疲れた・行きたくない・給与が低い… 仕事を辞めたい…悩み12種の対処法を紹介
この記事では、定番12種の悩みについて、それぞれ辞めていい人・早まって辞めない方がいい人を紹介します。自分の悩みに近いものを見ていきましょう。
どんな悩みで辞めている人が多い?
実際に仕事を辞めている人は、どんな悩みを理由に退職しているのでしょうか? 厚生労働省による2021年の調査をもとに、25~29歳のメジャーな退職理由をランキングでまとめました。
その結果、男性で最も多かった退職理由は「給料等収入が少なかった」で14.8%。女性でもっとも多かったのは「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」で14.8%でした。
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」
2番目に多かったのは、男性が「仕事の内容に興味を持てなかった」で10.1%、女性が「結婚」で10.0%。3番目に多かったのは男性が「会社の将来が不安だった」で9.5%、女性が「職場の人間関係が好ましくなかった」で7.9%でした。
男女で結果には大きな違いが表れましたが、1位が給料・労働時間といった職場環境の悩みであることは共通しているようです。一方で「その他の個人的理由」が男女ともに全体の20%以上を占めているように、退職に繋がる悩みは人によってさまざま。その中でもメジャーな悩みを、次の章で紹介していきます。
この理由なら辞めてもいい? よくある悩み12種
仕事を辞めたいと思うような悩みがあっても、その内容によって辞めていい状況と、落ち着いて考えたほうがいい状況があります。ここからは、よくある悩み12種を例に、辞めていいか判断するヒントを紹介します。
▼待遇・職場環境の悩み
給料が低い
業務量が多い/働き方がきつい
社風が合わない
▼体調不良・疲れ・ストレス関連の悩み
体調が悪い・うつ症状がある
▼家庭・家族関係の悩み
妊娠・育児に専念したい
親の介護
▼仕事内容の悩み
今の仕事が向いていない・やりたいことが無いと感じる
仕事でミスをしてしまった
暇だと感じる
成長実感が得られない
▼人間関係・評価の悩み
人間関係がつらい/パワハラがある
会社から評価されない/評価が納得いかない
待遇・職場環境の悩み
給料が低い
給料が上がる見込みが無い場合は辞めてもいい
現在の給料が低い場合、これから給料が上がるかどうか見極めてから辞めるのが安全です。
下記のようなケースに当てはまるかチェックして、将来的に給料が上がる見込みが無いと判断したら、転職を考えるようにしましょう。
〈判断のポイント〉
- 給与テーブルなどを見ても、将来的に給料(基本給)が上がる見込みが無い
- 残業や休日出勤など、私生活を犠牲にしないと給料が上がらない
- そもそも給与水準が低い業界で働いている
特に給与水準が低い業界にいる場合は、転職して業界を変えるだけで収入がアップする可能性があります。どんな業界の給与が高いかは下記の記事にまとめているので、チェックしてみてください。
注意点は?
転職以外にも給料を上げるためにできることはあるので、転職を決める前にやれることをやっておきましょう。「査定の場で上司に相談する」「資格を取得して手当をもらう」といった対策が一般的です。
業務量が多い/働き方がきつい
体調を崩しかねない&改善が見込めないなら辞めてもいい
業務量が多いケースでは、心身の健康が損なわれる「予兆」があるかどうかが判断基準になります。「休んでも疲れが取れない」「眠れない」「気力がない」といった自覚がある場合は、体調が悪化する前に休む、もしくは辞めることを考えてもいいでしょう。
加えて、業務過多の状況を上司に相談しても改善が見込めないなど、組織に課題がある場合には早めに退職を検討するようおすすめします。
なお、残業代が支払われないなど法令違反が常態化している場合はすぐに退職を考えてOK。企業体質がすぐに改善する可能性は低いので、早めに動き出しましょう。
〈判断のポイント〉
- 「疲れが取れない」「眠れない」など、健康被害が出る予兆がある
- 業務過多の状況を上司に相談しても改善が見込めない
- 残業代が支払われていない
一方で、上記のような「明らかに辞めた方がいい」状況以外では、辞めるべきか悩んでしまうものです。そんなときに判断の助けとなる専門家の意見を下記の記事で紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
注意点は?
