退職理由別の例文・ポイントも紹介 職務経歴書に退職理由は書くべき?

「転職回数が多い」「早期離職している」といった事情がある場合、退職理由を正直に伝えると転職活動に影響が出てしまうのではと不安になるものです。

そもそも、職務経歴書に退職理由は明記した方がいいのでしょうか?

この記事では、職務経歴書にも退職理由を書くべきケースと、実際に職務経歴書に記入する退職理由の例文・ポイントを紹介します。

職務経歴書に退職理由は書くべき?

退職理由は、基本的には書かなくてOK

職務経歴書の場合、基本的に退職理由を記載する必要はありません。退職理由の書き方によっては、必要以上にネガティブな印象を与えてしまったり、前職への批判と誤解されたりする恐れがあるためです。応募先企業から指定がない限り、退職理由は書かないのが無難でしょう。

ただし「転職回数が多い」「未経験の仕事に応募している」など、これまでの経歴や応募の状況によっては、退職理由を書くべきケースも。

次の章では、具体的にどんなケースで退職理由を書くべきか、代表例を紹介します。

職務経歴書に退職理由を書くべきケース

「転職回数が多い」「未経験の仕事に応募している」といったケースをはじめ、退職理由の説明がないと「辞め癖がついている」「応募の軸が定まっていない」といった誤解を招いてしまうことがあります。

下記の5つのケースでは特に退職理由が無いと誤解を招く可能性が高いため、必ず退職理由を書きましょう

〈退職理由の記載が必要な、5つのケース〉

  1. 転職回数が多い
  2. 離職期間が長い
  3. 前職の在籍期間が短い
  4. 業種・職種に一貫性がない
  5. 未経験の業界・職種に転職する

1.転職回数が多い

転職回数が多い場合、採用担当者に「またすぐに辞めてしまうのではないか」と思われる可能性があります。そのため、正当な理由があって退職したことを伝えるためにも、職務経歴書に退職理由を書きましょう。

下記の記事で、転職回数が多い場合の職務経歴書のくわしい書き方をまとめています。あわせてチェックしてください。

2.離職期間が長い

離職期間が長い場合「働く意欲がないのではないか」「何か転職先が決まらない理由があるのではないか」と採用担当者に誤解される可能性があります。

誤った解釈をされないよう、再就職までに時間がかかった理由を交えて退職理由を記載しましょう。

3.前職の在籍期間が短い

前職をすぐに辞めてしまっている場合、採用担当者に「自社でも長く働いてもらえないのではないか」といったネガティブな印象を持たれてしまう可能性があります。

「選考時と条件が異なっていた」など、早期離職に至った理由を説明しておきましょう。

4.業種・職種に一貫性がない

これまでに在籍していた業種・職種に一貫性がないと、「キャリアプランについて深く考えていないのではないか」「向いていないと感じたらすぐに辞めてしまうのではないか」といった疑問を抱かせる可能性があります。

