挽回方法を解説 転職回数の平均|多いと不利って本当?
「転職した回数が多くなると、選考で不利になるかもしれない」と、不安になる人は多いのではないでしょうか。
この記事では、転職回数の年代別の平均や、マイナスイメージを挽回するための自己PRの方法、履歴書の書き方を見本付きで紹介します。
データで見る!転職回数の平均
厚生労働省の2015年調査を参考に、年代別・職種別で転職回数の平均を紹介します。
年代別|30代からは転職回数が増える
調査データによると、20代までは「転職回数1回」が60%以上と最も多くなっています。一方、30代では2回が22.8%、40代以降は3回が24%で最も多い割合でした。
30代になると、会社に入社してから経験を積んだことで、スキルが身に付いてくる時期です。さらなるキャリアアップを目指す人が多くなるため、転職がしやすい年代と言えるでしょう。
職種別|サービス業は転職回数が多い
厚生労働省が調査した中でも、2回以上転職している人の割合が多いのは下記のような職種です。
職種 |
2回以上転職している人の割合 |
輸送・機械運転の仕事 |
87.3% |
保安の仕事 |
84.4% |
運搬・清掃・包装などの仕事 |
77% |
生産工程の仕事 |
73.9% |
サービスの仕事 |
73.1% |
これらの業界は、労働環境が悪い割に低賃金というケースが少なくないため、やりがいを感じられずに辞める人が多く、人材の入れ替わりが激しいケースも。
反面、転職回数が多くても気にされにくい職種だと言えるでしょう。
「サービスの仕事」や「保安の仕事」などが指している具体的な職種は、以下の通りです。
分類 |
具体的な職種例 |
輸送・機械運転の仕事 |
電車・バス運転士、営業用乗用自動車運転者、航海士、機関士、航空機操縦士など |
保安の仕事 |
守衛、警備員、監視員、建設現場誘導員など |
運搬・清掃・包装などの仕事 |
郵便配達員、倉庫現場員、清掃従事者、包装工など |
生産工程の仕事 |
生産設備制御・監視員、機械組立設備制御・監視員、製品製造・加工処理工、機械組立工、機械修理工、自動車整備工、製品検査工など |
サービスの仕事 |
理容・美容師、ホームヘルパー、接客係、駐車場・ビル管理人など |
※出典:
平成27年度雇用の構造に関する実態調査|転職者実態調査|厚生労働省
コラム:転職回数の数え方とは?
転職回数は、正社員や契約社員など、直接雇用で働いた会社を1社とカウントし、その間の数が転職回数となります。例えば、3社の在籍経験がある場合は、転職回数は2回ということになります。
派遣社員も職歴には含まれますが、同じ派遣会社に在籍している限り、派遣先が何度変わっても転職回数にはカウントしないのが一般的です。
また、直接雇用でもパート・アルバイトは転職回数に含まれません。
ただし、パート・アルバイトから正社員として転職する時に、アルバイト歴が長く、応募先の企業に役立つスキルや経験を積んだというアピールになる場合は、職歴に記載した方がいいでしょう。
転職回数に関する、人事担当者の本音
実際、人事担当者が転職回数についてどのように思っているのか、転職支援を行うキャリアアドバイザーに聞いてみました。
20代なら2回、30代なら3回以上なら多い
人事担当者から見て、20代では2回以上、30代では3回以上、40代では4回以上転職していると、転職回数の多さが気になってしまうようです。
また、年齢にかかわらず在籍年数が2年以下の経歴がある場合も「またすぐに辞めるのでは?」という不信感につながる可能性があります。
また、応募数が多い企業の場合、会社規定で「転職回数◯回以上の人は基本NG」などと、転職回数で足切りを行っているところも一定数あるようです。
転職回数が多くても採りたいと思われる人材
転職回数が多くても人事担当者が採用したいと思ってもらうためには、今までの会社で得た経験やスキルが実績として表れていて、それを自社でも役立てて活躍してくれそうと、下記のように印象づけることが大切です。
- 自社の人材にないスキルや経験を持っている
- 各社での経験がキャリアとして形成されている
- 各社での経験を使って活躍していたという実績がある
人事担当者は一般的に、転職回数の多い人に対して「定着性がない」「ストレス耐性がない」「キャリアに一貫性がない」の3点を気にしています。
転職回数が多くなってしまった場合、履歴書・職務経歴書などで先入観を払拭できるようなアピールをしましょう。
転職回数が多いときの履歴書の書き方
転職回数が多い場合、履歴書・職務経歴書はどのように書けばいいのか解説します。
【見本】履歴書の職歴欄の書き方
転職回数が多い人が履歴書の職歴欄を記入するときは、なるべく1社2~3行にとどめるようにして、履歴書の職歴欄に書ききれるかどうか、先に計算しておきましょう。
書ききれない可能性がある場合は、履歴書には社名と簡単な職務内容だけを書くようにして、なるべく短くまとめるようにします。職歴欄の最後に、「詳細は職務経歴書に記載」などと、職務経歴書に促す文言も付け加えましょう。
【見本】職務経歴書の職務経歴欄の書き方
転職回数が多い場合でも、職務経歴書の職務経歴欄には在籍していた会社の事業内容の他、積み上げてきた実績を詳しく記載します。ただし、可能であればできるだけ職務経歴書全体で2枚以内に収まるように調整しましょう。
〈職務経歴書の見本〉
※履歴書の学歴・職歴欄の書き方について
※職務経歴書の職務経歴欄の書き方について
職歴欄の大きい履歴書を使うのもあり
転職回数が多すぎて履歴書の職歴欄に入りきらない場合は、職歴欄の大きい履歴書を使用しましょう。