業務量が多いからといって、全てのケースで問題があるわけではありません。自分が業務に慣れていない・繁忙期で一時的に業務量が増えているといった理由が無いか考えておきましょう。
また、期待している人材に多くの業務を任せる企業もあるため、出世のサインの可能性もあります。
社風が合わない
辞めてしまってOK。ただし確認すべきことも
社風とは、人間関係や仕事の進め方、評価の仕方など、さまざまな要素が合わさった概念です。合わない会社で働くのはつらいことですから、社風が合わないなら辞めてOKです。
ただし、漠然と「社風が合わない」と感じている場合、まずは何が合わないと感じているのか、その原因を具体的に考えてみましょう。
違和感の原因がわかったら、必ず確認しておきたいのが「それが本当に社風なのか」「会社全体に共通した風潮なのか」どうか。もし一部の人の言動を見て「社風」と判断しているようなら、部署異動などの解決手段が取れるので、退職する必要は無いかもしれません。
辞めるかどうかは、合わないと感じている原因が会社全体に共通のものとわかってから判断するのが得策です。
▼「誤解」で会社を辞めて、後悔しないために…
注意点は?
辞めるかどうか決断する際は「転職しないと解決しないのか?」も考えてみましょう。下記の2点を考慮しても「合わない」と感じたら、辞めてしまって問題ありません。
〈判断のポイント〉
- 長期的に見て、時間が経てば解決しないか?
- 自分から歩み寄ることで解決できないか?
体調不良・疲れ・ストレス関連の悩み
体調が悪い・うつ症状がある
辞めてもいいが、まずは休職して心身を休めよう
日々の激務やストレスで「とにかく疲れた、仕事を辞めたい」と考えている人は、まず有給休暇を取ったり、休職したりしてリフレッシュするのがおすすめです。
仕事を辞める・転職するといった行動に移るにも体力は必要なので、心身を休めておいて損はありません。休んで落ち着いてから、辞めるかどうか考えてみましょう。
下記のように会社を辞めずにできることもあるので、焦らず考えをまとめるのがおすすめです。
- 上司と相談して、業務量を調整してもらう
- ストレスの原因になっている業務から外してもらう
- 配置転換をお願いする
上司に相談しなくても、自分だけでできる「ストレスの消し方」もあります。仕事がしんどい…と感じたら、こちらも試してみましょう。
注意点は?
慢性的な体調不良や、うつ症状は、体力的にも精神的にも限界がきているサインです。
悪化すると治療に時間やお金がかかるだけでなく、転職活動もできなくなってしまうので、下記のような症状がある人は早めに休養を取りましょう。
- 気分が落ち込む
- 楽しめない
- 表情が暗い
- 食欲がない
- 吐き気がある
- 眠れない ……など
家庭・家族関係の悩み
妊娠・育児に専念したい
将来的に働き続けたい場合は、退職しないのがベター
妊娠・育児を理由に退職を考えている場合、将来的にも働き続けたいなら退職しない方がいいでしょう。
退職してしまうと育児が落ち着いたタイミングで再就職したいと考えても、離職期間があることで「仕事の勘が鈍っている」と判断されて採用まで至らない、経済的な事情から就職活動に時間がかけられず希望に合う仕事を見つけづらくなるといったリスクが生じます。
そのため、現在の勤務先にとどまり、産休・育休の制度を利用して、数年後に復職するのがおすすめです。
加えて、退職しない場合は出産手当金・育児休業給付金といった手当を受け取れるメリットもあります。
▼【参考】近年の「女性のキャリア」はどうなっている?
注意点は?
