封筒の書き方まで紹介 テンプレートつき|退職願・退職届の書き方

退職にあたって、現在の勤務先に提出する必要がある退職願や退職届、辞表。

この記事では「退職願・退職届・辞表の違いは?」「退職願や退職届の書き方は?」「手書きの方がいい?」といった、よくある疑問に答えます。

「退職願」「退職届」「辞表」の違いは?

出すタイミングや役割が違う

「退職願」「退職届」「辞表」の3つの書類は、どれも退職を願い出る(届け出る)際に提出する書類です。ただし、下記のように、使うタイミングや役割が明確に異なります

~退職願・退職届・辞表の違い~退職願:退職の意思表示をするための書類、初めて退職を切り出すときに提出する|退職届:退職を確定させるための書類、退職日が決まったタイミングで提出する|辞表:社長や取締役など雇用関係のない立場の人や、公務員が仕事を辞める際に提出する

まず「退職願」は、退職の意思を上司に伝える退職交渉のタイミングで提出する書類です。必須の書類ではありませんが、退職の意志が固いことを示せるため、その後の退職交渉がスムーズに進みます。

退職届」は、退職交渉を経て、退職することが確定したタイミングで提出する書類です。こちらを会社に提出することで、正式に退職の届け出が完了します。

なお「辞表」は、社長や取締役といった雇用関係のない立場の人、または公務員が仕事を辞める際に使う書類です。会社員として雇用されている人は、辞表ではなく退職願・退職届を使いましょう。

退職願・退職届の出し方と、退職の流れ

退職願・退職届は、勤務先の就業規則に記載されている期日までに提出する必要があります。法的には「退職の2週間前までに」提出すればOKですが、トラブル防止のために、退職の意思が固まったら、すぐに就業規則で期日を確認しましょう。

確認後は、「直属の上司に退職を切り出し、退職願を手渡す」→「退職交渉を進め、退職日を決定する」→「話がまとまったら退職届を提出して、退職を確定させる」という順で、手続きを進めるのが一般的です。

~退職までの一般的な流れ~1退職の意思を固める|2就業規則を確認し、退職願い・退職届の提出先と、提出期限を確認する|3直属の上司に退職を切り出し、退職願を手渡す|4退職交渉を進め、退職日を決定する|5話がまとまったら退職届を提出して退職を確定させる

退職願・退職届は、手書き・パソコン作成どっちがいい?

手書きでもパソコン作成でもOK

退職願・退職届は、会社からの指定がなければ、手書き・パソコン作成どちらでもOKです。

以前は手書きが主流でしたが、近年はパソコンで作成しても問題ないとする企業が増えています。便箋や次の章で紹介するテンプレート(フォーマット)を用意して、好きな方法で作成しましょう。

退職願・退職届を書く前に準備すること

退職願・退職届を書く前に、便箋やパソコン作成用のテンプレート(フォーマット)などを用意しましょう

【手書きの場合】便箋・筆記用具を用意する

手書きの場合は、市販の便箋と、記入に適した筆記用具(ペン)を用意しましょう。便箋・筆記用具選びのポイントは下記のとおりです。

▼便箋

  • 便箋の色は「白」
  • 罫線はあってもなくてもOK(綺麗に書くなら、罫線つきがおすすめ)。
  • サイズは「B5またはA4」(B5が一般的)。
  • 縦書き・横書きどちらでもOK。

▼筆記用具

  • 筆記用具は、「黒のボールペン」または「万年筆」。
  • 字のにじみを防止するには「黒のゲルインクボールペン」がおすすめ。
  • 摩擦で消える「フリクションのボールペン」はNG

【パソコン作成の場合】テンプレートをダウンロードする

パソコンで作成する場合は、退職願・退職届のテンプレート(フォーマット)を入手しましょう。下記のボタンからダウンロードし、記入が終わったらA4サイズで印刷して提出してください。

▼「退職願」のテンプレート・フォーマット

▼「退職届」のテンプレート・フォーマット

▼会社から「横書き」を指定された場合のテンプレートはこちら

封筒を用意する

退職願・退職届を提出する際は、封筒に入れて渡すのがマナーです。

封筒は、原則「白色で無地のもの」を選んでください。また、機密性の高い書類なので、「二重封筒」と呼ばれる、中身が透けないタイプのものを使いましょう。

封筒のサイズは、三つ折りにした退職願・退職届がちょうど入る大きさにするのが一般的です。退職願・退職届がB5サイズなら「長形4号」A4サイズなら「長形3号」を選びましょう。

【退職届と退職願を入れる封筒】郵便番号の枠なし/白色で無地

【見本つき】退職願・退職届の書き方・ポイント

退職願・退職届ともに、記入内容は基本的に定型文でOKです。

下記の見本をもとに、自分の名前などに書き換える必要がある箇所(「(4)退職希望日/退職日」「(5)提出日」「(6)所属部署・氏名」「(7)押印」「(8)宛先」)を変更して作成しましょう。

