書き方・テンプレート 広報の職務経歴書
広報の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。最新のコーポレート部門の採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
広報の職務経歴書テンプレート
広報の職務経歴書で最も大切なこと
転職活動では「自身の経験・スキルが応募先にどれだけマッチするか」が合否の判断基準になりますが、広報の職務経歴書ではとりわけ、これまでの「担当業務」および「社内外のステークホルダーとの関わり方」が重視されます。なぜでしょうか?
一口に「広報」といっても、その業務範囲は企業やポジションによってまちまち。
広報・ブランディング戦略の立案といった上流の業務から担うケースもあれば、オウンドメディアやSNS、テレビ広告などの企画・運用といったマーケティング業務まで幅広く担当するケースもあるでしょう。
また、業務範囲が違えば、関係者の顔ぶれにも自ずと差が生まれます。例えば、新商品に関するプレスリリースであればマスコミや営業・マーケティング部門、IR業務であれば株主や経営層、経理・財務部門といった具合です。
そのため採用担当者は、応募者がこれまで「何の業務を担当し、誰とどのように関わってきたのか」がわからないことには、「自社の広報ポジションを担える人材かどうか」を判断できず、不採用になってしまうのです。
よって広報の職務経歴書では「職務経歴」欄を中心に、担当業務や社内外のステークホルダーとの関わり方をくわしく記載するのが鉄則です。

キャリア
アドバイザー
広報はマスコミや顧客、経営層や他部署といった社内外の多くのステークホルダーと深く関わるポジションです。
そのため、あくまで加点要素ではありますが、「自己PR」欄を使って関係構築力や調整力といったコミュニケーション能力をアピールするのもおすすめ。
採用担当者に活躍のイメージを持ってもらいやすく、好印象につながります。
ここから先は、項目ごとのくわしい書き方を解説していきます。
1)広報の「職務要約」欄
重要度:★★・・・
応募先にマッチする経験を書く
「職務要約」欄には、応募先で求められている経験を中心に、これまでの職歴を3~5行程度で簡潔に記載しましょう。
例えば「取材対応やメディアリレーション」「社内報の企画・取材・執筆」「クリッピングによる情報収集・発信」など、求人の「仕事内容」や「必須/歓迎条件」などに記載されているキーワードをそのまま盛り込むのがポイントです。
広報の書類選考で合否の決め手となるのは後述の「職務経歴」欄ですが、採用担当者が最初に目を通すのは、あくまで「職務要約」欄。
まずはここでザックリ「求めている経験・知識がありそう」と感じてもらわないことには、そもそもその先を読まれずに不合格になってしまうリスクがあるのです。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
2)広報の「職務経歴」欄
重要度:★★★★★
![【職務経歴】|20XX 年XX 月~現在 ●●食品株式会社|事業内容:パン、菓子の製造及び販売|資本金:XX 億XXXX 万円 売上高:XX 億XXXX 万円 従業員数:XXX 名(単体) 上場:東証プライム|期間 業務内容|20XX年XX月~20XX年XX月|総務人事部 総務課に配属 役職:一般|※課長以下 XX名|[担当業務]|【オフィス管理】|・備品や消耗品の在庫管理・発注|・社内設備(空調、照明、セキュリティシステムなど)の維持管理、管理会社との連携|・オフィスレイアウトや座席の調整|【文書・契約管理】|・各取引先(管理会社、清掃会社、警備会社など)との契約締結・更新|・契約書などの重要書類の保管、更新|・社内規定の改訂|【人事・労務管理】|・勤怠管理(出退勤時刻、休暇、残業時間)|・給与計算|・入退社にともなう社会保険手続き|[取り組み・実績]|・OA 機器の契約更新にともない、業務フローを見直しペーパーレス化を検討した結果、用紙・印刷関連のコストを契約更新前後でXX 万円削減(X%減)。|20XX年XX月~現在|総務人事部 広報課に異動 役職:一般|※課長以下 XX名|[担当業務]|【社内広報】|・社内報の作成(取材・執筆)(毎月)|・社内イベントの企画・運営(表彰式や懇親会など)(約X 回/月)|・経営層からのメッセージ作成・配信(毎月)|【社外広報】|・プレスリリースの作成・配信(約XX 部/月)|・取材対応・メディアリレーション(約XX 回/月)|(テレビ:XX 社、新聞:XX 社、雑誌:XX 社、Web メディア:X 社)|・イベントの企画・運営(新作発表会など)(約XX 件/年)|・コーポレートサイトの記事作成・更新(約X 件/月)|・サステナビリティレポートの作成(毎年)|・SNS(X)公式アカウントの運用(投稿、返信など)|【IR 業務】|・決算説明会の企画・運営(X 回/年)|・適時開示資料の作成・公開(約X 部/年)|・株主通信の作成・配信(X 部/年)|・アンケートの実施・分析|・投資家向けカンファレンスでの登壇|・問い合わせ対応|[取り組み・実績]|・新商品に関するプレスリリース作成・発表会運営において、開発部門からは商品の特徴や競合優位性を、営業部門からは顧客ニーズをヒアリングし、その内容に基づく内容に調整。発表会は関係者から好評を得られ、メディア掲載数は目標値XXX%を達成。|・社内アンケートの結果、ブランドメッセージの認知度が低かったため、社長や役員へのヒアリング、メッセージ意図の言語化や社内向け資料の作成を実施の上、説明会を実施。ブランドメッセージの認知度改善に加え、帰属意識の向上にもつながった。](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/s3-ten-navi.com-wpimg/hacks/wordpress/wp-content/uploads/2024/04/public_relations_resume_08.png)
広報の職務経歴書において、「職務経歴」欄は最も重要な項目。ここの内容次第で合否が決まるといっても過言ではありません。
なぜなら採用担当者はこの欄から応募者の実務経験を確認し、その内容が「自社の広報ポジションに求めるものとマッチするか」を厳しくチェックしているからです。
自身の実務経験が漏れなく・正確に伝わるよう、「職務経歴」欄には下記の項目を必ず記載しましょう。

