【これだけ読めばバッチリ!】 保育士の志望動機の書き方|例文付き

転職活動において必ず確認される志望動機ですが、採用担当者からの印象をよくするには「採用担当者が求めていること」に沿った内容にすることが重要です。

この記事では、「保育士の志望動機で伝えるべきこと」を、実例付きで紹介。経験者・未経験者など、応募者のシチュエーションに合わせてすぐに使える例文も紹介します。

保育士の志望動機で、伝えるべきことは?

保育士の志望動機を伝える際は、「なぜその施設を選んだのか」と「応募先で活かせるスキル・経験があるか」の2点を伝えることが重要です。

ただし、保育士は資格が必要なため、応募者は一定の知識や技能を持っている人がほとんどです。そのため、選考においては特に「なぜその施設を選んだのか」という明確な理由があるかが重視される傾向があります。

なぜなら、たとえば「園の理念に共感した」「実践したい保育ができると感じた」といった明確な志望理由がある人なら、熱意を持って仕事に臨んでくれるはずと採用担当者は考えているからです。

それでは、具体的に志望動機でどのようなことを伝えればいいか、見ていきましょう。

なぜその施設を選んだのか

保育士の志望動機でまず注目されるのが、応募先の施設を選んだ理由です。

前述した通り、採用側は、応募先で働くことへの熱意や意欲を持った人を採用したいと考えています。

加えて、保育士の場合「園の保育方針にそった保育をしてくれそうか」「安心して仕事を任せられそうか」を確かめるために、応募先を選んだ理由を注視する傾向があります。

そのため、志望動機では応募先の保育方針や理念、教育内容のどんな部分に共感しているのかを踏まえて、「その施設で働きたいと考えた理由」をできるだけ具体的に伝えるようにしてください。明確に伝えることで、応募先への熱意や意欲の高さのアピールにも繋がります。

ホームページなどで応募先の保育方針・理念や、教育内容の特徴を理解したうえで、「貴園の〇〇という方針に共感し、志望しました」といった形で、具体的に伝えましょう。

このとき、なぜその点に魅力を感じたのか​​、その理由も伝えられるといいでしょう。たとえば、「内向的だった子が、自然遊びを通して友達と元気に遊べるようになったため、自然遊びを取り入れている保育方針に魅力を感じた」といったように、自身の体験と紐づいた理由があると、説得力のある志望理由になります。

〈応募先の施設を選んだ理由の例〉

  • 保育方針(食育、個性を尊重した保育など)に魅力を感じた
    例)のびのびとした環境で子どもの個性を伸ばすという貴園の方針に共感した
  • 見学時や、自分が通園していたときに魅力を感じた
    例)園を見学した際に、子どもの目線で丁寧に対応する様子や、保育士同士で協力しあう風土を目にして、魅力を感じた
  • 小規模施設ならではの保育をしたい
    例)園児の数が少ないからこそできる、ひとりひとりの個性を尊重した保育を行いたいと考えた
  • 大規模施設ならではの保育をしたい
    例)人数が多い保育園だからこそできる、広い視野を持った保育や、より多くの保護者のサポートを行いたいと考えた
  • 公務員として社会貢献したい
    例)自分の経験やスキルを活かし、保育士不足をはじめとした社会問題の解決に貢献したいと考え、公務員を目指した

応募先で活かせるスキル・経験があるか

熱意や意欲があるとわかっても、スキルや経験が備わっていないと、採用側としてはその人を採用していいか判断ができません。そのため、採用後に活躍できるイメージを持ってもらうためにも「応募先で活かせるスキル・経験」に触れておくことが重要です。

志望動機では特に「志望した理由や入社後にやりたいことと、スキル・経験に一貫性があるか」が見られるので、応募先の保育方針や業務との関連性を意識して伝えましょう。

経験者の場合は、前職までに培ってきた経験・スキルがどのようなもので、応募先でどう活かせそうなのかを具体的に伝えるのがポイントです。

未経験者の場合は、過去の業務を振り返って「保育士の仕事に繋がる経験やスキル」を伝えましょう。たとえば「相手に寄り添うようなコミュニケーションが得意」「ピアノ演奏ができる」「行事・イベントの企画運営の経験がある」といった業務経験を伝えるのが効果的です。

〈応募先で活かせるスキル・経験の例〉

▼スキルの例

  • コミュニケーション能力(相手に合わせられる、寄り添える、和ますことができる …など)
  • 園児や保護者への共感力・傾聴力
  • 観察力(広い視野で周囲を観察できる)
  • 専門的なスキル(ピアノ演奏や工作) …など

▼経験の例

  • 応募先と同様の保育方針の園で、保育士をしていた経験
  • 応募先で担当する園児と同じ年齢層の子どもの担当経験
  • 行事・イベントの企画運営の経験
  • クラス担任など、責任のある立場の経験
  • 子育て経験(保護者の気持ちを理解できる) …など

コラム:保育士の採用動向は?

