【例文・テンプレート付き】 転職回数が多い人の「職務経歴書」の書き方
転職回数が多いと、複数社の業務経験をどうまとめればいいか迷いますよね。また、「転職回数が多いと印象が悪くなる?」といった不安を覚える方も多いのではないでしょうか?
この記事では、「転職回数が多いと不利になるのか?」といった疑問に答えつつ、採用担当者に好印象につながる「転職回数が多い人の職務経歴書の書き方」を例文・見本付きで紹介します。
そもそも転職回数が多いと、印象が悪くなる?
ネガティブな印象になりやすいが、覆すことはできる
一般的に、転職回数が多い人は、採用担当者からネガティブな印象を抱かれやすいとされています。というのも、採用担当者は「長期的に働いてくれるかどうか」を見極めたいから。
転職回数が多い人、特に「短期間で転職を繰り返している人」「定期的に転職をしている人」は、入社後の定着性やストレス耐性に関する懸念を抱かれやすく、選考で不利になるリスクが高いようです。
一般的には、20代は2回以上、30代は3回以上、40代は4回以上転職していると、転職回数が多いとみなされる傾向があるので、この記事で紹介するポイントを押さえて職務経歴書を作成するのがおすすめです。
▼参考:転職回数に関する、人事担当者の本音は?
ネガティブな印象を覆すには?
転職回数が多いとネガティブな印象になりやすいですが、転職回数が多くても採用したいと思われる人材もいます。
たとえば、「求める人物像にマッチした経験・スキルがある」人や、「多くの企業を経験したからこそ業務遂行スキルが向上した/多角的な視点が身についた」人であれば、転職回数に関係なく、書類選考を通過できる場合があります。
下記の3点を押さえてキャリアを伝えることで、「これまでの経験やスキルが実績につながっていて、それらを自社でも役立てて活躍してくれそう」と印象づけることができるので、意識して職務経歴書を作成しましょう。
〈転職回数が多くても採用したいと思われる人材の特徴〉
- 求める人物像にマッチした経験・スキルがある
- 転職によってスキルアップを重ねて、成果を出している
- 意図があって転職を繰り返している(転職の軸に一貫性がある)
転職回数が多い人の、職務経歴書作成のポイント
転職が多い人は業務経験がたくさんあるため、情報を取捨選択して、アピールしたい経験や能力が端的に伝わるように経歴をまとめることが大切です。
下記の4つのポイントに沿って情報を整理し、伝わりやすくまとめるようにしましょう。
1)共通の業務内容ごとにまとめる「キャリア式」で書く
転職回数が多い人(4回以上)や、業界・職種をまたいで転職してきた人の場合、会社ごとにこれまでの経験を書き出すとボリュームが多くなり、転職回数の多さが目立ったり、アピールしたい経験・スキルが埋もれてしまいます。
そのため、これまでの経験を「共通の業務内容」ごとにまとめる「キャリア式」と呼ばれる形式で職務経歴書を作成するのがおすすめです。
職務要約や自己PRの書き方は同じですが、【職務経歴(職歴)】の部分は、下の画像のように、会社ごとではなく「業務内容ごと」にまとめて、関連する経験を見やすくしましょう。
※キャリア式の職務経歴書の書き方・見本は「【例文付き】転職回数が多い人の職務経歴書の書き方」の章で紹介します。
2)「求める人物像」にマッチする経験・スキルをピックアップする
採用担当者は、職務経歴書を読んで「応募者の経験やスキルが、自社の募集ポジションにマッチするかどうか」を判断しています。
そのため、職務経歴書では求人票の「求める人物像(応募要件)」にマッチするスキルや経験を伝えることが重要です。
応募要件と関係ないスキル・経験を記入しても、アピールにならないばかりか、「本来アピールすべきこと」が埋もれたり、「求める人物像と合わない」と評価されたりする原因になります。多くのことをアピールしたくなる気持ちもわかりますが、応募先で求められていることを意識して、情報をピックアップしましょう。
3)アピール内容には「一貫性」を持たせる
