例文6選(経験者・未経験者) 総務の志望動機の書き方
総務の転職で、企業に評価される説得力ある志望動機をまとめるにはどうしたらいいのでしょうか。
総務の志望動機の書き方のほか、すぐに使える例文などを紹介します。
総務の転職で志望動機はどれだけ重要?
書類では見られないが、面接ではよく聞かれる
総務の転職において、志望動機は書類選考ではあまり重視されませんが、面接ではよく聞かれる質問の一つで、答え方によっては合否に影響することもあります。
総務の書類選考で最も重視されるのは、あくまで「実務経験」。総務の業務範囲は企業によって異なるからこそ、採用担当者は職務経歴書から応募者の実務経験をくまなくチェックし、「自社で今まさに必要な総務業務を担える人材かどうか」を精査しているのです。
そのため志望動機については、無理に履歴書や職務経歴書に記載しなくても問題ないでしょう。
一方の面接において、志望動機は一般的な質問の一つ。面接官は自社について深い理解があり、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確な意思を持った人を採用したいと考えているからです。
内定を勝ち取るために、「なぜその会社に魅力を感じているのか」「なぜその会社で働きたいと思っているのか」、説得力ある志望動機を伝えられるように準備しておくことが大切です。
総務の志望動機を書くために必要な2つのこと
総務の転職において企業に評価される志望動機を作るためには、次の2つを整理しておくことが大切です。
そもそも志望動機は、その企業に応募した理由に加えて、入社後はどのように貢献したいと考えているかを伝えるもの。「1)転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと」は、前者の「その企業に応募した理由」につながります。また、「2)活かせる経験/スキル」は後者の「入社後の貢献イメージ」を裏付ける根拠となります。
そのため、この2点をあらかじめ言語化しておくことで、説得力ある志望動機をスムーズに組み立てることができるのです。
1)転職を考えたきっかけ・転職で叶えたいこと
「現職では叶えられないこと」は何か
まずは、今までの業務経験を振り返り「転職を考えたきっかけ」を洗い出しましょう。その際、“業務やキャリア上の”「現職では叶えられないこと」を起点に考えるのがポイント。
例えば、「担当業務が固定化されており、キャリアアップのイメージが描けない」「業務範囲が広すぎて、興味のある労務関係の仕事を極められない」といった状況に対して、「だから自分はどうしたいのか」、つまり、転職で叶えたいことを考えてみましょう。
(例)総務の転職のきっかけ→叶えたいこと
- (経験者)担当業務が固定化されており、キャリアアップのイメージが描けない→ルーチン業務だけではなく、組織の成長に向けて自ら提案できる環境で働きたい
- (未経験)営業職としてマニュアル作成や勉強会の実施を行うなかで総務に興味を持ったが、現職では異動が難しい→社員をサポートする総務としてキャリアを積んでいきたい
…など
キャリア
アドバイザー
給料や残業がきっかけの場合は?
転職を考えたきっかけとして、「給料が低い」「残業が多い」といった待遇面への不満を伝えるのが絶対NGというわけではありません。
ただしその際は、例えば下記のように、採用担当者が「それなら転職を考えるのも無理はない」と納得できるような状況説明をする必要があります。
- 給料:「業績悪化による賞与カットで、年収が大幅に下がった」
- 給料:「ここ数年年収が上がらず、子どもも生まれたため、将来的な年収アップも視野に入れ、新しい環境にチャレンジしたい」
- 残業:「人手不足で恒常的に残業が多く、月80~100時間の残業が続いている」
応募先企業なら希望が叶うと考えた理由は?
