自己PRの例文&ポイントを紹介 【何を書く?】未経験応募の職務経歴書
未経験の仕事に応募する場合、職務経歴書で何をアピールすればいいか悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では「なぜ企業が未経験者を募集するのか?」という背景を踏まえて、未経験者がアピールすべき内容をご紹介。特に、未経験だとアピール内容に悩みやすい自己PRの書き方を、例文・ポイントつきでお伝えします。
なぜ企業は未経験者を募集するのか?
そもそも、なぜ企業は未経験者を募集・採用するのでしょうか? 採用側の理由を知ることで、アピールすべき内容が明確に見えてきます。
一般的に、企業が未経験者を募集・採用する理由は大きく分けて2つです。
間口を広げて人を集めたい
採用したい人数に対して応募者の絶対数が少ない、いわゆる売り手市場の場合によくみられる理由です。
一般的に経験者は数が少ないため、入社後に育成する前提で未経験者を募集し、応募者の全体数を増やそうとしています。
多くの人を必要とする営業職や、近年需要が増しているIT業界、知名度が低く人が集まりにくい職業では、特にこの傾向が強いようです。
先入観が無い人を採用したい
「募集する仕事の知識が少ない未経験者であれば、知識を素直に吸収してくれる」ことを期待して、未経験者を採用するケースです。
経験者を採用する場合、以前の仕事の進め方にこだわりや先入観を持ちすぎて、転職先に馴染めない場合があります。
この場合、業務に支障が出るほか、チームワークを乱すことにも繋がるため、リスクを避けるためにあえて未経験者を採用することもあるようです。
未経験者が自己PRでアピールすべき内容は
未経験応募で自己PRを作る際は、下記の3つのアピール内容からいくつか選んで盛り込むのがおすすめです。アピール内容にそって裏付けるエピソードを集め、300文字~400文字程度でまとめていきます。
未経験者が採用される場合、入社後の成長を前提とした、ポテンシャルを期待しての採用となります。
そのため、応募職種に関する知識やスキルを無理にアピールするよりも、能動的に学ぶ・行動する姿勢や仕事への熱意・意欲をアピールして、成長できるポテンシャルがあることを伝えるのが何より重要です。
また、学ぶ姿勢や熱意を伝えたうえで、これまでの仕事から何が活かせそうかを伝えるのも効果的。転職後に活躍できるイメージを持ってもらいやすくなります。
ここからは、アピールに使える3つの内容について、それぞれくわしく見ていきましょう。
1. イチから学ぼうという姿勢
未経験者がアピールに使える内容として、まず挙げられるのが「イチから学ぼうという姿勢」です。これにより、入社後に成長できるポテンシャルがあることを印象づけられます。
IT業界など、技術の進歩が著しい業界では継続的に学ぶ力が重要なので、アピールすると評価が高まりやすい傾向があります。
こちらをアピールするには、たとえば下記のような話題を使いましょう。
〈アピールに使える話題の例〉
- 前の会社や業界の常識にとらわれず、素直に知識や業務を吸収する姿勢
→自己PRの締めの言葉として「入社後に必要なことを学んでいきたい」と伝えるのがおすすめ。 - 学ぶ意欲の高さや、これからの抱負
→もし現在、資格取得に向けた勉強などをしている場合は、アピールすると意欲が客観的に伝わりやすい。
注意:「勉強している」アピールについて
勉強中の内容や、取ろうとしている資格をアピールするときは、応募する仕事との相性に注意。入社後の業務内容と勉強している内容に関連性がない場合は、効果的なアピールになりません。
すでに取得している資格をアピールする場合も同様に、業務との相性は意識しましょう。関連性が薄いものは、いくつ所持していても評価に繋がらないうえ、資格を取ることが目的になっていると、むしろマイナスの印象に繋がるリスクもあります。
2. 仕事に対する熱意・意欲
未経験者がアピールに使える内容としては「仕事に対する熱意・意欲」も一般的です。「1. イチから学ぼうという姿勢」と同じく、成長できるポテンシャルを見せることができます。
熱意や意欲にもとづいた行動・姿勢を伝えることで、入社後に活躍できるイメージを採用担当者に印象付けられるので、下記のような話題を使ってアピールしていきましょう。
〈アピールに使える話題の例〉
- 高い意欲で学び、先輩社員や経験者に追いつく姿勢
→「どのように追いつき、仕事を通じてどう成長していきたいか?」を言えると、下調べをして仕事のイメージができていることを印象付けられる。また、自発的に資格取得に向けた勉強などをしている場合は、アピールするのも効果的。