仕事を辞める・辞めないに関わらず、早めに上司に相談しましょう。つわりなどの症状が出てくると出社できなくなることもあるため、妊娠がわかった段階で相談できると余裕が持てます。
親の介護
基本的には、仕事は続ける方がいい
親の介護のために仕事を辞めるのは、避けた方がいいでしょう。親が亡くなった後に再就職したいと思っても、離職期間があると「仕事の勘が鈍っている」と判断されて採用まで至らなかったり、仕事の選択肢が狭まったりするリスクが高まります。
そのため、下記のように離職を考える前に「介護休業」などの制度や、家族の協力を得られないかを必ず確認し、極力仕事を辞めずに済む方法を選択しましょう。
〈判断のポイント〉
- 介護休業・介護休暇などの制度が使えそうか?
- 訪問介護などのサービスが利用できないか?
- 家族や親族に協力してもらえないか?
介護休業・介護休暇の詳細や注意点は、下記の記事にまとめています。自分の場合はどの制度が使えそうかを判断するための情報もまとめているので、一度確認してみましょう。
注意点は?
利用できる介護関係の制度について知りたい場合は、市区町村にある「地域包括支援センター」に連絡しましょう。専門知識を持つケアマネージャーから、現実的なアドバイスを受けられます。
仕事内容の悩み
今の仕事が向いていない・やりたいことが無いと感じる
辞めるか判断するために、まずは時間を置いてみる
今の仕事が向いていない・やりたいことが無いと感じる場合、辞めることがベストな選択か考えるために、まずは時間を置いてみるのがおすすめです。
そもそも若手や転職して間もない人であれば、自分で仕事の向き・不向きを判断するのは難しいもの。上司や周りの人から評価されたり、仕事を続けるなかで面白さを見つけたりすることで、次第に「仕事が向いている」と思えるようになります。辞めるべきか判断するのは、できることをやった後でも遅くありません。
逆に、どれだけ努力しても仕事が身につかない・上手くいかない場合は「そもそも適性がない」「能力的にミスマッチである」といった理由があると考えられます。その場合は、無理に仕事を続ける必要はありません。
自分にとっての「天職」が何なのか、下記の記事もヒントに考えてみましょう。
注意点は?
「押し売りの営業を強要されている」「良心が痛む仕事をさせられている」など、仕事の内容やスタンスが自分の信条と合わない場合は、早めに辞めてもOKです。
仕事でミスをしてしまった
仕事のミス・失敗は、深く考えすぎないことも大事
仕事で大きなミスをしてしまったとき、突発的に「仕事が向いていない」「辞めたい」と考えたくなるのは仕方ありません。ただ、衝動的に仕事を辞めるのはおすすめしません。
ミス・失敗は誰でも起こしうるもの。どうしてそのミスが起こったのかを振り返り、次に生かすことができれば問題ないケースがほとんどです。考えすぎずに、前向きに乗り越えましょう。
注意点は?
もしミスが続いているなら、下記の記事で紹介している対処法を試してみましょう。「ミスをしがちな人の共通点」も紹介しています。
暇だと感じる
まずは、自分に原因がないか確かめる
手元に仕事がなく暇だと感じている場合、まずは自分に原因がないか考えましょう。
勤務態度や周囲との関係性など、下記のように本人が自覚していない課題があるかもしれません。
〈判断のポイント〉
- 自分にできる仕事を、自分から探していない(上司や周囲に、仕事がないか聞きに行っていない)
- 上司や同僚との関係性が悪化している(仕事を任せにくくなっている)
- 以前の仕事での失敗をリカバリーできておらず、印象が悪いままになっている
注意点は?
