応募先に合わせた例文も紹介 化学メーカーの研究開発職の志望動機

化学メーカーの研究開発職の転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。

化学メーカーの研究開発職の志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。

研究開発職にとって志望動機はどれだけ重要?

書類選考では重視されないが面接では聞かれる

化学メーカーの研究開発職の場合、書類選考での志望動機の重要性はそれほど高くありません

化学メーカーは、会社によって扱う材料やその研究領域で必要な技術が異なるため、研究開発職の選考では、応募者の業務経験と募集ポジションとの親和性が最も重視されています。そのため書類選考では、企業が求める経験・スキルを有しているかが合否の主な判断材料となるのです。

ただし、面接では志望動機は必ず聞かれると考えておいてください。企業は、自社で長く働いてくれる人を採用したいと考えています。そのため、面接では転職理由や志望動機について聞かれ、応募者の企業理解の深さや仕事への姿勢などもチェックされます。

採用担当者に「なぜ転職したいのかわからない」「ウチの会社じゃなくてもいいのでは?」とマイナスの印象を与えることのないよう、対策しておきましょう。

化学メーカーの研究開発職の志望動機を書くために必要な2つのこと

説得力ある志望動機を作るためには、次の2つを盛り込むことが大切です

~科学メーカーの研究開発職の志望動機に盛り込むべきこと2つ~1 応募先の企業に興味をもったきっかけ|2 入社後に活かせる経験

「応募先の企業に興味をもったきっかけ」

志望動機を通して採用担当者が知りたいと考えているのは、「自社のどんなところに魅力を感じているのか」「自社のことをきちんと理解しているのか」といったことです。

応募しようと考えたからには、その企業に興味をもったきっかけがあるはず。たとえば「自分の技術を活かした研究に専念できそう」「ずっと興味を持っていた基礎研究に携われる」といったように、その企業に興味をもったきっかけや理由を盛り込みましょう。

このときに気をつけたいのが、「なぜ転職を考えたのか」という転職理由との一貫性です。たとえば、「自社の研究部門が縮小されることになり○○の研究が続けられない(転職理由)」ので「採用ページを見て自分の技術を活かした研究に専念できそうだと感じた(興味をもったきっかけ)」といったように、「転職理由」と「興味をもったきっかけ」に一貫性を持たせることで、説得力ある志望動機に仕上げることができます。

〈例〉転職動機理由と一貫性があるか?

  • 転職理由:「自社の研究部門が縮小されることになり研究が続けられない」
  • 興味をもったきっかけ:「採用ページを見て自分の技術を活かした研究に専念できそうと感じた」

入社後に活かせる経験

志望動機に説得力を持たせるには、その企業に応募した理由に加えて、応募先企業でどのように貢献したいと考えているかを伝えましょう。これまでの業務経験を振り返って、「○○の経験を活かして△△で貢献したい」と具体的な貢献イメージを伝えることが大事です。

その際、「これまでの業務経験や身につけたスキルと、入社後にやりたいことに一貫性があるか」「経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているか」が評価ポイントとなります。

応募先の事業内容だけでなく、求人票の「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」をチェックして、自身のどのような経験が企業の採用ニーズとマッチするかを確認してください。

(例)化学メーカーの研究開発職で活かせる経験

  • 理科系大卒・大学院修士以上(応募先企業が扱う材料の専攻であればなおよい)
  • 応募先企業が扱う材料の研究開発経験
  • リーダー・マネージャー経験海外駐在経験や海外顧客との開発経験
  • 新素材・商品開発経験
  • スケールアップ・量産化経験

…など

(例)化学メーカーの研究開発職で活かせるスキル・資格

  • 危険物取扱者資格
  • 英語力(日常会話レベル以上)

…など

化学メーカーの研究開発職の志望動機の書き方

ここでは、化学メーカーの研究開発職の志望動機の書き方を解説します。

まず、化学メーカーの研究開発職の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。

~化学メーカーの研究開発職の志望動機の基本構成~1 応募した理由(結論)|2 その背景やエピソード|3 入社後の意気込み|

〈化学メーカーの研究開発職の志望動機の例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、最先端の研究開発に携われる点に惹かれたからです。
  2. 現職では、化学メーカーで約7年間、電子部品のセラミック材料や薄膜開発を担当しています。半導体の最終製品の小型化や高性能化が進むなかで、研究職として次世代パワー半導体の開発に注力する最先端企業で経験を積みたいと考え、転職を決意しました。貴社は世界最高レベルのAIN基板製造に成功し、エピタキシャル成長の技術開発研究に積極投資する予定と伺いました。これら最先端の取り組みに携わることで、専門性や技術を磨き、環境負荷の低減や通信インフラの高度化といった社会ニーズに貢献できるものと魅力を感じております。
  3. 現職ではMOCVDやMBEを用いた開発で、結晶欠陥の◯%減少に成功しました。これらの経験を活かして貴社の事業に貢献したいと存じます。

(349文字)

この基本構成にしたがって、志望動機の作り方を具体的に見ていきましょう。

1.応募した理由(結論)

志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。「最先端の研究開発に携われる点に惹かれた」といったように、その企業に魅力を感じた点を伝えましょう。

〈応募した理由(結論)〉

  • 最先端の研究開発に携われる点に惹かれた

書き出しの表現に明確なルールはありませんが、応募先に惹かれたポイントなどを端的に示すのがオススメです。

書き出しの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

2.その背景やエピソード

次は、応募に至った背景やエピソードです。具体的には、なぜ転職しようと考えたのか(転職理由)と、応募先の企業に興味を持ったきっかけを記載しましょう。「その理由で転職を考えたなら、そこに興味を持ったのはよくわかる」と採用担当者を納得させられる一貫性があるか、改めて確認してください。

