男女・正規非正規の厳しい格差 実際、転職で給料は下がるの?

「転職すると給料が下がる」とよく耳にしますが、それは本当なのでしょうか?

ここでは、転職と給料の関係や疑問について解説していきます。

【男女別】転職すると給料は下がるの?

まずは、転職すると本当に給料が下がるのかどうかについて解説します。

転職した正社員の約3割は給料が下がっている

リクルートの「全国就業実態パネル調査」によると、転職した正社員の26.8%が転職前に比べて給料が10%以上下がっています

転職によって4人に1人は給料が大きく下がっていることになります。

一方、給料が10%以上アップした正社員の割合は32.2%、変わらなかった割合は23.8%です。

男女別に詳しい数字を見ていきましょう。

※参考→全国就業実態パネル調査2019データ集|リクルートワークス研究所

【男性】高齢になるほど給料が下がりやすい

転職による年収の変化を表したグラフ(男性・正規の場合)。前職比がマイナスになった割合 15~24歳:9.8%、25~34歳:26.6%、35~44歳:34%、45~54歳:42.3%、55~64歳:58.2%、※65歳以上47.1% ※65歳以上の正規はサンプル数が少ない(16人)

転職による年収の変化を表したグラフ(男性・非正規の場合)。前職比がマイナスになった割合 15~24歳:26.5%、25~34歳:41.6%、35~44歳:46.9%、45~54歳:40.9%、55~64歳:69.6%、65歳以上:60.6%

高齢での転職ほど給料は下がりやすい

男性の場合、正規・非正規にかかわらず、転職時の年齢が上がるほど給料が下がりやすい傾向にあります。

「同じ会社でどれだけの期間働いたか」が給料に反映されやすいとも言え、かつての年功序列制度がまだ色濃く残っていることが伺えます。

非正規の転職は給料の振れ幅が大きい

非正規雇用の男性の場合、正規雇用に比べてどの年代の転職でも給料の上がり幅・下がり幅が大きいことがわかります。

特に55~64歳の転職では、40%以上給料が下がったと答えた人が約5割となっています。

 【女性】年齢による差が小さいのが特徴

転職による年収の変化を表したグラフ(女性・正規の場合)。前職比がマイナスになった割合 15~24歳:26.1%、25~34歳:39.8%、35~44歳:32.6%、45~54歳:36.1%、55~64歳:38.9%、※65歳以上:33.3% ※65歳以上の正規はサンプル数が少ない(2人)

転職による年収の変化を表したグラフ(女性・非正規の場合)。前職比がマイナスになった割合 15~24歳:39%、25~34歳:51.5%、35~44歳:49.9%、45~54歳:43.9%、55~64歳:51.1%、65歳以上:60.1%

転職時の年齢による給料の振れ幅は小さい

女性の場合、男性に比べて年齢による給料の振れ幅が小さい傾向にあります。

例えば、正規雇用の男性では、15~24歳で転職して給料が40%以上アップした人が約3割であるのに対し、同年代の女性では約1割にとどまっています。

非正規の転職は男性同様、給料の振れ幅が大きい

非正規雇用の女性の場合、非正規雇用の男性と同じく、どの年代の転職でも給料の振れ幅が大きいようです。

また、全体的に40%以上給料が下がったと答えた人が多く、非正規雇用の女性は転職によって給料が大きく下がるリスクが大きいといえるでしょう。

転職で給料が下がりやすい3つのパターン

転職で給料が下がりやすいケースとして、以下の3つが挙げられます。

30代で未経験職種への転職

30代での転職で、未経験の職種にキャリアチェンジをする場合、スキルや経験の不足から給料が下がるケースが多いようです。

逆に、これまでのキャリアを生かせる転職先を選べば、給料アップが見込める可能性もあります。

公務員への転職・公務員からの転職

大企業から公務員に転職すると給料が下がるケースがあります。

公務員の給料は多くの民間企業の賃金を基に決められているため、給料が高い一部の大企業に比べると金額が低くなる傾向にあるためです。

また、公務員から中小企業に転職した場合も給料が下がることが多いようです。公務員の場合、地域手当や住居手当、扶養手当などさまざまな手当がつきますが、中小企業ではそうした手当があまり充実していない傾向にあるからです。

