好印象を与えられる例文付き 「責任感の自己PR」の伝え方
自己PRでアピールする内容として「責任感」はメジャーなものです。一方で、責任感は社会人として当然持っておくべきものでもあるため、伝え方によっては効果的なアピールに繋がらないこともあります。
この記事では、そもそも企業はどんな責任感を求めているかという部分から、具体的にどんなことを伝えればいいかまで、順を追って解説します。
【書く前にチェック】企業が求める責任感とは?
責任感とは、自分の仕事や役割を投げ出さず、最後まで全うしようという気持ちのこと。
ですが、「お客様との約束を守ります」「遅刻しません」といった社会人として当たり前レベルのことや、「与えられた仕事をやりきりました」「言われたとおりに作業をこなしました」といった受け身の責任感をアピールしても意味はありません。
企業側が求めている責任感とは「与えられた仕事を全うするために、自発的に行動できる力」のこと。採用担当者は、責任を全うするためにその人が何を考え、どう行動したかを通して、結果を出すために行動できる人か、自社でも同じように動いてくれそうかを見極めようとしています。
ただ「責任を果たしました」ではアピールにはなりません。仕事をやりとげるために主体的・能動的に取り組んだことは何か、また、それによってどんな成果を上げたのか、具体的に伝えることが必要です。
責任感をアピールするには、どんなエピソードが効果的?
責任感をアピールする際には「与えられた仕事や役割を全うするために行ったこと」を、「自分なりに課題を分析して、解決してきた」「経験や知識不足を補うために、スキルアップのための行動をとった」といった具体的なエピソードを交えて伝えていきましょう。
責任感を裏付ける当事者意識や主体性をアピールするには、たとえば下記のようなエピソードを伝えてみましょう。
「責任感」を裏付けるためのエピソード例
与えられた仕事や役割をやり抜くために…
- 課題を分析して解決した
- スキルアップのための行動をとった
- 周囲の人と協力した
- 業務を効率化した
【例文】責任感の自己PRの書き方
自己PRで伝えるべき内容・話の流れは、ある程度決まっています。
「(1)自分の強み」→「(2)根拠となるエピソード」→「(3)自分の強みをどう活かせるのか」の3つの要素を、順番に書いていくのがおすすめです。
先ほど紹介した「責任感を裏付けるためのエピソード例」にそって例文を用意したので、こちらを手本に自己PRを作成していきましょう。
〈責任感の自己PR例文〉
1.課題を分析して解決した
〈例文〉
(1)
ここ3年間で取り組んだ後輩育成で培った責任感が、私自身の強みです。
(2)
3年前、私の担当エリアは事業拡大のため多くの新人を採用していたものの、マネジメント人材の不足により教育にパワーが割けず、成果が出せないという課題がありました。そこで私は自主的に新人3名の教育を担当し、全員の営業目標達成を目指し、ヒアリング等を通じた個人課題の発見と解決のためのアドバイスを行うほか、スキル育成のためのOJTに取り組みました。
3名それぞれ課題は異なっており、電話での顧客開拓が苦手なメンバー、クロージングが苦手なメンバーなど、それぞれの課題に応じて自分のノウハウを共有したほか、必要に応じて商談に同行するなど、メンバーの特性に合わせた指導を行いました。その結果、3名とも営業目標を無事達成しています。
また、育成と並行して自身の営業目標を達成するため、業務の効率化も行っております。具体的には、業務フローを見直し、自身の課題であった成約率の改善に取り組みました。過去の成約事例をもとに、成約の見込みが高い顧客を見極める精度を高め、無駄になっていた業務の削減を実施。その結果、成約率を改善し、営業目標を達成しました。
(3)
こうした、預かった業務を責任を持って全うするために課題を見極め、改善のための行動が取れる点は、貴社の業務でも活かせるものと考えております。
〈ポイント〉
- 「困難な目標を達成するために、課題を解決する必要があった」といった経験がある場合は、課題を分析して解決したエピソードを伝えるのが効果的。
- 「成果を出すうえで課題だったこと(+その背景)」と「それを解決するために実際に行ったこと」、「取り組みの結果、どう改善されたのか/どのような成果に繋がったのか」を具体的に伝える。
- チームでの取り組みをアピールする場合は、集団のなかで自分がどのように関与したかを明確に伝える。
2.スキルアップのための行動をとった
〈例文〉
(1)
労務担当としての業務を全うするなかで発揮してきた責任感が、私の強みです。
(2)
前職の食品加工会社では、労務関連の業務を外部の社会保険労務士に委託していました。しかし3年ほど前、事業拡大にともなう部署の新設や従業員の増加があったことで、業務量が増え、手続き対応のスピード感に課題が見られるようになりました。
外部の委託先に頼るだけでは状況を改善することができないと考え、私自身が労務管理の知識を深め、より正確かつスピーディに労務関連の業務に対応するために、社会保険労務士の資格を取得しました。終業後や休日の学習はもちろん、業務を通して外部の社会保険労務士にも積極的に教えを請うことで、学習開始から6カ月で合格できました。
(3)
資格取得や実務を通して習得した知識やスキルを活かすことはもちろん、常に責任感をもって業務を遂行することで、貴社に貢献していきたいと考えております。
〈ポイント〉
