年収や生活レベル、稼げる仕事も紹介 月収60万円の手取りはいくら?

会社員で「月収60万円」になると、手取りはどれくらいで、どのような生活を送ることができるのでしょうか。

今回は、月収60万円の人の手取り額や生活レベルについてくわしく解説します。

月収60万円の手取り・年収はいくら?

ここでは、月収60万円の手取り額や、税金・保険料などの天引き率、年収額などを紹介します。

※「月収」はボーナスや残業代を含む年間の総収入を12カ月で等分した金額のこと。基本給と各種手当など、毎月固定で支払われる「月給」とは異なります。

月収60万円の手取りは45万円前後

毎月の総支給額が60万円である場合、税金や保険料を差し引いた手取り月収は45万円前後になります。

ただし、実際の手取り額は、養っている家族の人数や支払っている保険料などによって変わります。

【▼月収60万円・東京都・35歳・独身の場合】手取り額:44万8,155円/天引き額:15万1,845円(天引き率:25.3%)/健康保険料:2万9,500円/厚生年金保険料:5万3,985円/雇用保険料:3,600円/所得税:3万1,860円/住民税:3万2,900円【▼月収60万円・東京都・50歳・既婚・15歳以下の子ども1人の場合】手取り額:46万1,786円/天引き額:13万8,214円(天引き率:23.0%)/健康保険料:29,500円/介護保険料:5,369円/厚生年金保険料:53,985円/雇用保険料:3,600円/所得税:18,860円/住民税:26,900円

月収60万円の天引きされる税・保険料の率は、総支給額の25%前後になると考えておけば良いでしょう。

妻や子どもなど扶養家族がいる人は、配偶者控除や扶養控除が受けられるため、独身の人に比べると天引き率がやや下がります。

給料の手取りの計算についてくわしく

月収60万円の年収は720万円

月収60万円の場合、額面年収は720万円(月収60万×12カ月)です。

毎月の手取りは約45万円であることから、手取りの年収は540万円前後になります。

〈月収60万円の場合〉

額面年収
=毎月の額面月収60万円×12カ月
=720万円

手取り年収
=毎月の手取り月収およそ45万円×12カ月
=およそ540万円

月収60万円の人の割合は?どれくらいいる?

月収60万円と聞くとかなりの高収入というイメージを抱くかもしれませんが、実際どれくらいの人がいるのでしょうか。

ここでは、国税庁の令和3年分民間給与実態統計調査の結果をもとに、年収700万円台の人の割合を紹介します。

月収60万円(年収700万円台)は全体の約5%

国税庁の調査によると、月収60万円台の人の多くが該当する年収700万円超~800万円以下の人は全体の約5%しかいません。

給与階級別のくわしい割合は、以下のとおりです。

【給与階級別の割合】~100万円:8.1%|~200万円:13.3%|~300万円:14.8%|~400万円:17.4%|~500万円:15.0%|~600万円:10.5%|~700万円:6.7%|~800万円:4.6%|~900万円:2.9%|~1000万円:1.9%|1000万円超~:4.9%|※国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」

年収700万円超の人の割合を合計しても約14.3%で、全体の2割にも満たない結果となっています。

男性では全体の約6.8%、女性で約1.7%

国税庁の調査結果を男女別に見てみると、男性で年収が700万円超~800万円以下である人は全体の6.8%でした。

また、年収が700万円を超えている男性の割合は21.7%で、5人に1人でした。

女性で年収700万円超~800万円以下である人は、全体のわずか1.7%でした。

年収700万円を超えている女性の割合をすべて合わせても5.8%で、20人に1人程度しかいない計算になります。

【男女別・給与階級別の割合】▼男性の給与階級別の割合|~100万円:3.5%|~200万円:6.7%|~300万円:10.5%|~400万円:16.9%|~500万円:17.5%|~600万円:13.8%|~700万円:9.4%|~800万円:6.8%|~900万円:4.4%|~1000万円:3.0%|1000万円超~:7.6%|▼女性の給与階級別の割合~100万円:14.3%|~200万円:22.5%|~300万円:20.9%|~400万円:18.0%|~500万円:11.4%|~600万円:5.9%|~700万円:3.0%|~800万円:1.7%|~900万円:0.8%|~1000万円:0.4%|1000万円超~:1.2%|※※出典:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」

最も割合が高い給与階級は、男性で400万円超500万円以下女性で100万円超200万円以下です。そのことを踏まえると、年収700万円以上の人は、給与面において男女問わず日本のトップクラスに入ると言えるでしょう。

月収60万円台の半数近くが50代

厚生労働省の調査を年代別に見ると、月収60万円台の人のうち約半数(48.4%)を50代が占めています。

20〜30代はあわせても全体の1割しかおらず、40〜50代だけで8割以上を占めています。

【月収60万円台の年代別割合】20代:1.0%/30代:9.0%/40代:32.8%/50代:48.4%/60代:8.2%/70代:0.4%|※出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

月収60万円台に40~50代が多い背景としては、年功序列制度により基本給が高かったり、役職手当が支給されたりするためと考えられます。

社会人歴が浅い20代・30代が月収60万円を達成するには、圧倒的な成果を出してスピード出世をするなど、相当な努力や工夫が必要になるでしょう。

※出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

月収60万円の生活レベルとは?既婚・独身シミュレーション

月収60万円の人は、実際にどのような生活を送っているのでしょうか?

