受かるポイントと書き方を解説 【例文付き】組み込みエンジニアの志望動機
組み込みエンジニアの転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。
組み込みエンジニアの志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。
組み込みエンジニアの転職で志望動機はどれだけ重要?
組み込みエンジニアの場合、例えば「複合機→自動車電装品」など、転職によって業種や関わる製品が変わることが多々あります。そのため、採用されるかどうかは「これまでの開発経験や技術・知識のうち、応募先でも活かせるものがどれだけあるか」がすべてといっても過言ではありません。
ですから、書類選考において主にチェックされるのは職務経歴であり、志望動機を求められるのはレアケースといってもいいでしょう。
とはいえ、選考が進むなかで、志望動機を問われる場面がないとは限りません。企業としては、自社について十分理解した上で、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確な意思を持った人を採用したいと考えるのは当然のことだからです。
内定を勝ち取るために、「なぜその会社に魅力を感じているのか」「なぜその会社で働きたいと思っているのか」、説得力ある志望動機を伝えられるように準備しておきましょう。
組み込みエンジニアの志望動機を書くために必要な2つのこと
転職活動で企業に評価される志望動機を作るためには、次の2つを整理しておくことが大切です。
志望動機は、その企業に応募した理由に加えて、入社後はどのように貢献したいと考えているかを伝えるものです。「転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと」は、その企業に応募した理由に繋がります。また、「活かせる経験/スキル」は入社後の貢献イメージを裏付ける根拠となります。
そのため、この2点をあらかじめ言語化しておくことで、説得力ある志望動機をスムーズに組み立てることができます。
転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと
「現職では叶えられないこと」は何か
まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。ただし、「給料が低い」「残業が多い」といった待遇面に関わる「きっかけ」はNGです。
たとえば、「現職では組み込みエンジニアとして経験できる業務の幅が狭くスキルアップが難しい」「今の職種は将来性があまりなく自分が望むようなキャリアが歩めない」といったように、仕事上の「現職では叶えられないこと」を整理して、「だから自分はどうしたいのか」、つまり、転職で叶えたいことを考えてみましょう。
(例)組み込みエンジニアへの転職のきっかけ→叶えたいこと
- (経験者)現職で担当できる範囲が特定の案件や下流工程のみで自分の成長が感じられない→さまざまな案件や上流工程に携われる会社で自分のスキルを磨きたい
- (未経験)今の会社の業務に将来性を感じない→AIやIoTなど最先端の分野に挑戦したい
…など
応募先企業なら希望が叶うと考えた理由は?
転職で叶えたいことが整理できたら、なぜ応募先の企業なら希望が叶いそうだと考えたのか、整理してみましょう。
「転職のきっかけ(現職では叶えられないこと)」から、「応募先企業でなら自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることで、説得力ある志望動機を作ることができます。
活かせる経験/スキル・資格
次に、入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を整理しましょう。職務経歴書とは違い、志望動機では経験や資格そのものの有無を問われるわけではありません。
これまでの業務経験や身につけたスキル・資格と、入社後に叶えたいことに一貫性があるか、経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているかどうかが評価ポイントとなります。
過去の経験/スキル・資格をもとに、「○○の経験/スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲をアピールできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。
(例)組み込みソフトウェアエンジニアで活かせる経験
- C言語やC++などでのソフトウェア開発経験
- 基本設計の経験
- テスト、メンテナンスなどの経験
- プロジェクト管理経験(異職種・異業種でも可)
- クライアントとの折衝経験(異職種・異業種でも可)
…など
(例)組み込みソフトウェアエンジニアで活かせるスキル・資格
- 言語スキル(C言語、C++、Java、C#、アセンブリ、JavaScriptなど)
- OSの操作スキル
- 基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
- ETEC(組込み技術者試験制度)
- OCRES(OMG認定 組込み技術者資格試験)
- 英語力(英文資料の読み書きや海外エンジニアと簡単な会話ができるレベル)
- 電気電子系をはじめとする理科系の知識
…など
応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを
入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を判断するには、応募先企業の業務内容や、そこで求められるスキル・経験への理解が欠かせません。
求人票などから「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」をよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルを踏まえた貢献意欲・活躍イメージをアピールしましょう。
組み込みエンジニアの志望動機の書き方
ここでは、組み込みエンジニアの志望動機の書き方を解説します。
まず、組み込みソフトウェアエンジニアの志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。
〈組み込みエンジニア(経験者)の志望動機の例文〉
- 貴社を志望したのは、医療機器の組み込みソフトウェアの仕様・設計から実装・評価までを一貫して担当できる点に惹かれたからです。
- 現職でも3年間、医療機器の組み込みソフトウェア開発を担当しておりましたが、担当できる業務範囲が限られており、製品の上流から下流まで対応できるエンジニアになりたいと考えて転職を決意しました。医療機器メーカーである貴社は、市場からの要求事項を製品仕様に落とし込むところから、製品を作り上げる過程に携われる環境があり、自分が望んだエンジニアとしてのキャリアが積めるのではないかと魅力を感じております。
- これまでの開発経験や言語スキルを活かしながらエンジニアとしてより成長し、貴社に貢献したく存じます。
(307文字)