転職で叶えたいことが整理できたら、なぜ応募先の企業なら希望が叶いそうだと考えたのか、応募先の特徴や惹かれた部分を整理してみましょう。
「転職のきっかけ(現職では叶えられないこと)」と「応募先企業を選んだ理由」に、関連性や一貫性を持たせることで、説得力ある志望動機を作ることができます。
(例)総務の転職で叶えたいこと→応募先の特徴
- (経験者)ルーチン業務だけではなく、組織の成長に向けて自ら提案できる環境で働きたい→「第2創業期」として組織改革に取り組んでおり、総務の立場から制度の改定、業務フローの改善、ITツールの導入を積極的に提案できる
- (未経験)社員をサポートする総務としてキャリアを積んでいきたい→未経験者でも簡単な業務から任せてもらえ、将来的には経理や労務関係の業務も幅広く経験できる
2)活かせる経験/スキル
次に、入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を整理しましょう。職務経歴書とは違い、志望動機では経験や資格そのものの有無を問われるわけではありません。
これまでの業務経験や身につけたスキル・資格と、入社後に叶えたいことに一貫性があるか、経験やスキルを踏まえた活躍イメージを具体的に描けているかどうかが評価ポイントとなります。
そのため、志望動機の冒頭で「これまで◯◯や△△の業務を経験するなかで~」などと転職のきっかけにつなげる形で触れたり、締めの部分で「○○の経験/スキルを活かして貢献したい」といった形で貢献意欲をアピールしたりできれば、「入社後に活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高まります。
(例)総務で活かせる経験
- オフィスの備品・設備の管理・発注
- 各種契約書の管理
- 危機管理や安全衛生管理
- 入社式や忘年会といった社内行事の企画・運営
- 株主総会・取締役会の運営・窓口対応
- 人事・労務や経理のサポート(勤怠管理や給与計算、経費精算など)
- 電話・来客対応や郵便物の発送・仕分けといった事務業務
…など
(例)総務で活かせるスキル・資格
- 幅広い業務を担うなかでの計画策定力・実行力
- 社内外の関係者と関わる上での誠実さ・ホスピタリティ
- ExcelなどのPCスキル
- 社会保険労務士
- 第一種/第二種衛生管理者
…など
応募先の採用ニーズに合った貢献イメージを
入社後に「活かせそうな経験/スキル・資格」を判断するには、応募先企業の業務内容や、そこで求められる経験・スキルへの理解が欠かせません。
求人の「具体的な仕事内容」「必須/歓迎要件」などをよく確認して、企業の採用ニーズに合う経験・スキルをふまえた貢献意欲・活躍イメージをアピールしましょう。
コラム:企業理解も深めておくと◎
「”業務やキャリア上”叶えたいこと」にマッチする求人は一つとは限らないため、場合によっては面接官から「(叶えたいことにマッチする企業のなかでも)どうして当社を志望されたのですか?」「当社のどんな部分に魅力を感じているのですか?」といった質問をされることがあります。
その際に迷わず「◯◯なところに惹かれています」と答えられるよう、下記のような方法で応募先の事業や経営状況、社風などについても理解を深めておくのが得策です。
〈企業研究の一例〉
- 求人で「事業内容」「採用背景」などの項目を確認する
- ホームページや企業紹介サイトなどで事業内容や企業・経営理念のページを読む
- IR情報などから事業・経営状況や今後の展望について確認し、考える
- 応募先企業やその業界にまつわるニュースをチェックする
- 応募先企業で働いている知人がいれば、話を聞く
- (利用している場合)転職エージェントから内部情報を聞き出す
- (面接予定がある場合)面接官に逆質問する
一次面接フェーズでは求人やホームページにざっと目を通しておくレベルで問題ありませんが、最終面接のフェーズではさらに企業理解を深め、より志望度の高さが伝わる志望動機を用意する必要があります。
最終面接で伝える志望動機の作り方は、下記の記事で解説しています。
総務の志望動機の書き方
ここでは、総務の志望動機の書き方を解説します。
まず、総務の志望動機の基本構成と、その構成にしたがって作成した例文を確認してみましょう。
〈総務(経験者)の志望動機の例文〉
- 総務として組織変革に向けた積極的な改善提案ができる環境に惹かれ、志望いたしました。