ここでは「35歳独身」「50歳既婚、子ども1人」の2世帯を例に、1カ月の家計簿をシミュレーションしてみました。

【▼35歳・独身の場合】月収60万、手取り44万円・家賃:13万円(東京都心、マンション中層階、1LDK)/・光熱費:2万円/・通信費:2万円/・食費:4万円/・車代:3万円/・日用品費:2万円/・服飾費:3万円/・交際・娯楽費:5万円/・貯金:10万円

【▼50歳・既婚・15歳以下の子ども1人の場合】月収60万、手取り46万円/・住宅ローン:13万円(東京都23区外、新築マンション、2LDK、4200万円)/・光熱費:2万円/・通信費:2万円/・食費:8万円/・教育費:4万円/・車代:2万円/・日用品費:2万円/・服飾費:2万円/・保険料:3万円/・夫の小遣い:3万円/・妻の小遣い:2万円/・交際・娯楽費:3万円/・貯金:0円(ボーナスを貯金にまわす)

【住居】家賃は約13万円、住宅ローンは3,600万円

一般的に家賃は手取り月収の3割が目安と考えられているため、月収60万円(手取り45万円)の場合は13万円程度を住居費にかけることができます。

賃貸なら、都心のマンションの1LDKが借りられる程度の金額です。

家やマンションを購入する場合、住宅ローンは年収の5倍程度で組むことが多いため、月収60万円(年収700万円台)なら3,600万円程度が一つの目安になるでしょう。頭金がない場合は、東京都なら足立区・葛飾区などで、専有面積70平米程度の2LDKや3LDKの中古マンションを購入できます。

頭金を用意できる場合や共働きで世帯収入が多い場合は、4,000万円台以上の物件も購入できるでしょう。

また、独身の場合は、既婚者に比べて結婚生活の費用や子どもの教育費などがかからないため、ほかの支出を調整できれば、家賃が13万円以上になっても問題なく暮らせると考えられます。

【貯金】年間80万円以上が理想

一般的に貯金にまわす金額の目安は手取りの15%程度とされているため、月収60万円(手取り年収540万円)の場合は、年間80万円程度を貯金できると理想的です。

月に換算すると7万円程度の貯金ができるとよいでしょう。

なお、子どもがいる場合は毎月7万円の貯金が難しいこともあるため、ボーナスを使わずにすべて貯金にまわすなどの工夫が求められます。

【結婚】片働きでもゆとりある結婚生活が可能

月収60万円の場合、仮に結婚して片働きになってもゆとりある生活を送ることができると考えられます。

総務省統計局の調査によると、月収60万円の人が多く該当すると思われる「年収694万円~775万円」の階級において、2人以上の世帯の1カ月あたりの消費支出は平均30万1,739円で、年間にすると約360万円でした。

月収60万円の手取り年収は約540万円であるため、年間180万円程度を貯金に回したり臨時の支払いに充てたりできる計算になります。

ただし、上記の調査データは、家賃の支払いがない世帯も含めた平均値を示しており、1世帯あたりの住居費は約1万6,000円と低くなっています。そのため、賃貸物件に住む場合や住宅ローンの返済がある場合は、平均の消費支出額よりさらにプラスの支出がかかるため、年間180万円のゆとりが減ってしまうでしょう。

※出典:
総務省統計局「2022年 家計調査 家計収支編 第2表 年間収入五分位・十分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(二人以上の世帯)

【子育て】大学からは私立でも余裕がある

月収60万円の片働きで子どもを育てる場合、大学からなら私立校に通わせても余裕のある生活が送れるでしょう。

一方で、子どもを幼稚園〜大学まで「オール私立」で通わせるとなると、養育費・教育費の総額は公立校と比較して1,400万円程度多くなります。大学卒業まで22年かかるとすると、出費が年間64万円増える計算です。

総務省統計局の調査結果から、月収60万円世帯の年間支出が養育費・教育費を含めて約350万円程度であるため、オール私立の場合は、生活費のゆとり約200万円のうち3分の1程度がなくなってしまうことになります。年間80万円程度を貯金したり、臨時の支払いが発生したりすることを考慮すると、月収60万円であってもかなり負担が大きくなります

もし子どもを幼稚園など小さいうちから私立に通わせるなら、共働きをして世帯年収を上げる必要があるでしょう。

※出典:
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査 調査結果の概要」「国公私立大学の授業料等の推移