- その仕事をしたい理由・エピソード
→自分がやりたいことを伝えるとともに「その実現のために、この仕事を選んだ」という納得感のある流れを作れるとベター。
3. これまでの仕事から何が活かせそうか
未経験者がアピールに使える内容として「これまでの仕事から何が活かせそうか」もおすすめ。未経験の仕事に応募する場合でも、仕事に対する考え方や業種・職種を問わず活かせるスキルといった普遍的な内容は、アピールに繋げることが可能です。
アピールの際に重要なのが、応募先の業務で活かせるかどうかという視点。いくら普遍的なスキルであっても、応募先で役立たなければ評価には繋がりません。
しっかり下調べしたうえで、下記のように役立ちそうな経験・スキルをピックアップして伝えましょう。
〈アピールに使える話題の例〉
- 業種・職種問わず活かせるスキル
→「コミュニケーション力や分析力、課題発見力」などは定番のスキルとして、さまざまな仕事で活かせるため効果的。
- 仕事に対する考え方
→「ユーザーファーストの姿勢、指示待ちではない自律型思考、全体を見て仲間をフォローする姿勢」などが定番。
【職種別】自己PRの例文・見本
未経験の仕事に応募する際の職務経歴書の自己PRについて、応募先の職種別に例文を用意しました。
主要な7職種のサンプルを参考に、どのようにアピールしていくか見ていきましょう。
自己PR以外の欄は、未経験の仕事に応募する場合も、過去の経歴をありのままに記入していきます。下記の記事を参考にして、経歴やスキル・資格欄を埋めていきましょう。
営業
〈例文〉
現在勤務している個別指導塾では、高校生の数学の指導を担当しています。その中で得意としてきたのが、担当する生徒に足りないものを補う教え方の工夫です。
難関大学に合格するためには、大前提として「理論を理解し、応用する力」が必要と考え、通常の授業では扱わないような応用問題を積極的に導入しました。問題の内容は生徒ごとに変え、志望校の出題傾向に合わせたものや、苦手分野を克服できるものを用意し、生徒ひとりひとりの足りないものを補うようにしています。その結果、第一志望の合格率85%という実績を残しました。
営業は未経験ですが、相手に寄り添って課題解決のために試行錯誤を行ってきた経験は、お客様とのやりとりにも応用できると考えております。まずは貴社の製品についてしっかりと理解を深めつつ、お客様に納得していただける営業スタイルを習得していく所存です。
アピールしたいポイント
- 入社後に学んでいく姿勢
→営業職は、特に未経験募集の多い職種。イチから学んでいく姿勢が重視されるので「前の会社や業界の常識にとらわれず、素直に知識や業務を吸収する姿勢」をアピールすると効果的。
- 前職での姿勢が、営業職でどう活かせそうか
→営業職の場合、応募者のポテンシャルをはかるために、仕事の取り組み方に注目されることも。「どんなことを考えて業務にあたっていたか」を具体的に書くことで、採用担当者に入社後活躍する姿をイメージしてもらいやすくなる。
▼営業職の職務経歴書の記入サンプルはこちら
事務
〈例文〉
前職では業務用ソフトウェアの営業職として2年間、顧客のアフターサポートを中心に担当しておりました。主にメール・電話で顧客の要望を引き出し、サポート内容のご提案を行ってまいりました。
また、顧客への提案資料や契約書類等の作成も行ってまいりました。Word・PowerPointの基本操作のほか、Excelは表計算機能(SUM関数、VLOOKUP関数など)も利用可能です。これらのスキルが評価され、社内向けの教育資料の作成も担当しておりました。
貴社の事務職においても、電話応対やWord・Excel等の操作スキルはベースになるのではと考えております。未経験ではありますが、精一杯努力して仕事を覚えていきたいと考えております。
アピールしたいポイント
- 事務職でも活かせそうなスキル・経験
→PC・電話対応スキルや簿記の知識は優先的にアピール。WordやExcelなど、何をどの程度使えるのか具体的に記載する。
- 謙虚で前向きな姿勢
→PCの操作や社内外のやりとりなど、ほかの仕事での経験をアピールしやすい職種である一方で「自分の○○の経験は貴社の△△でも活かせます」と言い切るのはNG。これまでの経験・スキルはあくまでベースとしてとらえ、入社後に精一杯努力して仕事を覚えたいという熱意をセットで伝える。
▼一般事務職の職務経歴書の記入サンプルはこちら
プログラマー、ITエンジニア
〈例文〉
前職の製造職では、オーダーメイド機器の製造・組立に携わっておりました。そのなかで大切にしてきたことは、チーム内でコミュニケーションを積極的に取ることです。
