理系の仕事に生かせる資格も 文系の仕事ガイド

文系の仕事の特徴とは?どんな職種?

文系の仕事は、大学で学んだことと仕事内容が直結しないケースが多く、理系よりも比較的業界・職種の選択肢が広くなっています

ここでは、文系のキャリアステップや職種の特徴を紹介します。

総合職で就職して経営層を目指す

文系出身者のよくある進路として、総合職として企業に入社後、ジョブローテーションでさまざまな仕事を経験し、最終的に経営層を目指すパターンがあります。

具体的な仕事内容としては、下記のようなものが挙げられます。

営業:顧客に自社の商品やサービスの魅力を伝え、商材を売ることで利益を生み出す。

経理:給与、売り上げなどの会社のお金を計算・管理する。

総務:事務作業やオフィス管理業務を担い、職場環境を維持する。

人事:人材の採用や教育、評価などを行い企業の活性化を促す。

マーケティング:市場調査や商品企画を行い、売上拡大のための販売戦略を立てる。

広報:事業方針発表や新商品のPRを行い、自社の認知度やブランド力を上げる。

総合職は幅広い業務を経験するため、一つに特化した知識よりも、様々な業務に柔軟に対応できるポテンシャルが求められます。

仕事が大学での勉強・研究に直結しないことが多い文系出身者が就きやすいルートの一つです。

しかし最近は、一つの分野に特化した知識・能力が求められる専門職採用(ジョブ型雇用)も増えてきています。

※総合職と一般職の違いについて→総合職と一般職の違い 男性・女性の割合から給料格差まで

文章を扱うクリエイティブな職種に就く

文系出身者の仕事として、下記のような文章を扱うクリエイティブな職種も挙げられます。

記者:新聞社やテレビ局に勤め、世の中の出来事を取材し、記事として発信する。

ライター:クライアントなどから依頼を受け、文章を執筆する。

編集:出版社やメディア事業を展開する企業で、書籍や雑誌などの企画・制作・進行作業をする。

翻訳家:外国語で書かれている文章を日本語に訳す。

上記で挙げた職種には、語彙力知的好奇心はもちろん、内容を読者にわかりやすく伝えるための構成力が必要になります。

また、記者やライターは調査力やコミュニケーション能力が求められ、翻訳家は翻訳する文章の読解力正確性が求められます。

資格・免許を取り専門的な職種に就く

文系出身者のキャリアとして、大学で学んだ知識をもとに、資格・免許を取得することで専門的な仕事をする道もあります。具体的な職種は下記の通りです。

弁護士:法律のスペシャリストとして事故・事件などのトラブルを解決する。

行政書士:一般の人が官公署に提出する書類の作成や手続きを代行する。

税理士:一般の人が行う確定申告の承認申請をしたり、税に関する相談を受けたりする。

公認会計士:企業の財務諸表を確認して、記載内容が適正かどうか判断する。

学校教師:児童・生徒の学習指導と生活指導を行う。

パイロット:航空会社に所属して航空機の操縦を担当する。

これらの職業は、幅広い業務に対応するジェネラリストとは異なり、専門的な分野を突き詰めて活躍するスペシャリストの職業です。

公務員試験を受けて公務員になる

公務員試験を受験し、公務員になることも、文系が目指せるキャリアステップのひとつです。公務員は国と地方、どちらの行政機関で働くかによって、大きく二分されます。

国家公務員:国の行政機関で働く。各中央省庁の官僚、国税専門官、裁判所事務官など。

地方公務員:都道府県や市区町村、東京特別区(東京23区)の職員として働く。

公務員試験の教養科目には、文章理解や地理歴史だけでなく、政治経済などの時事問題も多く出題されることから、文系出身者が目指しやすい職業です。

専門科目では憲法や経営学などが出題されるため、特に法学部・経済学部出身だと有利といえるでしょう。

専門分野を極めて研究者になる

大学での研究を突き詰めることで、専門分野の研究者になる文系出身者もいます。研究職で考えられるキャリアパターンは主に以下が挙げられます。

学芸員:博物館や美術館、資料館などで資料の収集・保存・展示や研究などを行う。

大学教員:修士・博士号をとり、教授・助教授として研究をしながら学生への教育指導を行う。

研究職に就くためには、大学院への進学が一般的です。

そのため、早い段階でキャリアプランを設計して、資格の取得などの行動に移すことが大切です。研究職は自分の興味・関心のある分野について突き詰める仕事のため、探求心のある人に向いている仕事だといえるでしょう。

コラム:文系の仕事は将来なくなる?

