よくある理由や退職の判断基準 正社員を辞めたいときに考えてほしいこと

仕事がつらい、別の目標や夢が見つかったなどの理由で「正社員を辞めたい」と考えたことのある人は少なくないはず。

よくある正社員を辞めたい理由や、辞めるかどうかの判断例を紹介します。

正社員を辞めたい理由5つ

よくある正社員を辞めたい理由としては、以下の5つが挙げられます。具体的な状況とともに確認していきましょう。

【「正社員を辞めたい」よくある5つの理由】 (1)責任が重い (2)待遇や労働条件に不満がある (3)人間関係に悩んでいる (4)家事や育児との両立が難しい (5)他にやりたいことが見つかった

責任が重い

正社員ならではの責任の重さから、ストレスやプレッシャーを感じて辞めたいと考えることは珍しくありません。

具体的には、部下のミスの責任をとったり、自分の売上だけでなく、部署全体の売上を意識しなければならなかったりすることが挙げられます。

▼よくあるケース
店長に昇進したことをきっかけに、自分だけでなく店舗全体の売上を常に意識しなければならなくなった。さらにスタッフの管理もしなければならないため、責任が重いと実感するようになった。

待遇や労働条件に不満がある

「正社員の割に待遇や労働条件が良くない」と感じて辞めたいというケースもあります。

例えば、給料やボーナスが仕事量や責任の重さに見合わない、休みが少ない、残業が多いなどです。

▼よくあるケース
シフト制でなおかつ人手不足なので、アルバイトの補填をするために休みの希望が通りにくく、休みの予定が立てられない。さらに連休もあまり取れないため、プライベートの時間を楽しめないことに不満を感じている。 

人間関係に悩んでいる

職場の人間関係に悩み、正社員を辞めたいと考える場合もあります。

上司や部下、同僚との関係がうまくいかないと、いろいろと忖度しなければならない正社員という立場に嫌気がさしてしまうことも。

また、スキルの高い派遣社員やアルバイトを見て「自分は正社員なのに、派遣スタッフやアルバイトスタッフよりも仕事ができないなんて……」と自己嫌悪に陥るケースもあるようです。

▼よくあるケース
ベテランのアルバイトよりも仕事ができないと自覚しており、肩身が狭い。アルバイトの方に「正社員なのにこんな仕事もできないの?」などと言われたりすることもあり、正社員という立場がつらいと感じている。 

家事や育児との両立が難しい

正社員は勤怠の融通がききづらく残業も多いため、家事や育児との両立が難しく辞めたくなってしまうことも。

こうした状況はとりわけ女性に多く「帰宅が遅く家事が疎かになってしまう」「子どもが体調不良になると欠勤せざるを得ないため、業務量の調整が難しい」といった悩みを抱えています。

▼よくあるケース
子どもが体調を崩して病院通いをすることが多く、その度に欠勤している。急に休むことになり、同僚に仕事を頼むことも多いため、周りの人々に迷惑をかけている自覚もあり、心労が絶えない。

他にやりたいことが見つかった

正社員としての仕事以外にやりたいことが見つかり、辞めたいと考えることもあります。

海外で働きたい、フリーランスで好きなことを仕事にしたいなど、正社員では実現が難しい夢や目標ができた時に、辞めることを決断するケースも。

▼よくあるケース
副業で行っていたブログの収入が安定し、ウェブサイトでの執筆依頼も増えてきた。そのため、正社員を辞めてブロガーに専念したいと考え始めた。 

【体験談】正社員を辞めるメリット・デメリット

正社員を辞めて、派遣社員やフリーランスといった非正規雇用になった場合のメリットやデメリットを、体験談をもとに紹介します。

【正社員を辞めるメリット】 ・勤務日や勤務時間を調整しやすい ・責任やプレッシャーが少なくなる ・仕事を選びやすい 【正社員を辞めるデメリット】 ・給料が下がる ・社会的信用が低くなる ・正社員に戻りたくても戻りにくい

正社員を辞める3つのメリット

正社員を辞め、契約社員やアルバイトとして働くと、以下のようなメリットがあります。

勤務日や勤務時間を調整しやすい

残業の多さから体調を崩し、正社員を辞めてパートに切り替えました。以前よりも休みが取りやすく、残業もほとんどないので、自分のペースで無理なく働けるようになりました

正社員時代よりも体調が良くなったことはもちろん、精神的にも負担が減りました。

(20代女性・事務)

責任やプレッシャーが少なくなる

営業職の正社員だった頃は毎日ノルマに追われ、上司から「どうにかしてノルマを達成するように」とプレッシャーをかけられていました。

契約社員として働いている現在はノルマがなく、ストレスが少なくなり、やるべき仕事に丁寧に取り組むことができるようになりました

(20代男性・販売)

仕事を選びやすい

SEとして正社員で働いていましたが、退職後は以前から興味のあった観光ガイドのアルバイトとして働いています。

正社員の求人は経験者が優遇されるものが多いですが、アルバイトの求人は未経験者OKだったので、観光業に携わったことのない私でも採用されました。好きなことを仕事にできて充実した毎日を送っています。

(30代女性・サービス)

正社員を辞める3つのデメリット

正社員ではなく非正規雇用として働くことには、以下のようなデメリットもあります。

給与が下がる

正社員から契約社員になり、ボーナスや残業がなくなったので年収が100万円以上減りました

正社員だった頃は外食も多かったのですが、現在はなるべく自炊で済ませています。仕事のストレスは減りましたが、生活水準を下げるのにかなり苦労しました

(20代女性・飲食)

