【大卒】初任給の平均は?手取り・控除も徹底解説

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就職活動を行う上で、誰もが気になる初任給の金額。初任給は企業や職種だけでなく、地域によっても差がつく場合があります。

ここでは業界・職種別の初任給の平均額を紹介するとともに、初任給の高い企業や地域をランキング形式で紹介します。

【目次】
1.大卒の初任給平均額は約20万円
大卒の初任給の平均額
大卒初任給の推移 金額は上昇傾向に
初めての給料日、満額もらえるとは限らない
初任給はほぼ全額が手取りとなる
2.【職種別】気になる初任給は?
公務員研究職看護師技術者事務員
【コラム】文系と理系は年収で差がつく場合も
3.学歴や地域で異なる初任給
学歴が高いほど初任給も高い
関東圏は高給! 初任給が高い都道府県ランキング
初任給の平均額、男女で差が出る理由は?
IT強し! 初任給が高い業界ランキング
4.初任給の高い企業は?
初任給の高い企業ランキングベスト5
学生からの人気が高い企業ランキング
5.まとめ

1.大卒の初任給平均額は約20万円

初任給とは、社会人になって初めて受け取る給料のことです。基本給に加えて、通勤手当や住宅手当などの各種手当を合算した金額を指します。

大学を卒業した人の初任給について、厚生労働省の「平成28年度 賃金構造基本統計調査」をもとに見てみましょう。

大卒の初任給の平均額

厚生労働省の調査によると、大学卒業者の初任給の平均額は20万3,400円です。

毎月同じ金額をもらい、ボーナスはないと仮定して試算すると、年収は244万800円となります。

この調査では6月分の所定内給与額を対象にしているため、1ヶ月分がまるまる反映された金額です。実際に新卒で働き始めた人が4~5月に「初任給」としてもらう金額は、給料日と締め日の関係で満額支払われないこともありますので注意しましょう。

大卒初任給の推移 金額は上昇傾向に

大卒初任給の平均額がどう推移してきたかを見てみると、アップダウンを繰り返してはいるものの、2016年度は20万3,400円で過去10年間の最高額となっています。

これはここ数年の人手不足により、新卒採用においても売り手市場となっている影響が考えられます。2017年4月には有効求人倍率が1.48倍を記録し、バブル期の水準を超えています。初任給を上げることで、1人でも多くの優秀な新卒者を採用したいという企業側の思惑が見て取れます。

初任給の推移を表した棒グラフ。

※参考→「平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」(厚生労働省)

ただし、これから就職活動をする人が応募する企業を選ぶ際、初任給だけを見るのはナンセンス。企業の平均年収やポジションが上がるとどのくらい昇給できるのかも併せて確認しておきましょう。

初めての給料日、満額もらえるとは限らない

就職して最初の給料日には、求人票に書いてあった初任給の満額をもらえるとは限りません。給料の締め日と支払日(給料日)のタイミングによりますが、たいていは締め日までの給料を日割りでもらう形になります。

たとえば「15日締めの25日支払い」という企業であれば、15日までの分の給料を、25日にもらえることになります。

4月中に最初に給料日が来るにもかかわらず満額がもらえるのは、たとえば「月末締め・25日払い」というように、締め日の前に給料日が来るパターンのみ。多くの人は、5月の給料日にはじめて満額の初任給を手にすることになります。

初任給はほぼ全額が手取りとなる

初任給が大卒者平均の20万3,400円の場合、手取り金額は19万7,950円。初任給からは控除される項目が少ないので、それ以降よりも手取り額が高くなります。

「手取り額」とは、会社から支給される「額面」給与から、税金や保険料などが「控除」として差し引かれ、実際に手にすることにできる金額のことです。初任給からは、所得税と雇用保険料のみが引かれます。

健康保険料や厚生年金保険料は翌月徴収としている企業が多いため、引かれる金額が大きくなります(一部、初任給からも引かれる企業あり)。また、2年目からは住民税も引かれるので、手取り額は額面の8割程度になります。

以下に給料から引かれる項目と、初任給が大卒平均の20万3,400円だった場合の手取り額をまとめました。

初任給から引かれる項目

・雇用保険…失業したときに失業給付金を受給するための保険。給与の0.3%が引かれる。

・所得税…個人の所得(給与)に対して発生する税金。規定の金額が引かれる。

◆手取り金額=19万7,950円
=20万3,400円-雇用保険(610円)-所得税(4840円)

初任給の翌月から引かれる項目

・厚生年金保険料…将来、年金を受給するために支払う掛け金。企業と労働者で折半した規定の金額が引かれる。

・健康保険料…病気や怪我の治療費の自己負担額を軽くするための保険。企業と労働者で折半した規定の金額が引かれる。

◆手取り金額=17万858円
=20万3,400円-雇用保険(610円)-健康保険料(9910円)-厚生年金保険料(18182円)-所得税(3840円)

