書き方・テンプレート 法務の職務経歴書
法務の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。最新のコーポレート部門の採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
法務の職務経歴書テンプレート
法務の職務経歴書では、この2つが特に重要!
法務の職務経歴書において、採用担当者は特に下記の2つのポイントを重視しています。
実務経験
法務の職務経歴書で最も重視されるのは、「実務経験」の内容です。
一口に「法務」といっても、契約書の作成・審査や訴訟対応といった予防法務・臨床法務=「守りの法務」がどれくらい発生するのか、M&Aや新規事業立ち上げにともなうリスク評価や戦略立案といった戦略法務=「攻めの法務」も担うのかなど、企業の業種・規模や事業状況によって、個人に任される業務の量や範囲、必要知識などが大きく異なります。
そのため採用担当者は、応募者がこれまで「何の業務をどれくらい経験し、どのような法律・判例に関わってきたのか」がわからないことには、「自社でお願いしたい業務を担える人材かどうか」を判断できず、不採用になってしまうのです。
よって法務の職務経歴書では、「職務経歴」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄を中心に、業務内容はもちろん、契約書作成/審査や訴訟対応の件数、関わった法律・判例まで明記するのがポイントです。
▼早速、書き方をチェック
ドキュメンテーション能力
法務の書類選考では、自身の経験・スキルを「わかりやすく正確にまとめる」ドキュメンテーション能力も、厳しくチェックされています。
法務は立場上、ビジネスの成否や企業の社会的信用に関わる契約・コンプライアンス関連の重要書類を多く扱いますが、そこには正確さや明晰さが強く求められます。
そのため職務経歴書が見にくいレイアウトだったり、わかりづらい文章や誤字脱字があったりすると「適性がない」として、不採用になるリスクが高まってしまうのです。
よって職務経歴書の作成時には、表組みや枠線、改行などを使って読みやすく整えることはもちろん、完成後には必ず読み返し、記載内容にミスがないかを入念に確認することが大切です。
1)職務要約
重要度:★★・・・
職務経歴書冒頭の「職務要約」欄では、下記の2点に注意しましょう。
応募先にマッチする経験を書く
第一に、「職務要約」欄には、応募先で求められている経験を中心に記載しましょう。
例えば「各契約書のレビュー(リーガルチェック)」「コンプライアンス対応(社内法務教育の企画・実行)」など、求人の「仕事内容」や「必須/歓迎条件」などに記載されているキーワードをそのまま盛り込むのがポイントです。
法務の書類選考で合否の決め手となるのは後述の「職務経歴」欄ですが、採用担当者が最初に目を通すのは、あくまで「職務要約」欄。
まずはここでザックリ「求めている経験・知識がありそう」と感じてもらわないことには、そもそもその先を読まれずに不合格になってしまうリスクがあるのです。
3~5行程度で端的にまとめる
第二に、ドキュメンテーション能力を疑われないよう「読み手にとって端的でわかりやすい文章になっているか」はよく確認しましょう。
応募先で求められる経験を中心に、関わってきた業務やその年数について、3~5行程度で簡潔に記載します。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
2)職務経歴
重要度:★★★★★
法務の職務経歴書において、「職務経歴」欄は合否を分ける最重要項目です。
なぜなら先述のとおり、採用担当者はこの欄から応募者の実務経験を確認し、その内容・レベル感が「自社で求める法務ポジションとマッチするか」を厳しくチェックしているから。
そんな「職務経歴」欄を記載する上で、特に注意したい3つのポイントを紹介します。
1)契約書作成/審査・訴訟対応の件数を書く
「職務経歴」欄には、契約書の作成・審査や法律・訴訟対応(相談)の月間/年間対応件数を明記しましょう。
これらの業務は、多くの企業・ポジションで共通して発生します。そのため対応件数(業務量)の情報は、採用担当者が応募者のスキルレベルを測るための一つの指標になっているのです。
対応件数の多寡によって合否が決まることはありませんが、面接でも確認されるケースが多いため、あらかじめ職務経歴書にも記載しておくのがスマートな対応です。
2)戦略法務の経験は高評価
戦略法務=「攻めの法務」の経験は、高評価につながります。というのも、各企業では昨今、国際競争力を高めるために戦略法務の機能を強化しようという動きが強まっているから。
市場のグローバル化やビジネスの複雑化にともない、新規事業の立ち上げやM&A、海外進出などが増えるなか、法的リスクを評価し、企業にとって最善の経営/事業戦略を積極的に提言できる法務人材のニーズが高まっているのです。
そのため、下記のような戦略法務の経験がある場合は必ず記載し、プロジェクト内での具体的な役割や担当業務についても併記しましょう。
3)「取り組み・実績」も活用する
必須ではありませんが、「職務経歴」欄の最後には「取り組み・実績」の項目を設け、日々の業務やプロジェクトのなかで工夫したこととその結果について記載するのもおすすめ。
主体性や課題解決能力があると評価され、加点につながるケースがあるからです。
(例)
- システム導入、審査フローや雛形見直しによる、契約審査にかかる日数の削減(業務効率化)
- 法律やコンプライアンスに関する研修実施による、法律知識やリテラシーの向上