- 現職では5年間、備品・設備管理や社内行事の企画・運営をしておりますが、保守的な風土で配置転換も数年実施されておらず、業務が固定化されていて改善提案も難しい状況のため、キャリアアップに向けて転職を検討しております。貴社は「第2創業期」として組織改革に取り組んでおり、求人にて制度の改定、業務フローの改善、ITツールの導入などを積極的に提案できると拝見し、大変魅力に感じております。
- 前職で培った計画策定力や実行力を活かし、貴社のさらなる成長に貢献していく所存ですので、どうぞ面接の機会をいただけますと幸いです。
(294文字)
総務の志望動機は、上記のように(1)応募した理由(結論)、(2)その背景やエピソード、(3)入社後の意気込み、の3要素で構成するのが基本です。
この基本構成にしたがって、志望動機の作り方を具体的に見ていきましょう。
1.応募した理由(結論)
志望動機の書き出しではまず、応募した理由を結論として一言で述べます。
書き出しの表現に明確なルールはありませんが、応募先に惹かれたポイントなどを端的に示すのがオススメです。
書き出しの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
2.その背景やエピソード
次に、1)で述べた「応募した理由(結論)」に至った背景やエピソードを説明します。
具体的には、転職しようと思ったきっかけや経緯を伝えます。なぜわざわざ転職しようと思ったのかについて、前の章で整理した「現職(前職)では叶えられなかったものの、応募先でチャレンジしたいと思っていること」を具体的に伝えましょう。
続けて、その思いや希望が「応募先なら叶えられる」と感じた理由やポイントに触れます。前述したように、説得力ある志望動機を作るには、「転職のきっかけ」から「応募先で自分の希望が叶えられると考えた理由」まで、一貫性を持たせることが重要です。
あわせて、応募先の採用ニーズとマッチする業務経験と身につけたスキルを記載することで、入社後の活躍イメージを抱いてもらうことができるでしょう。
3.入社後の意気込み
最後に、入社後の意気込みを語って締めます。現職(前職)での経験を活かしていきたいという姿勢などをアピールするとよいでしょう。
締めくくりの表現に迷う場合は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
総務の志望動機の例文6選
ここでは総務の志望動機の例文を、6つのパターンに分けて紹介します。
特定の業務(労務)を極めたい(経験者)
〈例文〉
- 労務関連の業務を中心に携われる環境に魅力を感じ、志望いたしました。
- 現職では5年間、総務として備品・設備の管理や社内行事の企画・運営などを幅広く経験してきましたが、なかでも数学や法律の知識が活かせる労務業務を極めたいという思いが強まり、転職を決意しました。貴社の総務ポジションは、勤怠管理や給与計算のほか、社会保険や健康診断に関する手続きなど、幅広い労務業務を任せていただけると伺い、大変魅力に感じております。
- 前職では作業の正確性やスピードを評価されていたため、貴社でもそうした能力を活かし、社員の皆様の働きやすい環境づくりに貢献していければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(294文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 何の業務を、どうして極めたいと思ったのかについて触れる
- スペシャリストを志望する上で、応募先のどんな部分に惹かれたのかについて言及する
幅広い経験を積んで管理職を目指したい(経験者)
〈例文〉
- 総務業務を中心に幅広い経験を積み、将来的には管理部門のマネージャーを目指せる環境に魅力を感じ、志望いたしました。
- 現職では総務課にて5年間、備品・設備の管理や社内行事の企画・運営などを担当してきましたが、ここ数年間は増員や配置転換がなく、業務範囲を広げるのが難しい状況です。貴社の管理系総合職のポジションは管理職候補として、人事や経理といった総務以外の管理部門の経験も幅広く積み、将来的には部門マネージャーとして経営企画にも携わるチャンスがあると伺い、大変魅力に感じております。
- 人事や経理の実務経験は不足しておりますが、新人指導マニュアルの作成経験や、在職中に取得した簿記2級の知識などを活かし、少しでも早いキャッチアップに努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(334文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 現職では望むキャリアが描けない理由について、納得できる内容を伝える
