切り替え手続きは必要? 退職時の年金の手続方法 徹底解説

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退職時にはさまざまな手続きが必要になりますが、なかでもわからない人が多いのが年金の手続き。

国民年金への切り替えや退職年金についてなど、退職時の年金について気になる疑問に答えます。

退職時の年金の切り替えパターン

会社員や公務員を退職すると、それまで加入していた厚生年金保険から自動的に脱退することになります。

転職(再就職)や定年後の再雇用の場合は勤め先が年金の再加入・切り替えの手続きをしてくれますが、そのまま勤め人に戻らない人は自分で手続きを行う必要があります。

厚生年金から国民年金へ切り替える

20歳以上60歳未満の人は必ず国民年金か厚生年金に加入していなければなりません。

退職してすぐに転職しない人は、厚生年金を脱退してしまうため、自分で国民年金に加入するか、家族の厚生年金の扶養に入れてもらうことになります。

厚生年金から国民年金へ切り替えるときのフローを表した図。【入社まで間が空く場合】①:退職→無職→国民年金へ加入する=自分で手続き。②:退職→無職→家族の厚生年金の扶養に入る=家族が会社で手続き。【31日退社、翌1日入社など】退職→新しい職場にすぐ入社→厚生年金が継続される=何もしなくてOK。

国民年金に加入する場合の手続き

退職後、次の転職までにブランクができる場合や、そのまま働かずにいる場合は、国民年金に加入する必要があります。手続方法は以下の通り。

誰が… 自分、または世帯主
どこで… 住んでいる自治体の役所・役場
いつまでに… 退職の翌日から14日以内
必要な書類… 「年金手帳」か「基礎年金番号通知書」

書類を紛失してしまっていたら、年金事務所で再発行をしてもらいましょう。会社に預けている場合は、退職時に忘れずに受け取るようにします。

また、手続き期限は守りましょう。例えば3月31日付けで退職をしたら、4月14日までに手続きをする必要があります。

配偶者の扶養に入るときの手続き

厚生年金に加入している配偶者(会社員や公務員)がいる場合は、扶養に入れてもらうこともできます。保険料負担のない国民年金加入者(第3号被保険者※)として扱われます。

誰が… 扶養する家族
どこで… 扶養する家族の勤める会社
いつまでに… 退職の翌日から14日以内
必要な書類… 「年金手帳」か「基礎年金番号通知書」

扶養する側の勤める会社に、年金手帳か基礎年金番号通知書を提出しましょう。

基本的に年金番号がわかれば会社で手続きを行ってくれますが、場合によっては「非課税証明書」などが必要になることがあります。

発行方法は自治体のホームページで確認してください。

▼被保険者の3分類

  • 第1号被保険者……国民年金保険料を自分で払う加入者。自営業やフリーターなど。
  • 第2号被保険者……会社員や公務員。
  • 第3号被保険者……第2号被保険者の扶養に入っている人。国民年金保険料の支払いは必要ない。

扶養者が退職した場合

妻が夫の扶養に入っている場合のフロー図。【夫の退職前】夫:第2号被保険者。妻:第3号被保険者(夫の扶養に入っているため)。【夫が退職する(無職や自営業になる)】夫:第1号被保険者。妻:第1号被保険者(扶養が外れるため)。

第3号被保険者となっている人の扶養者(第2号被保険者)が会社を退職した場合は、夫婦両方とも第1号被保険者になり、国民年金保険料を自分で支払う必要があります。

退職に伴い自動的に加入手続きが済むわけではないので、自治体の窓口で国民年金の加入手続きを行いましょう。

コラム:退職日に注意!

