辞める理由から手続きまで 会社を辞める手順まとめ

会社を辞めるときの手順と必要な手続きのすべてを、わかりやすくまとめました。退職理由の伝え方や、切り出すタイミングについても解説しています。

会社を辞める手順は6ステップ

「会社を辞めよう」と考え始めてから退職当日までの手順は、大きく分けて6ステップ。

〈退職を考え始めた頃〉

1本当に会社を辞めていいのか考える

2退職時期を計画する

〈退職希望日の1.5~2ヶ月前〉

3退職を切り出す

〈最終出社日まで〉

4業務の引き継ぎをする

5返却物と受取書類を確認する

〈最終出社日〉

6退職の挨拶をする

それぞれの具体的な内容をくわしく解説します。

1.本当に会社を辞めていいのか考える

会社を辞めようと思ったとき、まず必要なのは「本当に会社を辞めていいのか」を今一度考えることです。

仕事がつらいほど「一刻も早く職場を離れたい」という気持ちが日増しに強くなるものですが、衝動的な行動はのちのちの後悔につながってしまう可能性も。

まずは一旦心を落ち着かせて「どうして辞めたいのか」「辞めたい理由は、上司に相談すれば解決できないか」「退職後はどう生活していくのか」などを冷静に考え、後悔しない判断ができるようにしましょう。

どのような理由で会社を辞める人が多いのか、どのような状況であれば会社を辞めてもいいのかは「【仕事辞めたい】この状況なら辞めていい?」で解説しています。

2.退職時期を計画する

退職の意志が固まったら、つぎは退職時期の計画を始めます。

会社の就業規則や雇用契約書に「退職は◯ヶ月前までに申し出なければならない」などと記載がある場合、これをふまえて退職希望日を設定するようにしましょう。一般的には、希望日の1.5~2ヶ月前までに退職を切り出すケースが多くなっています。

また、円満に退職するには、退職を上司に切り出す頃合いも大切です。仕事が忙しいタイミングに辞めようとすると取り合ってもらえなかったり、強い引き止めにあったりする可能性があるので、繁忙期や年末・年度末に退職を切り出すのは避けるのがいいでしょう。

▼退職時期はいつを選ぶのが正解?

転職先は退職前に決めておく

退職後も働く場合、転職先は退職を申し出る前に決めておくのが基本。離職期間があると採用されづらくなったり、煩雑な事務手続きが必要になったりするので、特別な事情がない限り、退職時期の計画と転職活動は同時に進めるようにしましょう。

3.退職を切り出す

退職希望日の1.5~2ヶ月前になったら、いよいよ退職を切り出します。

退職を切り出す相手は直属の上司業務時間外の人気がないタイミングを狙って「今ちょっとよろしいですか?」と声をかけ、個室に移動した上で「退職したい」と伝えましょう。

▼退職の切り出すときのポイントを解説

退職理由の伝え方には要注意

上司にはじめに伝える退職理由は「一身上の都合で退職したい」で問題ありません。ただし、くわしい事情を聞かれたときの答え方には注意が必要です。

ポイントは、給料や残業などの不満は伝えないようにすること。「かねてから関心のあった◯◯に挑戦したい」「家庭の事情で引っ越すことになった」など、会社がどうすることもできない理由を伝えるようにしましょう。

退職理由の伝え方に失敗すると、強い引き止めにあったり、退職交渉の長期化につながってしまったりする可能性も。引き止められた場合に備えて、切り返し方のシミュレーションをしておくのがスムーズに退職するコツです。

▼もし、退職を引き止められたらどうする?

退職届・願は言われるまで提出しなくてOK

退職届と退職願は「提出してほしい」と言われるまで出さなくてOKです。

特に、退職届は退職意思を決定づけるものなので、このタイミングで提出すると角が立ってしまう可能性も。また、受理されてしまうと撤回もできません。

退職届は退職の話がまとまった段階で提出を求められるのが一般的なので、それまでは提出しないようにしておきましょう。

一方、退職願は退職を切り出す場で提出するものですが、会社によっては出す慣習がないところもあります。念のため用意して退職交渉にのぞみ「退職願はある?」と聞かれたタイミングで提出するのがおすすめです。

【退職までの一般的な流れ】 (1)退職を切り出し、退職願を提出する (2)退職交渉を進め、退職日を決定する (3)話がまとまったら、退職届を提出して退職を確定させる