保育士は、近年人材不足が課題になっている職種です。厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によると、令和6年1月時点の有効求人倍率は3.54。保育士1人に対して3.5件の求人が出ている状況です。全職種の有効求人倍率(1.35)と比べても、人手不足の状況がうかがえます。

転職を希望する保育士にとっては追い風が吹いている一方で、人気のある保育園に応募が集中する傾向があり、「応募すれば内定がもらえる」状況ではない点には注意が必要です。

内定を獲得するには、志望動機で応募先への熱意などを伝えつつ、「自分なら、応募先が求めている条件を満たせる」ことを自己PR欄なども使ってしっかりアピールしていきましょう。

保育士の志望動機の書き方

志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.その背景やエピソード」→「3.採用後の意気込み」の3段構成でまとめるのがセオリーです。

応募した理由と背景を丁寧に書くことで熱意を伝えつつ、採用後にどう活躍したいか・どう活躍できそうかも伝えることで、志望動機に説得力を持たせることができます。

3段構成にそってまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。

〈例文〉

(1)
「自然と触れ合うなかで豊かな感性を育む」という貴園の保育方針に共感し、応募いたしました。

(2)
前職では5年間、保育士として0歳児から5歳児までの園児を受け持っておりました。自然遊びを通じて、子どもたちの生き生きとした姿や、新たな発見に喜ぶ姿を目にして、幼い頃から自然と触れ合うことの重要さに気づきました。子どもたちの感性を豊かにするための教育法として、自然遊びについて深く学び、実践していきたいと考え、転職を決意いたしました。

四季の移ろいを感じるために、さまざまなイベントを用意している貴園であれば、自然遊びを通じたよりよい保育の経験を積めると考えております。

(3)
これまでの保育士経験を活かしつつ、貴園での保育を学び、子どもの好奇心や感受性を育てられる保育士として、一日も早く貴園に貢献したいと考えております。

(348文字)

1.応募した理由(結論)

志望動機の冒頭では、まず「応募した理由(結論)」を伝えます。

貴園の〇〇という方針に共感した」「〇〇を尊重した保育に携わりたいと考え、志望した」といった形で、応募の決め手となったことを簡潔にまとめましょう。

なお、「子どもが好きだから」という理由は、保育士なら大前提として持っているべきものなので、それだけ伝えても納得感がありません。必ず応募先ならではの理由を考えましょう。

2.その背景やエピソード

応募した理由(結論)に続いて、転職を決意したきっかけ・背景やエピソードを説明します。

未経験者の場合は、そもそも「なぜ保育士を目指そうと思ったのか?」+「応募先で何を実現したいのか?」の2点を問われる傾向があります。これらを具体的に伝えると志望動機の納得感が高まるため、必ず伝えておきましょう。

経験者の場合は、過去に経験したことを踏まえて「現職(前職)ではできなかったことにチャレンジしたい」「現職(前職)で培ったスキルを、さらに高いレベルで活かしたい」など、前向きな表現で転職を決意した理由を伝えましょう。

3.採用後の意気込み

最後に、志望動機の締めとして「採用後の意気込み」を伝えます。

未経験者の場合は「積極的に学んでいく姿勢」や「転職に向けて取り組んでいること」を、経験者の場合は「経験を活かして貢献したい」という姿勢をアピールするのがおすすめです。

【例文】保育士の志望動機

ここでは保育士の志望動機の例文を、いくつかのケースに分けて紹介します。

押さえておくべきポイントもあわせて紹介するので、自分の状況に近いものを確認して、自分の志望動機を作成しましょう。

未経験者

〈例文〉

(1)
子どもたちに食の大切さや楽しさを伝えたいと考え、食育に力を入れている貴園を志望いたしました。

(2)
前職では、食品メーカーで料理コンテンツやイベントの企画に携わっておりました。業務のなかで子ども向けの食育イベントを担当することがあり、食育の大切さや、子どもを笑顔にする仕事のやりがいを知りました。もともと子どもが好きだったこともあり、本気で子どもと関わる仕事をしたいと考え、保育士への転職を決心し保育士資格を取得いたしました。