就職2年目から引かれる項目

・住民税…在住する都道府県や市町村に納める税金。前年1年間の所得に応じて発生。

◆手取り金額=16万3745円
=20万3,400円-雇用保険(610円)-健康保険料(9910円)-厚生年金保険料(18182円)-所得税(3840円)-住民税(7113円)

このほか、企業によっては労働組合費や共済費、積立金、社宅の家賃なども控除される場合があります。

控除額の計算方法について詳しく知りたい方は「誰でもわかる給料の手取り計算方法&平均給与の実態」をご覧ください。

※参考→イージー給料計算

2.【職種別】気になる初任給は?

ここでは「平成28年賃金構造基本統計調査」のデータを元に、公務員、研究職、看護師、技術者、事務員の初任給の平均額を紹介します。

ただし、同じ職種でも企業や働く地域によって初任給は異なります。また、公務員の場合は基本給が決まっていても、通勤手当や住宅手当、残業手当などによって初任給は変動します。

公務員は国家と地方で4~5万の格差

公務員には国家公務員と地方公務員があり、国家公務員法や地方公務員法によってそれぞれ給与が定められています。

国家公務員の場合

内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(平成28年度版)」によると、国家公務員の総合職の初任給は22万1,840円、一般職は21万5,640円です。ただし、手当などにより金額は変動する可能性があります。

総合職は将来の幹部候補を目指せるポジションで、キャリア官僚と呼ばれることもあります。多くの部下をまとめるマネジメント能力やゼネラリストとしての資質が求められる職種です。

一般職は中堅幹部候補を目指すポジションで、所属する省庁や機関によって仕事内容も大きく変わります。主に専門的なスキルを磨くことが多いようです。初任給は総合職に比べて若干低いですが、大卒の平均初任給は上回っています。

地方公務員の場合

地方公務員の初任給は地域や所属する機関によって変動するものの、概ね18~20万円程度のところが多いようです。

一般に「公務員」としてイメージされるのは地方行政職ですが、警察官や消防士、学校教諭や看護師、保健師なども公務員に含まれます。具体的な初任給の例は以下の通り。

・東京都Ⅰ類(事務)(大卒):21万7,400円
※出典:東京都職員採用

・大阪府行政職(大卒):18万800円
※出典:大阪府 職員のモデル年収額

・愛知県行政職(大卒):20万4,200円
※出典:愛知県職員採用情報

研究職は約21万円で前年より増額

研究職の初任給は21万1,706円で、大卒全体の平均初任給を上回っています。前年度の調査にくらべ、6,000円程度増額しています。

なお、有名企業の研究職は倍率も高く狭き門であり、企業によっては大卒ではなく大学院卒を採用条件としているところも少なくありません。例えばDHCの場合、大学卒業生の総合職の募集が20名なのに対して研究職はわずか5名となっています(2018年度新卒採用)。東京都立産業技術研究センターのように研究職の募集は「若干名」という企業もあります。

看護師は約21万円で前年より増額

看護師の初任給は21万1,346円で、前年の20万6,577円より増額しています。

看護師は資格職で給与が高いイメージがありますが、実際は夜勤に入ったときにもらえる「夜勤手当」で稼いでいるケースがほとんどです。そのため、夜勤の少ない新人の初任給は、ほかの職業と大差ないようです。

なお、夜勤手当については病院ごとに独自の基準が設けられています。三交代制の場合は一回の夜勤につき平均4,000~5,000円、二交代制の場合は平均1万円程度の手当が支給されます。

技術者は約20万円で前年よりわずかに増額

技術者の初任給は20万1,932円であり、前年の20万174円よりわずかに増額しました。

新卒の技術者の需要は高まっており、とくに大手自動車メーカーや電機メーカーが採用に積極的に乗り出しています。人材確保を目的に、初任給や1年目のボーナスを引き上げる企業もあります。

事務員は約20万円で前年よりわずかに増額

事務員の初任給は19万7,294円で、前年の平均額19万6,271円よりわずかに上昇しました。事務職は人気の高い職業である一方、昇給が少なく年収が上がりにくいというデメリットがあります。事務職の中でも秘書や貿易事務は平均年収が高い傾向にあるようです。

【コラム】文系と理系は年収で差がつく場合も

事務職(文系)と技術職(理系)の初任給に大きな差はありませんが、経験を積むと差が出てくることがあります。

実際、経済産業研究所の調査によると、文系出身者(男性)の年収は559万200万円、理系出身(男性)の場合は600万9900円と、約40万円の開きがあります。いずれも平均年齢は46歳です。