「なぜ異業種・異職種間を転々としてきたのか」という疑問に対しての理由を伝えて、しっかり自身のキャリアプランに基づいて転職先を決めてきたことを伝えましょう。

5.未経験の業種・職種に転職する

未経験業種・職種に転職する場合「なぜ前職とまったく違う業界・職種を志しているのだろう」「ただの憧れ応募では」と疑われる可能性があります。

この場合は、自分なりの考えがあって転職先を探していると伝えることが重要なので、「未経験業種・職種を選んだ目的や理由」を明記しておきましょう。

【例文つき】退職理由別の職務経歴書の書き方

この章では、職務経歴書の退職理由の書き方を、見本つきで解説します。

主な退職理由別の例文も用意しているので、参考にして書いてみましょう。

退職理由の基本的な書き方

職務経歴書の退職理由は、【職務内容】を書くスペースに、在籍した企業ごとに記載します。

「主な業務」や「実績」といった項目に加えて「退職理由」の項目を追加し、下記の3点を記載しましょう。

〈退職理由に入れておきたい3つの要素〉

(1)前職を退職した理由

(2)退職を考えた際のエピソードや、現在は問題なく働けるという不安払拭の要素

(3)転職先での抱負

【職務経歴欄のサンプル】

【職務経歴】〇〇〇〇株式会社/事業内容:医薬品、医薬部外品、医療器具などの製造・販売/売上高 :154億円(2023年3月期実績)/従業員数:800名/資本金:20億円/期間/職務内容/2021年4月~2024年3月■営業部のアシスタントとして営業用の資料作成に従事【主な業務】■PowerPointを使用したプレゼン資料作成(情報収集から担当)/■営業が制作した資料の内容確認・修正(情報の事実確認、誤字脱字チェック、レイアウト調整など)/【実績】■資料作成の代行により、営業1人あたり4時間/日の作業時間の捻出を実現。営業部全体の売上20%アップに貢献しました。/■営業が作成した資料を確認し、書類の不備を削減。請求書等の差し戻しの削減に貢献しました。/【退職理由】結婚にともない、配偶者の勤務の都合上引っ越す必要があり、退職いたしました。現在は家事も落ち着いているため、フルタイムでの勤務も問題ありません。これまでの業務で培ってきた柔軟性と、周囲と打ち解ける力を活かし、貴社の業務にも順応していきたいと考えております。 なお、体調不良や介護など、仕事を辞めざるをえなかった状況で退職した場合に重要なのが、(2)の「現在は問題なく働けるという不安払拭の要素」です。

採用にあたって、採用担当者は「まだ仕事に影響がある状態ではないか」「同じ理由でまた仕事を辞めないか」といった不安を抱いています。しっかり働ける状態であることを示すために、病気が完治したといった現状を正直に伝えるようにしましょう。

なお、退職理由には正直に伝えていいものと、伝えないほうがいいものがあります。次の節では「正直に伝えて問題ない退職理由は何か?」と、具体的な書き方を例文つきで紹介します。

そのまま伝えても問題ない退職理由の書き方

正直に伝えてもいい退職理由として代表的なものは、下記の6つです。

キャリアアップ

キャリアアップが退職理由の場合は、前職ではどのようなことを学び、現在はどのような方向性でキャリアアップを目指しているのかを記載し、採用担当者の不安の払拭につなげましょう。

【キャリアアップが退職理由の場合の例文】

(1)
エンジニアとして成長したいと考えて退職しました。

(2)
前職では専門知識や技術力を高める機会に恵まれていたものの、専門性を高めるうちに「より大規模なプロジェクトで技術力を発揮したい」と考えるようになりました。一方で、案件の規模が一定以上のものがなく、希望する経験が積めないと考えたため退職いたしました。

(3)
案件の規模こそ異なりますが、培ってきた技術力や専門知識を活かして、貴社でもエンジニアとして貢献できればと考えております。

【ポイント】

  • なぜ、前の会社ではキャリアアップが難しかったのか」について触れておく
  • その際、転職前の企業を批判するような表現は避ける
  • 応募企業ならば、キャリアアップを実現できる」と考えた理由も説明する

結婚や妊娠・出産

結婚や妊娠・出産によって退職した場合、必要に応じて現在の健康状態や育児の状況などを伝え、今は問題なく仕事ができると断言しておきましょう。

【結婚や妊娠・出産が退職理由の場合の例文】

(1)
結婚にともない、配偶者の勤務の都合上引っ越す必要があり、退職いたしました。

(2)
現在は家事も落ち着いているため、フルタイムでの勤務も問題ありません。

(3)
これまでの業務で培ってきた柔軟性と、周囲と打ち解ける力を活かし、貴社の業務にも順応していきたいと考えております。

【ポイント】

  • 子育て中の場合は、業務に支障がないことを伝える
  • 働く時間に制限がある場合は、その旨も記載する

契約満了

派遣社員や契約社員など、雇用期間に定めがあり、それを満了して退職した場合は、その旨を伝えましょう。加えて、前職でどんな業務を経験してきたのかも伝えることで、転職後に活躍するイメージに繋げることができます。

【契約満了が退職理由の場合の例文】

(1)
前職は、一年間の契約期間を経て契約満了となりました。

(2)
この期間中、プロジェクトマネジメントのスキルを磨き、複数の部門を横断する大規模プロジェクトの成功に貢献しました。

(3)
この経験を通じて、チームワークと効果的なコミュニケーションの重要性を学びました。

これらのスキルを活かし、今後も大規模なプロジェクトなど多様なメンバーがいる環境で活躍していきたいと考えております。

【ポイント】

  • 契約期間が満了して退職した場合、ネガティブな印象にはならないのでストレートに伝えてOK
  • さまざまな職場で勤務した経験がある場合は、順応性が高いことをアピールしておくのがおすすめ
  • 職務経歴書の「実績」の箇所ですでに経験を書いているときは、「実績で示したような経験を活かして~」のような形で、端的に記載する

倒産・リストラ

退職理由が倒産・リストラの場合は、まずその事実を記載します。ただし、採用担当から「スキル不足でリストラされたのでは?」といった不安を持たれる可能性があるため、実績を積んできたことや、転職先で活かせそうな経験を積んでいることも伝えるようにしましょう。

