受かるためのポイントも紹介 【例文付き】MRの志望動機の書き方
MRの転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。
MRの志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。
MRの場合、志望動機が合否に大きく影響する
職務経歴書に志望動機を記載しておこう
MRの転職市場は買い手市場、つまり応募者数>求人数の状態であり、転職の難易度は高めです。限られた採用枠に多くの応募があるため、書類選考の段階から業務経験やスキルだけでなく、志望動機までチェックされて、候補者の絞り込みが行われています。
つまり、MRにとって志望動機は重要項目。合否に大きく影響するといっても過言ではありません。採用担当者にアピールできるよう、職務経歴書に【志望動機】の項目を設けて記載しておくことをおすすめします。
採用担当者の目を惹き、ライバルから一歩抜け出すためには、志望動機にどんなことを書けばいいのでしょうか。評価される志望動機のポイントや考え方・まとめ方について、順を追って解説します。
評価されるMRの志望動機とは?
MRの志望動機が評価されるかどうかは、大きく次の2点にかかっています。
〈評価される志望動機のポイント〉
- 「転職理由」と「応募した理由」に一貫性がある
- これまでの経験とキャリアビションを踏まえた貢献イメージが描けている
「転職理由」と「応募した理由」に一貫性があるか?
「なぜ転職を考えたのか」という転職理由と、「その理由で転職を考えたときに、この企業を選んだのはなぜか」という応募した理由に一貫性がなければ、なぜその企業を志望したのか、採用担当者に納得してもらうことはできません。
それどころか、「なぜ転職したいのかよくわからない」「その理由ならウチでじゃなくてもいいのでは?」といった評価につながってしまいます。
貢献イメージが描けているか?
入社後、どのように活躍したいのか、あなた自身のこれまでの経験とキャリアビジョンを踏まえた貢献イメージが描けていれば、「なんとなく」とか「単なる憧れ」ではなく、募集ポジションと自身の経験・スキルとの親和性をしっかり考え、熱意を持って応募したことが伝わります。
MRの志望動機を書くために必要な2つのこと
上記のポイントを押さえて、評価される志望動機を作るためには、次の2点を整理しておくことが大切です。
「転職を考えたきっかけ」を「応募した理由」に変換する
きっかけは「現職への不満」でも問題なし
「転職理由」と「応募した理由」に一貫性を持たせるため、まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。
きっかけは現職に対する不満でもかまいません。大切なのは、その不満を前向きな転職理由に変換することです。
不満を感じるということは、何か叶えたいことがあるはず。自分が何を不満に思っていて、本当はどうしたいのか、どんな環境に身を置けばその不満が解消できるのか、つまり「転職で叶えたいこと」が何なのか考えてみましょう。
たとえば「扱う製剤数が多すぎてMRとしての専門性が高められない」といった不満であれば、「担当製剤にじっくり向き合い、特定領域の専門性を高めたい」といった前向きな転職理由に変換できるはずです。
応募先のどんなところが希望とマッチするのか
「転職で叶えたいこと」が明確になったら、応募先企業のどんなところが自分の希望とマッチするのか整理しましょう。求人票や採用ページはもちろん、口コミサイトなどもチェックして、あらかじめ応募先の特徴や強みをつかんでおくとスムーズです。
たとえば「担当製剤にじっくり向き合い、特定領域の専門性を高めたい」のなら、「中枢領域に強みを持ち、限られた製剤数で国内トップクラスのシェアを持つ貴社なら自分の希望が叶うと感じた」といったように、「転職理由」と「応募した理由」に一貫性を持たせることができます。
(例)「転職を考えたきっかけ」を「応募した理由」に変換する
- きっかけ(経験者):「扱う製剤数が多すぎてMRとしての専門性が高められない」
→叶えたいこと:「担当製剤にじっくり向き合い、特定領域の専門性を高めたい」
→応募した理由:「中枢領域に強みを持ち、限られた製剤数で国内トップクラスのシェアを持つ貴社なら自分の希望が叶うと感じた」 - きっかけ(経験者):「担当製剤の幅が狭く、MRとして知識や経験の幅を広げることができない」
→叶えたいこと:「さまざまな製剤の経験を積める環境で働きたい」
→応募した理由:「貴社にはコントラクトMRとして複数のプロジェクトに参加できる環境があるため、自身の知識と経験を広げられると感じた」 - きっかけ(未経験者):「現職では専門性が身に付かず、将来のキャリアが不安」
→叶えたいこと:「もともと興味のあった医薬品の分野で、専門性を身につけて長く働き続けたい」
→応募した理由:「充実した研修制度があり、未経験からコントラクトMRとして活躍する人が多い貴社であれば、自分の望むキャリアが積めると感じた」
…など
活かせる経験/スキル・資格
次に、入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を整理しましょう。職務経歴書とは違い、志望動機では経験や資格そのものが問われるわけではありません。
これまでの業務経験や身につけたスキル・資格と、応募先で叶えたいことに一貫性があるか、経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているかどうかが評価のポイントとなります。