理系出身者は、専門的な知識やスキルの素地があり、専門職として経験を積んでいくケースが多いため、年齢を重ねるにつれてしっかり給料が上がっていくケースが多いようです。

※参考→「理系出身者と文系出身者の年収比較∗-JHPS データに基づく分析結果- 」(独立行政法人経済産業研究所)

3.学歴や地域で異なる初任給

初任給は将来の給与のベースともなります。そのため、なるべく条件の良いところに就職したいという方は多いでしょう。ここでは学歴や地域によって異なる初任給事情について紹介します。

学歴が高いほど初任給も高い

一般に院卒や大卒、高卒など最終学歴によって初任給の金額は変化し、最終学歴が高いほど初任給の金額も高くなります。これは業界・業種問わず共通している傾向です。

例えば、事務職の例を見てみましょう。

学歴

平均初任給(円)

大学院博士課程修了

24万1,093

大学院修士課程修了

22万2,188

大学卒

19万7,294

短大卒

16万9,564

高校卒

15万8,199

※出典→「民間給与の実態 (平成28年職種別民間給与実態調査の結果)表2  初任給関係職種の職種別事業所数等及び平均初任給月額 」(人事院)

高卒で事務員になった場合の平均初任給は15万8,199円なのに対して、大卒は19万7,294円と、高卒と大卒で4万円近くも差があります。さらに修士、博士と初任給はアップするため、同じ事務職であっても初任給には大きな差ができるのです。

ただし、日本の新卒採用では、初任給でも高額を出さなければならない修士、博士修了者を「オーバースペックである」と避けることもあるため、学歴が高すぎると就職先を見つけるのが難しくなる傾向もあります。
※詳しくはこちら→「一度なってしまうと抜け出せない?! 今も深刻な『ポスドク問題』」。

関東圏は高給! 初任給が高い都道府県ランキング

初任給は地方によっても変動します。一般に都会は高給で、地方はそれほどでもない傾向があるようです。初任給の高い都道府県ランキングは以下の通り。

初任給の高い都道府県ランキングの表。以下、順位:都道府県,初任給(万円)。1:東京,21.13、2:神奈川,20.73、3:栃木,20.57、4:千葉,20.50、4:愛知,20.50、6:埼玉,20.45、7:大阪,20.43、8:滋賀,20.09、9:京都,20.08、10:静岡,20.06…47:沖縄,16.59。

※参考→「平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況 」(厚生労働省)

堂々1位は東京の21万1300円。トップ5位には、神奈川・栃木・千葉と関東圏の地域が集中しています。また、愛知が5位、大阪が7位と、地方の主要な大都市も初任給が高い傾向にあります。

一方、初任給最下位は沖縄の16万5900円。46位の鳥取とは1万7000円もの差がついています。沖縄県は労働者全体の平均年収でも最下位のため、お金を稼ぐにはなかなか厳しい状況があるようです。

初任給の平均額、男女で差が出る理由は?

労働基準法では「労働者が女性であること」を理由に賃金差別を行うことは禁止されており、求人票を見ても男女で初任給の違う仕事はありません。

しかし、厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」における男女の初任給を比較すると、男性は20万5,900円、女性はちょうど20万円と、女性のほうがわずかに低くなっています。これは、女性が比較的給与の低い一般職や事務職に就く傾向にあるためと考えられます。

また、国税庁の「平成27年民間給与実態調査」によると労働者全体の平均年収は男性が約520万円、女性は約276万円と倍近い差がついています。女性は結婚や育児のためにキャリアが途切れたり、アルバイトやパート勤務を選んだりすることが多いため、収入減につながっていると考えられます。

IT強し! 初任給が高い業界ランキング

初任給は、業界・職種によっても異なります。厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」を元に、初任給の高い産業をランキング形式でまとめました。

初任給の高い産業ランキング表。以下、順位:産業区分,初任給。1:情報通信業,21万2000円、2:建設業,21万200円、3:生活関連サービス業・娯楽業,20万4800円、4:学術研究・専門・技術サービス業,20万4200円、5:卸売業・小売業,20万3800円、6:サービス業(他に分類されないもの),20万3600円、7:金融業・保険業,20万2700円、8:製造業,20万2000円、9:教育・学習支援業,20万600円、10:医療・福祉,19万6700円、11:運輸業・郵便業,19万2800円、12:宿泊業・飲食サービス業,19万1700円。

1位は情報通信業で21万2000円、2位は建設業で21万200円となっています。

一般に人材に対する需要の高い業界は、初任給が高額になる傾向があります。情報通信業(IT業界)はインターネットの普及に伴い業績を伸ばしている企業も多く、初任給が高額になっているようです。建設業は被災地の復興事業や2020年の東京オリンピックに向けた建設が進んでいることもあり、需要が高まっています。

一方、初任給がもっとも低い業界は宿泊業・飲食サービス業です。この業界は離職率が高く、多くの企業が人材確保に悩んでいます。ブラック企業や過労死問題が注目されているものの、労働環境の改善や賃金上昇に至る企業はまだ少数のようです。

4.初任給の高い企業は?