文系の仕事は、一般的に理系の仕事内容に比べて専門性が低いため、AI技術の発展により将来的には仕事がなくなってしまうのではないかと危惧されています。しかし、文系の仕事がすべてなくなるわけではありません

交渉のような人同士のコミュニケーションを要する仕事や、芸術・哲学などの世界観や思想が重視される仕事、複雑な判断を伴う仕事などは、AI技術が発展しても消えないとされているためです。

また、文系出身者の仕事の性質としてよく挙げられる、単調な作業を行うルーティンワークは、理系の仕事でも同様に存在します。理系に就職すれば将来が安定しているとも断言できません

※なくならない仕事について詳しくはこちら→「10年後もなくならない仕事」の、いま|AIによる代替事例を紹介

憧れの◯◯に関われる、文系の仕事6つ

文系の仕事内容は幅広いため、一見文系の仕事がなさそうな分野でも、さまざまな形で関わることができます。ここでは以下の6つの興味・関心分野別に、文系の仕事を紹介します。

スポーツに関する仕事

文系出身者でも、スポーツに関係する仕事に就ける可能性があります。具体的な職種は次の通りです。

スポーツインストラクター:ジムなどでスポーツに関する指導を行う。

スポーツジャーナリスト:スポーツに関する情報について取材し、報道する。

スポーツプロモーター:イベント会社や広告代理店に所属し、スポーツのイベントを企画する。

体育教師:学校で児童・生徒に体育の指導を行う。

スポーツ用品メーカー社員:主に自社商品の営業・広報を行う。

上記で挙げた職種は、体を動かすことが好き、あるいは健康維持のサポートをすることにやりがいを持てれば、文理問わず就くことができます。

ただし、職種によってはスポーツの知識以外にも、資格や一定水準以上の運動能力が必要になる場合があります。文系の場合、人間の身体構造を学ぶための生物学、スポーツ学関連の理系科目をゼロから学ぶことが求められます。

化粧品に関する仕事

文系でも化粧品に関係する仕事に就くことができます。具体的な職種は、化粧品メーカーに勤めるかどうかで変わってきます。

▼化粧品メーカーで働く場合

営業:小売店や百貨店に交渉し、自社商品の販路を拡大する。

広報:各種メディアで自社商品を紹介し、認知度を上げる。

商品企画:流行を察知・分析し、新しい化粧品を企画・提案する。

生産・品質管理:工場で品質をチェックし、梱包する。

▼化粧品メーカー以外で働く場合

美容部員:百貨店・セレクトショップなどの化粧品コーナーで接客し、化粧品を販売する。

ECサイト運営:化粧品を扱うインターネットサイトを運営する。

コスメライター:化粧品に関する記事を執筆する。

粧品に関する仕事に就くためには、化粧品メーカーに就職するか、百貨店、セレクトショップの美容部員になる方法が一般的です。化粧品関連の仕事では、美容に対しての強い関心や豊富な知識が求められます。

商品の開発に携わる場合は、個人差があるさまざまな肌質を考慮して企画する必要があるため、文系でも生物化学や栄養学などの理系科目を勉強する必要があります。

また、商品企画などのポジションの場合、流行を察知できる情報能力も大切です。

食に関する仕事

文系は食に関係する仕事にも就くことができます。具体的な職種は以下の通りです。

商品企画:新商品の開発や既製品の改善を行う。

メーカー営業:商品の売り込みを行う。

販売員・飲食店のホールスタッフ:実店舗などで接客し、商品を販売する。

お客様センター:商品に関するお問い合わせなど、消費者の対応をする。

生活の中心にある「食」は市場が大きい分、それに関わる職種も幅広くなります。

理系よりも比較的職種の幅が広い文系の場合、まだこの世にない食品を企画で生み出す仕事がしたいのか、あるいは食品をお客様のもとに届ける仕事がしたいのか、自分がどういった形で食に関わりたいのかを考えましょう。