さまざまな保育園がありますが、自然食品や旬の素材を使った献立づくりや、園内での野菜・果物の栽培、親子料理教室といった食育プログラムを実施している貴園なら、自分が理想とする「食の大切さを伝える保育」ができると感じ、応募いたしました。

(3)
保育士は未経験ですが、前職で強みとしていた誰とでも打ち解けられるコミュニケーション力を活かしつつ、先輩方から保育の知識を学び、一人前の保育士として貴園に貢献できるよう成長したいと考えております。

(421文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 未経験から保育士を目指す場合は、「なぜ保育士を目指そうと思ったのか?」を必ず伝える。
  • 加えて、これまでに培った経験・スキルのなかから保育士でも活かせそうなものをピックアップして伝えて、保育士への適性をアピールできるとベター。

経験者

〈例文(若手・経験が浅い人)〉

(1)
園児ひとりひとりの個性を尊重する保育を実践したいと考え、貴園に応募いたしました。

(2)
前職では、園児100名規模の保育園に3年間勤務しておりました。多くの子どもたちと接するなかで、成長のペースやものごとの捉え方が子どもによって異なることを実感し、個性に合わせた対応の必要性を強く感じました。このことをきっかけに「ひとりひとりに寄り添った保育」をしたいと考えるようになり、転職を決意いたしました。

転職先を探すなかで、「子どもの主体性を育む保育」という保育方針を掲げ、子どもひとりひとりの個性や感性、やりたいことを尊重した保育を行っている貴園の考えに共感し、応募いたしました。特に「保育者が何を与えるかではなく、本人が気づきから受け取るものを大切にする」という考え方に惹かれております。

(3)
これまでの保育士経験を活かしつつ、貴園での保育を学び、子どもひとりひとりに寄り添える保育士として貢献したいと考えております。

(400文字)

〈例文(中堅・ベテラン)〉

(1)
これまでの保育経験を活かし、一から保育園を作り上げることに携わりたいと考え、応募いたしました。

(2)
前職では15年間にわたり、50名規模の保育園に勤務しておりました。そのうち5年間は主任として、新卒や中途で入職した保育士の育成やマネジメントなど、管理系の業務を経験いたしました。業務を続けるなかで、「自分のノウハウや経験を活かして組織づくりを行うこと」にやりがいを感じるようになり、一から保育環境を整えることに挑戦するため、転職を決意いたしました。

今回、貴園が新設されることを知り、自分のこれまでの経験を活かして保育環境の整備に貢献できないかと考え、応募いたしました。「地域に根ざす保育園を作り上げたい」という理念を掲げる貴園だからこそ、同じ志を持つ保育士として園づくりに関わりたいと考えております。

(3)
これまでの保育経験を活かし、後輩の育成などを通じて保育環境を整え、地域の子どもたちが健やかに育てる環境づくりを行いたいと考えております。

(415文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 経験者の場合、「前職でどんな経験をし、スキルを習得したのか」「経験・スキルを活かして、転職先でどのように活躍したいか」を伝えることが重要。
  • 中堅・ベテランの場合は、指導力やマネジメント能力も評価の対象になるため、明記しておくとベター。

ブランクから復職する人

〈例文〉

(1)
「保育を通じて地域に貢献する」という理念に共感し、貴園に応募いたしました。

(2)
私は新卒から5年間にわたり保育士として働き、出産を機に退職しました。自分の子どもや友人の子どもたちと触れ合うなかで、あらためて保育士として働きたいという想いや、地域の子どもたちを支える仕事がしたいと考えるようになりました。自分の子どもが小学校高学年になり手がかからなくなったことから、再就職に向けて活動をしております。

地域に根ざした保育を行っている貴園なら、自分の理想とする保育が行え、お世話になった地域の方々への恩返しもできると考え応募いたしました。

(3)
ブランクはありますが、これまでの保育士の経験をもとに、一日も早く業務に順応できるよう努めてまいります。また、子育てから得た気づきも活かすことで、保護者にも寄り添った保育を行いたいと考えております。

(361文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • ブランクがある場合は、まずその理由や経緯を説明する
  • 経験者として知識や経験があることは、立派なアピール要素。過去の保育士経験を活かすことで、復帰後スムーズに業務をスタートできることをしっかり伝えておく。
  • 育児・子育てなど、ブランク中の経験で仕事に活かせるものがあれば伝える。

