意味や引き受けるときの注意点 カウンターオファーとは

カウンターオファー。退職の意思を伝えたとき、会社が「ボーナスをアップする」「役職を用意する」など、条件の改善を持ちかけて引き止めることを指します。

この記事では、カウンターオファーの意味や、断る場合・承諾する場合のポイントについて解説します。

カウンターオファーとは?受けたらどうする?

カウンターオファーという言葉の意味や、もしカウンターオファーされた場合に断るべきか・承諾すべきかの判断ポイントを説明します。

会社から待遇の改善を条件に退職を引き止められること

カウンターオファーとは、会社に退職の意思を伝えたとき、昇給や昇進などの待遇改善を提示され、それと引き換えに会社に残るよう引き止められることを指します。

会社が待遇を改善してまで引き止めようとする理由は、退職希望者が優秀だったり、その人にしかできないような属人化された仕事があったりなど、その退職が会社にとって大打撃になるからです。

裏を返せば、カウンターオファーを受ける人はその仕事ぶりが評価されていると言えます。

退職トラブル相談件数は10年で2倍以上に増加

厚生労働省の調査によると「上司がしつこく退職を引き止めてくる」「上司が退職願を受け取ってくれない」などの自己都合退職に関するトラブルは年々増加しています。

このうちカウンターオファーの件数がどれくらいかは不明ですが、自己都合退職に関するトラブル同様、増加傾向にあるという見方もできるでしょう。

【退職トラブル相談件数(自己都合退職)のグラフ】(年/自己都合退職の相談件数/全体で見たときの割合): 2009//16,632/5.90% |2010/20,265/7.20% |2011/25,966/8.50% |2012/29,763/9.80% |2013/33,049/11.00% |2014/34,626/11.90% |2015/37,648/12.70% |2016/40,364/13.00% |2017/38,954/12.80% |2018/41,258/12.80% |2019/40,081/11.70% 「退職トラブル相談件数(自己都合退職)」はやや増加傾向にある

自己都合退職に関する相談件数は、リーマンショック後の2009年と比べて2倍以上。人手不足なども相まって、企業側も過度な引き止めをしてしまい、相談件数が増えてしまっているという背景があります。

新しく人材を採用して前任者レベルまで育てるコストよりも、待遇を改善するコストの方が安いと判断して、企業側はカウンターオファーをしてでも引き止めようとするのです。

※参考:令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況|厚生労働省

断るか引き受けるかの3つの判断基準

カウンターオファーを受けたとき、その場ですぐに答えを出す必要はありません。ひとまず「考える時間をいただけないでしょうか」と返事を保留すればOK。

引き受けるかどうかは、以下の3点を参考にしつつじっくり考えた上で判断しましょう。

  1. その場しのぎの条件提示ではないか
  2. 提示された条件によって退職に至った理由が根本的に解消されるか
  3. 退職することを周囲の人間に相談・報告していたか

1その場しのぎの条件提示ではないか

カウンターオファーによって提示された条件が、明らかにその場しのぎで、今後守られることがなさそうな場合、断るのが吉です

例えば、後になってから「そんなことを言った記憶はない」となかったことにされてしまったり、仮に昇給できたとしても少しだけの金額だったりする可能性があります。

また、その場しのぎの条件を簡単に鵜呑みにしたばっかりに、次に昇給などの交渉がしづらくなるというデメリットもあります。

一方で、条件についてきちんと書面を交わし、具体的に話し合う気があるようなら、前向きに検討しましょう。提示した条件で書面を残そうとする素振りがあるかないかは、カウンターオファーを引き受けるかどうかの重要な判断材料になります。

2提示された条件によって退職に至った理由が根本的に解消されるか

自分が退職しようと思ったそもそもの原因が、カウンターオファーで提示された条件によって根本的に解決されないなら断りましょう

昇給などの金銭的な利益だけに囚われず、心を入れ替えてもう一度働いてみようと思えるようでなければ、いずれまた退職を考えることになりかねません。

また、もし安易に承諾すると、その後同じ理由では退職を切り出しにくくなるでしょう。やはり我慢できないと退職を考え直しても、昇給や昇格など待遇を上げてもらった手前、再び退職を申し出るのが気まずく感じてしまうからです。

結果、そのままずるずる働き続ける羽目になるかもしれません。

3退職することを周囲の人間に相談・報告していたか

退職を伝えた上司以外に、退職のことを他に知っている人がいるかどうかも、カウンターオファーを断るか引き受けるかの判断ポイントです。

他に退職のことを知っている人がいると、会社に残る決断をしたとき「一度辞めようとした人」として扱われ、肩身の狭い思いをする可能性があります。「そのような思いをしても構わない」という覚悟がない場合は、カウンターオファーは断るのが無難です。