環境に関する仕事

文系出身でも、環境に関わる仕事ができます。職種は以下の通りです。

自然保護官:環境省に所属する公務員。国立公園などの自然環境を保護する。

環境コンサルタント:環境にまつわる研究所や調査会社に就職して、一般の人や事業者に対して環境保全に関するアドバイスを行う。

インタープリター:自然公園やエコツアー会社で働き、自然に関するイベントで解説を行う。

環境に関する仕事は、自然・環境に対する知識に加えて、専門の資格が必要とされることもあります。資格試験の中には実務経験のない文系出身者でも受験できるものもあるため、まずは自分が就きたい仕事に必要な資格を探してみましょう。

また、文系出身者が環境関連の仕事を希望する場合、自然保護ボランティアへの参加経験など、現場経験や環境問題への当事者意識をアピールする必要があります。

世界的にも環境問題は注目を集めているため、自然保護事業に取り組む仕事の場合、やりがいを強く感じることができるでしょう。

星に関する仕事

文系でも星などの天体に関わることができる仕事があります。職種は以下の通りです。

天文雑誌編集者:出版社などに勤務し、天文雑誌を制作する。

プラネタリウムの学芸員:科学館や博物館のプラネタリウムで天体について解説する。

理系の分野である天体に関係する仕事も、天文系の話題を取り扱う雑誌の編集や、プラネタリウムの学芸員であれば文系出身者でも就くことができます。

ただし、天文・天体は理系科目であるため、文系からの就職を狙う場合は、猛勉強して豊富な知識を身に付けていることをアピールする必要があります。

空港に関する仕事

文系で学んだ知識を生かして、空港に関わる仕事にも就くことができます。職種は主に以下の通りです。

パイロット:航空会社に所属して航空機の操縦を担当する。

客室乗務員:機内で乗客に対して安全確認や食事の提供などを行う。

グランドスタッフ:飛行機のチェックインや搭乗の手続きなどを行う。

旅行代理店:パッケージツアーなど旅行を企画し、販売する。

空港や機内ではさまざまな国の人が行き交うため、航空業界は大学などで外国語を学ぶ機会が多い文系が活躍できる業界と言えます。

空港や機内での仕事は、飛行機の遅延や欠航、お客様からのクレームや急病人の対応など、マニュアル通りにいかないことが多くあります。どんな時も臨機応変に対応できるような冷静な判断力を持っている人が向いているでしょう。

※空港の仕事について詳しくは→空港で働ける、12種類の仕事ガイド|給料はいくら?英語は必須?|転職Hacks

文系で高収入が見込める仕事

次に、文系で高収入が見込める仕事として、不動産業界と商社業界を紹介します。

不動産業界

不動産業界は文系出身者で高収入が見込める仕事として挙げられます。主な職種は不動産仲介や不動産管理、ディベロッパーなどです。

不動産仲介:不動産の売買や賃貸契約などで仲介の役割を担う。

不動産管理:不動産管理会社に所属して、賃貸経営のパートナーとして物件の管理を行う。

不動産ディベロッパー:不動産開発を行う会社に入り、新規物件の企画・開発を担当する。

不動産業界は、物件を借りたいと思っている顧客や物件の大家、マンション管理組合など、多くの人に対応できる社交性が求められるため、コミュニケーション能力の高い人が向いています

中でも不動産ディベロッパーは、建築の理系知識がなくても街づくりに関わることができるため、文系出身者に圧倒的な人気があります。

不動産業界は、平均よりも収入が高い傾向があります。東洋経済オンラインが2020年に公開した企業の平均年収ランキングによると、不動産業界のトップ5社の平均年収はそれぞれ下記の通りです。

不動産業界のトップ5社の平均年収

企業

平均年収(平均年齢)

ヒューリック

1,636万円(39.8歳)

日本商業開発

1,501万円(41.7歳)

三井不動産

1,263万円(40.7歳)

三菱地所

1,247万円(41.2歳)

ケネディクス

1,140万円(40.9歳)