自分の課題を解決しても仕事がない場合は、別の部署への異動届を出すのも選択肢のひとつです。課題を解決したうえで異動も叶わなかった場合は、最終手段として転職を考えましょう。
成長実感が得られない
自分が将来どうなりたいかを基準に、辞めるか判断する
「仕事が楽すぎる」「スキルを修得できない」といった成長実感が得られない環境は「ゆるブラック」と呼ばれています。待遇や労働環境が悪くない一方で、同世代の人材に比べてスキルや経験を積めない環境であり、将来転職する際に採用されにくくなるリスクがあると話題になることが増えてきました。
待遇を重視する場合は無理に転職する必要はありませんが、転職を繰り返してキャリアアップしたい人や、万が一のリストラに備えてスキルを身につけたい人は、転職を検討してもいいでしょう。
注意点は?
ゆるブラックの企業は居心地がよく、その企業に勤め続ける分には問題ないとも言えます。一方でスキルが身につく企業はハードワークなことも多いため、どちらがいい環境かは一概には言えません。
自分が何を大切にしたいか、正直な気持ちをもとに判断しましょう。
また、こうした職場で「やりがい」が感じられないことを理由に転職を考えている場合、すぐに転職するのはやめておきましょう。注意点を下記の記事にまとめているので、判断の助けにしてみてください。
人間関係・評価の悩み
人間関係がつらい/パワハラがある
明確に問題がある場合や、考え方を変えてもダメなら辞めてもいい
パワハラやセクハラ、イジメなど明確な問題がある場合は、早めに辞める判断をしましょう。心身が傷つく前に行動することが重要です。
たとえば、自分に非が無いのに上司の嫌がらせなどで仕事を干されている状況もパワハラのひとつ。上司本人や、さらに上の人物に相談しても状況が変わらなければ、早めに見切りをつけるのが得策です。
明確な問題が無い場合は、まず自分の考え方を変えて、今の人間関係を受け入れられるか試しましょう。下記のような対策をとっても状況が変わらなければ、辞めるのがおすすめです。
- 相手とは価値観が違うと割り切る
- 相手の考え方や状況を理解する
- 相手とは必要最低限の付き合い方をして、適切な距離を置く
- 自分から相手に歩み寄り、必要最低限の距離を模索する
- 身近な人に相談して、アドバイスをもらう
▼「職場に馴染めない」と思っている人のための処世術
注意点は?
入社しないと人間関係は見えてこないもの。転職したとしても課題が解決するとは限りません。人間関係を理由に何度も転職している場合は、自分に問題がないか振り返ることも大切です。
会社から評価されない/評価が納得いかない
「評価しない周りが悪い」という考えになっている場合、辞めない方がいい
会社から評価されないと感じているときに注意したいのが「自分が評価されないのは周囲が認めてくれないからだ」という他責思考に陥っていないかどうか。他者に原因があると一方的に考えて辞めてしまうと、転職しても同じ悩みを抱えることになります。
評価に繋がる行動が取れていないケースもあるので、下記の観点からできることがないか考えた上で、本当に辞めるべきか判断するのがおすすめです。
- 自分の実績が評価に値するか、あらためて考えてみる
- 実績がある場合は、数字などを使って客観的にアピールする
- 上司や会社に、評価が低い理由をきいて改善する
- 同僚や上司に貢献できる仕事で成果を出す
- 上司など、評価する人との関係性を改善する
▼「頑張り」を正しく評価してもらうには?
注意点は?
適切な行動をとっているのに評価されないケースももちろんあります。えこひいきといった人間関係の問題や、「明確な評価基準が無い」「年功序列など成果に関係なく評価される」といった会社の評価制度の問題は覆すのが難しいため、転職を考えてOKです。
仕事を辞めるべきか、一人で決断できないときは…
「仕事を辞めようかな……」と悩んでいるときは、視野が狭くなっていることがよくあります。そんなときは、家族や友人に相談してみましょう。客観的な意見をもらえて、新たな気付きが得られることがよくあります。
「仕事を辞めようかな?」と前向きに考え始めたタイミングで役立つ記事をピックアップしたので、よければ読んでみてください。
▼自分の「やりたいこと」を見つけてみる
▼「辞めないリスク」も知っておこう
▼迷っている人へのおすすめはこちら