- 業務を行ううえで必要な知識・技術・資格を自発的に習得してきた場合は、スキルアップのための行動をとったことをアピールするのがおすすめ。
- 「自分にどういった課題があったのか」+「それを補うためにどんな努力をしたのか」+「その結果、どのような成果に繋がったのか」を伝える。
- 成果を伝える際は、資格取得や営業成績◯%アップなど、具体的な成果物や数字で示せると説得力が増す。
3.周囲の人と協力した
〈例文〉
(1)
現職ではデザイン担当として、Webページ用のバナー画像やイラストなどの制作を行っております。そのなかで培った「周囲と協力して、与えられた業務を全うする責任感」が私の強みです。
(2)
入社当初は先輩社員の指導のもとで業務にあたっていたのですが、2年目からは後輩を1人受け持ち、協力してイラストの作成を行いました。その際に課題となったのが、イラスト品質の標準化です。
担当していたWebページでは、解説などに使用するキャラクターイラストを大量に制作する必要があったのですが、自分と後輩で分担して制作する場合、イラストのテイストにばらつきがみられました。その都度アドバイスをして修正してきたのですが、修正の工数が多かったため、後輩が一定の品質でイラストを作成できるように、キャラクターの等身や表情の振れ幅、デフォルメ表現の例などをまとめた資料を作成し、共有するようにして、協業できる体制を整えました。
その結果、後輩のイラスト修正も少なくなり、効率的に作業を分担できるようになりました。その後、イラストを外注する際にも作成した資料集を使うことになり、社外との連携の改善にも繋がっております。
(3)
周囲と協力するために必要なことを考え、行動できる点は、貴社の業務でも活かせるものと考えております。
〈ポイント〉
- 業務をやり抜くために周囲と連携したり、ノウハウを共有したりした経験がある場合は、周囲の人と協力したエピソードをアピールするのが効果的。
- アピールの際は「業務をやり抜くうえで、どんな課題があったのか」+「周囲の人と、どのように連携したのか」+「その結果、どのような成果に繋がったのか」を伝える。
4.業務を効率化した
〈例文〉
(1)
営業事務の業務のなかで培った、困難な業務をやりきる責任感が強みです。
(2)
前職では営業事務として、アンケート等のデータの集計や、プレゼン資料の作成サポート等を行っていました。業務品質や対応スピードを評価していただき、任せられる業務も増えたのですが、短納期で対応しなければならない作業も多く、期日を守るために残業で対応するケースが多く生じてしまいました。
そこで、こうした状況を改善すると同時に自身のスキルアップを図るために業務の効率化を自発的に行いました。たとえば、データ集計の効率化のためにExcelを使って専用のマクロを作成したり、営業メンバーから依頼される業務量をあらかじめ把握するために、営業との定例報告会を新設するといった提案を行いました。その結果、サポート業務の早期着手と作業時間の短縮が可能になり、空いた時間で新たなサポート業務の実施も可能となりました。
(3)
与えられた役割を果たすために主体的に動き、課題を解決していく責任感を貴社でも発揮し、貢献していきたいと考えております。
〈ポイント〉
- 達成困難な目標を達成するために業務の効率化を行った経験がある場合は、そのエピソードを伝えるのがおすすめ。
- 「どのような課題があったのか」+「それを解決するために、どのような改善を行ったのか」+「その結果、どのような成果に繋がったのか」を伝える。
- 改善した内容を伝える際は、精神論や、残業をして乗り切ったといった方向ではなく、「スキルを伸ばすことで業務スピードを改善した」「効率化のための工夫を行った」といった方向で伝える。
【注意】責任感の自己PRで、NGな内容
せっかく自己PRを書いても、内容によっては採用担当者からの評価に繋がらなかったり、逆に印象が悪くなったりしてしまう可能性があります。
特に、下記の2つにあてはまっていないか、必ず確認しておきましょう。
「納期を守った」など、当たり前の内容をアピールしている
責任感を伝えるために具体的なエピソードを用意しても、それが「納期を守った」「遅刻をしなかった」といった社会人として当たり前のことだった場合、アピールには繋がりません。
自分ではアピールできることだと思っていても、周りから見ると「頑張った水準」や「当たり前だと思っていることの水準」が低いということがあります。現在の自分の年次や立場で求められていることが何かを整理して、その水準を満たすことをアピール材料として使っていきましょう。
ネガティブな受け取られ方をされる内容になっている
責任感の強さをアピールしようとするあまり、「完璧主義で仕事が遅い」「保守的で融通か利かない」「周囲の人に責任感が無い(他人を下げすぎている)」といった、ネガティブな受け取られ方をされる内容になってしまうことがあります。
誤解を防ぐためには「業務品質とスピードの両立を図っている」「自分で創意工夫しつつ、周囲の意見も取り入れて動いている」など、バランスよく動いていることを伝えるのがおすすめです。
自己PRの書き方について、くわしくは…
自己PRのくわしい書き方を知りたい場合や、別のアピールポイントに変えたい場合は、下記の書き方の解説記事をチェックするのがおすすめです。
履歴書・職務経歴書それぞれの書き方と例文を紹介しています。
▼履歴書の自己PR
▼職務経歴書の自己PR
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。