【退届願の見本】退職願/私事、/このたび、一身上の都合により、来たる令和●年●月●日をもって、退職いたしたくここにお願い申し上げます。/令和●年●月●日/□□事業部△△課/白洲太郎。株式会社いろはソリューションズ/代表取締役社長/就職次郎様 【退職届の見本】退職届/私事、/このたび、一身上の都合により、来たる令和●年●月●日をもって、退職いたします。/令和●年●月●日/□□事業部△△課/白洲太郎。株式会社いろはソリューションズ/代表取締役社長/就職次郎様

(1)見出し
  • 一行目にタイトルとして「退職願」「退職届」と書く。
(2)書き出し
  • 二行目に、下揃えで「私事、」と書く
    (「私儀、」でもOK)
(3)退職理由
  • 原則、「一身上の都合により、」と書く。
(4)退職希望日/退職日

▼退職「願」の場合

  • 退職を希望する日付を書く。
  • 退職を願い出る書類なので、文末は「退職いたしたくここにお願い申し上げます」と書く。

▼退職「届」の場合

  • 上司と相談して決定した「退職日(雇用契約が終了する日)」を書く。
  • 文末は「退職いたします」と、断言する形で書く。

    ※西暦・元号はどちらでもOK。

(5)提出日
  • 書類を提出する日の日付を書く。
  • 西暦・元号は、(4)の書き方とそろえる。
(6)所属部署・氏名
  • 所属している部署名と、自分のフルネームを書く。
(7)押印
  • ネーム印(シヤチハタ)ではなく、認印を使用するのが無難。
(8)宛先
  • 書類の提出先として、会社名代表者名を書く。
  • 原則として、正式名称・フルネームで書く((株)などの略称はNG)。
  • 代表者名の敬称は「様」が一般的だが、「殿」でもOK。

【退職理由】こんなときはどう書く?ケース別退職理由

退職願・退職届に記載する退職理由は、基本的には「一身上の都合」とするのが無難です。病気や個人的な事情などをくわしく書く必要はありません。

ただし、会社都合で退職する場合や、パワハラなどのトラブルの証拠を残す場合には、具体的な退職理由を書くことがあります。

ケース別に退職理由の書き方をまとめたので、自分の状況を確認しておきましょう。

〈ケース別の退職理由の書き方〉

※パート・アルバイトの場合の書き方は【Q.パート・アルバイトでも退職願・退職届は必要?】で紹介します。

介護
  • 一身上の都合」でOK
病気
  • 一身上の都合」でOK
試用期間中に辞める場合
  • 一身上の都合」でOK
突然辞める場合
  • 一身上の都合」でOK
契約満了
  • 会社都合退職となるため、基本的に退職願・退職届は不要
  • 提出を求められた場合は、「契約期間満了にともない」と記載
定年退職
  • 基本的には、退職願・退職届は不要
  • 提出を求められた場合は、「就業規則第〇〇条に記載の、定年の定めにより」と記載
会社都合
  • 会社都合の場合、退職願・退職届がそもそも不要
  • 提出を求められた場合は「会社都合により」と記載

    ※「一身上の都合」とすると自己都合退職になるため注意

退職勧奨
  • 退職勧奨による退職は、原則会社都合退職となるため、退職願・退職届がそもそも不要
  • 提出を求められた場合は「退職勧奨により」と記載

    ※「一身上の都合」とすると自己都合退職になるため注意

  • 退職届を出すと自己都合退職に見えるため「退職合意書」を作成することも
パワハラ・モラハラ・セクハラ・いじめ
  • パワハラの証拠を残し、会社都合退職にすることを目指す場合は、「パワハラに伴う心身疲労により」と記載
  • 会社と揉めたくない場合は「一身上の都合により」と記載