パート・アルバイトへの応募

〈例文〉

(1)
子育てを通じて保育士の重要性を感じ、もう一度保育の仕事に携わりたいと考え、応募いたしました。

(2)
私は新卒から保育士として8年間勤務しておりました。出産を機に退職しましたが、子育てのなかで待機児童問題で悩んでいる方々と知り合い、あらためて安心して子どもを預けられる保育園や保育士の必要性に気づき、復帰したいという想いが強くなりました。今年から同居を始めた両親が育児に協力的で、仕事に復帰する余裕が生まれたため、復職を希望しております。

150名以上の園児を受け入れている貴園であれば、この地域で保育に悩む多くの保護者の方々の力になれると考え、応募いたしました。以前の職場も貴園と近い規模であり、そこで培った多くの保育士と協力して仕事を進める経験が活かせると考えております。

(3)
家族も復職に協力的で、応募要項にあった早朝のシフトに入ることも可能です。ブランクはありますが、子育て経験を活かして貴園に貢献してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(420文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • パート・アルバイトの募集では、保育園が求める勤務時間に柔軟に対応できることが重要視される。そのため、シフトに無理なく入れることや、その理由を明確に書いておくのがおすすめ。
  • また、即戦力が求められる傾向があるため、過去の経験をどう活かせるかも書いておく。対応できる子どもの年齢層や、保育園の規模などと絡めて伝えると効果的。

パートから正社員へ応募

〈例文〉

(1)
子どもたちともっと密接に関わるような保育をしたいと考え、貴園の正社員採用に応募いたしました。

(2)
パートとして4年間保育士をしてきたなかで、今よりも子どもたちと触れ合う時間を増やし、ひとりひとりへ密な対応をしたいと考えるようになりました。自分の子どもが小学校の高学年になり、フルタイムで働く時間ができたことから、正社員として働きたいと考え転職を決意いたしました。

貴園では、子育てから復帰した方を正社員として複数人採用していると伺い、私も同じように貢献できないかと考え応募いたしました。見学の際に拝見した保育士の方々のやわらかな接し方や、協力しあう風土にも惹かれております。

(3)
正社員として採用していただけた暁には、これまでの経験を活かしつつ貴園の業務を覚え、ゆくゆくはクラス担任などより責任のある立場から保育に携わりたいと考えております。

(364文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • パートから正社員を目指す場合、「なぜ正社員になりたいと考えたのか」「正社員の勤務時間に対応できそうか」の2点に注目が集まるため、明確に伝える。
  • また、採用側は「長く働いてくれそうか」という点も気にしているため、正社員として問題なく勤務できることや、将来的なキャリアビジョン(どんなことをしたいか)も伝えられるとベター。

公務員保育士(公立保育士)へ応募

〈例文〉

(1)
一時預かりや病児保育など、多様な保育サービスを提供している点に魅力を感じ、◯◯市の保育士に志願いたしました。 

(2)
前職では私立保育園に10年間勤務し、0歳児から5歳児までの子どもの保育に携わっておりました。そのなかで、さまざまな事情を持つ保護者の方と接し、一時保育や病児保育といった多様なサービスの必要性を感じるようになりました。困っている保護者の助けとなり、子どもたちの成長を支えたいと考え、公務員保育士を目指したいと考えるようになりました。

共働き世帯向けのサービスの拡充をはじめ、〇〇市が核家族化や共働きの増加といった社会の変化に応じた施策を積極的に行っている点に魅力を感じております。

(3)
これまでに培った、子どもの個性を活かしたきめ細やかな保育の経験や、育児経験者ならではの保護者の視点などを活かし、自分の生まれ育った地域の保育サービスの品質向上に貢献したいと考えております。

(386文字)

〈押さえておくべきポイント〉

  • 公務員保育士を目指す場合も、通常の保育園に応募する場合と同じく「なぜその自治体に応募したのか」「その自治体の保育方針のどこに共感しているのか」が重要なので、必ず明記する。
  • また、「なぜ私立保育士ではなく、公立保育士を選んだのか」という問いに明確に答えるのもポイント。「広く社会に貢献できる」「最後の砦として地域の保育を守る」といった公務員ならではの役割を意識して回答を用意できるとベター。

【完成後にチェック】ポイントにそって見直そう

志望動機は、採用担当者の印象を大きく左右する項目です。そのため、書き終えたら時間を置いて、重要なポイントが抜けていないか見直すようにしましょう。

見直しの際には、下記の記事で解説している「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」なども参考にするのがおすすめです。

また、職務経歴書も作成する場合は、下記の記事で作成のポイントをまとめているので、あわせて確認しておきましょう。

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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