初心者向けにわかりやすく解説! 志望動機と自己PRの違いは?

転職の際に問われる志望動機と自己PR。どちらも重要なものですが、それぞれどんな内容にすればいいのでしょうか?

この記事では、志望動機と自己PRの違いをわかりやすく解説。例文付きで、具体的な書き分け方も紹介します。転職活動にくわしい株式会社クイックのキャリアアドバイザー、竹園翔一氏に聞いた「志望動機・自己PRの注意点」も解説するので、ぜひ参考にしてください。

志望動機と自己PRの違いは?

志望動機と自己PRは、採用担当者に対して何を伝えるのかという目的の部分がそもそも異なります。

【志望動機と自己PRの違い】志望動機…「応募した理由(応募先のどこに魅力を感じたのか)」→その根拠として、転職のきっかけなどを伝える|自己PR…「応募先に貢献できること(応募先にとってのメリット)」→その根拠として、過去・現在の成果や実績を伝える

まず志望動機は「応募した理由(応募先のどこに魅力を感じたのか)」を伝えるものです。

その際、「転職を考えたきっかけ」や「転職先で実現したいこと」など応募した背景もセットで伝えることで、「根拠や目的意識を持って企業を選んでいる」といった印象に繋がり、入社意欲の高さをアピールすることができます。

一方で、自己PRは「応募先に貢献できること(応募先にとってのメリット)」を伝えるもの。その根拠として、自分の過去・現在の成果や実績を伝えます

求人票などから何が求められているのかを読み取り、それにマッチする経験・スキルがあると伝えて、「自分は応募先に貢献できる」ことをアピールしていきましょう。

志望動機と自己PRには、一貫性を持たせよう

志望動機と自己PRは伝える内容が異なりますが、繋がり・一貫性を持たせることが重要です。

「〇〇なところに魅力を感じて貴社を選んだ」→「〇〇において貴社に貢献できる経験・スキルがある」というストーリーになるように、繋がりを意識して内容を考えましょう。

  • 志望動機「〇〇なところに魅力を感じて貴社を選んだ

  • 自己PR「〇〇において貴社に貢献できる経験・スキルがある

【例文付き】志望動機・自己PRの書き分け方は?

志望動機と自己PRを作る際は、それぞれ伝える内容・構成の違いを理解しておくことが重要です。

何を・どんな順番で伝えればいいのかを簡単にまとめると、下記の表のようになります。具体的にどう書けばいいのか、解説・例文も確認していきましょう。

【志望動機と自己PRの内容・構成の違い】志望動機(1)応募した理由(応募先のどこに魅力を感じたのか)|(2)背景やエピソード(応募した背景+応募先なら希望が叶うと考えた根拠(3)入社後の意気込み|自己PR(1)自分の強み(2)強みの根拠となるエピソード(強みを発揮した具体例)(3)入社後に強みをどう活かせるのか

「志望動機」の書き方・例文

志望動機は、前述のとおり「応募した理由(応募先のどこに魅力を感じたのか)」と、その背景を伝えるものです。

履歴書や面接で伝える際は、まず結論にあたる「(1)応募した理由(魅力を感じたポイント)」を一言で伝えてから、それを補足するための「(2)背景やエピソード」を伝えましょう。

エピソード部分では、応募の背景として「転職のきっかけとなったエピソードと転職先で実現したいこと」「応募先のどこを見て希望が叶うと感じたのか」の2点を伝えるのが効果的です。

たとえば「××をきっかけに今より個人の裁量が大きな環境で仕事をしたいと考えるようになった」→「応募先は若手に裁量を与える風土があり、新しい業務にチャレンジできると感じた」といったエピソードを探して伝えましょう。

その後、志望動機の締めとして「(3)入社後の意気込み」も伝えておきましょう。

経験のある仕事に応募する場合(営業職の例)

(1)
顧客の開拓からアフターフォローまで、一貫して手掛けられる環境で働きたいと考え、貴社を志望いたしました。

(2)
現職ではクリニックを対象とした医療機器の営業を担当し、ニーズの深掘りによって顧客との信頼関係の構築に特に力を入れております。一方で、顧客の新規開拓とアフターフォローの担当が分かれており、自身が開拓した顧客のフォローを最後まで行えない点に以前から課題を感じていました。開拓からアフターフォローまで一人の担当が一気通貫で手掛けている貴社であれば、自分の希望が叶うと考えております。