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定量的な情報を盛り込む
「担当業務」や「取り組み・実績」の項目では、できる限り定量的な情報を盛り込みましょう。採用担当者にとって、業務量や自社との親和性を判断しやすくなります。
例えば「メディア対応(取材対応・メディアリレーション」であれば「新聞社5社/出版社(雑誌)3社」、「(プレスリリースによる)問い合わせ件数」であれば「50件(目標達成率120%)」といった具合です。
広報の「職務経歴」欄で注意したい2つのポイント
広報が「職務経歴」欄を記載する上で、特に注意したい2つのポイントを紹介します。
1)担当業務はすべて書き出す
広報の業務範囲は下記のとおり、企業やポジションによってさまざまありますが、経験したことのあるものは「担当業務」の項目に惜しまず書き出すようにしましょう。
種類 | 業務内容(一例) |
企画業務 |
|
社内広報 |
|
社外広報 |
|
その他 |
|
広報は職業柄、社内外の状況に応じて対応する業務が多く、時と場合によって注力すべき業務も変わりやすいポジション。
そのため、幅広い経験があることはすなわち「どのような業務にも臨機応変に対応できる」として、評価につながるケースがあるのです。
担当業務が多くなる場合、「社内広報」「社外広報」「IR業務」など、小見出しを立てて分類すると、見やすくなるためおすすめです。

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面接で聞かれても答えられるように!
「担当業務」の幅広さはアピールにもつながる一方、記載した以上は「問題なくできること」とみなされます。
面接で詳細を聞かれた際にボロが出ないよう、担当業務ひとつひとつについて「どのような状況で・何をして(どのような工夫をして)・どういった成果につながったのか」、具体的な事例をしっかり言語化しておきましょう。
2)「誰とどのように関わったか」を書く
広報の書類選考では、社内外のステークホルダーの関わり方も重要なチェックポイントの一つ。
「取り組み・実績」の項目を中心に、「誰と・どのように関わり・どういった成果につながったのか」を記載しましょう。
採用担当者に対して社内外との関係性が伝わり、活躍のイメージを持ってもらいやすくなります。
〈取り組み・実績の例〉
- 新商品に関するプレスリリース作成・発表会運営において、開発部門からは商品の特徴や競合優位性を、営業部門からは顧客ニーズをヒアリングし、その内容に基づく内容に調整。発表会は関係者から好評を得られ、メディア掲載数は目標値XXX%を達成。
- アンケートの結果、ブランドメッセージの社内認知度が低かったため、社長や役員へのヒアリング、メッセージ意図の言語化や社内向け資料の作成を実施の上、説明会を実施。ブランドメッセージの認知度改善に加え、帰属意識の向上にもつながった。
エピソードの詳細は、後述の「自己PR」欄に記載するのもおすすめです。