退職する月の末日に厚生年金に加入していないと、その月分の保険料が給料から天引きされません

翌月初めから国民年金に入るつもりでも、退職した月からすでに国民年金の支払い義務は発生してしまいます。年金を切り替えるときには、未納期間を生む可能性がある「退職日」に注意しましょう。

年金の加入が解消される、つまり資格喪失となるのは退職日の次の日。1ヶ月のほとんど働いたことで保険料が支払われていると思ってしまいがちですが、基準は「その月最後の日」なので注意しましょう。

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<例1>最終出勤日とはずれるが、月末の3月31日付で退職
(年金の資格喪失日…4月1日)

→3月分の厚生年金保険料は給料から天引きされるので、国民年金の支払いは4月分から

<例2>最終出勤日の3月30日付で会社を退職
(年金の資格喪失日…3月31日)

→3月31日に厚生年金に入っていないので、3月分の厚生年金は給料から引かれない。国民年金の支払いは3月分から

「月末日に退職した場合」その月の厚生年金は給与から天引き。「月末日以外に退職」その月から国民年金として自分で納める。

末日付での退職の方が、保険料の支払いの流れがスムーズですが、会社の都合や退職のタイミングによっては未納期間が発生することも。よく確認して忘れずに支払いをしましょう。

退職するときの年金Q&A

忙しくて、切り替えの手続きができない場合はどうなるの? 退職すると年金が免除になるって本当?

ここでは、そんなよくある疑問にお答えします。

Q.退職後、手続きせずに14日過ぎたら?

A.自動で切り替わることはないので、未納期間が発生してしまう可能性も。
なるべく早く役所・役場の国民年金課へ行き、国民年金の加入手続きをしましょう。

 国民年金に入る場合も、配偶者の厚生年金の扶養に入れてもらう場合も、手続きの期限は、退職翌日から14日以内となっています。期限を守るのが前提ですが、どうしても役所へ行けなかったとしても受け付けてもらえなくなるわけではありません。

早いうちに行くほうが、未納があったとしても確認が取りやすく、さかのぼって支払う負担額も少なくなります。

Q.退職すると年金が免除になるって本当?

A.退職で収入がなくなると、保険料免除制度が利用できます。
役所に申請して認められる必要があります。

免除制度では、前年の所得(失業の場合は申請年度も)が一定基準以下だと対象になります。免除額は所得に応じて、段階的に全額、4分の3、半額、4分の1となっています。

この制度を利用する最大のメリットは、免除期間は未納とは見なされないため納付期間が途切れないことです。

なお、50歳未満で本人・配偶者の所得が一定基準以下であれば、申請により保険料支払いの猶予が認められる場合があります(保険料納付猶予制度)。免除や猶予を受けた期間があると年金は減ってしまいますが、10年以内に追徴金を支払うことで回復させることができます。

失業の場合の免除制度の手続き

通常、年金の免除制度を利用するためには前年所得の条件をクリアする必要がありますが、退職(失業)の場合は退職の前月~翌々年の6月まで特例期間となり、所得に関わらず免除制度が利用できます。

保険料免除を申請する場合は、年金手帳か基礎年金番号通知書と併せて、雇用保険受給資格証か離職票のコピーを提出します。

どちらの場合も申請書類は役所で入手できるほか、日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできます。

退職して収入がなくなると、毎月の国民年金保険料の負担感が大きくなる一方、未納のまま放っておくと、老後に受け取る額が減ってしまったり、受け取れなくなったりしてしまいます。

家計が苦しいときは、免除制度を活用できないか検討してみましょう。

所得が少ない場合

パートやアルバイト、自営業や農業などで所得が少ないケースでも、保険料免除制度を利用できます。

また、学生や、DV(家庭内暴力)で別居している方を対象とする制度もあります。収入に不安がある場合は、該当する制度がないか調べてみましょう。

コラム:退職金と退職年金の違い

「年金」と名前のつくものには、公的年金以外に企業からもらえる「退職年金(企業年金)」があります。これは企業から支払われる退職金の一種です。

一般的に企業の退職金でイメージするのは、退職するときに一括で支払われる退職一時金ですね。これは退職までに給料から積み立てておいたお金を、退職時にまとめてもらうものです。

一方、退職年金は、企業独自の年金制度や確定拠出年金などの方法で会社(と従業員)がお金を積み立て、退職したら「年金」として分割で支払われるものです。

確定拠出年金では従業員も資金を拠出できるケースがあるため、将来受け取れる額を自分で増やせる可能性も。興味がある方は、会社の年金制度を確認してみましょう。

まとめ

公的年金や企業年金が、退職後・老後の主な収入源となる人も多いはず。会社員のときは勤め先に任せっぱなしでも、退職後は未納期間が発生しないよう、早めに手続きをするのが重要です。

この記事の知識を参考に年金の手続きを確実に行ってください。

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