いずれの企業も、日本全体の平均年収である436万円を大きく上回る結果となりました(2019年国税庁調べ)。

※出典:
平均年収「全国トップ500社」最新ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン
令和元年分 民間給与実態統計調査|国税庁

総合商社業界

総合商社業界も、文系出身で高収入が見込める仕事として挙げられます。主な仕事は物流や事業投資などです。

物流:世界各地から生産物を買い付け、材料を必要としている企業に卸す。

事業投資:有力な事業に投資し、配当などを得る。

総合商社の物流分野は、世界各地の生産者と、生産物から製品を開発しようとしている企業の間に立ち、取引条件の交渉や売買に必要な手続きを行います。

また、物流分野で世界中から集まった情報をもとに、成長が見込まれる業界や企業に投資を行う事業投資も、総合商社の仕事の一つです。

生産者、企業などさまざまな立場の人と関わりながら仕事を進める必要があるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

また、海外へ買い付けに行く場合は現地の人と交渉する機会が多いため、語学力の高い文系出身者に向いている仕事といえます。また、ビジネスチャンスをつかめるような好奇心旺盛さや情報収集能力も大いに活かせるでしょう。

総合商社業界も平均より年収が高い傾向があります。東洋経済オンラインの平均年収ランキングによると、総合商社業界のトップ5社の平均年収は下記の通りです。

総合商社業界のトップ5社の平均年収

企業

平均年収

三菱商事

1,607万円(42.5歳)

伊藤忠商事

1,520万円(41.7歳)

三井物産

1,430万円(42.2歳)

丸紅

1,389万円(41.9歳)

住友商事

1,389万円(42.6歳)

不動産業界と同じく日本全体の平均年収である436万円を大きく上回る結果となりました(2019年国税庁調べ)。

※出典:
平均年収「全国トップ500社」最新ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
令和元年分 民間給与実態統計調査|国税庁

文系でも理系の仕事に就ける?

文系出身でも、理系の仕事に就くことはできるのでしょうか。

専門性を身に付ければ就職できる

文系出身で理系関連の仕事に就くためには、専門性を身に付ける必要があります。文系でも習得できる分野としては、IT業界が挙げられます。具体的な職種としては、SEやデータサイエンティストなどです。

SE:情報システム関連の業務を行う。顧客からの要件ヒアリング、開発のための設計業務がメイン。

データサイエンティスト:データをもとにマーケティングの統計解析などを行う。

文系出身者が理系の仕事に就くためには、理系科目や専門分野の猛勉強が必要になります。理系職種で働く場合、その分野の基礎的な知識はすでに習得してあることが前提であるためです。

文系でも理系の仕事に生かせる資格3選

文系出身でも、理系の仕事に生かすことができる3つの資格を紹介します。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験とは、ITエンジニアになるために必要な基礎教養が備わっていることを証明できる国家試験です。ITエンジニアにとっての登竜門といわれています。

試験に合格すると、文系でもIT業界やエンジニア職への転職でIT関連の知識をアピールできます。

弁理士

弁理士とは、特許や商標、意匠などの知的財産を守るための国家資格です。企業や個人の発明家・研究者から依頼を受けて、特許庁への特許申請を代行する他、特許技術に関するコンサルティング、特許権侵害の訴訟代理、海外の知的財産権の取得なども行います。

仕事の大部分は特許庁との事務手続きと技術者とのコミュニケーションなので、文系でも活躍できる仕事だといえるでしょう。

アクチュアリー資格試験

アクチュアリーとは、統計学や数学の知識を活用して物事が発生する確率を計算する、数理業務のスペシャリストです。

一般的には生命保険会社や損害保険会社に所属し、事故や病気の確率を計算して自社商品の開発に携わります。

※転職で有利な資格を知りたい場合はこちら→【転職で有利な資格】おすすめ15選|資格がない場合は?

まとめ

文系の仕事は、あらゆる分野から仕事を選べることが特徴です。

もし働きたいと思っている分野がすでに決まっている場合は、自分がどのような形でその分野と関わっていきたいのか考え、文系でもできる仕事を探してみましょう。

自分の就きたい仕事が理系だった場合は、専門的な知識を習得することで企業に能力をアピールできるため、資格などの取得を目指すと良いでしょう。

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