書き方・テンプレート 財務の職務経歴書
財務の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。最新のコーポレート部門の採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
財務の職務経歴書テンプレート
財務の職務経歴書では、この2つが特に重要!
財務の職務経歴書において、採用担当者は特に下記の2つのポイントを重視しています。
実務経験
財務の職務経歴書において、最も重視されるのは「実務経験」です。
というのも、一口に「財務」と言っても、その業務範囲は企業の規模や成長フェーズ・経営状況などによって大きく異なるから。
よって採用担当者は、応募者がこれまでに経験してきた業務の具体的な内容がわからないことには、「自社で今まさに必要な財務業務を担える人材かどうか」を判断できず、不採用になってしまうのです。
そのため財務の職務経歴書では、財務戦略の立案~資金調達/運用、予算管理などのうち「どこからどこまでを担っていたのか」、「職務経歴」欄を中心に業務範囲をわかりやすく明示するのが鉄則です。
ドキュメンテーション能力
財務の書類選考では、自身の経験・スキルを「わかりやすく正確にまとめる」ドキュメンテーション能力も、重要な合否の判断基準の一つ。
財務は職業柄、経理が作成した決算書に基づく財務戦略を企画書にまとめ、会社の上層部に提出・説明する必要がありますが、そこには正確さや明晰さが強く求められます。
そのため職務経歴書が見にくいレイアウトだったり、誤字脱字があったりすると「適性がない」として、不採用になるリスクが高まってしまうのです。
よって職務経歴書の作成時には、表組みや枠線、改行などを使って読みやすく整えることはもちろん、完成後には必ず読み返し、記載内容にミスがないかを入念に確認することが大切です。
各項目のくわしい書き方は、次の章から解説します。下記の画像にポイントを一覧でまとめたので、こちらも参考にしてください。
1)職務要約
重要度:★★・・・
職務経歴書冒頭の「職務要約」欄では、下記の2点に注意しましょう。
応募先にマッチする経験を書く
第一に、「職務要約」欄には、応募先で求められている経験を中心に記載しましょう。
例えば「資産調整ならびに為替運用」「資本政策立案・資金計画」など、求人の「仕事内容」や「必須/歓迎条件」などに記載されているキーワードを盛り込むのがポイントです。
財務の書類選考で合否の決め手となるのは後述の「職務経歴」欄ですが、採用担当者が最初に目を通すのは、あくまで「職務要約」欄。
まずはここでザックリ「求めている経験がありそう」と感じてもらわないことには、そもそもその先を読まれずに不合格になってしまうリスクがあるのです。
3~5行程度で端的にまとめる
第二に、ドキュメンテーション能力を疑われないよう「読み手にとって端的でわかりやすい文章になっているか」はよく確認しましょう。
応募先で求められる経験を中心に、関わってきた業務やその年数について、3~5行程度で簡潔に記載します。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
2)職務経歴
重要度:★★★★★
財務の職務経歴書における「職務経歴」欄は、合否を分ける最重要項目。
なぜなら先述のとおり、採用担当者はこの欄から応募者の実務経験を確認し、その内容・レベル感が「自社で求める財務ポジションとマッチするか」を厳しくチェックしているから。
そんな「職務経歴」欄を記載する上で、おさえておきたい2つのポイントを紹介します。
業務内容と経験年数を具体的に
「職務経歴」欄には、例えば「【資金調達業務】(3年)」などと業務の種類ごとに見出しを立てて経験年数を併記し、その下に「具体的に何をやったのか」を箇条書きで記載しましょう。
経験の内容とレベル感が伝わりやすく、採用担当者が自社の業務内容や募集ポジションとの親和性を判断しやすくなります。
コラム:部署や役割ごとに項目を分けてもOK
財務担当になる前に経理や税務の経験があるなど、部署異動や配置換えなどで担当業務が変わっている場合、その変遷について時系列で記載するレイアウトもおすすめです。
