退職前の賢い有給消化マニュアル

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「まだ10日も有給が残っているけど退職までに全部消化していい?」「辞める前に有給を使い切りたいと会社に言い出しづらい…」。

そんな不安を払拭する、退職前の賢い有給消化マニュアルをご紹介します。

残っている有給休暇は退職前にすべて消化できる

退職前かどうかにかかわらず、有給休暇は使いたいときに使うことができます。

有給の取得は労働者の権利なので、退職前に残っている有給を消化するのは当然のことです。

退職日までに使い切れなかった有給は消滅してしまうので、有給をすべて消化する前提で退職交渉や退職日の設定をしましょう。

退職時の有給消化は2パターン

退職時の有給消化には2つのパターンがあります。

どちらを選ぶかはあくまでも自由ですが、トラブルなく退職するために、会社と相談のうえ決めることをおすすめします。

パターン1:最終出社日の後に有給消化

最終出社日の後に残っているすべての有給をまとめて消化するパターンです。この場合、退職日に出社する必要はありません。

パターン2:最終出社日の前に有給消化

最終出社日の前に有給をすべて消化するパターンです。まとめて取得するか、ばらばらで取得するかは自由です。この場合、最終出社日=退職日となります。

退職時の有給消化を会社は拒否できない

そもそも、会社は従業員の有給取得を拒否することはできません。

仮にその従業員が有給を取得することによって「事業の正常な運営を妨げる」と判断した場合、別の日に有給を取得させる「時季変更権」のみが認められています。

ただし、退職の場合は、有給の取得日をずらす余地が残されていないため、会社はこの権利を行使することもができません。

例えば、退職まで14日営業日しか残されていないなかで14日分の有給休暇を申し出た場合、その申請がそのまま通ることになります。

退職時の有給消化をスムーズに進めるための手順

退職までの有給消化をスムーズに進めるための手順を紹介します。

手順1.残っている有給の日数を確認する

まず、給与明細などを基に、有給休暇が何日分残っているかを確認します。

20日以上残っている場合は、有給消化期間は約1カ月です。あと何日の有給が残っているかによって、引き継ぎ期間や退職予定日が決まるので、有給休暇の残日数は正確に把握しておきましょう。

手順2.有給日数と引き継ぎ期間を考慮して退職日を決める

残りの有給日数と業務の引き継ぎ期間を考慮して、希望する退職日を決めましょう。

退職時の有給消化は当然の権利ですが、引き継ぎ期間を一切考慮せずにすべての有給を取得しようとすると、会社とトラブルになってしまうかもしれません。

スムーズにすべての有給を消化するためにも、引き継ぎ期間を設けたうえで希望の退職日を設定し、会社に伝えるようにしましょう。

退職前の有給消化が許可されないときの解決策

退職時に有給を消化しようとしても、会社側の都合でなかなか申請が通らないことも考えられます。

そんなときは、これから紹介する4つの解決策を実践してみてください。

解決策1:退職日を先に伸ばす

「繁忙期だから今月末までは有給を使わないでほしい」「複数人の有給が重なるので、この日だけは出てほしい」などの理由で有給取得を渋られてしまった場合、退職日を先に伸ばすことを条件に、有給をすべて消化させてもらえるかを交渉してみましょう。

結果的に、有給を取得しようと思っていた日に出社することになりますが、有給を使い切ることが可能です。

解決策2:直属の上司よりも上の立場の人に相談

有給の消化を直属の上司に申し出ても取り合ってもらえない場合、上司よりもさらに上の立場の人に直接交渉しましょう。

あるいは「(さらに上の立場の)〇〇さんに直接相談してもよろしいでしょうか」と伝えるだけで構いません。

上司が自分の立場が悪くなることを危惧して、何かしらの対応をしてくれるはずです。

解決策3:買い取りを交渉

残っている有給をすべて消化することに会社が難色を示す場合は、有給の買い取りを交渉しましょう。

原則として法律では禁止されていますが、双方が合意する場合は有給の買い取りが認められます。

※詳しくは→有給休暇の買い取りは可能?原則禁止でも例外がある?