看護師の「日勤のみ」への転職

看護師では、夜勤ありの病院から日勤のみの病院に変わった場合、夜勤手当がなくなって給料が下がることが多いようです。

ただし、夜勤手当があれば収入は増えるものの、昼夜逆転の生活になって健康に支障をきたすこともあるため、健康維持のためにあえて日勤のみの病院へ転職するケースもあります。

転職で給料が下がったら家計の見直しが必要

大幅に給料が下がった場合、家賃や光熱費、通信費や保険料などの固定費を見直し、節約する必要があります。

転職で年収が下がること自体は珍しくなく、家計への影響を考慮して転職先を検討する必要があります。

給料が下がっても転職すべき場合・そうでない場合

転職で給料が下がることはできれば避けたいものですが、実際には給料が下がってでも転職した方がいい場合もあります。

詳しくみていきましょう。

転職すべき…給料よりも重視したいことがあるとき

給料よりも重視したいことがある場合は、たとえ給料が下がったとしても転職すべきです。

転職することでスキルアップしたい、もともとやりたかった仕事にチャレンジしたい、家族との時間を増やしたいなどの理由がある場合、給料が下がったとしても転職したことに価値を見出すことができるでしょう。

また、今の職場で長時間労働やパワハラなどにより、心身にダメージを受けているときも転職を検討すべきでしょう。たとえ転職で収入が減ったとしても、労働環境を改善して自分を守ることを優先しましょう。

転職を考え直すべき…給料が大幅にダウンするとき

給料が大幅にダウンするときは、転職を考え直した方が良いでしょう。例えば、月給25万円の人が転職で10%給料が減る場合、手取りは月に約20,000円少なくなります。

ただし、十分な貯蓄がある、副業で給料が減った分を補うことができるなどの場合は、ある程度給料がダウンしても生活スタイルを変えずに済むでしょう。

転職により給料が下がったときのQ&A

最後に、転職で給料が下がったときによくある疑問について解説していきます。

旦那が転職して給料が下がったらどうする?

夫婦で話し合い、家計の節約や、妻の収入を増やす方法を検討しましょう。例えば、月々の固定費を見直したり、交際費を減らしたりするといった方法があります。

また、専業主婦の場合は復職先を探す、パートの場合は正社員登用を目指すなどして世帯年収を増やすのも良いでしょう。

※世帯年収について詳しくは→世帯年収の平均は?家計内訳モデルも公開

転職で給料が下がるともらえる手当はある?

離職期間があり再就職手当をもらっていて、さらに再就職先での賃金が下がった場合は就業促進定着手当をもらえる場合があります。支給には条件があるので、詳しくは最寄りのハローワークにお問い合わせください。

※再就職手当について詳しくは→再就職手当をもらうための8つの条件とは?

※就業促進定着手当について詳しくは→就業促進定着手当とは?計算式や申請方法

転職で給料が下がったときの税金はどうなる?

転職で給料が下がった場合、住民税が大きな負担になることがあります。住民税は前年の収入をもとに計算されるため、転職により給料が下がった状態で天引きされると割高になるためです。

例えば、東京都港区在住で独身、月給25万円(年収300万円)の場合、住民税は年間で約16万円=年収の約5%です。

しかし、その翌年に転職して月給22万円(年収264万円)になった場合、前年度の収入をもとにした住民税を支払わなければならないため、約16万円=年収の約6%となり、負担が大きくなります。

一方、社会保険料は転職後の給料をもとに計算されるため、給料が下がればその分天引きされる額も減少します。

まとめ

転職で給料が下がる場合、自分が仕事に対して何を求めているのか、その後の生活はどうなるのかを考えることが大切です。

給料よりも重視したいものがある場合は、給料が下がることを気にせずに思い切って転職した方が良いこともあります。転職を後悔しないよう、しっかりとシミュレーションしておきましょう。

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