ひとつの機器の製造にあたって、5人のチームメンバーそれぞれに担当部品・作業を切り分けていましたが、個人で作業が完結するわけではありません。組み上げた製品の品質を高めることを第一に考え、部品の加工時に上手くいかないことがあれば、メンバー間で相談しあって課題を解決するようにしてきました。
また、オーダーメイド機器の製造という仕事柄、加工では試行錯誤を重ねる必要があります。そのため、自分の工程での成功事例を共有し、チームメンバーの知見を高めることも意識してきました。
ITエンジニアの業務も、チームで連携してシステムを作り上げると聞いております。前職で大切にしてきたチームで連携する姿勢を持ち、まずは業務の知識習得に努め、いずれはチームの課題を解決できるようなエンジニアとして貴社に貢献したいと考えております。
アピールしたいポイント
- チームワークの経験
→プログラマーやエンジニアは黙々と個人で作業をするのではなく、実際は多くのチームメンバーと意見交換する仕事。そのため、チームワークの経験があれば活かせる可能性が高い。
- 自学自習の経験
→IT業界は日々新しい技術が生まれているため、常に書籍やインターネットで学び続けることが重要。積極的にインプットする姿勢はもちろん、Webサイトや自作ゲームなどでアウトプットしている姿勢があるとベスト。
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Webデザイナー
〈例文〉
Webデザイナーを目指すため、半年前に専門のスクールへ入学しました。未経験で転職するには知識の定着が不可欠と考え、マンツーマン指導型のスクールを選び、コーディングやデザインについて実践的に学んでおります。HTML/CSSのコーディングスキルやPhotoshop、illustratorの操作方法を修得中で、実際にランディングページの制作も経験しました。
また、日頃からWebサイトを閲覧する癖をつけ、トレンドになっているデザインや、新たなテクニック・機能などの情報収集を行うようにしております。
貴社に入社後も自発的に学ぶ姿勢を持ち続け、実践的な知識・スキルの修得に努めたいと考えております。
アピールしたいポイント
- 常に学び続ける姿勢
→Webデザイナーは経験者であっても、流行のデザインや新しいテクニック・機能を覚える必要がある仕事。入社後に成長する意欲や、入社に向けて学んでいることがあれば伝える。
- コミュニケーション能力
→Webデザイナーは顧客の意図を汲み取ってデザイン・機能を形にしていく仕事のため、営業・接客業など人とコミュニケーションを取る仕事の経験は活かしやすい。
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販売・接客
〈例文〉
営業職を2年間担当してきたなかで大切にしてきたのが「相手の話を咀嚼し、要望を汲み取ること」です。
顧客の要望に応えるには、相手の話を咀嚼して「本当に実現したいこと」を読み取り、適切なサービスをご提案することが不可欠です。顧客から売上管理用ツールの問い合わせをいただいた際も、ヒアリングのなかで見えてきた課題をふまえ、オプション機能のご提案などを行ってまいりました。その提案が顧客の真意を捉え、成約につながった事例も数多くあります。
販売職は未経験ですが、相手とのコミュニケーションのなかから要望を汲み取り、商品をご提案する姿勢は共通なのではないかと考えております。入社後には、業務知識を学んだうえで提案力を磨き、売上に貢献できるよう努力いたします。
アピールしたいポイント
- コミュニケーション能力
→販売職は顧客と直接コミュニケーションを取る業務であり、相手の要望を汲み取ったり、気配りをすることが必要不可欠。これまでに経験があれば、自分なりに工夫したエピソードなどを添えて伝えると効果的。
- 企業・社風との相性
→企業・ブランドによって接客のコンセプトはさまざま。もし応募先の社風・ブランドで特徴があるようなら、それを理解したうえで活かせそうな経験をピックアップする。
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製造
〈例文〉
前職では営業職に従事しておりました。そのなかで大切にしてきたのが、常に知識を吸収していくことです。
営業時代は顧客の新規開拓を担当していたため、訪問先が扱っている商材やサービスに関する勉強が必要でした。もし商談のなかで不勉強なことが伝われば成約には繋がらないため、企業のホームページはもちろん、業界ニュースなども読み、日頃から情報を集めるようにしております。その結果、顧客に対して効果的な提案もできるようになり、毎期営業ノルマを達成しておりました。