そのため、志望動機の冒頭で「これまで◯◯や△△の業務を経験するなかで~」と転職のきっかけにつなげる形で触れたり、締めの部分で「○○の経験/スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲をアピールしたりできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。
(例)MR職で活かせる経験
- MRとしての実務経験(1年以上)
- 先発医薬品製薬会社での勤務経験
- 新薬の情報提供経験
- 製薬会社のMRとして大学病院・分院を担当した経験
- 営業・接客・販売などの顧客対応業務経験(業種問わず)
…など
(例)MR職で活かせるスキル・資格
- MR認定資格
- 普通自動車免許第一種
…など
応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを
入社後の貢献イメージを具体的に描くためには、まず応募先企業の業務内容や、そこで求められるスキル・経験を理解することが必要です。
求人票などから「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」をよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルを踏まえて貢献イメージを伝えましょう。
MRの志望動機の書き方
ここでは、MRの志望動機の書き方を解説します。
まず、MR職の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。
〈MR(経験者)の志望動機の例文〉
- 貴社を志望したのは、現職で培った抗体薬物複合体に関する知識・経験を活かし、より幅広い領域での医療に携わりたいと考えたからです。
- 現職ではCSOのコントラクトMRとして4年間、抗体薬物複合体を扱ってきました。現場の医師と話すなかで、特定領域に限らず、幅広い知識や経験を身につけたいという思いが強くなり、転職を決意しました。貴社はがん領域だけでなく、平均1,000億円もの研究開発費を投じて血液・感染症など幅広い領域の開発に取り組んでいると伺い、強い魅力を感じております。貴社のような環境に身を置くことで、新しい領域の知識を身につけてMRとして成長したいと考えております。
- 現職では大学病院を担当しておりますが、医師と綿密なコミュニケーションを取りつつ信頼関係を構築し、担当エリア内での自社製品シェア◯%上昇に繋げました。現職で身につけた知識と経験を活かして、貴社製品のシェア拡大に貢献したく存じます。
(397文字)
MRの志望動機は、上記のように(1)応募した理由(結論)、(2)その背景やエピソード、(3)入社後の貢献イメージ、の3要素で構成するのが基本です。この基本構成にしたがって、具体的な志望動機の作り方を見ていきましょう。
1.応募した理由(結論)
志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。「より幅広い領域での医療発達に携わりたい」といったように、「なぜその企業で働きたいと考えたのか」を端的に伝えましょう。
〈応募した理由(結論)〉
- 現職で培った抗体薬物複合体に関する知識・経験を活かし、より幅広い領域での医療に携わりたいと考えたから
志望動機の書き出しに明確なルールはありませんが、表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
2.その背景やエピソード
次に、なぜ転職しようと考えたのか(転職理由)と、その企業のどんなところに魅力を感じたのか、応募した背景や裏付けとなるエピソードを記載します。
転職理由と応募した理由に一貫性があるか、ここで改めて確認しておきましょう。
〈転職理由〉
- 幅広い知識や経験を身につけたいという思いが強くなり、転職を決意しました
〈魅力を感じた点〉
- 平均1,000億円もの研究開発費を投じて血液・感染症など幅広い領域の開発に取り組んでいると伺い、強い魅力を感じております
3.入社後の意気込み
最後に、入社後の意気込みを語って締めます。現職(前職)での経験を活かしていきたいという姿勢などをアピールするとよいでしょう。あわせて、応募先の採用ニーズとマッチする業務経験と身につけたスキルを記載できると、入社後の活躍イメージを抱いてもらうことができるでしょう。
締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
【4パターン】MR職の志望動機の例文
ここではMR職の志望動機の例文を、4つのパターンに分けて紹介します。
製薬会社から製薬会社へ
〈例文〉
- 貴社を志望した理由は、治療薬の提供だけでなく疾患予防の取り組みにも力を入れている点に魅力を感じたためです。
- 現職では約5年間、外資系製薬会社のMRとして主に免疫疾患領域の新薬情報提供を行っています。勤務するなかで医薬品の提供だけでは対処が難しい治療事例を多く見聞きし、「患者が疾患を抱える前の段階から、MRとして何かできることはないのか」と考えるようになり、転職を決意しました。同時期に貴社の中長期経営レポートを拝見して、製薬会社として疾患予防ヘルスケアに貢献する方向性が示されている点に強く共感しました。また、貴社はMR1人あたりの施設担当数が30前後と少ないため、ひとつひとつの病院や治療事例に深く関わることができる点にも魅力を感じております。
