拒否or応募の注意点も 希望退職とは? 

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希望退職とは、会社側から社員へ退職を依頼する制度です。

早期退職や早期優遇退職と言う場合もあります。ここではリストラとの違いから面談の注意点まで希望退職の基礎知識をまとめてご紹介します。

希望退職とは?

まずは希望退職の基礎知識として定義やメリット・デメリット、拒否した後の注意点を解説します。

希望退職は「自主的に退職」する社員を企業が募る制度

希望退職とは、経営が苦しくなってきた企業が、自主的に退職する社員を募る制度です。

目的は人件費の削減で、退職を促進するために退職金の増額などの好条件が提示されます。

希望退職に法律的な規定はなく、会社と従業員の合意に基づいて実施されます。

そのため、会社が社員に退職を強要することはできず、また従業員側が希望しても希望退職制度の利用を拒否される場合もあります。

希望退職で出される条件

希望退職に応じた場合、自己都合退職より、好条件で退職できることがほとんどです。その条件は会社により異なりますが、例えば以下のような例が挙げられます。

  • 退職金の割増
  • 転職先が見つかるまで数ヶ月の有給消化
  • 未消化有給休暇の買い上げ
  • 希望がある場合の再就職の支援

希望退職なら退職後すぐに失業給付金が受け取れる

自己都合退職の場合、退職してから失業給付金を受け取るまで数ヶ月の猶予が必要になりますが、希望退職の場合は会社都合退職として扱われるため、退職後すぐに給付金が受け取れます。

また、転職の面接でも理由を説明しやすく、かつ会社都合退職よりも印象が良いのも希望退職のメリットだといえるでしょう。

希望退職とリストラの違いは退職が強制されるかどうか

希望退職とリストラ(整理解雇)の違いは退職が強制されるかどうかです。

希望退職の場合、退職を強制することは認められませんが、リストラは会社の経営危機による強制的な解雇を指します。

希望退職はリストラの前に行われる、円滑に人員削減する一つの手段として導入されています。今後リストラの対象になる可能性がある場合は、希望退職に応じたほうが良い条件で退職できることもあります。

希望退職の流れ【フローチャート図つき】

希望退職は、以下のフローチャート図のように進められていきます。

希望退職の流れフローチャート。希望退職→面談→希望退職(2次、3次…)→退職

  1. 希望退職募集
    希望退職はまず、年齢、勤続年数、階級などの条件とともに募集が公示されるのが一般的です。
  2. 面談
    希望退職の募集開始前後には、条件に該当する従業員は上司と面談を行います。面談を経て希望退職を受け入れた場合は、募集期間内に希望退職制度に応募することになります。
  3. 募集期間
    期間は2週間~1ヶ月程度が一般的で、1次、2次、と複数回募集される場合もあります。募集が2度、3度と行われるにつれて退職金の減額など条件が悪くなることがあるため、会社に見切りをつけているのであれば決断は早めにしたほうが良いでしょう。
  4. 退職
    引継ぎや有休消化を終えて退職したら、退職金を受け取ることができます。

希望退職を拒否したい場合は?注意点も

希望退職をしたくないと考えている方もいるでしょう。

ここでは希望退職を拒否した場合どうなるかや、面談で希望退職を拒否する際の注意点をご紹介します。

希望退職を拒否したらどうなる? 

希望退職は強制ではないため、当然拒否することができます。

希望退職を拒否した場合は、企業に残ることができますが、これまでと同じ条件で働けるとは限りません。

希望退職を募るということは会社の業績が下がっているということですから、基本給や賞与、手当などが減額される可能性もあります。人員を削減した分、一人あたりのノルマや業務が増えることもあるでしょう。また、会社から異動や出向を命じられることもあります。

もし、希望退職を拒否した後に自己都合で退職すると当然、希望退職の恩恵は受けられません。

希望退職には慎重に応じるべきですが、拒否したからといってそれまでと同じ生活ができるとは限らないため、会社の経営状況や自分の評価と照らし合わせてベストな判断ができるようにしましょう。

希望退職における面談での注意点

希望退職の面談で、希望退職を拒否するために覚えておくべきポイントをご紹介します。

面談前に意思をはっきりさせておく

希望退職に応じるのか、応じないのか、面談前に自分の中で意思を固めておきましょう

企業側は面談前に退職させたい社員を決めており、説得するために面談を行います。意思を固めずに面談に臨んでしまうと説得に乗せられ、十分に納得しないまま希望退職に応じることになってしまうかもしれません。

想定質問への答えを用意する

希望退職を促す面談では、企業からの質問に答えられるよう、回答を用意しておきましょう。

希望退職の面談でよく聞かれる質問とその回答例は以下の通り。大切なのは、遠慮することなく、はっきりと会社に残りたいという旨を伝えることです。

質問

回答例

希望退職を希望しますか?

退職を考えていないので、希望しません。

長期的なキャリア目標は何ですか?

今後もこの会社に残り、自分のできる仕事をすることです。

会社から自分はどのように評価されていると思いますか?