製造業は未経験ですが、覚えることが多いからこそ、こうした学びの姿勢が大切だと考えております。貴社の業務を着実に習得し、少しでも早く貢献できるようになりたいと考えております。
アピールしたいポイント
- 学ぶ姿勢
→未経験の場合、業務に必要な知識・加工技術はイチから習得していく。そのため、勤勉さ・技術を吸収していきたいという意欲をアピールすると好印象に。
- 生真面目さ・誠実さ
→生産ラインなどは、業務を止めない・抱え込まないことが重視される。与えられた業務を実直にこなす生真面目さや、トラブルが起きる前に「報連相」をする姿勢が評価の対象になるので、追加でアピールしてもOK。
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医療事務
〈例文〉
前職では2年間、個人営業の担当として顧客への提案・アフターサービスなどを行ってきました。その中で大切にしてきたのが、コミュニケーションの工夫です。
顧客の年齢層が20代~50代と幅広く、相手に合わせた話題選びや、話のテンポの調整などを心がけていました。不快な印象を与えないことにも気を配り、顧客の年代ごとに注意すべき言葉やマナーなど、個人的にまとめるといった工夫もしてきました。また、社内のサポートメンバーや制作部門とのコミュニケーションも多いため、ミスなくスピーディにやりとりできるよう、連絡用テンプレートの整備といった工夫も重ねてまいりました。
医療事務においても、病院の窓口として相手に合わせたコミュニケーションが大切だと聞いております。前職までの姿勢も大切にしつつ、一日でも早く医療事務の業務を覚えて貢献できるようになりたいと考えております。
アピールしたいポイント
- コミュニケーション能力
→病院の窓口対応ではホスピタリティが求められる一方で、医師・看護師とのやりとりでは正確性が求められる。接客業などで「相手に合わせた柔軟なコミュニケーション」をとった経験があれば、具体的なエピソードを交えてアピールするとベター。 - 事務処理能力・パソコンスキル
→医療事務におけるカルテや会計資料、レセプトの作成においてベースとなるスキル。これまでの業務経験やMOS資格などで、スキルが身についていることをアピールできそうなら、自己PR欄で伝えてもOK。
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未経験者の自己PRで、やってはいけないこと
未経験者が自己PRを書く際、やってはいけないことが2つあります。
意欲が正しく伝わらなくなったり、場合によっては採用担当者からの印象が悪くなったりするので、十分注意しましょう。
「憧れ応募」に見えてしまう
未経験者が陥りがちなのが、自己PRが「憧れ応募」に見えてしまうこと。
「憧れ応募」とは、会社・仕事についてきちんと下調べをせず「なんとなく、いいかも」という感情で応募している状態を指します。
実際には企業研究をしていたとしても、製品やブランドのファンである、企業のスペックに魅力を感じているといった内容が強すぎる場合には「憧れ応募」の印象を抱かれてしまいます。
企業に興味を持ったきっかけとして製品・ブランドへの憧れを語るのは問題ありませんが、アピールの中心はあくまで「成長するポテンシャルがある」「活かせそうな経験がある」といった、入社後の活躍をイメージしてもらえるような内容にしましょう。
「経験が活かせる」と言い切ってしまう
前職の経験や業務の姿勢を活かすことは重要です。しかし「◯◯の経験が活かせる」と強く断言してアピールするのはNGです。
実際の業務は企業によって異なり、日々変化も求められるため、前職の経験だけでは対応しきれないことがほとんど。経験が活かせると言い切ってしまうと「前職の経験に固執している」「業務をよく理解しないままアピールしている」といったネガティブな評価に繋がる危険性があります。
経験はあくまで今後の仕事のベース程度にとらえ、入社後に学んでいくこと・変化していくことを必ずアピールしておきましょう。
職務経歴書の、ほかの欄を書きたい場合は…
自己PR欄には未経験者ならではのポイントがありましたが、そのほかの欄は、基本的に経験者・未経験者でも記入方法は変わりません。
下記のページを参考に、情報を埋めていきましょう。
▼職務経歴書の全体の書き方を知りたい場合は……
▼職務要約の書き方・例文を見たい場合は……
▼職務経歴(職歴)の書き方を見たい場合は……