〈転職理由〉

  • 研究職として次世代パワー半導体の開発に注力する最先端企業で経験を積みたいと考え、転職を決意しました

〈応募先の企業に興味を持ったきっかけ〉

  • 貴社は世界最高レベルのAIN基板製造に成功し、エピタキシャル成長の技術開発研究に積極投資する予定と伺いました

3.入社後の意気込み

最後に、入社後の意気込みを語って締めます。「○○の経験を活かして貢献したい」といった形で入社後に活かせる経験があることと、貢献意欲をアピールするとよいでしょう。

締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

【4パターン】化学メーカーの研究開発職の志望動機の例文

ここでは化学メーカーの研究開発職の志望動機の例文を、4つのパターンに分けて紹介します。

総合化学メーカーに転職する場合

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、社会を変える素材開発に携われる点に惹かれたからです。
  2. 大学では電気化学を専攻し、現職では化学メーカーの研究開発職として約5年間、リチウム電池の材料開発研究に取り組んでいます。働くなかで、社会により大きなインパクトを与えられる川上の仕事に興味を持つようになり、転職を決意しました。貴社は素材開発で日本トップクラスの技術力を持ち、今後は高性能ポリプロピレン樹脂の材料開発にも注力されると伺いました。貴社でなら現職で培ったポリマー材料の重合の経験を活かしながら、「素材開発に携わり、社会を変える力になる」という自身の理想を実現できると考えております。
  3. 現職では、材料の特性を効果的に発揮できる電池製造のプロセス開発にも携わり、◯%の性能向上を達成しました。貴社でもこれらの経験を活かして事業に貢献したく存じます。

(362文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • なぜ素材開発に携わりたいのか、なぜ素材開発の企業のなかでも応募先企業を選んだのかを具体的に説明する
  • 数値や具体的なエピソードを用いて前職での成果・実績を伝え、活躍イメージを持ってもらう

電子材料メーカーに転職する場合

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、これまでの経験を活かして半導体分野に携われる点に魅力を感じたからです。
  2. 現職では工業用化学薬品メーカーで約6年間、精密機器の洗浄剤の研究開発に従事しています。業界誌の記事で、半導体の製造過程で使用する洗浄剤が製品の性能に大きく影響すると知り、成長産業である半導体分野で自分の経験を活かしたいと考えて転職を決意しました。貴社はエレクトロニクスケミカルズの開発に日本で初めて成功した企業であり、今後も積極的な投資で新たな開発を行うと伺い、強い魅力を感じております。
  3. 現職では、従来品よりも◯倍の洗浄性に優れた新製品の開発に携わりました。この経験を活かして、開発力のある貴社で先進的な取り組みに携わり、知識や技術をさらに磨くことで、事業の発展に貢献したく存じます。

(338文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 半導体分野に興味を持ったきっかけや、現職での研究経験と応募先企業の事業との関連性を具体的に説明する
  • 数値や具体的なエピソードを用いて前職での成果・実績をアピールする

誘導品メーカーに転職する場合

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、触媒研究開発の経験を活かし、カーボンニュートラルに貢献できる点に魅力を感じたからです。
  2. 現職では、外資系化学メーカーにおいて約6年間、化粧品・医薬品開発に使用する水素添加触媒の研究開発に従事しています。学生時代に環境系NPOで活動した経験から環境問題に長年関心を持っており、研究職としてカーボンニュートラルの実現に貢献できる道を模索してきました。貴社が二酸化炭素を石油化学物質に変換する触媒の開発に成功し、さらなる事業拡大に注力すると伺い、貴社でなら触媒研究経験を活かして持続可能な社会の実現に貢献できるのではと考えて貴社を志望しております。
  3. 現職では、実験計画の策定から触媒の設計、解析まで幅広い業務を経験し、研究業務全体に関わる知識やスキルを身につけました。これらの経験を活かし、プロジェクト全体を管理する立場として貴社の研究開発に貢献したく存じます。

(388文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • なぜカーボンニュートラルの実現に貢献したいのか、なぜ触媒開発の企業のなかでも応募先企業に入りたいのかを具体的に説明する
  • 現職での経験や身につけたスキルを踏まえた貢献意欲を伝えて、熱意をアピールする

農業化学品メーカーに転職する場合

〈例文〉

  1. 貴社を志望した理由は、有機化学の研究開発経験を活かして農業化学品の創製研究に携われる点に惹かれたからです。
  2. 現職では、化学素材メーカーで約6年間、有機合成反応や重合反応を用いた機能材料の研究開発を担当しています。現在の事業部が縮小されたことをきっかけに今後のキャリアについて考え、有機化学の経験を活かせる成長産業である農業化学品メーカーへの転職を決めました。長年環境問題に関心を持っていたため、環境負荷が小さい農薬や天然物由来の農薬の製造に注力する貴社に、特に魅力を感じております。
  3. 現職では、量産化を目的とした製造プロセスの開発にも携わり、◯%の生産性向上を達成しました。現職での経験を活かして貴社の新農薬の開発・生産性向上に貢献したいと考えておりますので、ぜひ一度面接の機会をいただけると幸いです。

(349文字)

〈おさえておきたいポイント〉

  • 転職を考えたきっかけと応募先企業に魅力を感じている理由について、一貫性のあるストーリーとして伝える
  • なぜ農業化学品の分野に携わりたいのか、これまでの研究開発経験を新しい分野でどのように活かすのか、具体的に説明する

志望動機への不安を解消するには…

志望動機は合否にかかわる大切な質問項目。一度書き終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう

下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールにつなげるためのコツなどについて解説しています。

こちらもあわせてチェックしておきましょう。

この記事の担当者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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