転職で好印象を与えられる 「忍耐力の自己PR」の伝え方【例文付き】
転職活動の自己PRでアピールされることが多い「忍耐力」。ただし、企業が忍耐力を評価するポイントを意識しないと、効果的なアピールには繋がりません。
この記事では、そもそも企業が求める忍耐力とはどんなものか、具体的にどんなことを伝えればいいか、順を追って解説します。
【書く前にチェック】企業が求める忍耐力とは?
忍耐力とは、一般的には困難な状況であっても耐えて、諦めずに立ち向かう力のことを指します。企業がビジネスを拡大していくうえで、困難な課題に直面することは多々あります。そうした課題の解決に粘り強く取り組み、成果を出して前進するためには忍耐力は欠かせないものです。
ただし、自身の強みとして忍耐力をアピールするには、「我慢強い」「理不尽にも耐えられる」といった、単純に耐え忍ぶ力があることを伝えても十分とはいえません。
企業側が求めている忍耐力とは、「困難や強いストレスに直面しても心が折れることなく前進して、成果を上げられる力」のこと。すなわち、耐え忍ぶだけでなく、目標を達成するために行動できる人が評価されます。
自己PRでは「目標達成のために、苦しくても努力を続けられる」「困難な状況に耐えて、成果に繋がる行動を取れる」といったことが伝わるよう、自身の具体的な行動・成果をアピールしましょう。
忍耐力をアピールするには、どんなエピソードが効果的?
前述したように、忍耐力をアピールする際は、困難な状況に耐えたことを軸にアピールするのではなく「困難な状況のなかで、成果を上げるために何をしたか」と「どのような成果に繋がったか」を伝えることが重要です。
忍耐力をアピールするエピソード例としては、下記のようなものが挙げられます。参考にしてください。
「忍耐力」を裏付けるためのエピソード例
困難な状況のなかで、成果を上げるために…
- 成果を上げるために、努力を続けた
- 時間のかかる業務に、粘り強く対応した
- (理不尽なクレームなどを)冷静に対処した
【例文】忍耐力の自己PRの書き方
次に、忍耐力をアピールする自己PRの書き方を見てみましょう。自己PRで伝えるべき内容・話の流れは、ある程度決まっています。
「(1)自分の強み」→「(2)根拠となるエピソード」→「(3)自分の強みをどう活かせるのか」の3つの要素を、順番に書いていくのがおすすめです。
先ほど紹介した「忍耐力を裏付けるためのエピソード例」にそって例文を用意したので、こちらを手本に自己PRを作成していきましょう。
〈忍耐力の自己PR例文〉
1.成果を上げるために、努力を続けた
〈例文〉
(1)
私の強みは、前職で培った忍耐力だと捉えております。
(2)
前職では、前任者から引き継いだ取引NGの企業に粘り強くアプローチし、取引再開に漕ぎ着けました。過去のトラブルが原因で3年ほど取引ができない状態でしたが、関係改善のため、月に2回ほど業界動向の共有とニーズのヒアリングを目的にコンタクトを取り続けました。
その結果、初回コンタクトから1年半ほど経った頃に先方から見積もり依頼の連絡をいただくことができました。その案件は、3度の価格交渉を経て、無事に成約まで繋がっております。
(3)
成果に繋がるまで粘り強く対応する力は、小学生から現在まで続けている野球を通じて培ったものであり、それが仕事にも活きていると感じております。貴社の業務においても、持ち前の忍耐力を活かし、貢献したいと考えております。
〈ポイント〉
- 忍耐力をアピールする場合、まずはオーソドックスに「困難な状況でも努力を続けて、成果に繋げた」エピソードを伝えるのがおすすめ。
- 「粘り強く対応した経験」や「長い時間(期間)かかったが、途中で投げ出さずに対応した経験」と、その結果、どのような成果に繋がったかをセットで伝える。
2.時間のかかる業務に、粘り強く対応した
〈例文〉
(1)
私の強みは、困難な業務でも粘り強く対応できる忍耐力です。
(2)
前職では営業事務として書類作成や売上データの集計など、サポート業務を担っていました。大量のデータを処理する業務が多く、月に一度は数千件のデータの入力・修正を一人で行っておりました。納期内にミスなく業務を完了させるのは大変な作業ですが、コツコツと地道に入力を進め、毎回、納期内に完了させてきました。また、将来的な業務拡大を見据えて、自ら効率化の方法を調査・検討し、RPAツールの導入を提案するなど、業務の効率化にも粘り強く取り組みました。