    ※ただし「一身上の都合」とすると自己都合退職になり、後から会社都合退職に切り替えることが難しくなるため注意

封筒の書き方・入れ方

退職願・退職届を書き終わったら、封筒に入れて提出します。

提出用の封筒の書き方や、書類の入れ方・折り方にもマナーがあるので、下記の解説に沿って対応しましょう。

封筒の「書き方」

退職願・退職届を入れる封筒は、表面の中央やや上寄りに「退職願」「退職届」と表書きを入れ、裏面には自分の「所属部署」と「フルネーム」を記載します。

筆記用具は、書類と同じく「黒のボールペン」または「万年筆」を使い、手書きしましょう。

〈退職願・退職届の「封筒の書き方」〉

  • 【表面】中央のやや上寄りに「退職願」または「退職届」と書く。
  • 【裏面】左下に、自分の「所属部署」と「フルネーム」を書く。

〈筆記用具〉

  • 「黒のボールペン」または「万年筆」を使って、手書きする。

【退職届と退職願を入れる封筒の書き方】表書き/裏書き 

退職願・退職届の「折り方」

封筒にいれる際、退職願・退職届は、三つ折りにするのがマナーです。

なお、折る向きには決まりがあります。必ず下記の手順で折って封筒に入れましょう。

〈退職願・退職届の「折る向き」〉

  1. 文字が書いてある面を上にして、下3分の1を上向きに折る
  2. 上3分の1を、上から被せるように折る

退職願・退職届の「入れ方」

三つ折りにした退職届・退職願は、折る前の「右上の角」が上に来るように封筒に入れます。下記の動画を見ながら、正しい向きで入れるようにしましょう。

〈退職願・退職届の「封筒への入れ方」〉

  1. 封筒の裏面を上にした状態で、中に入れる
  2. 三つ折りした用紙を、オレンジの角を目印にして左回りに90度回転させる

退職届・退職願の封筒への入れ方|1.三つ折りした用紙を、左回りに90度回転させる。2.封筒の裏面を上にした状態で、中に入れる。

▼退職届・願の封筒マナー・入れ方のくわしい解説は…

【Q&A】よくある疑問・トラブル対処法

ここからは、退職願・退職届に関するよくある疑問や、トラブルの対処法について紹介します。

Q.提出後に、退職願・退職届は撤回できる?

A.退職届は撤回できない

退職願は提出後に撤回できる可能性がありますが、退職届は基本的に撤回できません

退職届を提出するという行為は、労働者側から一方的に労働契約の解約を申し出たことになり、その時点で効力が発生してしまうためです。

なお退職願を撤回できるタイミングも会社側に受理・承諾される前までに限られるので注意が必要です。撤回したい場合は、速やかに上司や人事部長に伝えましょう。

▼退職の撤回方法や注意点について、くわしくは…

Q.退職届を受け取ってもらえないときは、どうする?

A.人事担当者への相談や、内容証明郵便の利用も検討する

法律上、明確に「退職します」と退職の申告をしていれば、申告後2週間で退職が成立します。そのため、退職届を受け取ってもらえなくても、退職自体は可能です。

ただし、退職届を提出しないまま退職すると、「言った・言わなかった」とトラブルに発展する可能性もあります。そのため、直属の上司が退職届を受け取ってくれない場合は、下記の流れで退職の申告をするのがおすすめです。

〈直属の上司が、退職届を受け取ってくれない場合の流れ〉

  1. さらに上の上司や、人事担当者に相談し、退職届を提出する。
  2. それでも話が進まなければ、内容証明郵便(※)で退職届を送付する

    ※内容証明郵便の出し方は…内容証明|日本郵便

▼退職届を郵送するときのポイントは、こちらをチェック

Q.退職願・届が必要ないと言われたら、出さなくていい?

A.必要ないと言われても、退職届は提出しておくのが安全

退職願は提出しなくても問題ありませんが、退職届退職の申し出をした証拠を残すために提出しておくのが安全です。

退職意思を示した証拠が残っていないと、「辞めるとは聞いていない」と企業側に言われ、話を覆されるといったトラブルにつながる可能性があります。

そのため、「退職届は必要ない」と言われても、「形として、退職届を提出させていただきます」と言って提出し、コピーを手元に残しておくようにしましょう。

Q.会社都合退職でも、退職願・退職届は必要?

A.会社都合退職の場合は、必要なし

退職勧奨や希望退職、整理解雇など、会社都合で退職する場合は、退職願・退職届ともに必要ありません

逆に、退職願や退職届を提出してしまうと、自ら退職を申し出たとみなされ自己都合退職にされてしまう可能性があります。基本的には、提出を求められても断りましょう。

それでも企業から退職願・退職届を求められたら、退職理由の部分を「会社都合により」「退職勧奨に伴い」と書き換え会社都合で辞めた証拠を残しておきましょう

Q.パート・アルバイトでも退職願・退職届は必要?

A.原則、退職願・退職届は不要

正社員の場合は退職願・退職届が必要ですが、パート・アルバイトの場合、原則は原則不要です。口頭で退職したい旨を伝えるだけで、法律的にも問題なく退職できます。

ただし、退職希望日の2週間前までに退職の意思表示をする必要があるので、早めに伝えるようにしましょう。

なお、就業先のルールで退職願・退職届が必要な場合は、【見本つき】退職願・退職届の書き方・ポイントの定型文を使って作成し、提出しましょう。退職理由は「一身上の都合で退職します」でOKです。

退職願・退職届の提出後に役立つヒント

退職願・退職願が作成できたら、いよいよ本格的な退職準備に入ります。役立つ記事をまとめたので、参考にしてください。

▼スムーズに有給消化するコツは?

▼最終日はどんな挨拶をすればいい?

▼離職するなら、どんな手続きが必要?

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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