自分の職歴は何行あれば収まるのかをよく確認して、必要な行数のある履歴書を購入、またはダウンロードしましょう。
転職回数をごまかすと経歴詐称になる
転職回数を少なくごまかすと経歴詐称になる可能性があるため、多くても職歴はすべて書くようにしましょう。
「転職した回数が多いと心証が悪く、書類選考すら通らないのでは?」と不安になるかもしれませんが、きちんと理由を説明し、効果的なアピールを行えば大きな問題はありません。
仮に書類選考・面接時に転職回数をごまかせて入社できたとしても、雇用保険の手続きや源泉徴収のタイミング、年金手帳などを確認した時に嘘が発覚する可能性があり、最悪の場合は懲戒処分になることもあります。
転職回数の多さを挽回するアピール方法とは
転職回数が平均よりも多かったとしても、不利にならない自己PRの伝え方や、理由の説明方法について紹介します。
【例文】転職回数の多さをプラスに変える自己PR
転職回数の多さに対するマイナスイメージを挽回するには、転職するごとに業務遂行スキルが上がっていることや、さまざまな会社を経験してきたからこそ身に付いた多角的な視点やスキルを、今回応募した会社でも生かせることをアピールすることが大切です。
ここでは自己PR欄の書き方について、同じ職種を続けている場合と、さまざまな職種を経験している場合に分けて紹介します。
同じ職種で転職している場合
同じ職種でいくつもの職場を経験している場合は、職務上のスキルの高さや、特定の業務に関するプロフェッショナルであることを強調しましょう。
▼自己PRの例文
私は7年間、営業の仕事をする中で「お客様第一主義」の営業スタイル(1)を貫いてきました。特に心がけていることは、お客様の本当のニーズに応える商品を提供し、満足度をアップさせることです。
例えば1社目の○○社では、定期的に取引しているお客様に業界全体の情報を教えることで深い信頼を寄せていただき、大口発注へとつなげることができました。また、2社目の××社ではお客様とこまめに連絡を取って問題点を発見し、解決策を提案することで結果的に前年比10%以上アップという売り上げを立てることができました(2)。
貴社でもこの経験を生かし、お客様と信頼関係を築きながら仕事をしていきたい(3)と考えております。
ポイント
- 職務上のスキルの高さや、仕事をする上でのモットーを強調する
- これまでの会社できっちり成果を出してきたことをアピールする
- 職場にすぐに馴染みたいという意思も伝える
キャリアがばらばらの場合
これまでにさまざまな職種を経験してきた人は、一貫したキャリアビジョンがあることを明らかにして、今までの転職経験もそのためのステップということを示しましょう。また、多角的な視点やスキルを持っていることをアピールすると良いでしょう。
▼自己PRの例文
私はさまざまな仕事を経験したことで、現場で困っている人のニーズをつかむスキルがあると自負しております(1)。
今まで一貫して「困っている人に寄り添って助ける」仕事にこだわってきました(2)が、特に社会福祉士の仕事では(3)、デイサービスセンターなどの各種機関と利用者の仲介業務を担当していたため、社会福祉や公的保険などの分野に関しては、現場の知識があります。
そこで培った経験や知識は、貴社のオウンドメディア運用業務にも活かせるものと考えております。
ポイント
- これまでの経験が今回の志望職種に生かせることをアピールする
- どんな軸で転職してきたかをワンフレーズで伝える
- 志望している仕事と直接関係のある仕事に重点を置いて語る(直接関係のない仕事にはあまり触れない)
【例文】転職回数の多さを聞かれた時の答え方
面接で転職回数が多い理由を聞かれたときは、自分のキャリアビジョンに基づき、これまでの転職理由に一貫性があることをポジティブな言葉で伝えましょう。
「あの会社はやりたい仕事をやらせてくれなかった」「給料が安くて不満だった」といったネガティブな答えは避けましょう。
▼答え方の例
転職回数が多いのは、私がこれまで「結果にこだわり、ステップアップすること」(1)を軸にしてきたからです。
1社目では個人営業でスタートしましたが、自分の業務の幅を広げたいと考え、法人営業ができる会社に転職を決意しました。
2社目では新規顧客開拓を任されるようになりましたが、プレイヤーとしての実務業務だけでなく、プロジェクトリーダーなどの管理業務に挑戦したいと思うようになり、3社目として実務の他にチームリーダーとして後輩をマネジメントする管理業務も担当できる会社に転職しました。
今回の転職では、事業領域を広げて英語力を生かした海外取引に携われる仕事に就きたいと考えております(2)。英語は大学時代にアメリカ留学を経験しているため日常会話は可能です。
たしかに転職回数は多いですが、着実にステップアップしてきたと自負しております。その経験を生かして、御社では腰を据えて後進の育成にも取り組みたい(3)と考えております。
ポイント
- これまでの転職活動の軸、キャリアステップに対する考え方をアピール
- ネガティブな理由は答えず、前向きな理由を話す
- 今度は長く働きたいことに加え、どのように貢献したいかを語る
まとめ
厚生労働省によると、転職回数の平均は20代までは1回、30代では2回、40代以降は3回程度。
転職回数が多すぎると、人事担当者から見て定着率やキャリアの一貫性などが気になり、選考時に不利になる可能性もあるようでした。
転職回数が多くても不利にならないよう、これまでの経験や実績をアピールして、マイナスイメージを挽回できるようにしましょう。