受かる書き方と例文を解説 CRA(臨床開発モニター)の志望動機

CRA(Clinical Research Associate・臨床開発モニター)の転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。

CRAの志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。

CRAの転職で志望動機はどれだけ重要?

書類選考では重視されないが面接で聞かれることも

CRAの志望動機は、書類選考では重視されていないといっていいでしょう。そのため、まだ応募先のことが十分理解できておらず、志望動機が思いつかないような場合は、履歴書や職務経歴書に無理に記載しなくても問題ないでしょう。

なぜならCRAの書類選考で最も重視されるのは「業務経験」だから。CRAは、企業ごとに「担当する製剤の種類」と「業務範囲」が異なるため、採用担当者は応募者の業務経験をチェックし、自社の募集ポジションや業務内容にマッチする経験・スキルの持ち主かを精査しているのです。

ただし、面接では志望動機はよく聞かれる質問の一つ。答え方によっては合否に影響することもあるでしょう。企業は、自社について十分理解した上で、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確な意思を持った人を採用したいと考えているからです。

内定を勝ち取るために、「なぜその会社に魅力を感じているのか」「なぜその会社で働きたいと思っているのか」、説得力ある志望動機を伝えられるように準備しておきましょう。

▼すぐに例文をチェックしたい人はこちら

CRAの志望動機を書くために必要な2つのこと

転職活動で企業に評価される志望動機を作るためには、次の2つを整理しておくことが大切です

志望動機を書くために| 整理すべき2つのこと|/1 転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと|2 活かせる経験/スキル・資格

「転職を考えたきっかけ」を「応募した理由」に変換する

志望動機でまずチェックされるのは、「転職理由」と「応募した理由」の一貫性。「なぜ転職を考えたのか」「その理由で転職を考えたときに、この企業を選んだのはなぜか」、第三者から見て納得できる一貫性がなければ、採用担当者に評価してもらうことはできません。

まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。

転職を考えたということは、何か不満や叶えたいことがあるはず。現職の不満を面接で口にするのはNGですが、不満をきっかけに転職を考えるのは何もおかしなことではありません。

大切なのは、その不満を前向きな転職理由に変換すること。自分が何を不満に思っていて、本当はどうしたいのか、つまり「転職で叶えたいこと」が何なのか考えてみましょう。たとえば、「国内試験しか経験できないので今後のキャリアが不安」なのであれば、「グローバル試験に携われる環境に身をおいてスキルアップしたい」といった前向きな転職理由に変換できるはずです。

応募先企業のどんなところが希望とマッチするのか

「転職で叶えたいこと」が明確になったら、応募先企業のどんなところが自分の希望とマッチするのか整理してみましょう。「グローバル試験に携わりたい」なら、「自身の強みである○○領域で、グローバル試験を中心に治験を行っている貴社なら、自分の希望が叶うと感じた」といったように、「転職理由」と「応募した理由」に一貫性を持たせることができます。

求人票や採用ページはもちろん、口コミサイトなどもチェックして、あらかじめ応募先の特徴や強みをつかんでおくとスムーズです。

(例)「転職を考えたきっかけ」を「応募した理由」に変換する

  • きっかけ(経験者):「国内試験しか経験できないので今後のキャリアが不安」
    叶えたいこと:「グローバル試験に携われる環境に身を置いてスキルアップしたい」
    応募した理由:「自身の強みである○○領域で、グローバル試験を中心に治験を行っている貴社なら、自分の希望が叶うと感じた」
  • きっかけ(未経験者):「現職は専門性が身につかず、将来のキャリアが不安」
    叶えたいこと:「もともと興味のあった新薬開発に携わることで専門性を身につけたい」
    応募した理由:「貴社では未経験からCRAとして活躍する人が多いと伺い、自分の望むキャリアが積めるのではないかと魅力を感じた」

…など

活かせる経験/スキル・資格

次に、入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を整理しましょう。職務経歴書とは違い、志望動機では経験や資格そのものが問われるわけではありません。

これまでの業務経験や身につけたスキル・資格と、応募先で叶えたいことに一貫性があるか経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているかどうかが評価のポイントとなります。

そのため、志望動機の冒頭で「これまで◯◯や△△の業務を経験するなかで~」と転職のきっかけにつなげる形で触れたり、締めの部分で「○○の経験/スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲をアピールしたりできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。