- 現職では、使用実績が少ない新薬の有効性を理解してもらうために、同じ病院へ何度も足を運んでデータを示すことを大切にしてきました。その結果、入社4年目で配属エリア内トップの成績を収めました。貴社でもこの粘り強さとドクターとの信頼関係構築力を活かし、新薬導入に貢献したいと考えております。
(407文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 現職で身につけたスキルや経験のうち有用なものを記載し、即戦力になれることをアピールする
- 応募先の企業でどのようなキャリアを実現したいのか説明し、転職する背景に説得力を持たせる
CSOから製薬会社へ
〈例文〉
- 貴社を志望した理由は、消化器疾患に特化したスペシャリティMRとしてキャリアを築ける点に惹かれたためです。
- 現職では、CSO企業でコントラクトMRとして約6年間、主にプライマリーケアの新薬情報提供を担当してきました。さまざまなプロジェクトに参加し、幅広い分野の経験を積んでおりますが、患者のQOLに大きく寄与する消化器疾患分野に特化したスペシャリティMRを目指したいという思いが強くなり、転職を決意しました。特に、貴社は一般的な領域担当制よりもさらに細分化された製品担当制を導入されているため、自分が考える特定疾患に特化した働き方が実現できると考え、強い魅力を感じております。
- 現職では処方影響力の大きい大学病院を担当しておりますが、紹介元の病院の動向や外勤に出ているドクターのスケジュール把握など、徹底した情報収集を行うことで、担当の医師と信頼関係を構築しました。これまでの経験を活かし、顧客から信頼を得られるスペシャリティMRとして、貴社に貢献したいと考えております。
(433文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 志望動機の納得感を出すために、なぜ製薬メーカーを目指したのか、その理由を具体的に説明する
- コントラクトMRとして培ったスキルや知識を、どのように活用して応募先の企業に貢献できるか伝える
エリア制MRから特定領域MRへ
〈例文〉
- 貴社を志望した理由は、オンコロジー領域のMRとして専門分野に特化した働き方ができる点に魅力を感じたためです。
- 現職では、製薬会社のMRとして約4年間、大学病院や基幹病院に足を運び、自社製品の情報提供や安全性に関する情報収集などを行っています。経験を積むにつれ、自らの専門性を高めたいという思いが強くなり、製薬業界全体で事業拡大が続いているオンコロジー分野での経験を積みたいと考えて転職を決意しました。貴社は疾患領域別の事業部制を採用していることに加え、各領域のなかでも製品担当制が導入されていると伺い、一つの領域・製品に特化した専門性の高い経験や知識を得ることができると考えております。
- 現職では病院における新薬導入をスムーズに進めるために、医師だけでなく薬剤部や病理部など、さまざまな関係部門の担当者と積極的にコミュニケーションを取ることを大切にしてきました。この経験を活かし、貴社のオンコロジー分野の発展に貢献したいと考えております。
(419文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- なぜエリア制MRから特定領域MRを目指したのか、その理由を具体的に説明する
- エリア制MRとして培った経験を応募先の企業でどのように活かすか説明する
未経験での転職
〈例文〉
- 貴社を志望した理由は、未経験でもMRとしてキャリアアップできる環境が整っている点に魅力を感じたからです。
- 現職では新卒入社から約4年間、化粧品メーカーの営業担当をしています。体調を崩したことをきっかけに健康の重要性を実感し、もともと興味のあった医薬品業界で働きたいと考えるようになり、MRへの転職を決意しました。貴社は多くの製薬会社と取引があることに加え、専門性を持ったエキスパートやプロジェクトのマネージャーなど、自身の志向に合ったキャリアアップが可能と伺い、強い魅力を感じています。
- 現職では、新製品と従来品の違いなどを顧客に明確に伝えることを心がけており、説明や提案のわかりやすさに定評がありました。また、自ら学習するだけでなく、開発部門の社員に直接話を聞くなど、深い商品知識を身につけることを重視してきました。この経験を活かし、医薬品や医療に関する知識を深めながらMRとして成長し、貴社に貢献したく存じます。
(406文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 未経験の職種へのチャレンジはキャリアや人生において大きな決断であるため、なぜMRを目指したのかを具体的に説明し、志望動機に説得力を持たせる
- 未経験ではあるものの入社後の活躍を期待してもらうために、仕事への意欲をアピールする
志望動機の不安を解消するには…
志望動機は合否に関わる大切な質問項目。一度書き終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう。
下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールにつなげるためのコツなどについて解説しています。
こちらもあわせてチェックしておきましょう。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。