「【資金調達業務】(3年)」などと業務の種類ごとにまとめて書くレイアウトに比べ、「いつ・何の業務を・どの立場で行っていたか」が、より詳細に伝わるからです。
部署や役割ごとに項目を分け、それぞれの期間で何をやっていたのかを具体的に記載しましょう。重複があっても、実務経験の厚みが伝わるので問題ありません。
高難度の業務は必ず記載する
財務の業務のうち、特に下記のような難度の高いものは高評価につながりやすいため、経験があれば忘れずに記載しましょう。
1)社外折衝の経験
財務特有の業務である資金調達/運用に際して、事業会社の立場であれば金融機関、逆に金融機関の立場であれば事業会社と折衝した経験は、主体性や折衝力があるとして評価につながりやすい傾向があります。
事業会社と金融機関、どちらの立場で経験を積んできたかによって、記載時のポイントは異なるため、ご自身に合った方を参考にしてください。
事業会社の財務
事業会社の財務ポジションの場合、資金調達/運用をする上で金融機関と関わった経験について、「担当業務」の項目にくわしく記載します。
(例)
- 銀行融資の申し込み~実行(金利交渉など)
- 事業規模に応じたメインバンクの選定(見直し)
- 定期訪問・財務状況に関するプレゼンテーション
- 融資提案などのセールスに対する応対
これらの経験については、同じく「職務経歴」欄の「取り組み・実績」の項目や、後述の「自己PR」欄でくわしく触れるのもおすすめ。
「何を意識して・どんなことに取り組み・どんな成果につながったのか」、エピソード立てて具体的に説明することで、採用担当者により具体的な活躍イメージを持ってもらうことができます。
銀行の法人営業(融資係)
銀行などの金融機関の法人営業(融資係)から事業会社の財務ポジションに転職する場合、担当企業に関する下記の情報を、可能な範囲で「担当業務」の項目に併記しましょう。
(記載すべき担当企業に関する情報)
- 融資/運用額(商品の種類)
- 融資/運用している顧客の業種
- 担当企業数
また、稟議書の作成や財務データの定量的評価など、法人営業(融資係)として「どんな役割で・具体的に何をやっていたのか」についてもくわしく記載します。
これらの情報は、事業会社の採用担当者が自社との親和性や活躍イメージを判断する上で、重要な情報になるからです。
2)プロジェクトへの参画経験
財務戦略や予算の策定、M&AやERP導入といった、規模が大きく他部署を巻き込んで進めたプロジェクトへの参画経験がある場合、調整力や折衝力のアピールにつながるので、漏らさず記載します。
その際注意したいのが、プロジェクトにおいて「“個人として”どんな役割を担い、何の業務を担当したのか」を、具体的に書くこと。プロジェクト全体の目的や成果を記載するだけでは、個人としての経験・スキルのレベル感が伝わらないからです。
キャリア
アドバイザー
自分自身の取り組みや成果についてくわしく伝えたい場合は、「取り組み・実績」の項目や「自己PR」欄を活用してもよいでしょう。
3)財務諸表の作成経験
B/S、P/L、C/Fなどの財務諸表を「一人で作成した経験」も、経理・財務としての能力の高さが伝わり高評価につながるため、経験があれば必ず記載しましょう。
また、あくまで加点要素ですが、各国の企業会計原則(GAAP)や国際会計基準(IFRS)に則った財務諸表の作成経験がある場合も、忘れず記載します。
企業会計原則は、応募先がビジネスを展開する国と合致すれば、親和性が高いという判断になります。国際会計基準はそもそも国内の適用社数が少なく、それだけで希少価値がありますが、特にグローバル展開している企業では好印象につながるでしょう。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
3)保有資格など
重要度:★★・・・
「保有資格・スキル」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄は、経理・財務業務を行う上での必要最低限の知識の証明となる「簿記(商工会議所簿記検定)2級」さえ書けていれば、合否に大きく影響することは考えにくいでしょう(※)。
ただし、それ以外でも加点につながるケースがあるため、書き方やポイントをひととおり確認しておきましょう。
