見本・テンプレートつき 正しい退職願・退職届の書き方

退職時に必要な書類である、退職願や退職届。この記事では、すぐに使える見本・テンプレートを使って、退職願・退職届の正しい書き方を紹介します。

「手書きで用意すべきか?」といった疑問にも答えていますので、作成・提出前に確認しておきましょう。

退職願・退職届の違いは?

提出するタイミングが違う

退職願と退職届は、提出する目的と出すタイミングが異なります

具体的には、退職願は「退職させてください」と上司にお願いするタイミングで提出し、退職届は「退職の話がまとまった」タイミングで提出します。

【退職願】と【退職届】の違い/<退職願>「退職してください」とお願いするための書類。初めて退職を切り出すときに提出する。/<退職届>「退職します」と宣言するための書類。すでに退職の話がまとまっている場合に提出する。

退職までの一般的な流れは、下記のとおりです。1)退職願を提出する→2)退職日を交渉する→3)退職届を提出して退職を確定させる、という3段階で進みます。

【退職までの一般的な流れ】 (1)退職を切り出し、退職願を提出する (2)退職交渉を進め、退職日を決定する (3)話がまとまったら、退職届を提出して退職を確定させる

なお、退職願は会社によっては出す慣習がないケースもあります。必要か判断できない場合は、念のため用意して話を切り出し「退職願はある?」と聞かれたら提出するといいでしょう。

手書きとパソコン作成どちらがいい?準備するものは?

退職願・退職届は手書きが基本

特に指定が無い場合、退職願・退職届は手書きするのが一般的です。

縦書きのB5かA4の白い用紙に、黒のボールペンもしくは万年筆を使って作成しましょう。

【退職届と退職願に使う用紙とペン】 ・用紙のサイズはB5かA4(白で柄なしなら罫線入りもOK) ・ペンは黒のボールペンか万年筆 (フリクションタイプはNG)

なお基本的には縦書きですが、会社から横書きを指定される場合もあります。その際の書き方は、下記の記事を参考にしてください。

パソコンで作成するなら、テンプレが便利

退職願・退職届をパソコンで作成するよう指定された場合は、下記からテンプレートをダウンロードして作成するとスムーズです。

日付や名前など、変更が必要な部分のみ書き換えて印刷してください。

※docx形式。Microsoft word2007以上推奨

【退職届】退職届/私事、このたび、一身上の都合により、来たる令和●年●月●日をもって、退職いたします。令和●年●月●日□□事業部△△課 白洲太郎 株式会社いろはソリューションズ代表取締役社長 就職次郎様/ 【退職願】退職願/私事、このたび、一身上の都合により、来たる令和●年●月●日をもって、退職いたしたくここにお願い申し上げます。令和●年●月●日□□事業部△△課 白洲太郎 株式会社いろはソリューションズ代表取締役社長 就職次郎様

会社指定の様式がある場合も

会社によっては、所定のテンプレートがあったり、署名だけすればいい書類を渡されたりするケースがあります。その場合は、会社の指示に従って書類を提出しましょう。

【見本つき】退職願の書き方

基本的に、退職願は定型文でOKです。

見本・テンプレートをベースにして「4)退職希望日」「6)提出する年月日」「7)所属部署・氏名」「8)押印」「9)宛先」を書き換えましょう。

なお会社都合退職の場合、退職願を書く必要はありません。提出することで自己都合退職とみなされる危険もあるため、求められても断るようにしましょう。

退職願の見本・書き方

【退職願の見本】 退職願/私事、/このたび、一身上の都合により、/来たる令和●年●月●日をもって、退職いたしたくここにお願い申し上げます。/令和●年●月●日/□□事業部 △△課/白洲 太郎(印)/株式会社いろはソリューションズ/代表取締役社長 就職 次郎 様

1)冒頭(見出し)

見出しにあたる一行目には「退職願」と書く。

2)書き出し

二行目の一番下に「私事、」と書く。
「私儀、」としてもOK。

3)退職理由

自己都合退職の場合、どのような事情でも「一身上の都合により、」と書く。

4)退職希望日

退職を希望する日付を書く。
年の表記は西暦・元号どちらでもOK。

5)文末

退職をお願いする書類なので、「退職いたしたくここにお願い申し上げます」と書く。

6)提出する年月日

退職願を提出する日付を書く。
年の西暦・元号は「4)退職希望日」とそろえる。

7)所属部署・氏名

所属する部署名とフルネームを書く。

8)押印

シヤチハタ(ネーム印)ではなく、認印を使用するのが無難。

9)宛先

会社名と代表者名を正式名称・フルネームで書く。
「(株)」などと省略するのはNG。
代表者名の敬称は「殿」でもOK。

【見本つき】退職届の書き方

退職届も、退職願と同じく定型文でOKです。

見本・テンプレートをベースにして「4)退職日」「5)提出する年月日」「6)所属部署・氏名」「7)押印」「8)宛先」を書き換えましょう。

なお会社都合退職の場合、退職届を書く必要はありません

退職届の書き方

【退職届の見本】 退職届/私事、/このたび、一身上の都合により、/来たる令和●年●月●日をもって、退職いたします。/令和●年●月●日/□□事業部 △△課/白洲 太郎(印)/株式会社いろはソリューションズ/代表取締役社長 就職 次郎 様