(3)
大量のタスクを処理してきた経験や、納期を守るために対処法を粘り強く探せる力は、貴社の営業サポート業務でも活かせるものと考えております。
〈ポイント〉
- 応募先の業務が「業務量が多い」「対応に時間がかかる業務を行う」といった特徴がある場合、「時間のかかる業務に、粘り強く対応した」経験をアピールするのが効果的。
- ただし、単に「案件をやりきった」だけではアピール不足。困難な状況を打破するためにどんな工夫をしたかを伝えることが重要。
3.(理不尽なクレームなどを)冷静に対処した
〈例文〉
(1)
コールセンターの電話対応で培った忍耐力が、私の強みです。
(2)
前職では2年間にわたって、家電メーカーのコールセンターに勤務しておりました。お問い合わせをいただくお客様のなかには、感情的になっていらっしゃる方や、会社として対応できる範囲を超えた要求をされる方もおられました。入社当初は耐えきれず先輩社員に対応をお願いすることも多くありましたが、経験を重ねてお客様の声にしっかりと耳を傾け、対応できるようになりました。
どうすればお客様にご満足いただけるかを考え、お客様が本当に困っていることを探る意識を持つようにした結果、本質的な問題を汲み取って対応することが可能になりました。強い口調で厳しい要求をされるお客様に対しても、忍耐強くお気持ちを受け止めることで、お怒りを収めていただけるようになっただけでなく、自らのストレスマネジメントもできるようになりました。
(3)
貴社の接客業務においてもこうした忍耐力を発揮して、お客様とのよりよい関係構築に努めたいと考えております。
〈ポイント〉
- 理不尽な状況でも耐え、冷静に対処できることは「ストレスマネジメントができる」「問題解決に繋げる力がある」といった印象に繋がるため効果的。
- アピールする際は「クレームなど理不尽な状況に耐えるためにどんな工夫をしたか」「その結果、どんな成果に繋がったのか」の2点をセットで伝えるのがポイント。
【注意】忍耐力の自己PRで、NGな内容
せっかく自己PRを書いても、内容によっては採用担当者からの評価に繋がらなかったり、逆に印象が悪くなったりしてしまう可能性があります。
特に、下記のようなアピールをしても評価されることは難しいといえます。自身のアピール内容で問題ないかどうか確認しておきましょう。
単に「我慢強さ」のアピールになっている
自己PRの内容が、単に「つらくても耐え忍ぶことができる」「我慢することができる」というものになっている場合は、評価されるアピールとは言えません。「困難な状況でも前に進むことができる」「壁にぶつかっても粘り強く乗り越えられる」ことまで伝わる内容になっていないと、「ただ我慢強いだけの人」という印象になってしまいます。
そのため、自己PRを作成する際には必ず「困難に耐えながら行動を起こし、成果に繋げたエピソード」を盛り込みましょう。自分が困難な状況に置かれていたときのことを振り返り、目標達成のために行った努力や、つらい状況を乗り越えるためにした工夫などを整理して、エピソードとして伝えるのがおすすめです。
「結果がともなわないエピソード」を伝えている
自己PRで使用したエピソードが「成果を上げるために行動を起こしたものの、結果がともなっていない」場合、目標達成するためのスキルが不足しているというネガティブな印象になる可能性があります。
基本的には「ノルマを達成した」「売り上げに繋がった」「納期を守れた」といった成果に繋がったエピソードを選んで、アピールしましょう。
自己PRの書き方について、くわしくは…
自己PRのくわしい書き方を知りたい場合や、別のアピールポイントに変えたい場合は、下記の書き方の解説記事をチェックするのがおすすめです。
履歴書・職務経歴書それぞれの書き方と例文を紹介しています。
▼履歴書の自己PR
▼職務経歴書の自己PR
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。