(例)臨床開発職で活かせる経験

  • CRAやCRCとしての臨床開発経験(応募先企業の事業領域ならなおよい)
  • 製薬やCRO、医療機器メーカーの勤務経験
  • CRAやCRCとしての国際共同治験経験
  • 薬剤師や看護師など医療関係職経験
  • 理系卒(化学、工学、農学、薬学、理学など)

…など

(例)臨床開発職で活かせるスキル・資格

  • コミュニケーションスキル
  • 英語力(科学論文を読める、海外CRAとコミュニケーションを取れる程度)

…など

応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを

入社後の貢献イメージを具体的に描くためには、まず応募先企業の業務内容や、そこで求められるスキル・経験を理解することが必要です。

求人票などから「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」をよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルを踏まえて貢献イメージを伝えましょう

CRAの志望動機の書き方

ここでは、臨床開発職の志望動機の書き方を解説します。

まず、臨床開発職の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。

CRAの志望動機の基本構成|1 応募した理由(結論)|2 その背景やエピソード|3入社後の意気込み|

〈CRA(経験者)の志望動機の例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、オンコロジー領域に特化した臨床開発業務に携われる点に惹かれたからです。
  2. 現職では、CROの臨床開発モニターとして約6年間、呼吸器や自己免疫、循環器などの治験を担当してきました。さまざまな領域に携わるなかで、今後は社会的ニーズの高いオンコロジー領域に絞って経験を積み、スキルを磨くことで専門性を高めたいと考えて転職を決意しました。貴社は、オンコロジー領域を中心とした事業展開をされており、少数精鋭のチームで開発に取り組む環境があるため、自分が望むキャリアを積めるのではないかと感じております。
  3. 現職では、国内試験だけでなくグローバル試験の経験も積み、TOEIC750点を取得しました。これまでの経験と英語力を活かし、即戦力のCRAとして貴社の発展に貢献したいと考えておりますので、面接の機会をいただけると幸いです。

(365文字)

CRAの志望動機は、上記のように(1)応募した理由(結論)、(2)その背景やエピソード、(3)入社後の貢献イメージ、の3要素で構成するのが基本です。この基本構成にしたがって、具体的な志望動機の作り方を見ていきましょう。

1.応募した理由(結論)

志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。「より幅広い領域での医療発達に携わりたい」といったように、「なぜその企業で働きたいと考えたのか」を端的に伝えましょう。未経験の場合は、「なぜCRAになりたいと考えたのか」が重視されるので、その点を伝えましょう。

〈応募した理由(結論)〉

  • オンコロジー領域に特化した臨床開発業務に携われる点に惹かれたから

志望動機の書き出しに明確なルールはありませんが、表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

2.その背景やエピソード

次に、なぜ転職しようと考えたのか(転職理由)その理由で転職を考えたときに、その企業を選んだのはなぜか(応募した理由)を記載します。

現職(前職)では叶えられなかったものの、転職で叶えたいこと・チャレンジしたいと思っていることを具体的に伝えつつ、第三者から見て納得できる転職を考えた理由・背景をまとめましょう。

〈転職理由〉

  • 社会的ニーズの高いオンコロジー領域に絞って経験を積み、スキルを磨くことで専門性を高めたいと考えて転職を決意しました

また、その思いや希望が「応募先なら叶えられる」と感じた理由やポイント、つまり、その企業に応募した理由にも触れます。

「転職理由」と「応募した理由」に一貫性を持たせることが、評価される志望動機にするための大事なポイントです。

〈応募した理由〉

  • 貴社は、オンコロジー領域を中心とした事業展開をされており、少数精鋭のチームで開発に取り組む環境があるため、自分が望むキャリアを積めるのではないかと感じております

3.入社後の意気込み

最後に、入社後の意気込みを記載して締めます。現職(前職)での経験を活かしていきたいという姿勢などをアピールするとよいでしょう。あわせて、応募先の採用ニーズとマッチする業務経験と身につけたスキルを記載できると、入社後の活躍イメージを抱いてもらうことができるでしょう。

締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

【4パターン】臨床開発職の志望動機の例文

ここでは臨床開発職の志望動機の例文を、4つのパターンに分けて紹介します。

CROからCROに転職へ

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、CRAとして国際共同治験に取り組める点に魅力を感じたためです。
  2. 現職のCROでは約5年間、主にCNS領域の治験を担当しています。この5年間でCRAの業務を一通り経験し、今後のキャリアとして「国際共同治験ができる環境で働き、少しでも新薬の上市時期を早めることに貢献したい」という思いが強くなったために転職を決意しました。貴社は世界最大級のCROであり、国際共同治験が日常的に行われていることに加え、オーストラリアや中国など各国の治験現場への研修も定期的に実施されていると伺い、強い魅力を感じております。
  3. 現職では、プロジェクトの立ち上げ段階でアサインメンバーと自主的な勉強会を開催するなど、チームワークを重視して業務に当たっておりました。貴社でも社内外の多くの人と協働して臨床開発に取り組みたいと考えております。