- 法務ガイドライン(FAQ、マニュアル)作成による、窓口業務負担の軽減
キャリア
アドバイザー
離職期間も省略はNG
もし弁護士の資格取得に向けて離職していた期間がある場合でも、「職務経歴」欄には省略せず記載しましょう。採用担当者にあらぬ誤解を与えるリスクがあるからです。
離職していた期間とあわせて「離職(弁護士資格取得に向けた勉学のため)」などと記載しておけば、選考に大きな影響はありません。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
3)保有資格・語学など
重要度:★★・・・
法務は実務経験が重視されるため、「保有資格・スキル(語学)」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄の内容が、合否に大きく影響することは考えにくいでしょう。
ただし一部、加点につながる要素があるため、ひととおりポイントを確認しておきましょう。
保有資格・スキル(語学)
企業法務に必須となる資格はありませんが、弁護士資格と英語力は重要な加点要素になります。
まず、言わずもがなですが、弁護士資格があれば忘れずに記載しましょう。
たとえ企業法務としての実務経験が不足していても、知識や素養が評価され、書類選考の通過率が飛躍的にアップするからです。
また、昨今は国際取引のある企業も増えており、英文契約書を扱うことも。英語力は高評価につながるため、TOEICなどの点数とあわせて、実務での使用場面・頻度も併記しましょう。
▼「保有資格・スキル(語学)」欄についてさらにくわしく
活かせる経験・知識・技術
「活かせる経験・知識・技術」は、前述の「職務経歴」欄の目次のようなものと考えましょう。
例えば「各種契約書の作成・レビューの経験」「M&Aにおけるデューデリジェンス対応の経験」などと、「職務経歴」欄に記載した経験・スキルを一言のフレーズに言い直し、箇条書きにします。
そうすることで、人事担当者が採用要件となるキーワードを拾い読みしやすく、書類選考の通過率が高まる可能性があります。
キャリア
アドバイザー
求められる法律・判例を記載するのも◎
あまり多くはありませんが、企業によっては例えば「景品表示法に関する知識・経験」などと、特定の法律・判例に関する知識・経験を「必須/歓迎条件」として求人に記載していることがあります。
そうした求人に応募する場合は、「活かせる経験・知識・技術」欄に記載しておくと安心です。
▼「活かせる経験・知識・技術」欄についてさらにくわしく
4)自己PR
法務がアピールしたい2つの能力
法務の職務経歴書において、「自己PR」欄はあくまで加点要素です。
実務経験や知識といったハードスキルはほかの欄でもアピールできるため、「自己PR」欄ではむしろ、下記のようなソフトスキルをアピールするのがおすすめ。
これらのソフトスキルの裏付けとして「何の業務において・どんな取り組み/工夫をして・どうなったのか」を順序立てて説明することで、思考・行動パターンや仕事に対するスタンスが伝わり、一緒に働くイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。
調整力・説明力
法務の「自己PR」欄では、調整力や説明力といったコミュニケーション能力をアピールするのが効果的です。
法務は立場上、契約書の作成・審査や法的リスクの評価、訴訟対応などに際し、他部署や社外の弁護士、取引先と連携する機会が多くあります。
そのため、相手の要望や懸念点を正しく理解した上で、ハレーションを起こさぬよう自らの主張もしっかり伝える能力や、法律にくわしくない相手にわかりやすく伝えたりする能力が求められるのです。
自己PRで調整力・説明力をアピールする場合は、例えば下記のようなエピソードが使えます。
▼調整力・説明力をアピールできるエピソード例
- 契約交渉やM&Aのプロジェクトなどにおいて、社内外の関係者との対話を通じて双方が納得できる合意に導いた経験
- 経営層への法的アドバイスやコンプライアンス研修などにおいて、難解な法令を実例を交えて説明することで理解度を深め、意思決定や遵守意識の向上に貢献した経験
…など
情報収集/分析力
情報収集/分析力も、法務の自己PRとしては加点につながりやすい能力です。
契約交渉や新規事業立ち上げなどに際し、法務部には他部署からさまざまな相談が持ちかけられますが、その都度関連する法律・判例を効率よく収集し、的確な判断を下すことが求められるからです。
自己PRで情報収集/分析力をアピールする場合は、例えば下記のようなエピソードが使えます。
▼情報収集/分析力をアピールできるエピソード例
- 法改正に際し、各種資料に基づく分析を行った上で、各部門への影響や対応策を資料にまとめ、提案した経験
- 新規事業における規制対応に向けて、国内外の法令や業界規制を調査し、法的リスクやビジネスへの影響を最小限に抑えた解決策を提案した経験
…など
▼「自己PR」欄についてさらにくわしく
法務の志望動機もあわせてチェック
職務経歴書が完成したら、悩みがちな志望動機の書き方や例文についても、下記の記事から確認しておくのがおすすめです。
法務の転職において、志望動機は、書類選考では合否の決め手にならないものの、面接では一般的な質問であり、答え方によっては合否に影響することもあるでしょう。
書類作成のタイミングで準備しておくと、のちのちの面接で回答に困らずに済みます。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。