1)冒頭(見出し)

見出しにあたる一行目には「退職届」と書く。

2)書き出し

二行目の一番下に「私事、」と書く。
「私儀、」としてもOK。

3)退職理由

どのような事情でも「一身上の都合により、」と書く。

※会社都合退職の場合は、書き方が異なります。
くわしくは→会社都合退職の場合「一身上の都合」はNG

4)退職日

上司と相談して決めた退職日を書く。
最終出社日の後に有給休暇を消化する場合も、最終出社日ではなく退職日を書く。
年の表記は西暦・元号どちらでもOK。

5)提出する年月日

退職届を提出する日付を書く。
年の西暦・元号は「4)退職日」とそろえる。

6)所属部署・氏名

所属する部署名とフルネームを書く。

7)押印

会社の規定に合う印鑑で押印する。

※「認印が必要」「シヤチハタ(ネーム印)でもOK」「印鑑は不要」など会社によって規定が異なるので、提出前に確認しておくのが無難。

8)宛先

会社名と代表者名を正式名称・フルネームで書く。
「(株)」などと省略するのはNG。
代表者名の敬称は「殿」でもOK。

こんなケースの「退職理由」はどう書く?

退職理由は、大きく分けて自己都合退職か、会社都合退職かによって書き方・内容が異なります

自己都合退職なら「一身上の都合」でOK

自己都合による退職の場合、退職理由は基本的に「一身上の都合により」と書きましょう。

転職や病気の療養といった具体的な理由がある場合でも、「一身上の都合により」と定型文を記入して問題ありません。

会社都合退職の場合「一身上の都合」はNG

会社都合で退職する場合、「一身上の都合」と書いてしまうと自己都合退職として処理され、失業給付の金額・期間などが変わってしまう可能性があります。

そのため「一身上の都合」とは書かずに、「早期退職のため」「事業所閉鎖のため」「貴社、退職勧奨に伴い」といった具体的な退職理由を記入してください。

▼具体的な「退職理由」の例はこちら

退職願・退職届を入れる封筒の書き方・マナー

封筒は「白い二重封筒・郵便番号枠なし」を選ぶ

【退職届と退職願を入れる封筒】 白無地、郵便番号の枠なし

退職願・退職届を入れる封筒は、白色で無地のものを選びます。「白封筒」「二重封筒」と呼ばれる、中身が透けないタイプのものを使うようにしましょう。

封筒のサイズは、退職願・退職届を三つ折りにした大きさに合うものを用意します。B5なら「長形4号」A4なら「長形3号」を選んでください。

【見本つき】封筒の書き方

封筒を用意したら、退職届・退職願を入れて表・裏にそれぞれ下記のとおり記入します。

なお退職願・退職届と同じく、黒のボールペンか万年筆を使って手書きするのがマナーです。

【退職届と退職願を入れる封筒の書き方】 表書きは、中央やや上よりに「退職届」または「退職願」と大きく書く。裏書きは、左下に自分の所属(□□事業部 △△課 白洲 太郎)を書く。

封筒の書き方のポイント

  • 表面の中央やや上寄りに「退職届」もしくは「退職願」と書
  • 裏には所属部署の正式名称とフルネームを書く

退職届の折り方・入れ方・渡し方

ここでは退職届を提出する際のマナーを、折り方・入れ方・渡し方の3つにわけて紹介します。

退職届の「折り方」

退職願・退職届は、三つ折りにするのがマナーです。

折る向きには決まりがあるので、必ず次の手順で追って封筒に入れましょう。

退職届・退職願の折り方

  1. 文字が書いてある面を上にして、下3分の1を上向きに折る
  2. 上3分の1を、上から被せるように折る

退職届・退職願の折り方|1.文字が書いてある面を上にして、下3分の1を上向きに折る。2.上3分の1を、上から被せるように折る

退職届の「入れ方」

三つ折りにした退職届・退職願は、折る前の「右上の角」が上に来るように封筒に入れます。下記の動画を見ながら、正しい向きで入れるようにしましょう。

また、封筒にのり・テープなどがついていなければ、封をする必要はありません。

退職届・退職願の封筒への入れ方

  1. 三つ折りした用紙を、オレンジの角を目印にして左回りに90度回転させる
  2. 封筒の裏面を上にした状態で、中に入れる
退職届・退職願の封筒への入れ方|1.三つ折りした用紙を、左回りに90度回転させる。2.封筒の裏面を上にした状態で、中に入れる。