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サステナビリティ推進に関わる経験は高評価
カーボンニュートラルや復興支援、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)といったサステナビリティ推進(ESG投資)に関わる経験は、印象アップにつながるケースがあります。
環境問題の深刻化や人権、労働環境に関する意識の高まりから、企業にも持続可能性のある経営・事業展開を求める声が強まるなか、ブランドイメージ向上のため、大手を中心にこうした活動に積極的な企業が増えているからです。
活動内容に関する報告書(サステナビリティレポート)の作成やメディア対応、NGOや地域社会に向けたイベントの企画・運営、社員向けの研修実施といった経験があれば、忘れずに記入しましょう。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
3)広報の「保有資格」欄など
重要度:★・・・・
語学力があれば記載する
「職務経歴」欄=実務経験が重視される広報の職務経歴書において、「保有資格・スキル」欄が合否に影響することは考えにくく、重要度は低いでしょう。
ただし、グローバル企業では海外向けのプレスリリースやメディア対応といったグローバル広報を行うところもあるため、TOEIC600~700点以上の語学力がある場合、記載しておくと好印象につながります。
英語を使った実務経験がある場合、例えば「英文プレスリリースの作成(x件/月)」「メールやオンライン会議での海外メディア対応(x件/月)」など、使用頻度/場面についても併記します。
※TOEICなどを受験したことがない、点数が低いといった場合は、項目ごと削除しても問題ありません。
活かせる経験・知識・技術
「活かせる経験・知識・技術」は、前述の「職務経歴」欄の目次のようなものと考えましょう。
例えば「マスメディアや報道の特性に関する知識、各メディア記者・ライターとの人脈」「コーポレートサイトやSNSにおけるコンテンツ企画・作成経験」などと、「職務経歴」欄に記載した経験・スキルを一言のフレーズに言い直し、箇条書きにします。
そうすることで、人事担当者が採用要件となるキーワードを拾い読みしやすく、書類選考の通過率が高まる可能性があります。

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若手はPCスキルをアピールするのも◎
若手で実務経験が浅い場合、広報としての基礎能力やポテンシャルを伝える意味で、「PCスキル」の項目を設けてもよいでしょう。
データ集計・分析に使うExcel、資料作成に使うWordやPowerPointのほか、クリエイティブ制作などに使うIllustrator、Photoshopといったソフトを箇条書きにして、それぞれスキルのレベル感を簡単に記載しましょう。
4)広報の「自己PR」欄
重要度:★★★・・
好印象につながる広報の能力2つ
大前提、「職務経歴」欄が重視される広報の職務経歴書において、「自己PR」欄が合否に大きく影響することは考えにくいでしょう。
ただし、下記の2つの能力をアピールすることで、広報としての適性や活躍のイメージが伝わり、加点につながるケースがあります。
※30代以上の方は、プロジェクト管理能力やチームマネジメント能力などをアピールするのもおすすめです。
くり返しになりますが、広報は社内外の多くのステークホルダーと関わる職種。メディア関係者に自社について適切に取り上げてもらったり、経営層や他部署とタイムリーな連携をしたり…などといった協力体制を築くための関係構築力や調整力(コミュニケーション能力)は、必要不可欠です。
また、サステナビリティ推進に始まり、社会情勢やトレンド、自社を取り巻く環境について日々アンテナを張ることはもちろん、その内容を適切な形で共有し、理解を得るための情報収集/発信力も重要な能力の一つです。
自己PRを書く際は、これらの能力を裏付けるエピソードとして「どのような課題に対して(どのような状況のもと)・誰と関わり何を行い・どういった成果につながったのか」を、順序立てて説明しましょう。
〈エピソード例〉
- (関係構築力・調整力)主要メディアの記者と定期的に個別のミーティングを実施し、自社に関する最新情報の提供や業界動向についてのディスカッションなどを行った。結果、協力体制の強化や企業イメージの向上につながり、報道の質向上やメディア露出の拡大に寄与した。
- (情報収集/発信力)日々専門誌やSNS、業界イベントでトレンド情報を収集し、定期レポートとして経営層へのプレゼンを実施。広報戦略の見直しや、同業他社の不祥事にともなう自社へのバッシングのリスク最小化、早期対応などにつながった。
コラム:誤字脱字やレイアウトにも気を配る
広報の書類選考では、自身の経験・スキルを「わかりやすく正確にまとめる」ドキュメンテーション能力も注視されています。
広報は職業柄、プレスリリースや社内報といった公的な文書を作成する機会が多く、その内容は企業のブランドイメージにもつながるため、正確さや明晰さが強く求められます。
そのため職務経歴書が見にくいレイアウトだったり、誤字脱字があったりすると「適性がない」として、不採用になるリスクが高まってしまうのです。
よって職務経歴書の作成時には、表組みや枠線、改行などを使って読みやすく整えることはもちろん、完成後には必ず読み返し、記載内容にミスがないかを入念に確認することが大切です。
履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。
この記事の担当者

「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。