(364文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 現職で身につけたスキルや経験のうち有用なものを記載し、即戦力になれることをアピールする
  • 応募先の企業でどのようなキャリアを実現したいのか説明し、転職する背景に説得力を持たせる

CROから製薬会社へ

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、これまでの消化器分野での経験を活かして1つの製品の開発に長く携わりたいと考えたからです。
  2. 現職ではCROに在籍し、消化器分野のCRAとして約6年間、新薬治験のモニタリング業務に従事しています。仕事にやりがいを感じておりますが、現職ではプロジェクトごとに別の製品を担当することになるため、日に日に1つの製品の開発に長く携わりたいという思いが強くなり、転職を決意しました。貴社は消化器分野の新薬開発に力を入れておられるため、これまでの経験を活かし、即戦力として新薬開発に貢献できるのではと考えております。
  3. 現職では国内外の科学論文に定期的に目を通し、常に最新の知識をインプットすることを心がけています。その結果、治験実施機関の医師と深いディスカッションができ、スムーズな治験進行につながっています。貴社でも、このような向上心とこれまでの経験を活かして、新薬開発に貢献したく存じます。

(398文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 志望動機の納得感を出すために、なぜ製薬会社への転職を希望しているのか理由を具体的に説明する
  • CROで培ったスキルや知識をどのように活用して応募先の企業に貢献したいかを説明する

製薬会社から製薬会社へ

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、これまでの経験を活かし、CRAとしての専門性をさらに高められる点に魅力を感じたためです。
  2. 私は大学院の薬学専攻を経て、オンコロジー分野の医薬品研究・開発・販売を行う製薬会社で、CRAとして約5年勤務しています。今後のキャリアを考えるなかで「最先端の環境に身をおいてオンコロジー分野における専門性をより高めたい」と思い、転職を決意しました。貴社はオンコロジー分野において世界トップクラスの開発力があり、国際共同治験も数多く行われているため、専門性を高める環境が整っていると考えております。
  3. 現職では大学病院を担当し、医師と積極的なコミュニケーションを取ることで信頼関係を築いてまいりました。貴社でも実施機関とスムーズに連携し、新薬開発に貢献したいと考えておりますので、面接の機会をいただけると幸いです。

(359文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • なぜ現職を辞めて応募先の製薬会社に転職したいと考えているのか、具体的に説明する
  • 自身の専門性や大学病院担当経験など、応募先の企業でも活かせる経験があることをアピールする

未経験からCROへ

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、未経験からでも幅広い臨床開発経験を積むことができる点に惹かれたからです。
  2. 大学時代は農学を専攻し、現職では食品メーカーで食品衛生管理業務に約3年間従事しています。残留農薬の検査業務をきっかけに薬学に興味を持つようになり、新薬開発の仕事に魅力を感じて臨床開発職への転職を決意しました。貴社はCRO企業のなかでも国内トップクラスのプロジェクト数を誇り、多くの医薬品開発に携わる機会があることに加え、未経験でも開発補助業務を経てCRAとして実務経験を積めると伺い、強い魅力を感じております。
  3. 現職では、食の安全を守るという使命感を持ち、ヒューマンエラーを防ぐためのチームコミュニケーションを重視しながら業務に取り組んできました。貴社でも社員や医療関係者と連携し、臨床開発職としていち早く成長して新薬開発に貢献したいと考えております。

(372文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 未経験の職種へのチャレンジはキャリアや人生において大きな決断であるため、なぜ臨床開発職を目指すことにしたのかを具体的に説明し、志望動機の説得力を上げる
  • 未経験であっても、コミュニケーション力など業務に活かせる能力をアピールすると同時に、仕事への意欲を伝える

志望動機の不安を解消するには…

志望動機は合否に関わる大切な質問項目。一度書き終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう

下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポインや、効果的なアピールにつなげるためのコツなどについて解説しています。

こちらもあわせてチェックしておきましょう。





この記事の担当者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

  • HOME
  • 履歴書
  • 【例文付き】CRA(臨床開発モニター)の受かる志望動機の書き方