【公立学校と私立学校の学費(総額)の目安】教育課程/公立の学費/私立の学費/私立と公立の差額/幼稚園/3歳/13万3,353円/30万9,170円/17万5,817円|4歳/14万838円/27万6,125円/13万5,287円|5歳/19万8,555円/33万9,341円/14万786円/小学校1年生/37万9,539円/213万6,449円/175万6,910円|2年生/28万3,211円/140万2,725円/111万9,514円/3年生/31万5,794円/151万9,595円/120万3,801円|4年生/32万9,198円/159万2,088円/126万2,890円|5年生/38万774円/168万3,972円/130万3,198円|6年生/42万3,506円/166万4,831円/124万1,325円|中学校/1年生/53万1,544円/180万6,991円/127万5,447円/2年生/44万3,848円/121万8,559円/77万4,711円|3年生/ 64万925円/127万8,255円/63万7,330円/高校(全日制)/1年生/62万9,459円/127万6,978円/64万7,519円|2年生/45万7,895円/94万1,873円/48万3,978円|3年生/45万5,762円/93万7,550円/48万1,788円/大学/4年制|253万6,757円/396万9,723円/143万2,966円|合計/828万958円/2,235万4,225円/1,407万3,267円|※大学は令和3年度の入学料+授業料(4年分)より算出

月収60万円以上稼げる仕事【業界・職種・役職】

どのような仕事に就けば月収60万円以上稼ぐことができるのでしょうか。

月収が60万円を超えることがある業界職種役職について紹介します。

【業界】インフラ・金融・保険・情報通信など

インフラ・金融・保険・情報通信などの業界で企業規模が大きい会社に入り、着実に成果を残して昇進すれば、30代後半~40代後半で月収60万円以上になる可能性があります。

国税庁の調査によると、月収60万円以上の人が該当すると考えられる「年収700万円以上」の給与所得者の割合が特に高い業界は「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業・保険業」「情報通信業」でした。

年収700万円以上の人の割合(業界別)

業界 割合
電気・ガス・熱供給:水道業 51.3%
金融業、保険業 35.6%
情報通信業 30.9%
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 22.0%
製造業 21.0%
建設業 18.9%
複合サービス事業(郵便局、協同組合) 18.9%
不動産業、物品賃貸業 13.9%
卸売業、小売業 10.4%
サービス業 9.0%
運輸業、郵便業 8.9%
医療、福祉 7.3%
農林水産・鉱業 6.0%
宿泊業、飲食サービス業 3.0%

また、上記の調査を企業の企業規模で見ると、年収700万円以上の給与所得者の割合が最も高いのは資本金10億円以上の企業でした。

【企業規模別の年収700万円超の社員】企業規模(資本金)2,000万円未満…8.3%、2,000万円以上5,000万円未満…9.3%、5,000万円以上1億円未満…10.5%、1億円以上10億円未満…17.2%、10億円以上…33.9%

企業の資本金が多くなるほど経営が安定していて、基本給が高かったり手当が充実していたりする傾向があるため、高収入の人の割合も高くなると考えられます。

※出典:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査結果

【職種】国家資格や学術的な専門性が必要な職業

医師や弁護士など国家資格が必要な職業や、大学教授や助教など学術的な専門性が求められる職業は、収入が比較的高い傾向にあります。

厚生労働省の調査結果によると、月の平均賃金が高い職業TOP10は以下のとおりでした。

月の平均賃金が高い職種TOP10

職種 平均賃金(月)
航空機操縦士

130万5,300円

医師

109万6,100円

大学教授

66万700円

歯科医師

62万2,900円

法務従事者

56万5,500円

大学准教授

54万4,300円

法務従事者,公認会計士,税理士以外の経営・金融・保険専門職業従事者

50万7,900円

獣医師

49万4,700円

大学講師・助教(高専含む)

47万9,400円

公認会計士,税理士

47万6,800円

※出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

上記のような専門性が高い職業に就くことが難しい場合は、自分の頑張りと能力次第でインセンティブがもらえる「歩合制」の仕事を選ぶことで月収60万円以上になる可能性もあります。

歩合制が採用されていることが多い職種の例

  • 不動産営業
  • 保険営業
  • MR
  • ファンドマネージャー
  • 自動車ディーラー
  • タクシーやトラックのドライバー
  • 販売員

歩合制が採用されている職業のうち自分に合いそうなものがあれば、チャレンジしてみるのも、ひとつの選択肢です。

【役職】部長以上の役職

社内で出世して、部長以上の役職に就くことができれば、月収が60万円以上になる可能性があります。

厚生労働省の調査によると、2022年6月に支給された役職別の平均給与は係長級で36万9,000円、課長級で48万6,900円、部長級で58万6,200円でした。

【役職別の平均月収】<役職/月給/年収>係長級/36万9,000円/590万4,000円/課長級/48万6,900円/779万400円/部長級/58万6,200円/937万9,200円|※年収は月収16カ月分で試算|※出典:厚生労働省「令和4年賃金基本調査 結果の概況 役職別」

ただし役職に就くためには、会社で着実に成果を残して少しずつポジションを上げる必要があり、部長職にまで昇りつめるためには数年~数十年単位の長い時間がかかります。

※出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

転職して年収アップを狙うには?

給料を上げる方法の一つに「転職」がありますが、厚労省の令和2年転職者実態調査からは転職で年収が上がった人は約4割という結果が出ています。

年収アップを狙うためには、まず給与が上がる仕組みを理解することが大切です。下記の記事では、年収を上げる方法や給与が高い業界・会社に転職する方法を紹介しているので、ぜひチェックしてください。

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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