経歴を単に並べただけでは、採用担当者からは「さまざまな企業を、ただ転々としてきた」「計画性が無い」といったネガティブな印象を持たれることになりかねません。
そのため、職務経歴書に記載する経歴や強みには、一貫性を持たせることが大切です。たとえば、営業職と企画職といった別職種を経験している場合でも、「顧客や消費者のニーズを掴む分析力を磨いてきた」という軸で一貫性を持たせることが可能です。
また、一貫性のある業務経験や能力を伝えることで、「前向きな転職をしてきた」「着実にキャリアを積み重ねている」といったポジティブな印象を与える効果もあります。
4)「転職理由」の項目を設ける
転職を繰り返している場合、採用担当者に「なぜ辞めたのか?」という疑問を持たれる可能性が高く、「飽きやすいのではないか」「長続きしない性格ではないか」といったマイナス評価の原因にもなりかねません。
そのため、職務経歴書に「転職理由」の項目を設けておくのがおすすめです。
あらかじめ転職の目的・理由を伝えることで不安の払拭ができますし、「意図があって転職している」というアピールにつなげることもできます。
▼退職理由の書き方について、くわしくは…
【注意】転職回数が多くても、経歴を省略するのはNG
「転職回数が多いと印象が悪くなるのでは?」「文字数が多くて記入しきれない」と考え、経歴を省略したいと思うかもしれませんが、経歴の省略は絶対にNG。
悪気がなかったとしても経歴詐称と捉えられ、不採用のリスクが高まりますし、内定をもらったとしても、内定取り消しや解雇されるケースもあります。
ひとつひとつの経験をくわしく書く必要はありませんが、「〇〇社経験した」という転職回数は、ありのまま書いてください。
【例文付き】転職回数が多い人の職務経歴書の書き方
ここからは、転職回数が多い人の職務経歴書の書き方(キャリア式)について紹介します。
今回は、特に記入で悩むことが多い「職務要約」「職務経歴(職歴)」「自己PR」の書き方を例文付きで解説します。画像下のダウンロードボタンから見本とテンプレートをダウンロードできるので、こちらも参考にして作成していきましょう。
職務要約
〈例文〉
約5年間一般事務職を経験し、直近2年間は商品企画に従事しております。一般事務はこれまでに2社で経験しており、見積書・請求書作成などの受発注業務を中心に、備品管理、売上データ処理などを幅広く担当してまいりました。業務効率化に向けた仕組みづくりも行い、業務効率を〇〇%改善させました。3社目の文房具メーカーでは、商品企画として市場調査を担当。新商品の開発や販促施策の立案を行い、売上に貢献しております。
転職回数が多い場合の職務要約は、まず1文目で「どんな経験があるか」をわかりやすくまとめます。
その後、共通の業務内容(職種)ごとに「経験した業務・実績」をまとめましょう。こうすることで論点が整理され、採用担当者に経験や実績が伝わりやすくなります。
〈職務要約のポイント〉
- 「どんな経験があるか」を、一文目でわかりやすくまとめる。
- 「共通の業務内容」のまとまりごとに、「経験した業務」→「実績・強み」の順でアピール内容をまとめる。
- 応募先にあまり関係ない経歴はシンプルに伝え、応募先に関係ある経歴をくわしく書くなど、情報量の強弱をつける。
▼転職回数が多い場合の「職務要約」の書き方について、くわしくは…
職務経歴(職歴)
〈例文〉
職種 | 内容 |
商品企画職
(通算●●年●●カ月) |
■株式会社GHI(商品開発部) 【業務内容】 ・市場動向調査(アンケート・インタビュー) 【成果】 【退職理由】 |
一般事務職
(通算●●年●●カ月) |
■株式会社ABC(管理部) 【成果】 【退職理由】 ――――――――――――――――――――――――――― ■株式会社DEF(統括課) 【業務内容】 【成果】 【退職理由】 |
キャリア式の職務経歴書の場合、職務経歴欄は「共通の仕事内容(職種)」ごとにまとめて記載します。例文のように「一般事務職」「商品企画職」といった形で見出しをつけて、それぞれ経験がある企業の情報を記載していきましょう。