社会的信用が低くなる

正社員を辞めてアルバイトになったら、賃貸物件の契約時の審査に落ちました

社会的信用が低くなったことを実感し、また正社員に戻ろうかと考えています。

(20代男性・建設)

正社員に戻りたくても戻りにくい

アルバイトとして働き、好きなときに休みがとれる自由な生活を満喫していたものの、収入が安定しないことに不安を感じるようになり、正社員に戻りたいと考えました。

しかし、求人に応募しても正社員としてのキャリアが短いことを理由に不採用となることが多く、アルバイトになったことを後悔しています。

(30代男性・接客)

正社員を辞める?辞めない?5つの判断基準

正社員を辞めたいと考える一方で、「本当に辞めてもいいのだろうか?」と迷うこともあるでしょう。

ここでは、正社員を辞めるかどうか迷ったときの判断基準を紹介します。

 【正社員の辞めてもいい?5つの判断基準】 <正社員を辞めてもOK> ■生活に困らない貯金・不労所得がある ■肉体的・精神的に弱っている ■退職後の明確なビジョンがある <正社員を辞めない方がいい> ■なんとなく「辞めたい」と考えている ■社内で異動希望を出すことができる

正社員を辞めてもいい場合

以下にあてはまる場合、正社員を辞めても問題ないでしょう。

生活に困らない貯金・不労所得がある

退職後しばらくの間は不自由なく暮らしていける蓄えがある、不労所得があるなど、正社員を辞めても金銭的に苦労しないのであれば、辞めても問題ないでしょう

非正規雇用になるとたいてい年収が下がるので、転職先が決まっている場合でも注意が必要です。

肉体的・精神的に弱っている

今の職場で「長時間労働を強いられ体調を崩している」「パワハラやセクハラを受け精神的苦痛を味わっている」などの場合は、自分の身を守るために辞めてもいいでしょう。

ただし、心や体が弱っている時は正常な判断が難しい場合もあるので、まずは辞めずに休職してからゆっくり考えるという方法もおすすめです。

休職中に退職の意思を固めた場合、その間に転職活動をしても良いでしょう。

勢いで退職してしまい、離職期間ができると、再就職しようと思ったときに選考で不利になりかねません

※休職中の転職について→休職中の転職はOK?隠しても大丈夫?休職を不利にしないやり方

退職後の明確なビジョンがある

フリーランスで働く準備ができている、家族の扶養に入って家事や育児に専念する、海外留学をするなど、正社員を辞めた後にどう生活していくかがしっかり計画できていれば、辞めても問題ないでしょう

ただしいくら計画しても、現実と理想にギャップを感じ、後悔するケースもあります。

自分の思い描く働き方や生活をすでにしている知人に話を聞くなどして、入念に調べておくことが大切です。

 退職を考え直した方がいい場合

以下にあてはまる場合は、すぐに正社員を辞めず、もう一度冷静に考えてみることをおすすめします。

なんとなく「辞めたい」と考えている

「仕事に飽きたから」「環境を変えたいから」と漠然とした理由で正社員を辞めてしまうと、その後も同じような状況に陥り、転職を繰り返してしまう可能性があります

短期離職はどうしてもイメージが良くないので、繰り返すたびに希望の求人に通りにくくなることも。なぜ正社員を辞めたいのか、その不満は辞めずに解決できないのか、冷静になって考えてみましょう

※転職を迷っている場合について詳しくは→【仕事辞めたい】この状況なら辞めていい?
※転職癖について詳しくは→【4つの原因別】転職癖の治し方|転職を繰り返すことで待ち受ける末路とは

社内で異動希望を出すことができる

今の会社で異動希望を出せる場合は、正社員を辞めることを一度考え直してみましょう。

仕事内容に不満があったり、部署内の人間関係に悩んでいたりする場合は、異動希望を出して仕事内容や人間関係をリセットすることで、解決するケースもあります。社内に異動希望制度があるか調べたり、上司に異動したい旨を相談したりしてみましょう。

※異動希望について→異動希望の出し方ガイド|理由の例文・書き方のコツ

「辞めたい」と言えない場合はまず相談

正社員を辞めることを決断したものの、上司に「辞めたい」となかなか言い出せない場合は、まずは社内の信頼できる人に相談してみるのがおすすめです。

人に話すことで気持ちが楽になったり、一緒に解決策を考えてもらえることもあります。

ハラスメントなどを受けていて上司に「辞めたい」と言えない場合は、上司のさらに上の上司や、弁護士・社会保険労務士といった労働問題に詳しい専門家、会社の所在地を管轄している労働基準監督署の相談窓口などに相談しても良いでしょう。

総合労働相談コーナーの所在地

コラム:希望に合う企業に「正社員」として転職する方法も

「正社員を辞めたい」と思ったとしても、正社員そのものを辞めるのではなく、正社員として別の会社に転職することで状況が良くなることもあります。

実は「正社員という働き方自体を辞めたい」のではなく、単に「今の会社を辞めたい」という状況が考えられるからです。

正社員という雇用形態は継続しつつ、企業や職種、業種を変えることで、ストレスや不満が減る可能性があります。

まとめ

仕事がつらく、正社員を辞めたいと考えるのは誰にでもあることです。

ただ、実際に正社員を辞めて非正規雇用で働くと「やっぱり正社員の方がよかった」と感じる場合もあります。

正社員を辞めたいと思った時は、辞めた後の生活を具体的にイメージし、後悔のない選択ができると良いですね。

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