- 管理職経験者の場合はマネジメント内容を具体的に述べ、未経験の場合は前向きな意欲を述べる
異業種からの転職(経験者)
〈例文〉
- 総務としての経験を活かしながら、日本の自動車産業の発展に貢献できる環境に魅力を感じ、志望いたしました。
- これまで5年間、主に魚介類を扱う食品加工メーカーにて、オフィス備品・設備の管理や社内行事の企画・運営といった幅広い総務業務を担当してきましたが、内需の落ち着きや国際競争力の低迷が叫ばれるなか、国内の活気を取り戻すべく、日本の産業を支える自動車業界に挑戦したいという思いが強まり、転職を決意しました。貴社は昨今の車には欠かせない数多くの電装品で大きなシェアを獲得されており、自動車業界を牽引できる環境に大変魅力を感じております。
- 自動車業界は未経験ですが、同じものづくりに関わる者として、開発部門や製造部門など多くの技術職と関わり業務改善に努めてきた経験を、貴社の総務ポジションでも活かしていければと思います。
(354文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 応募先の業界に興味を持ったきっかけについて触れる
- どんな業務経験があるのか言及する
未経験での転職
営業→総務
〈例文〉
- 貴社の総務ポジションを志望したのは、総務部としてのモットーに共感したからです。
- 前職は営業職でしたが、組織力強化に向けたマニュアル整備や勉強会の運営を通じて、社員をサポートする仕事にやりがいを感じ、総務職への転職を決意しました。貴社の総務部は「”縁の下の力持ち”を自ら体現する」ことを掲げ、各種制度の見直しや業務改善を積極的に提案・実施していると伺い、大変魅力に感じております。
- 総務の仕事は未経験ですが、営業職として5年間働くなかで培った折衝力や、目標達成に向けて試行錯誤する行動力を活かしながら、貴社の組織課題の解決に尽力できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(289文字)
営業→総務(経理メイン)
〈例文〉
- 文書管理システムのパイオニアである貴社で、前職の知識を役立てながら働きたいと思い、貴社の総務職を志望しました。
- 現職で営業職として5年間勤務するなかで、利益拡大のためには原価や必要経費を抑えることや業務フローの改善なども重要であることを学び、総務や経理の業務に興味を持ちました。貴社の総務ポジションは、部門を超えた業務フローの改善や経理業務も経験できると伺い、大変魅力に感じております。
- 経理関連の業務経験はありませんが、現職ではバックオフィス部門向けの業務システムを扱っていたため、そこで得たバックオフィス部門の業務や関連システムに関する知識を活かしながら、貴社のさらなる事業拡大に貢献していく所存です。
(301文字)
エンジニア→総務(人事メイン)
〈例文〉
- 社員のワークライフバランスを重視する取り組みを行っている貴社で、総務・人事として働きたいと思い、志望しました。
- これまで100人規模のIT企業にてSEとして働いてきましたが、3年前からプロジェクトリーダーを任され、多くのチームメンバーの相談を受けたり評価を行ったりするうちに、チームのパフォーマンスを最大化させるための組織開発や採用業務に携わりたいと思うようになり、総務・人事としての転職を決意しました。貴社の総務人事課は社員のワークライフバランスを重視し、先進的な制度を多数導入されていると伺い、大変魅力に感じております。
- 管理部門の業務は未経験ですが、前職でIT業界についての知識は身に付いているため、公平で納得感のある評価制度やエンジニアが働きやすい環境を考え整えてきた経験を活かしていければと思います。
(353文字)
〈おさえておきたいポイント〉
- 総務の業務に興味を持ったきっかけや理由について触れる
- 未経験でもいち早く成長し、貢献していきたいという前向きな思いを伝える
- 現職での経験や知識のうち、応募先でも活かせるものがあれば、言及できるとなおよし
志望動機の不安を解消するには?
志望動機は面接での答え方によって、合否に影響することがあります。一度作り終えたからといって気を抜かず、採用担当者の印象に残る内容になっているか、時間を置いて読み直しましょう。
下記の記事では、志望動機を書く上での大切なポイントや、効果的なアピールにつなげるためのコツなどについて解説しています。
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