契約途中でも退職できる! 契約社員の退職方法や保険の疑問を解決
「契約途中でも契約社員を退職できる?」
「退職金はもらえる?」
「失業保険はどうなる?」
この記事では、契約社員の退職方法や保険についてなど、契約社員の退職に伴う疑問を解決していきます。
【契約途中/契約満了】契約社員の退職方法は?
契約社員であっても、退職の方法や手続きそのものは、正社員とほぼ同じです。
気をつけなければいけないのは、退職時期です。タイミングによっては希望通りの退職が難しいこともあるので、注意しましょう。
退職時期による退職のしやすさは、図の通りです。
それぞれの時期について、詳しく見ていきましょう。
※一般的な退職手続きはこちらを参照→「退職時・退職後の手続きガイド【完全版】」
契約期間途中での退職は原則できません
契約社員の場合、契約期間途中での退職は原則することができません。
しかし、以下のような場合は、契約途中でも退職することができます。
勤続1年以上の場合は退職可能
1年を超える契約を結んだ会社に1年以上勤務している場合は、契約途中であっても、退職の希望を伝えることで退職することができます(労働基準法第137条)。
この場合、退職したい日の何日前までに退職の希望を伝える必要があるかは、就業規則を確認しましょう。
勤続1年未満の場合は「やむを得ない理由」が必要
勤続年数が1年未満でも「やむを得ない理由」があれば、退職することができます(民法第628条)。
やむを得ない理由には、以下のようなものが挙げられます。
- 業務内容の法令違反や契約違反
- ハラスメントやいじめ
- 本人の心身の病気 など
これらに該当しない場合は、一度会社に相談してみましょう。会社が認めてくれれば、双方の合意に基づき契約途中(勤続1年未満)でも退職することができます。
※参照:「労働基準法第137条(電子政府の総合窓口e-Gov)」、「労働基準法に関するQ&A(厚生労働省)」、「民法第628条(電子政府の総合窓口e-Gov)」
契約満了での退職が最もスムーズ
契約社員の一番スムーズな退職のタイミングは、契約満了時です。
一般的には、契約の満了が近づくと更新の希望を確認する面談が行われるため、そこで契約を更新しない旨を伝えればOKです。ただし、面談がない場合や、面談で退職したいと伝えたときには既に退職の申し出期間を過ぎているということもあるので注意しましょう。
契約満了に合わせて退職したいと考えている人は、
- 契約更新の面談があるかどうか
- 退職希望日の何日前までに退職の希望を申し出る必要があるか
確認しておきましょう。
契約社員は退職金や失業保険はもらえる?
契約社員は、退職金や失業保険はもらえるのでしょうか?
退職金はもらえないことが多い
契約社員の場合、退職金はもらえないことが多いようです。
日本労働組合総連合会の2018年のデータによると、契約社員への退職金制度がないと答えた企業の割合は87.1%。それに対し、退職金制度があると答えた企業はわずか12.9%に留まっています。
契約社員の場合、退職金はほぼもらえないと思っておいたほうが良いでしょう。
退職金は法律で支払いが義務付けられているものではなく、あくまで会社が独自に設けている制度です。勤め先の会社に契約社員への退職金制度があるか、就業規則を確認してみましょう。
※参照:「有期契約労働者に関する調査2018(日本労働組合総連合会)」
雇用保険に入っていれば失業保険は受給できる
失業保険(失業手当)は、必要な期間、雇用保険に加入していれば、雇用形態に関わらず受け取ることができます。
自分で望んで退職するのか、会社側の事情でやむを得ず退職するのかによって、失業保険を受給できるタイミングが変わってくるので、注意しましょう。
自分の都合で退職する場合
自分から退職を申し出た場合は自己都合退職となります。
自己都合で退職する場合、失業保険を受け取るには、退職する日以前の2年間で、雇用保険に加入していた期間が通算して12ヵ月以上あるという条件があります。
この条件を満たしている場合に、申請してから7日の待期期間+2ヶ月の給付制限を待って、失業保険を受け取ることができます。
会社側の事情でやむを得ず退職する場合
自分は働き続けたい意思があるにもかかわらず、契約満了により退職した場合は、「特定理由離職者」という扱いになります。
この場合、退職する日以前の1年間で、雇用保険に加入していた期間が通算して6カ月以上あることが失業保険の受給条件です。
特定理由離職者になると2カ月の給付制限がないため、上記の条件を満たしていれば、申請してから7日の待期期間を経て失業保険が給付されます。ただし、手続きに時間がかかるため、実際に銀行口座へ振り込まれるのはおよそ1.5カ月後となります。
【最新情報】自己都合退職の給付制限が2ヶ月に短縮されました(2020年10月1日更新)
自己都合退職の給付制限が、3ヶ月から2ヶ月に短縮されました。なお、期間短縮の対象者は2020年10月1日以降に退職した方です。ただし、最新の離職日からさかのぼって5年以内に3回以上自己都合退職をしている場合は、引き続き3ヶ月の給付制限がかかります。
契約社員でも退職届は必要?
正社員のように雇用期間に定めがない場合は、退職する際、退職届を出す必要がありますが、契約社員はどうなのでしょうか?
契約満了で退職する場合は原則必要ない
契約期間を満了して退職する場合は、原則、退職届は必要ありません。会社から求められた場合のみ、提出するようにしましょう。
退職届の書き方には明確なルールはないので、会社に指定のフォーマットがない場合は、こちらの記事のテンプレートを参考にしてください。→「退職届・退職願の書き方」
会社都合で退職する場合は、以下のように会社都合で退職するとわかるようにしておきましょう。
▼会社都合による退職届の本文例
「このたび、貴社、□□□(退職理由)に伴い、来たる○○年○月○日をもって、退職致します。」
※退職理由には、「退職勧奨」や「人員調整」など該当するものを記入しましょう。
会社都合での退職について、詳しくはこちらを参照してください。→「会社都合退職にまつわる正しい知識」
契約途中で退職する場合は退職届が必要
契約途中で退職する場合は、退職届を出すのが一般的です。
会社にフォーマットが用意されている場合はそちらを使用し、フォーマットがない場合は、先程の「退職届・退職願の書き方」の記事を参考にしてください。
退職理由については、自己都合での退職の場合は「一身上の都合により」と書けばOKです。
まとめ
この記事では、契約社員の退職方法や退職に伴う疑問について解説しました。
契約社員の場合は、時期によって希望通りの退職が難しい場合もあります。退職する際のポイントを最後にもう一度おさらいしておきましょう。
契約途中の退職は原則できない
ただし勤続1年以上の場合は、契約途中での退職が可能
勤続1年未満の場合は、退職に「やむを得ない理由」が必要
退職届は契約満了で退職する場合は原則必要ない
(文:転職Hacks編集部)
この記事の監修者
社会保険労務士
三角 達郎
三角社会保険労務士事務所