組み込みエンジニアの志望動機は、上記のように(1)応募した理由(結論)、(2)その背景やエピソード、(3)入社後の意気込み、の3要素で構成するのが基本です。この基本構成にしたがって、志望動機の作り方を具体的に見ていきましょう。
1.応募した理由(結論)
志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。
書き出しの表現に明確なルールはありませんが、応募先に惹かれたポイントなどを端的に示すのがオススメです。
書き出しの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
2.その背景やエピソード
次に、1)で述べた「応募した理由(結論)」に至った背景やエピソードを説明します。
具体的には、転職しようと思ったきっかけや経緯を伝えます。なぜわざわざ転職しようと思ったのかについて、現職(前職)では叶えられなかったものの、応募先でチャレンジしたいと思っていることを具体的に伝えましょう。
続けて、その思いや希望が「応募先なら叶えられる」と感じた理由やポイントに触れます。前述したように、説得力ある志望動機を作るには、「転職のきっかけ」から「応募先で自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることが重要です。
併せて、応募先の採用ニーズとマッチする業務経験と身につけたスキルを記載することで、入社後の活躍イメージを抱いてもらうことができるでしょう。
3.入社後の意気込み
最後に、入社後の意気込みを語って締めます。現職(前職)での経験を活かしていきたいという姿勢などをアピールするとよいでしょう。
締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
【4パターン】組み込みエンジニアの志望動機の例文
ここでは組み込みエンジニアの志望動機の例文を、4つのパターンに分けて紹介します。
ベンダーからメーカーへ転職する場合
〈例文〉
- 貴社を志望したのは、半導体分野において自社開発の案件に特化して携われる点に惹かれたからです。
- 現職でも半導体業界でC++を使用したコーディングやテストを担当しておりましたが、自分のキャリアの幅を広げるために、ものづくりにおいて最上流である仕様企画や基本設計の仕事にチャレンジしたいと考えるようになりました。半導体メーカーである貴社であれば、自社製品開発で仕様設計から運用保守まで一気通貫で携われるため、自分が望んだ働き方ができるものと思い、大変惹かれております。
- 現職で習得した言語スキルやテスト経験を活かしながらエンジニアとしてより成長し、貴社に貢献できればと思いますので、面接の機会をいただけますと幸いです。
(267文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 現職で身につけたスキルや経験のうち、組み込みエンジニアとして有用なものを記載し、即戦力になれることをアピールする
- 同業種になぜ転職するのかを伝えるために、応募先の企業で叶えたいキャリアや積みたい経験を具体的に記載する
異業種へ転職する場合
〈例文〉
- 貴社を志望したのは、次世代型モビリティの機器開発に関われることに惹かれたからです。
- 現職では5年間、主に医療機器の組み込みソフトウェア開発および開発マネジメントを担当してまいりました。関連会社と協力し、仕様・設計・実装・評価までを一貫して行ったほか、3年目からはリーダーとして、プロジェクト全体をリードしてきました。携わっていたプロジェクトが一段落したことから、自分のキャリアを改めて見つめ直したところ、幼い頃に夢見た「空飛ぶクルマ」の開発に携わりたいという思いが強くなり、転職を決意しました。
- 医療機器分野で培った設計・開発経験とベンダーマネジメント経験を活かし、貴社のプロジェクト推進に貢献したいと考えております。
(307文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 異業界にチャレンジしたいと思った背景や、これまでの経験をどのように活かして活躍したいのかを説明する
第二新卒での転職の場合
〈例文〉
- 貴社を志望したのは、自動運転・運転支援システム開発に携われる点に惹かれたためです。
- 現職では、技術者派遣会社のエンジニアとして2年間にわたり、取引先である大手メーカーの製品・機器開発プロジェクトでファームウェアの開発に携わっておりました。エンジニアとしてのキャリアを考えたときに、最先端の技術で社会全体に大きく貢献できる自動運転分野に携わりたいと考え、転職を決意しました。自動運転・運転支援システム開発に注力されている貴社であれば、自分が望んだキャリアが積めると考え、大変惹かれております。
- エンジニアとしてはまだ未熟ですが、常に技術の向上に励むと同時に、高い品質を求められる開発プロジェクトに関わった現職での経験を活かして、貴社の発展に貢献したいと考えております。
(331文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 第二新卒でも実績や経験があることや、仕事への適性・意欲をアピールする
- 第二新卒の魅力の一つであるポテンシャルが伝えられるよう、入社後にどのような成長をしたいのかを具体的に記載する
未経験での転職の場合
〈例文〉
- 貴社を志望したのは、未経験でも多様な最先端機器の開発案件に携われる点に惹かれたからです。
- 現職では、家電メーカーの法人顧客担当の営業職として3年間従事しております。仕事を通して多くの家電開発エンジニアと親しくなり、IoTやAIなどの最先端技術を用いたものづくりの世界の面白さを知り、組み込みソフトウェアの開発に携わりたいと考えるようになりました。貴社では家電製品から自動車まであらゆる分野のソフトウェア開発プロジェクトがあるため、開発経験を積んで多様な要望に対応できるエンジニアとして成長できるのではないかと感じております。
- 入社後は、プログラミングスクールで習得したC言語とC++の知識を基礎とし、法人顧客との折衝経験を活かして、クライアントに最良の提案ができるエンジニアとして貴社の発展に貢献したいと考えております。
(358文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- エンジニアへの志望度が高いことを伝えるために、スキルを身に付けるために自分で取り組んだこと(スクールで言語の習得をしたこと)をアピールする
- 未経験ではあるものの入社後の活躍を期待してもらうために、組み込みエンジニア以外の仕事で身に付けた経験を、応募先の企業の業務でどのように活かしたいと考えているのかを説明する
志望動機の不安を解消するには?
志望動機は合否に関わる大切なもの。一度書き終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう。
下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールに繋げるためのコツなどについて解説しています。
こちらもあわせてチェックしておきましょう。
gd2md-html: xyzzy Sun Aug 04 2024
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。