※若手や「ポテンシャル採用」枠の場合、3級や資格なしでも合格できるケースはあります。
保有資格・スキル
簿記は必須。税理士は科目合格でも◎
「保有資格・スキル」欄には、財務の業務に直結する下記の資格のうち、所有しているものをすべて記載します。
税理士・公認会計士は科目合格でも必ず記載します。その分野の専門知識はもちろん、向上心や学習意欲もあるというプラス評価につながるからです。
また、TOEICも600点以上あれば書いておきましょう。昨今では製造業を中心に、海外拠点とのやり取りが発生する企業も増えているからです。特に大手や外資系の企業では、加点につながりやすいでしょう。
英語を使った業務経験があれば「財務レポートに関する海外子会社とのメールでのやり取り(週1回)」など、使用場面や頻度についても併記しておくのがポイントです。
▼「保有資格(語学)」欄についてさらにくわしく
活かせる経験・知識・技術
「活かせる経験・知識・技術」には、例えば「タイ法人M&Aプロジェクトにおける取りまとめ経験」などと、前述の「職務経歴」欄に記載した経験・スキルを一言のフレーズに言い直し、箇条書きにします。
そうすることで、財務の業務に疎い人事担当者でも、採用要件となるキーワードを拾い読みしやすく、書類選考の通過率が高まる可能性があります。
キャリア
アドバイザー
会計ソフトも記載すると◎
業務で会計ソフトを利用していた場合、「活かせる経験・技術・知識」欄にすべてのソフト名を記載しておきましょう。
応募先で同じソフトを使用している場合、親和性があるとして加点につながったり、別ソフトであっても「ソフトを使った業務が可能」という判断をしてもらえたりするからです。
▼「活かせる経験・知識・技術」欄についてさらにくわしく
4)自己PR
重要度:★★★・・
ヒューマンスキルをアピールする
財務の職務経歴書において、「自己PR」欄は加点要素。合否の決め手にはなりませんが、内容によってはさらなる高評価が狙えます。
実務経験・スキルの内容やレベル感は「職務経歴」欄などから十分伝わるため、「自己PR」欄ではむしろ、巻き込み力や折衝力といったヒューマンスキル(コミュニケーション能力)をアピールしましょう。
先述のとおり、金融機関の担当者あるいは事業会社の財務ポジションとの折衝経験、プロジェクトで他部署と協働した経験などを題材に、「どんな業務・課題に対し、誰とどう関わり、どうやって解決したのか」について、関係者との関わりや課題解決の過程についてくわしく説明しましょう。
なぜヒューマンスキルが重要?
財務においてヒューマンスキルが求められるのには、下記の2つの背景・理由があります。
まず、財務などの管理部門はメンバーの入れ替わりが少ないため、長期的に働くためには「既存社員と良好な関係を築いて業務に取り組めるか」が合否の重要な判断基準になります。
次に、財務にも近年、スピーディな現状分析/課題発見、経営層・他部署に対する働きかけや提言が求められるようになってきています。市場環境や消費者ニーズの変化が激しくなるなか、企業もより素早く柔軟な経営判断をする必要性が増してきているからです。
こうした背景もあって、巻き込み力や調整力といったヒューマンスキルがある財務人材が重宝されるのです。
キャリア
アドバイザー
年齢・経験によってはこんな経験も◎
ヒューマンスキルとは別に、主に30代の場合はリーダー・マネジメント経験/能力、20代の場合は経理・財務・会計に関する自己研鑽の姿勢をアピールするのもおすすめです。
例えば「予算策定PJの取りまとめ」や「税理士資格の取得に向けた勉強」など、それぞれ具体的に何を行い、どのような成果につながったのかを記載するようにしましょう。
▼「自己PR」欄についてさらにくわしく
財務の志望動機もあわせてチェック
職務経歴書が完成したら、悩みがちな志望動機の書き方や例文についても、下記の記事から確認しておくのがおすすめです。
財務の転職において、志望動機は、書類選考では合否の決め手にならないものの、面接では一般的な質問であり、答え方によっては合否に影響することもあるでしょう。
書類作成のタイミングで準備しておくと、のちのちの面接で回答に困らずに済みます。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。