇はしているものの、600万円台に遠く及ばない人たちがほとんどを占めています。最も多い給与階級は年収301万円~400万円で、現状では一生懸命働いても600万円以上の年収を稼ぐことがいかに難しいかがわかるでしょう。

現在、年収600万円の人は40~50代の働き盛りの男性が中心。この層は会社員なら何らかの役職に就いていることが多いはずです。年功序列が根強く残る日本では、役職手当などで優遇されないと大幅な年収増が望めない場合がほとんど。キャリアや実績の薄い若手世代や女性が年収600万円を目指すには、なかなかハードルが高いのが現実です。

20代前半で年収600万円はほぼゼロ

では世代別に平均年収を見るとどうでしょう。最も年収が低いと思われる20代だけに絞ってみると、働き始めの20~24歳の平均年収は253万円。やはりかなり低めです。

年齢階級別の平均給与

※参照→平成27年度「民間給与実態統計調査」/国税庁

個人事業主の場合など例外もあるとは思いますが、この数字だけから読み解くと、20代前半で年収600万円に到達している人はほぼゼロに近いと言えるでしょう。やはりキャリアも社会的地位も確立されていない20代のころに高い年収を得ることは非常に困難なようです。

けれども昨今はIT関連会社や大手メーカー、外資系企業など、能力や実績に応じた昇給システムを導入するところが少しずつ増え、20代でも実力次第で高収入を手にできるチャンスが広がっています。今後、景気がさらに上昇気流に乗れば、若年層にも勝ち組がどんどん出てくるかもしれません。

女性で年収600万以上は5.6%とわずか

通帳を見て浮かない表情の女性

一方、働く女性の場合はどうでしょうか。下の円グラフに注目してください。近年のデータでは、年収600万円を超えている女性給与所得者は全労働者のうちのたった5.6%しかいないことがわかります。

 

給与所得者の年収別構成比グラフ(女性)

給与所得者の年収別構成比グラフ(男性)

※参照→平成27年度「民間給与実態統計調査」P40~/国税庁

さらにデータを深堀していくと、男性の年収分布は300万円以下から600万円以下を中心に広がり、2000万円超までばらつきが見られるのに対して、女性の中心層は100万円以下から400万円以下と低い数字にまとまっています。現状では、女性で年収2000万円を超えている人を探すことはかなり難しいでしょう。

このように、男性との間に歴然とした年収差があるのにはいくつか理由が考えられます。女性はパートなど非正規雇用の人が多いこと、結婚や出産、育児でキャリアが停滞しがちなことや、女性の能力が認められにくい職場環境なども挙げられるのではないでしょうか。女性のキャリア職が増えているとはいえ、年収600万円への壁はかなり高いのかもしれません。

2.年収600万円の生活スタイルってどんなの?

多くの若い世代ではいまだ未知の年収600万円生活。実際にどれほどの暮らしが送れるのでしょうか。

満額もらえるわけではない! 手取りでおよそ470万円

給与明細と電卓

600万円の年収があるといっても、手取りにするとだいたい470万円程度。これは一般的なサラリーマンを想定し、年収から税金や保険料を引いた額です。個人差はありますが、年収が全額手元に入ってくるわけではないのです。

サラリーマンの場合、税金や保険料などトータルで120万ほどが天引きされるため、手にしているのは600万円より低い額になってしまいます。意外と少ないと感じた人もいるかもしれませんが、納税は国民の義務なので仕方がありません。この手取り額はボーナスを含めたものなので、年2回、2ヵ月分ずつもらったとして試算すると、ボーナスを差し引いた月々の収入は約30万円前後といったところでしょう。

年収600万円のリアルな生活①~単身男性の場合

単身男性と車

一般的な会社に勤める年収600万円の単身サラリーマンでは、住まいや車、食費にどのくらい使えるのでしょうか。その内訳を推測してみました。細かな金額は個人によって多少異なるので、あくまで参考としてください。

住まい…月々12万円程度の賃貸IK

以前は家賃の目安として「月収の3分の1程度」が一般的でしたが、収入がいつ下がるかもわからない今の時代は「年収×0.25=年間家賃額」が妥当とされています。年収600万円の独身者の場合は12万円をやや超えるほど。

東京23区内なら便利で華やかな港区・渋谷区あたりのワンルームや1Kの賃貸マンションに住めそうですし、立地や築年数にこだわらなければ広めの間取りに住むこともできそうです。