また、経験を伝える際には、企業ごとに「業務内容」「成果」「退職理由」の3点を記載してください。見出しを立てることで、内容を理解しやすくなります。
〈職務経歴のポイント〉
- 情報量が多くなりやすいので、箇条書きを使って端的にまとめる。
- 成果を伝える際は、数字を使って「どれだけの成果をあげたのか」を定量的に示す。
自己PR
〈例文〉
文房具の商品企画において、市場動向の調査・分析から、競合他社のリサーチ、新商品の企画、販促施策の企画提案まで、全般的な業務に携わっております。そのなかで特に得意としてきたのが、データ分析です。
市場アンケートや、商品の想定ターゲット層へのヒアリングを実施。延べ〇〇〇〇人の購買行動を分析することで、ニーズの抽出やカスタマージャーニーマップの制作、それらをもとにした新商品の企画につなげてまいりました。その結果、携わった〇〇製品で目標売上を達成する成果を残しております。
直近ではSNSを活用したトレンド分析や、商品のプロモーション施策にも携わっており、既存商品の認知度を〇〇%向上させ、売上増にも貢献しております。こうした分析能力や企画立案の経験を活かし、貴社でも早期に戦力としてお役に立てるよう努めたいと考えております。
転職回数が多い場合、幅広く経歴・スキルをアピールしても、逆に印象に残らない自己PRになってしまいます。そのため、自分の経歴・スキルのなかで、最も注目してもらいたいものに話題を絞って、自分の強みやアピールポイントを伝えましょう。
伝える際は、「1.結論」→「2.アピール内容を裏付けるエピソード」→「3.入社後の抱負」の3段構成でまとめると、納得感のある自己PRに仕上がります。
〈自己PRのポイント〉
- 「結論」では、何を経験をしてきたのか・何をアピールしたいのかを簡潔に伝える。
- 「アピール内容を裏付けるエピソード」では、具体的な成果・実績を、エピソードも交えて膨らませる。数値も使って、定量的にスキルの高さを伝えるのがポイント。
- 「入社後の抱負」では、どんな経験・スキルを活かして、入社後にどう活躍したいのかを端的にまとめて締めくくる。
▼基本的な自己PRの書き方は、こちらをチェック!
転職回数が多い場合に、守っておきたいこと
職務経歴書は、多くても3枚にまとめる
転職回数が多い場合でも、職務経歴書の枚数はA4用紙3枚以内に収めるのが一般的です。
それ以上多くなると、採用担当者が確認する負担が増え、重要な箇所を読み飛ばされてしまう、そもそも読んでもらえないといったリスクが高まってしまいます。
書ききれなかったことは、面接時に口頭で伝えるチャンスもあるので、3枚以内に収められるように「転職回数が多い人の、職務経歴書作成のポイント」に沿ってピックアップする内容を見直しましょう。
退職理由は、ポジティブな表現に変える
転職回数が多いと、退職理由にも注目が集まりがちです。退職理由はネガティブになりがちですが、ネガティブな内容のまま伝えると「他責思考が強い」「不満が多い」といったマイナスの評価につながるリスクがあります。
そのため、「現職のスキルをもとに業務の幅を広げたい」「現職で学んだことを活かして働きたい」など、必ずポジティブな表現に変換して伝えるようにしましょう。
言い換えのやり方は、下記の記事でくわしく紹介しているので確認してください。
職務経歴書を書く際はこちらもチェック!
転職回数が多い場合に悩みがちなのが、冒頭の「職務要約」のまとめ方です。下記の記事では、転職が多い場合の書き方を例文つきで紹介しているので、参考にしてください。
これから未経験の職種に応募する場合、自己PRの書き方には特に注意が必要です。下記の記事から、書き方のポイントやNG例を確認しておきましょう。
なお、基本的な職務経歴書の書き方や、業種別のサンプル・例文を確認したい場合は、下記の記事を読んでおくのがおすすめです。
この記事の執筆者

ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。