私は全力で自分の仕事をしています。それが会社に伝わっていると思っています。

今後、どのように成果を出して行くつもりですか?

会社の経営戦略が決まりましたら、同じ課の人と共に考えて行きます。

あなたに任せる仕事がなくなると思います。

今ある仕事を頑張りたいと思います。

再就職の支援もあるので一度相談してほしい。

退職する気はないので結構です。

引き続き面談をしてもいいですか?

退職する気はないので、面談は必要ありません。

質問には簡潔かつはっきり答えるようにしましょう。質問に自信を持って答えられなければ、退職するよう説得されてしまう可能性もあります。

また、自分から長く話をしてしまうと、そこに付け込まれ面談を長引かせる口実をつくってしまうこともあるので注意しましょう。

会社に残りたいという自分の考えに対して、上司がどのように説得してくるのか十分に想定したうえで面談に挑みましょう。なお、希望退職に応じる場合も退職後の進路についての質問などはされる可能性が高いため、回答を考えておいたほうが良いです。

希望退職に応募する場合の注意点

希望退職の募集に応自体場合も、応募の前に注意すべき点があります。

希望退職で確認すべき条件

希望退職の募集が発表されたら、まずは条件を確認しましょう。チェックすべき項目は以下の通りです。

  • 退職金の支払いの有無
  • 割増退職金の支払い額
  • 未消化有給休暇の買い上げの有無
  • 退職日前の有給による就業不要期間の付与の有無
  • 希望がある場合の再就職の支援の有無

希望退職では、対象者の自主的な応募を促すため、自己都合退職やリストラより魅力的な条件が設定されます。

どのような条件が設定されるかは企業に任されているため、希望退職の通達がきた際、しっかり確認するようにしましょう。

希望退職で受け取れる退職金の額は、会社の資金繰りの状況や、雇用調整の必要性によって大きく異なるため、相場を出すことはできません。

ただし、中小企業の勤続年数による退職給付額(会社都合)の平均は東京都産業労働局の調査により判明しています。この金額より高いかどうかが一つの基準となるかもしれません。

中小企業の退職金相場(大学卒の場合)一覧表。以下、勤続年数:年齢,退職金の額(会社都合)。3年:25歳,37.5万円。5年:27歳,62.5万円。10年:32歳,152.7万円。15年:37歳,284.7万円。20年:42歳,457.7万円。25年:47歳,646.7万円。30年:52歳,856.0万円。33年:55歳,995.9万円。

※参考:中小企業の賃金・退職金事情調査(2016年)|東京都産業労働局

※退職金について詳しくは→退職金はいくらもらえる?相場は?勤続年数&理由別一覧

希望退職に応募しても対象外となる場合も

希望退職に応募したいと思っても、会社にとって必要な人材は対象外とされていることもあるので注意が必要です。

希望退職を承諾するかどうかの権利は会社が持っています。希望退職に応募したのに承諾されず会社に残った場合、気まずい思いをしたり、折角考えた退職後のプランが崩れてしまたりするかもしれません。

対象外の場合は会社側が事前に知らせてくれる場合がほとんどですが、気になる場合は、応募前に上司に自分が希望退職の対象かどうか尋ねることをおすすめします。

希望退職する場合は退職後の生活を考えておく

希望退職後の生活プランを立てておくことが希望退職に応じた後の後悔を減らすために最も大切なことです。

希望退職すると、給与や社会保険、福利厚生など企業に所属することで得ていた恩恵は全てなくなってしまいます。

住居が社宅だった場合は引っ越しや新規入居の費用が掛かりますし、無職の状態では住宅ローンや自動車ローンを組んだりクレジットカードに加入したりすることも難しくなります。

希望退職に応じる場合は、退職後の生活プランをしっかり立てることが不可欠だといえるでしょう。

20~40代は再就職が基本

20~40代はまだまだ働き盛りであり、そこまでの貯えもないため、希望退職後も再就職する人がほとんどです。

20代はポテンシャルで評価される傾向にありますが、30代、40代と年を経るにつれて即戦力であるとアピールすることが重要になります。自分の経験やスキルを棚卸して転職に挑みましょう。

※30代の転職について詳しくは→30代で転職成功!失敗しないテクニック
※40代の転職について詳しくは→40代の転職で成功するための5ステップ

50代以降はアーリーリタイアも

50代以降の希望退職者の中には、アーリーリタイアを考える方もいます。アーリーリタイアとは、定年まで働かず退職することです。

50代以降は、転職が難しくなり、転職できたとしても年収が下がる可能性も覚悟しなければなりません。もし以前から準備していたのであれば、これを機にアーリーリタイアするのも一つの考え方です。

アーリーリタイアを考えている場合は、資産運用の専門家に相談し、計画的に準備を進めることをおすすめします。

※参考:会社員”50歳引退”には最低いくら必要か|PRESIDENT Online

まとめ

この記事では希望退職の内容や流れについて解説しました。

希望退職に応じるかどうかは非常に難しい判断ですが、この記事を参考にメリット・デメリットを比較して慎重に判断してみてください。

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