これから就職活動を始める人の中は、できれば初任給の高い企業で働きたいと考えている人も少なくないのでは。ここでは初任給の高い企業や、新卒の就職先として人気の企業の初任給を調べてみました。

初任給の高い企業ランキングベスト5

大卒初任給の平均額は20万3,400円ですが、もちろん企業によって差があります。ここでは『会社四季報2017年春号』を参考に、初任給の高額な企業ベスト5を紹介します。

最高額は月額50万円と、平均の2倍以上の初任給をもらえる企業もありました。

1.日本商業開発株式会社 50.0万円

大阪市中央区に本社を構え、不動産投資事業やサブリース・賃貸借・ファンドフィー事業、企画・仲介事業を行っている企業です。新卒採用を始めたのは2014年からで、将来の幹部候補として優秀な人材を確保するために「超難関企業」と銘打ち、初任給を50万円と設定したことが話題になりました。初任給だけでなく平均年収も1,741万円と高額です。

2.GCA株式会社 37.5万円

東京都千代田区に本社を構え、M&A取引に関するアドバイザリー事業を行っている企業です。初任給の面では日本商業開発に劣りますが、平均年収は2,139万円と高額で群を抜いています。就業後はグローバルに活躍するアナリストとして専門的な能力が必要とされるため、初任給も高額になっています。

3.グリーンランドリゾート株式会社 34.0万円

熊本県荒尾市に本社を構え、観光事業及び旅館業、遊園地、ゴルフ場などアミューズメント施設の経営、不動産事業を扱っている企業です。平均年収は398万円です。宿泊サービス業や娯楽業は離職率が高いので、このように人材を確保する目的で初任給を引き上げている企業も多数あります。

4.KLab株式会社 32.0万円

東京都港区六本木に本社を構え、主にソーシャルゲームの開発・運営を行っている企業です。平均年収は532万円です。IT業界ではITエンジニアを確保するための競争が激化しており、やはり高額な初任給で人材を集める企業が増えています。

同率4.株式会社リブセンス 32.0万円

東京都品川区上大崎に本社を構え、インターネットメディア運営事業を手掛ける企業です。2006年設立と、ランクインした企業の中ではもっとも新しい企業となっています。平均年収は515万円です。

※出典→「最新!これが『初任給の高い』トップ500社だ」(東洋経済オンライン)

※初任給は2016年の月額で年俸制は除外しています。

学生からの人気が高い企業ランキング

続いて就活生に人気の企業の初任給を見てみましょう。上位10位の内3社がメガバンクで、企業に安定性を求める就活生の傾向が伺えます。

多くの企業の初任給は平均以上であるものの、飛び抜けて高額というわけではないようです。さらに、勤務地域が限定される一般職などでは初任給が平均以下という例もありました。

学生からの人気が高い企業のランキング表。以下、順位:社名_職種,初任給。1:みずほフィナンシャルグループ_基幹職(総合/専門),20万5000円、特定職,19万5000円、2:三菱UFJ銀行_総合職_総合職(特定)_ファシリティマネジメント職,20万5000円,アソシエイト職,19万5000円、3:全日本空輸_グローバルスタッフ職(事務・技術),21万6444円。運航乗務職(自社養成パイロット) _客室乗務員,17万7319円※一律手当含む…10	:サントリーグループ_ビジネス部門・財経部門・生産研究部門,22万7000円。

※参考→【大学生】2018年卒 就職希望・人気企業ランキング(キャリタス就活2018)

このように、学生から人気の高い企業の初任給は、平均と大差ありません。就職活動ではつい初任給の金額に注目しがちですが、長く勤めることを考えれば年収の伸び率をチェックすることも大切です。

昇給のペースが遅かったり、昇給の天井が低かったりすると、初任給が高くても経験を積んでから給料に不満を抱く原因になりかねません。これから就職活動をする人は、初任給だけでなく企業の安定性や将来性なども考慮し、総合的に判断して応募する企業を決めましょう。

5.まとめ

大卒の初任給は年々増加傾向にありますが、初任給が高いからといって年収も高くなるとは限りません。また、働く地域や業界、職種によっても平均は異なります。就職活動では初任給の金額を参考程度にとどめ、慎重な企業選びを行いましょう。