(3)
これまでに培った顧客の要望を汲み取るスキルをベースにして貴社の業務を学び、営業職としてのスキルの幅を広げたいと考えております。

なお、未経験の仕事に応募する場合も、書き方は基本的に同じですが「(3)入社後の意気込み」の部分でスキル・経験不足のフォローを行っておくのがおすすめです。

「現在の知識をベースに学んでいきたい」など、不足している部分をこれから補っていく姿勢を示しましょう。

未経験の仕事に応募する場合(営業職→マーケティング職の例)

(1)
営業職で培ったユーザー分析のスキルを活かし、マーケティングに挑戦したいと考え、貴社を志望いたしました。

(2)
現職ではSNS広告の新規営業担当として、顧客ひとりひとりのニーズの分析や、効果的な商材の提案を行っております。顧客から分析力を評価していただくことも多く、スキルを活かした仕事をしたいと考えるようになったときに、貴社のマーケティング職の求人を拝見しました。貴社では私と同じく営業職出身のメンバーが活躍されている点や、前職と商材が近く知識が活かせそうな点に惹かれております。

(3)
マーケティングは未経験ではありますが、営業職時代に行ったデータ分析やヒアリングなどの経験は、マーケティング領域でも活かせる部分があると考えております。専門的な知識を学び続け、戦力となれるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。

その他の職種の志望動機の例文・書き方は、下記のページからご確認ください。

▼志望動機の書き方について、くわしくは…

▼「志望動機に書けることがない…」と悩んだときは?

「自己PR」の書き方・例文

自己PRは「応募先に貢献できること(応募先にとってのメリット)」を伝えるものです。応募先が求める要件に自分がマッチしていることを、自身の過去・現在の実績などを根拠にアピールしていきます。

履歴書や面接では、まず結論にあたる「(1)自分の強み」を伝えてから、それを応募先でも発揮できることが具体的に示せるように「(2)強みの根拠となるエピソード」を補足しましょう。

エピソードの部分では「転職後も同じように活躍できそう」と思ってもらえるように、これまでの仕事で強みを発揮した具体例その成果を伝えてください。

加えて、自己PRの締めとして「(3)入社後に強みをどう活かせるのか」をまとめると、活躍のイメージをより強く印象付けられるようになります。

経験のある仕事に応募する場合(営業職の例)

(1)
お客様の潜在的な要望を汲んで、それに応える姿勢が強みです。

(2)
成約に繋がる営業活動を行うには、お客様が伝えてくださる直接的なニーズを満たすだけではなく、潜在的な要望も汲み取り、その目的を達成できる提案をすることが大切だと考えております。そのためにはビジネスの背景を知ることが必要だと考え、毎日業界紙を読み、競合他社の売れ行きや開発動向等の情報収集を行っておりました。

情報をもとにお客様が抱えている課題と解決策を整理し、提案も丁寧に行ったことで、お客様との信頼関係の構築にも成功しております。その結果、昨年度には60件以上の受注に成功し、売上高では対前年比115%前後と二桁増を達成しました。

(3)
こうしたニーズの深掘りと関係構築のスキルは、商材を問わず営業職にとって重要なものと考えております。お客様の潜在的な要望に寄り添う姿勢を貴社でも活かし、貢献していきたいと考えております。

なお、未経験の仕事に応募する場合も、書き方は基本的に同じです。

これまでに培ったスキル・経験から応募先の仕事に活かせそうなこと(共通点)を考えて、強みとしてアピールしましょう。

未経験の仕事に応募する場合(営業職→マーケティング職の例)

(1)
広告代理店の営業職で培った傾聴力と、提案力が強みです。

(2)
前職ではSNS広告の新規営業を担当していましたが、お問い合わせいただいた顧客のニーズを深掘りすると、必ずしもSNS媒体が効果的ではないケースが多々ありました。こうしたケースではSNS広告をそのまま提供するのではなく、顧客に状況を正直に説明したうえで別の広告媒体の提案を行い、成約に繋げてまいりました。