▼退職届・退職願の書き方・見本

4.業務の引き継ぎをする

会社と折り合いがつき退職日が確定したら、業務の引き継ぎをしましょう。

引き継ぎの流れは、1.引き継ぎスケジュールの作成→2.資料作成→3.後任教育の3ステップ。

引き継ぎ資料には業務の概要や取引先・担当者名などの基本項目を記載するのはもちろん、日々の細かいタスク特定の時期にのみ発生するタスクといった項目も漏らさず記載するようにしましょう。

社内で退職が広報されたら、取引先やお客様に退職の挨拶をするのも忘れずに。

▼作成資料の見本つき!引き継ぎのポイント

5.返却物と受取書類を確認する

最終出社日が近づいてきたら、会社に返却するもの・会社から受け取るものを確認しておきましょう。

必要な書類をもらい損ねると、転職先での手続きに支障が出る可能性もあるので、事前のチェックが肝心です。

返却物
  • 健康保険証
  • 社員証・社章
  • 名刺
  • 制服
  • ロッカーの鍵 など
受取書類
  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 源泉徴収票(※)
  • 離職票(※)
  • 健康保険資格喪失証明書(※)
  • 退職証明書(※)

※退職後に郵送で届くのが一般的。最終出社日までに発行を依頼し、いつ頃届くか確認しておくと安心です。

6.退職の挨拶をする

最終出社日は、最後の挨拶まわりを忘れずに。お世話になった人に直接感謝の気持ちを伝えるのはもちろん、朝礼や夕礼で一言スピーチを求められる可能性もあるため、話す内容を考えておくようにしましょう。

また、最終出社日は所属部署のメンバーやお世話になった人にお菓子を配るのが一般的マナー。早めに準備しておくと安心です。

なお、有給休暇が残っている場合、最終出社日の前後にすべて消化できるのが基本となっています。残日数もふまえ、引き継ぎや退職日のスケジュールを立てましょう。

▼スムーズに有給消化をするコツは?

コラム:離職するなら事務手続きも忘れずに

退職後に1日でも離職期間がある人は、年金・健康保険などの切り替え手続きが必要です。

失業給付は申請から受給までに最短で3ヶ月程度かかるので、受け取りたい場合は早めに手続きを行うようにしましょう。

【退職したら必要な4つの手続き】 (1)住民税の支払い/退職前後 (2)失業給付の申請/退職後すぐ (3)年金の切り替え/退職後14日以内 (4)健康保険の切り替え/退職後14日or20日以内

各手続きのくわしい内容や必要なものは「退職にともなう4つの手続き【完全版】」で解説しています。

【誰にも聞けない】会社を辞めるときのQ&A

会社を辞めるときに気になる、誰にも聞けない質問に答えます。

 Q.メールや電話で「退職したい」と伝えるのはダメ?

上司との折り合いが悪いため、直接「退職したい」と伝えるのは気が引けます。メールや電話、LINEなどで退職の意志を伝えるのはダメでしょうか。

基本的に、退職の意志は直接会って口頭で伝えるのがマナーです。

ただし、辞める意志さえ示せば、退職自体はどのような形式でも成立します。在宅勤務が続き直接会う予定を立てられない場合や、体調を崩していて出社が難しい場合などは、メールや郵送での手続きも致し方ないでしょう。

どの手段で伝えるのがいいか迷う場合は、まずは退職についての相談という体で連絡し、メール・電話などでの手続きでも問題ないか確認するのがベターでしょう。

▼メールで退職の相談をする方法を解説

Q.「2週間で退職できる」って本当?

「最短2週間で退職できる」という話を聞いたことがあります。これは本当でしょうか?

法的には、退職の意志を伝えた後2週間で退職が成立するため、その話は本当です。

とはいえ、2週間で辞めるのはかなりの強硬手段なので、トラブルに発展するケースも少なくありません。「パワハラを受けていて今すぐ辞めたい」といった特別な事情がない限り、就業規則や雇用契約書にしたがったスケジュールで退職を申し出るのが基本です。

 ▼2週間で退職する方法をくわしく解説

Q.コロナ禍の転職が不安です…

会社を辞めたいのですが、コロナ禍でタイミングを見失ってしまいました。この状況で会社を辞めたとして、転職できるか不安です。

新型コロナウイルスの影響で一時は転職しづらくなりましたが、現在は回復しつつある状況です。

しかし、業界や職種によっては依然として採用を控えているところもあるので、まずは仕事を続けたまま転職活動を始めるのが無難。いい転職先が見つかったタイミングで会社を辞めるのが賢明でしょう。

 

▼辞める前に読んでおきたい

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