上司への切り出し方・伝えるタイミング 角が立たない退職の言い方
角を立てず、上司に退職の意志を伝えるには、どのような言い方をすればいいのでしょうか。
退職交渉は、1.上司を呼び出す、2.呼び出した場で退職を切り出すというツーステップ。場面ごとに、スマートな言い方のお手本をみていきましょう。
Step1.上司を呼び出すときの言い方
上司を呼び出すときは、声のかけ方やタイミングに注意が必要。押さえておきたい3つのポイントを解説します。
【言い方】「今ちょっとよろしいですか?」と声をかける
退職の意志は、周りに人がいない会議室などで伝えるのがマナー。上司に「今ちょっとよろしいですか?」と声をかけ、個室に呼び出しましょう。「今後のことでお話があります」など、退職を匂わす言い方はNGです。
上司が忙しく時間をもらえなさそうな場合や、在宅勤務で気軽に声をかけられない場合は、「今週中のどこかで少しお時間をいただきたいのですが」などと声をかけ、アポをとっておくといいでしょう。
メールでアポをとる場合の例文
直接声をかけるのが難しい場合は、メールでアポをとっても問題ありません。メールでも「今後のことで」「退職のことで」など、退職を勘付かせるような言葉は避け、普段通りの連絡を心がけるようにしましょう。
▼メールでアポをとるときの例文
件名:ミーティングのお願い(氏名)
本文:
◯◯課長
お疲れ様です。[氏名]です。
少しご相談したいことがあるため、
明日の●時から10~15分程度お時間をいただけないでしょうか。
お忙しいなかのお願いで大変恐縮ですが、
ご検討いただけますと幸いです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
✕✕部 [氏名]
なお、退職の意志自体をメールで伝えるのはマナー違反。言いづらい話題ではありますが、勇気を持って口頭で直接切り出すようにしましょう。
【いつ】業務時間外の人気がないタイミング
声をかけるタイミングは、昼休み中や就業後など、業務時間外で周りに人がいない時間帯が理想です。
職場によっては「業務時間中に仕事以外の話をするのは好ましくない」と考えているところもあるので、上司から時間を指定されない限りは業務時間外の時間を選ぶようにしましょう。
事前にアポを取る場合でも、声かけやメールを送るタイミング、実際に相談する時間帯は、いずれも業務時間外にするのが無難です。
【誰に】直属の上司
職場には複数の上司がいますが、退職を切り出すのは直属の上司です。普段から仕事の相談や有給休暇取得の連絡などを行っている上司が、直属の上司になります。
直属の上司が主任・リーダークラスで人事の決済権を持っていない場合でも、その人を飛び越えてさらに上の上司に切り出すのはご法度。
上司との信頼関係が崩れてしまうと退職日までの仕事がやりづらくなる可能性もあるので、まずは直属の上司に伝えるようにしましょう。
コラム:声をかけるのは退職希望日の1.5~2ヶ月前
上司に声をかける時期は、退職希望日の1.5~2ヶ月前が一般的。引き継ぎや有給休暇の消化などにかかる期間を見積もり、余裕をもって呼び出すようにしましょう。
会社の就業規則や雇用契約書に「退職は◯ヶ月前までに申し出なければならない」などと書いてあるので、退職したいと思った時点で確認しておくとスムーズです。
なお、繁忙期やプロジェクトが大詰めの時期に切り出すと、退職を取り合ってもらえない可能性もあるので、業務が落ち着いたタイミングで切り出すようにしましょう。
また、ベストなタイミングで切り出しても、予期せぬ理由で退職を引き止められる可能性もあります。「もし引き止められたら、どう対応するか」を、退職の意志を伝える前に考えておくようにしましょう。
▼引き止めにあったときの対処法
Step2.退職を切り出すときの言い方
上司を個室に呼び出したら、いよいよ「退職したい」と伝えます。この場で押さえておきたいポイントは3つです。
1.一言目は「一身上の都合で退職したい」
まず「突然で申し訳ないのですが、一身上の都合で退職させていただきたく、お時間をいただきました」のように、お詫びの言葉と、退職の意志を伝えましょう。
はじめから「◯月◯日をもって退職させていただきます」と一方的に告げたり、「退職するか悩んでおりまして…」と相談ベースの言い方をしたりするのはNG。
こうした言い方をすると、相手の反発を買ったり、強い引き止めにあったりして、トラブルに発展してしまう可能性があります。
「突然で申し訳ないのですが、一身上の都合で退職させていただきたく、お時間をいただきました」
2.退職理由は、引き止められにくいものにする
退職の意思を伝える場では、具体的な退職理由を聞かれるケースがほとんどです。
会社がどうすることもできない退職理由を述べ、給料など待遇への不満は伝えないようにしましょう。
もし待遇の不満を伝えて「じゃあ給料を上げるから」などと引き止められれば、退職交渉が難航してしまいます。
▼言い方の例
転職を理由に退職する場合
「かねてから関心のあった◯◯に挑戦したいと思い、転職を決意しました」
体調不良を理由に退職する場合
「実はここ数ヶ月ほど体調を崩しており、一度仕事を離れてしっかりと療養したいと思い、退職を決意しました」
試用期間中に退職する場合
「入社当初に聞いていた仕事内容と実際の業務が異なり、今後も異動の可能性はないと伺いましたので、試用期間中ではございますが退職を決意しました」
新卒で退職する場合
「今後のキャリアを考えたとき、やはり◯◯の経験を積みたいと考え、転職を決意しました」
なお、転職先について聞かれた場合は、退職理由と矛盾がなければ具体的な社名を伝えてもかまいません。
もちろん必ずしも答える必要はないので、「まだ決まっていない」と濁すのもOKです。
▼引き止められにくい退職理由について
3.退職時期は相談ベースで伝える
退職理由とあわせて「◯月中には退職したい」という退職時期の目安も伝えておくようにしましょう。早い段階でおおよその日程を伝えておくほうが、引き継ぎスケジュールを立てやすいですし、上司もメンバーの配置転換などの対応がしやすくなります。
ただし、実際の退職日は上司とともに決める必要があるので、あくまでも相談ベースで伝えるようにしましょう。
▼言い方の例
「できれば◯月末までに退職させていただきたいと考えているのですが、具体的な日程はご相談させてください」
最後に、退職を切り出した後の流れをまとめました。角が立たない言い方をおさらいしましょう。
コラム:切り出すときに退職届は不要
退職届は、退職を切り出す場で提出する必要はありません。ドラマなどでは退職届をつきつけるシーンがありますが、実際は後日、退職に合意してもらえたタイミングで提出するのが基本です。
なお、もし会社が退職を認めてくれず、退職手続きがまったく進まない状況であれば、合意のあるなしにかかわらず退職届を提出してもかまいません。退職届を出せば、2週間で法的に退職が成立します。
ただし、これはかなり強引な方法なので、できるだけ退職を認めてもらえるよう努めましょう。
退職を伝えたら確認しておきたいこと
上司に退職を受け入れてもらえたら、引き継ぎの方法や退職の挨拶など、最終出社日までに準備しておくべきことを確認しておきましょう。
▼引き継ぎは何から始める?
▼最終出社日の挨拶は、何を言えばいい?
▼お菓子は何を購入するのがベスト?