車…180万円~300万円の国産新車か中古輸入車

車を購入する際は年収の30%を費用として準備する人が多いと言われています。もうちょっとランクを上げていい車に乗りたいと思っても、維持費ことなどを考えると最大で年収の半分までに収めるのが無理のない範囲。

年収600万円の人は180万円~300万円の車が購入可能でしょう。これくらいの予算があれば国産コンパクトカーの新車から中古の輸入車まで、結構幅広く好みに応じて選べるのではないでしょうか。

貯金…毎月6万円程度で余裕があればそれ以上

将来を考えた理想の貯金額は月の収入の約2割。とすると毎月6万円ほどを積み立てていけます。単身者は既婚者に比べると生活費を調整しやすいこともあるので、がんばればもう少し多めに貯金に回すこともできるでしょう。

食費…外食でほどほどにプチ贅沢

単身世帯の食費の目安はひと月あたり2~5万円。光熱費などを差し引いても毎月10万円ほどは自由になるお金がある年収600万円の単身者は、月の食費を少々オーバーしても許されるほどゆとりが持てます。外でのランチや仲間との会食などプチ贅沢を楽しむ人も多いのではないでしょうか。

年収600万円のリアルな生活②~既婚・子どもアリの場合

笑顔の3人家族

年収600万円単身者のケースではゆとりのある生活が送れるようですが、既婚者で子どもがいる場合は少し様子が変わってきます。

住まい…住宅ローンの返済額は月々12~13万円

子どもがいれば持ち家願望も高まるもの。住宅金融支援機構フラット35利用者調査によれば、マンションを購入した世帯の年収は600万円以上が約6割となっています。なかでも600~800万円台は約25%です。

住宅ローンを組む場合、返済額の平均的な割合は年収の21~23%。年収600万円の世帯で無理なく返済できる月々の額は12~13万円程度となります。ただし返済期間や金利のタイプ、頭金の額によっても変わってくるので、将来のマネープランを見通し、無理のない計画を立てることが大事です。

車…250万円前後のミニバンが人気

ファミリーカーとして人気が高く、年収に見合うのはだいたい250万円前後の燃費の良いミニバンになります。エコカーやコンパクトカーに乗って維持費を削減している人も多いでしょう。しかし、年収600万円の子どもがいる家庭では一括購入できるほどの余裕はなく、ローンを組む人も多数。最近は車にかかるお金がもったいないと考える人も増え、都市部では“持たない派”や“手放す派”も少なくありません

貯金…家計に無理なく毎月約4万円

家族が多ければ多いほど日々の生活費が増え、子どもがいれば教育費もかかってくるため、単身者のように月収の2割を貯金に回すと家計は圧迫されます。実際には多くの人の平均貯金額とされる手取り10~15%を目標に、毎月4万円前後を積み立てていければよいところ。不安を感じる分はボーナスから多めに補てんしている家庭もあるようです。

食費…1ヵ月約78,000円とやや高め

豪華なお子様ランチ

総務省の調査によると、年収600万円の中心層である40~49歳では78,057万円、50~59歳では78,911円と家計で食費の占める割合は高いと言えます。たまの休日には家族そろって外食に出かけることもできそうですし、それほど切り詰めた食生活を送らなくてもよさそうです。

※参照→家計調査報告(家計収支編)―平成28年(2016年)平均速報結果の概要― P22~/総務省統計局

年収600万円は税金を安く収め、手取りを増やすのに好都合

年収600万円を税金の面から見るとどうでしょうか。所得税などの税金は、年収が高いほど税率が高くなります。家族の人数などによって控除に差が出るものの、年収600万では所得税率が10%になる人が多いようです。

所得税の金額は、単純に「年収×税率」で計算されるわけではありません。年収から給与所得控除や基礎控除などが引かれたものを「課税所得金額」と呼び、「課税所得金額×税率=所得税額」となります。

額面で年収600万円の場合、もろもろの控除額を引いて課税所得金額を算出すると303万円になり、税率は10%で控除額は97,500円になります。実は年収600万円は税率10%で抑えられるギリギリのライン。下の表を見てわかる通り、その額が330万円を超えてしまうと税率が大幅に上がってしまいます。年収600万円は税金を安く納め、手取り額を多くするのに都合の良い額でもあるのです。

所得金額と税控除の表

※詳しくはこちら→国税庁公式サイト 

3.転職して手堅く年収600万を目指すには

手のひらに乗る植物とお金

今の年収に不満を持っている人は、年収アップを目指せるところに早めに転職するのが得策です。どうすれば思い通りの転職が叶うのか探っていきましょう。

年収600万円超えの職業は不動産鑑定士、一級建築士、マグロ漁師も!