▼退職届・願の封筒マナー・入れ方のくわしい解説は…

退職届の「渡し方」

退職届は、特に指定が無ければ直属の上司に提出するのが一般的です。

渡す際は「これまで本当にお世話になり、ありがとうございました」といった言葉を添えて手渡ししてください。

なお郵送する場合は、退職届を入れた封筒を、さらに一回り大きな封筒に入れて送るのがマナー。宛先は、直属の上司または人事部とするのが一般的です。

よくある疑問Q&A

退職願・退職届に関するよくある疑問をQ&A形式でまとめました。こちらを参考に、疑問を解消していきましょう。

退職願・退職届は撤回できる?

退職願は撤回できる可能性がありますが、退職届は提出後の撤回が非常に困難です。

退職の申し出を撤回したい場合は、退職願が受理・承諾される前に、すみやかに上司や人事部長に伝えましょう

退職「願」

撤回はタイミングによっては可能。

※「提出後に、会社側が退職願を受理・承諾したこと」が本人に伝わっていないタイミングのみ。

退職「届」

撤回は非常に困難。

※退職届を提出した時点で、労働者から一方的に労働契約を解約したことになるため。

▼退職の撤回方法や注意点について、くわしくは…

退職届を受け取ってもらえないときは、どうする?

法律上、退職の申告後2週間が経過すれば、退職が成立します。よって、口頭でもはっきりと「退職します」と伝えていれば、退職届を受け取ってもらえないとしても退職は可能です

しかし、退職届を出さないまま退職すると、言った言わない問題に発展する可能性も。直属の上司が退職に応じてくれない場合は、次の流れで退職の申告を行いましょう。

〈直属の上司が退職届を受け取ってくれない場合の流れ〉

  1. さらに上の上司や、人事担当者に相談する。
  2. それでも話が進まなかった場合は、内容証明郵便(※)で退職届を送付する

    ※内容証明郵便の出し方は…内容証明|日本郵便

▼退職届を郵送するときのポイントは、こちらをチェック

退職願・届が必要ないと言われたら、出さなくていい?

退職願は必ずしも提出する必要はありませんが、退職届は提出しておくのがベター。退職届を提出し、退職の意思を示した証拠を残しておかないと「辞めるとは聞いてない」と言われ、話が覆される可能性があります。

「形として、退職届を提出させていただきます」と言って提出し、コピーを手元に残しておくようにしましょう。

会社都合退職でも、退職願・退職届は必要?

退職勧奨を受けて退職するなど、会社都合退職の場合は退職届や退職願は必要ありません

逆に退職願を提出してしまうと、自ら退職を申し出たとみなされ自己都合退職にされてしまう可能性があります。

退職届は提出しても問題ありませんが、退職勧奨で辞める場合は「一身上の都合により」の部分を「貴社、退職勧奨に伴い」などと書き換え、会社都合で辞めた証拠を残しておきましょう。

※会社都合退職の場合の書き方について、くわしくは…「会社都合退職の場合「一身上の都合」はNG

パート・アルバイトも退職願・退職届は必要?

パート・アルバイトが退職する際は、一般的に退職願・退職届は不要です。退職の2週間以上前に「退職の意思」を口頭で示せば退職できます

ただし、勤務先の就業規則で退職願・退職届の提出が求められる場合があるので、必ず確認しておきましょう。

なお退職願・退職届のフォーマット・内容は、会社から指定されていない限りは正社員向けのものと同じでOKです。「【見本つき】退職願の書き方」「【見本つき】退職届の書き方」の章を見ながら、書類を用意しましょう。

有給消化したい場合、日付はどう書く?

有給消化したい場合は、消化したい日数と引継ぎ期間を考慮して、退職日を設定する必要があります。

退職届を提出してしまうと、そこに記載された日付が退職日として確定し、有給消化の調整が困難になるので注意してください。

そのため、まずは退職届ではなく退職願を提出して退職の意思を伝え、その後に有給消化したい日数を加味した退職スケジュールを立てて上司と交渉するようにしましょう。退職届には、最終的に上司と交渉して合意が取れた退職日を記入してください。

有給消化の方法について、くわしくは下記の記事で解説しています。

退職願・退職届が完成したら…

退職届と退職願が作成できたら、いよいよ本格的な退職準備に入ります。役立つ記事をまとめたので、参考にしてみてください。

▼スムーズに有給消化するコツは?

▼最終日はどんな挨拶をすればいい?

▼離職するなら、どんな手続きが必要?

▼退職願・退職届を出す前に…

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