また、商談・成約に繋げる工夫として、問い合わせをいただいた顧客に対し、現在の課題などを深堀りするアンケートを独自に作成して送付しています。その回答を踏まえた施策を提案した結果、9割以上という高い割合で、打ち合わせ時に受注することができました。

(3)
このように顧客の本来のニーズや課題を聞き出し、それに最も効果的な施策を考え提案する力は、貴社のマーケティング職でも活かすことができると考えております。

▼自己PRの書き方について、くわしくは…

【記入後にチェック】志望動機・自己PRの注意点

志望動機・自己PRを書き終えたら、下記の3つの注意点に沿って見直しをしておくと安心です。

(1)内容に一貫性はあるか?

志望動機と自己PRは、一貫性を持たせることが重要です。

たとえば、自己PRで挙げている強みが、志望動機で伝えた実現したいことと関係無いものになっていると、効果的なアピールにはなりません。

志望動機で伝えた実現したいこと・やりたいことに対して、自己PRが「このスキルがあるから貢献できる」という繋がりになっているかどうか、必ず確認しましょう。

takezono-syoichi

竹園翔一さん

志望動機と自己PRは、それぞれ書き上げることに意識が向いてしまいがちですが、うまく連動させることで相乗効果が発揮され、アピールを強めることができます。

志望動機で「自分が実現したいこと」を伝え、自己PRでは「それを実現できるスキルがある」というストーリーになるようにまとめましょう。

(2)同じ内容になっていないか?

志望動機と自己PRには一貫性を持たせるものの、同じ内容になってしまうのはNG。アピールしたい気持ちが強いと、志望動機にまで「自分にはこんなスキルがある」と自己PRと同じことを書いてしまうこともあります。

あらためて、志望動機が「応募した理由と、自分が実現したいことを伝える」もの、自己PRが「応募先に貢献できること(応募先にとってのメリット)を伝える」ものになっているか確認しましょう。

(3)根拠を伝えられているか

志望動機・自己PRともに、内容を魅力的に感じてもらうためには根拠が必要です。

志望動機であれば、その企業に応募した根拠として「自分がどんな軸で企業を選んでいるのか」「応募先のどんな点を見た結果、応募したのか」の2点を。

自己PRであれば、アピールする強みの根拠として「強みを裏付ける具体的なエピソード」「強みを応募先でどう活かせるか」の2点を必ず伝えて、アピール内容に納得してもらえるようにしましょう。

Q.志望動機と自己PRの記入欄が、同じ欄になっていたら?

A.欄の中に見出しを作って、それぞれ記入する

志望動機と自己PRの記入欄が一つになっていたら、見出しをつけてそれぞれを分けて書くのがおすすめです。

無理に志望動機と自己PRの内容をまとめた文章よりも、採用担当者としては読みやすく、要点も伝わりやすくなります。

志望の動機、特技、自己PR、アピールポイントなど

見出しをつけて区切った後の書き方は、欄が別々になっているときと同じです。【例文】志望動機・自己PRの書き分け方は? の章を参考に記入しましょう。

作成時のよくある悩み&対処法

志望動機・自己PRそれぞれ作成する際に悩みやすいポイントの対処法をまとめました。

手が止まったときには、こちらも参考にしてみてください。

▼【志望動機】書けるような内容が思いつかない場合はどうする?

▼【志望動機】書き出しはどうする?

▼【志望動機】書ききれない場合はどうする?

▼【志望動機】未経験の仕事に応募するとき、何を書けばいい?

▼【自己PR】アピールできるような、華々しい実績がない…

(文:転職Hacks編集部 久保田敦大)

この記事の話を聞いた人

キャリアアドバイザー

竹園 翔一

株式会社クイック

転職支援を行うキャリアアドバイザー。主に建設・不動産・プラント領域を担当、多くの支援実績を持つ。求職者の可能性を広げる求人・企業の提案や、「現在」だけではなく、5年後・10年後を見据えたキャリア提案を心がけている。面接時の対策等、選考通過のための具体的なノウハウ提供も好評。

  • HOME
  • 履歴書
  • 【初心者向け】志望動機と自己PRの違いは?書き分け方・例文を紹介