解決策4:労基署に通報する

会社が明らかに有給の取得を阻もうとしてくる場合は、労働基準監督署(労基署)に相談しましょう。

有給取得を妨害する行為は明らかな法律違反です。労基署に相談し、どのような対応をすればいいのかアドバイスをもらいましょう。

有給消化中の給料・ボーナスの算出方法

有給消化中にもらえる給料・ボーナスについて解説します。

有給消化中の給料は原則、減額されない

有給消化中でも、原則、出社したときと同様の給料がもらえます。減額されることはありません。

ただし、なかには特別な方法を用いて有給消化中の給与計算をしている会社もあります。念のため、就業規則で確認しておきましょう。

交通費は支給されない?

就業規則に「通勤交通費の支給は、出社した日についてのみ支給する」といった内容があれば、有給消化中で出社しなかった日の交通費は支給されない可能性があります。

まずは就業規則を確認し、わからないことは会社に確認しましょう。

有給消化中でもボーナスはもらえる

有給消化中でも、支給条件を満たしていればボーナスが支給されます。

例えば、退職日が12月31日で12月20日がボーナス支給日の場合、12月19日から有給消化に入っていたとしてもボーナスが支給されることになります。

ただし、ボーナスを減額するかどうかは会社側が決めていいことになっており、過去には、2割の減額までは認められた判例があります(ベネッセコーポレーション事件判決 東京地判平8.6.28)。

ボーナスをどうしても満額受け取ってから退職したい場合は、ボーナス支給日を過ぎてから退職の意思を会社に伝えましょう。

※詳しくはこちら→退職を理由にボーナスがもらえない?支給後に退職するにはどうする?

退職時の有給消化についてよくある質問

ここでは、退職時の有給消化についてよくある質問を紹介します。

Q1.有給消化中に転職先で働いてもいい?

退職時の有給消化中に転職先で働いていいかは、現職の会社の就業規則によります。

有給消化中はまだ現職に在籍していることになるので、就業規則で副業を禁止しているのにも関わらず転職先で働き始めてしまうと減給などの懲戒処分になる可能性があります。

懲戒処分を受けてしまうとキャリアに傷がついてしまうので、今後、また転職をするときに悪影響が出てしまうかもしれません。

現職が副業禁止かどうかは、事前に就業規則を確認しておきましょう。

Q2.有給消化中にアルバイトしてもいい?

有給消化中にアルバイトをすることも、転職先で働き始めること同様、就業規則で副業が禁止されていれば懲戒処分の対象になってしまうかもしれません。

「有給消化中は暇だし、お小遣い稼ぎをしよう」と、つい軽い気持ちでアルバイトをしてしまう人もいますが注意が必要です。

会社にバレなければトラブルにならないかもしれませんが、リスクがあることを承知のうえでどうするかを判断しましょう。

Q3.派遣社員、アルバイト・パートでも退職時に有給消化できる?

派遣社員、アルバイト・パートでも、退職時に残っている有給を消化できます。取得のための条件もありません。

以下の表から、一週間の労働時間や出勤日数に応じた有給の付与日数を確認しましょう。

Q4.リストラでも退職前に有給消化できる?

リストラ(解雇)される場合でも、残っている有給は消化できます。

解雇予告は通常30日前までに行われるので、解雇日までの間で、残っている有給を消化することになります。

ただし、刑事罰を受けるなどの重大な過失により当日、解雇を言い渡された場合は有給を消化することはできません。

有給を消化しきれないことにどうしても納得できないという場合は、会社に相談し、有給を買い取ってもらうなどの交渉をしましょう。

まとめ

退職時の有給消化は、会社が時季変更権を行使したり、取得を拒否できるものではありません。

転職活動をしたり、転職先での仕事が始まるまでのリフレッシュ期間として有効活用できるといいですね。

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