【倒産・リストラが退職理由の場合の例文】

(1)
前職は組織再編によるリストラの一環で退職しましたが、同社での経験は私にとって大きな財産となっております。

(2)
特に複数のプロジェクトを同時に遂行し、期限内に高品質な成果物を提供してきた経験は、今後の業務でも活かせるものと考えております。

(3)
前職で培った知識と経験を活かし、貴社でもチームやプロジェクトを牽引できる存在になりたいと考えております。

【ポイント】

  • リストラで退職した場合はネガティブな印象になりやすいため、転職先で必要なスキル・経験を前職で得ていることを必ず説明する
  • 職務経歴書の「実績」などですでに経験を書いている場合は「実績で示したような経験を活かして~」のような形で端的に記載する

体調不良

体調不良によって退職した場合は、必ず「現在の状態」と「業務に支障がない」ことを伝え、体調に対する採用担当者の不安を取り除きましょう。

【体調不良が退職理由の場合の例文】

(1)
前職では、メンタル面の不調を理由に退職いたしました。

(2)
現在は治療によって症状は回復しており、医師からも就業に問題ないとの診断をいただいております。

(3)
データ集計・分析の経験を活かし、貴社の業務にも貢献したいと考えております。

【ポイント】

  • 現在は業務に支障がないことを、具体的な根拠もそえて伝える
  • そのうえで、これまでの経験・スキルを活かせることを伝え、転職後に活躍できるイメージを抱いてもらうことが重要

介護

家族の介護を理由に退職した場合は、「現在は仕事に専念できる状況である」ことを伝え、「業務に支障がないか?」といった採用担当者の不安を払拭するのが重要。勤務時間に制限がある場合は、その事実を隠さず伝えましょう。

【介護が退職理由の場合の例文】

(1)
家族の介護に専念するため、退職いたしました。

(2)
現在も介護は行っていますが、日中の時間帯は介護サービスを利用しており、平日の9時から18時までは勤務が可能です。

(3)
接客業務を通じて培ったコミュニケーション能力や事務処理能力を活かして、転職先の業務にも貢献したいと考えております。

【ポイント】

  • 「現在は仕事に専念できる状況なのか」「引き続き介護の必要はあるのか(勤務時間に制限があるのか)」を必ず記載する
  • 勤務時間に制限がある場合は、仕事への意欲もあわせて伝えることで前向きな印象を与えることも重要

違う理由を記載すべき退職理由

下記の3つの退職理由にあてはまる場合は、伝え方を工夫したとしてもネガティブなイメージを払拭することが難しい可能性があります。

  • 人間関係が退職理由の場合
  • パワハラが退職理由の場合
  • 給与・待遇への不満

該当する場合は、そのまま伝えて問題ない退職理由の中から、自分にあてはまるもの(嘘にならないもの)を選んで、そちらを伝えるようにしてください。

退職理由を書くときのポイント

退職理由を書く際は、ネガティブな受け取られ方にならないようにすることが重要です。

下記の2つのポイントにそって、書き上げた文章を見直ししておきましょう。

ポジティブな理由にして伝える

退職理由はネガティブになりがちですが、以下のようにポジティブに変換して伝えるようにするのがポイントです。

●本当の退職理由

「前職では、基本的な事務の仕事しかやらせてもらえず、まったくスキルアップができなかったため退職した」

●ポジティブな言い換え

「前職では、関数を使いこなしながら素早く資料を作成できるスキルが身についた。そのスキルを活かして、営業事務としてできることを増やしつつキャリアアップしたい」

言い換えを考える際には、退職理由となったネガティブな出来事に注目するのではなく、業務を通じてどんなスキルを獲得できたかに注目しましょう。それを活かして、転職先でどのように活躍しようと思っているのかを伝えられると、印象がポジティブになります。

嘘はつかない

退職理由を書く際は、嘘をつかないことも大切です。実際の退職理由とはまったく違う理由を書いてしまうと、面接で深掘りされたときに志望動機や自己PRとの矛盾点が生まれ、余計に不信感を与えてしまう可能性があります。

正直な退職理由を伝えるとネガティブな印象になりそうな場合には、嘘の内容を伝えるのではなく、ほかに退職の要因となったものから「伝えても問題なさそうなもの」を選ぶようにしてください。

職務経歴書を書き進めよう

退職理由の書き方を理解したら、職務経歴書のほかの欄の書き方についても確認しておきましょう。採用担当者からポジティブな印象を持ってもらうためには、職務経歴書全体を通して、これまでの経歴や保有しているスキルをアピールする必要があります。

職務経歴書全体の基本的な書き方については、以下の記事で解説しています。

職務経歴書のそれぞれの項目について、詳しく書き方を知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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