まずは厚生労働省の調査から、平均年収が600万円台の職業をピックアップしてみました。

【平均年収600万円台の職種】

  • 不動産鑑定士692.7万円(平均年齢46.6歳)
  • 掘削・発破工 684.5万円(平均年齢45.2歳)
  • 大学講師 683.8万円(平均年齢43.0歳)
  • 高等学校教員 661.1万円(平均年齢42.2歳)
  • 航空機客室乗務員 656.5万円(平均年齢40.9歳)
  • 一級建築士 643.8万円(平均年齢46.9歳)
  • 自然科学系研究者 643.1万円(平均年齢38.8歳)

※参照→平成28年賃金構造基本統計調査 結果の概況/厚生労働省

これらはすべて特別な知識や技術、資格が必要な専門職で、難関資格と言われるものも少なくありません。それぞれの職に就くまでには勉強や試験にそれなりの投資が必要となります。しかし苦労をした分、駆け出しの頃から安定して稼げるのがこれらの職業の特徴でもあります。

意外なところでは、マグロ漁などの遠洋漁業を行う漁師の年収も600万円超え。給料は毎月30万円ほどあり、プラス資格手当などが付くことで年収がアップします。昔は年収1000万円を超える人もたくさんいたとか。若くして高収入を得られますが、一度海に出たら半年は帰ってこられず、船上で荒波にもまれながらの仕事はかなり過酷。やる気と根性が試される高収入職業です。

現在まったく違う仕事をしている人は、いきなりキャリアチェンジして不動産鑑定士やマグロ漁師になるのは難しいかもしれません。しかし自分のキャリアの先にある資格や専門職を見据えて転職を考えてみるのもいいかもしれません。

年収ベースの高い同業種の会社を狙う

高層ビル群

同じ業界であっても業績の良い会社は社員の年収ベースが違います。転職するなら今働いている業界トップの会社に狙いを定めるのも一案。もともと基本給が高くボーナスも良い大手商社やメーカー、マスコミ関係、外資系企業などは若手社員の平均年収が600万円を超えるところもあります。高年収を誇る企業の最新ランキングは次の通りです。

1位 M&ACP 2,253万円(平均年齢30.5歳)
2位 GCA 2,153万円(平均年齢37.1歳)
3位 キーエンス 1,756万円(平均年齢35.3歳)
4位 日商業開発 1,741万円(平均年齢44.7歳)
5位 ストライク 1,616万円(平均年齢34.9歳)
6位 ファナック 1,571万円(平均年齢42.9歳)
 7位 野村HD 1,515万円(平均年齢42.3歳)
8位 朝日放送1,498万円(平均年齢42.9歳)
9位 TBSHD 1,490万円(平均年齢51.6歳)
10位 三菱商事 1,445万円(平均年齢42.6歳)

※参照→平均年収「全国トップ500社」最新ランキング/東洋経済オンライン

しかしこのような優良会社は新卒採用が優先であることが多く、転職者にとっては狭き門。自力で求人情報を探すより、大手企業に強いパイプを持つ転職エージェントを活用し、プロの力を借りるのもおすすめです。

職種はそのままにキャリアを生かし、年収が良い他業種に的を絞る

現職である程度実績を積んだなら、転職で手放すのはもったいないこと。経験やスキルを活かし、年収アップが見込める他業種に飛び込んでみるのもいいでしょう。

営業職にやりがいを感じている人は、今のキャリアに専門的な知識をプラスして活躍できるMR(製薬会社の営業)や証券会社の営業マンがおすすめ。外資系企業であれば能力に応じた報酬も期待できるかもしれません。また、ITエンジニア系の技術職は現在採用ニーズが高い分野。アプリ開発の会社やモノづくりメーカー、メディア関係など引く手あまたです。

一方で事務職は基本的にどこも年収が低く、転職したところで年収アップが見込めるとは限らない職種です。よほどの大手企業の特別なポジションでなければ、年収600万円のラインは超えられないと思ったほうがよいでしょう。

4.まとめ

いかがでしたか。年収600万円ある人の日常は決して派手なものではなく、家族を養いながらではシビアな現実も見えました。今の日本は国民総ジリ貧時代。不安定な経済状況では、現在の年収がたとえ600万円以上あったとしても将来の安泰が約束されるわけではなく、年収の高さが必ずしも幸せに直結するとも限りません。高望みはせず身の丈に合った生活を送り、安定した老後に備えることが賢明かもしれませんね。