また、カウンターオファーを安易に承諾して、待遇を改善してもらったことが周りの人に漏れると、職場全体が「辞める素振りを見せれば待遇を上げてもらえるかも」という雰囲気になって、士気が下がってしまいます。

こうした事態を避けるため、そもそも上司以外には退職について黙っておくのが無難です。

カウンターオファーを【断る】場合の流れ

カウンターオファーを断る場合、退職までの流れは以下のようになります。

  1. カウンターオファーを断り、退職の意向を強く示す
  2. 退職日や有給消化日数、業務の引き継ぎについて決める
  3. 有給消化・後任に業務を引き継ぐ
  4. 各種保険の手続き
  5. 備品の返却

※退職時・退職後の手続きについて詳しくはこちら→もう迷わない!退職時・退職後の手続きガイド【完全版】

「カウンターオファーを断るとき」「断ってもなお引き止めにあうとき」の対処のポイントを解説します。

退職理由が条件面でないことを伝える

カウンターオファーを断る場合、退職を検討した理由が給料や待遇などの条件面への不満ではないことを強く伝えましょう。

最初に退職を申し出たときに「一身上の都合」などと退職理由をあいまいにしていると、引き止めの余地があると思われてしまいます。

退職という決断に至った理由は、昇給・昇格・部署異動しても解消されないことをきっぱりと伝えましょう。

▼例文|カウンターオファーの断り方

ご厚意は大変うれしく思っているのですが、退職理由は給料や役職などの待遇面ではなく、○○なので、僭越ながらお断りさせていただきます。

今まで大変お世話になった上に、せっかく待遇改善をご提案していただいたのに、このような形になってしまい、大変申し訳ございません。

○○に入る理由は、「異業種に挑戦したい」「結婚によって引っ越すことになった」など、引き止められにくい理由にしましょう。

※確実に退職できる理由について詳しくは→確実に退職できる3つの理由|病気・結婚などの例文付き

それでも引き止められる場合は退職届を出す

カウンターオファーをきっぱりと断ってもしつこく引き止められる場合は、退職届を提出することも検討しましょう。

退職届は、労働者側から一方的に労働契約を解約する意思を伝える書類です。たとえ会社側が退職を認めていなくても、提出して2週間がたてば法的に退職が成立します。

※2週間での退職について詳しくはこちら→退職にまつわる基礎知識を解説 申告から2週間で退職可能って本当?

ただし本来、退職届は退職交渉が済んでから提出するもの。そのため、退職交渉がまだ終わっていないうちに退職届を一方的に提出すると、円満退職からは遠ざかります。

退職日までの間、肩身の狭い思いをする可能性もあるため、退職届の提出は最終手段にしましょう。

※引き止めの対処法について詳しくはこちら→穏便に退職するために… 退職の引き止めにあったときの対処方法

カウンターオファーを【受ける】場合の流れ

カウンターオファーを受ける場合、以下のような流れになります。

  1. 一旦オファーを保留して、検討する旨を伝える
  2. 後日、上司や人事・労務担当者とオファーの内容について改めて話し合う
  3. 話し合った内容を書面に残す
  4. (転職先が決まっていた場合)転職先の企業に内定辞退の連絡をする

1:オファーを一旦保留にする

カウンターオファーの条件に迷った場合は、その場で答えずに一旦保留しましょう。

▼例文|カウンターオファーの保留

待遇改善のご提案をいただき、誠にありがとうございます。一度じっくり検討したいので、厚かましいお願いではありますが、この場は一旦保留にさせていただいてもよろしいでしょうか。

考えがまとまりましたら、また改めてこのような場を設けさせていただけると幸いです。そのときはまた、私の方からお声がけさせていただきます。

会社側がカウンターオファーをしてきた場合、退職希望者のことを本当に必要にしていて、本気で引き止めたいと思っている場合もあります。引き受けるかどうか迷う場合は、一旦保留して、自分がどうしたいのかもう一度じっくり考えましょう

ただし、保留期間は長くても1週間程度にしましょう。

2:カウンターオファーの内容について話し合う

カウンターオファーの内容について話し合う内容は、以下を参考にしてください。

  • 部署異動:どの部署で、どのような仕事を任されて、いつからなのか
  • 昇給:どの程度の金額がアップして、いつからなのか
  • 昇進:どのような役職で、いつからなのか

ただ漠然と「待遇を改善する」という内容だと、いざ会社に残る選択をしても「結局変わったのは微々たる昇給だけ」いう可能性もあります。

自分の希望をなるべく正直に伝えつつ、納得できないなら断ることも視野に入れましょう

3:口約束で終わらせないように書面に残す

カウンターオファーを受ける際は、必ずオファーの内容を書面に残すようにしましょう。人材流出を防ぐために、会社がその場しのぎでオファーを持ちかけている場合もあります。証拠を残しておけば後日「そんなことを約束した覚えがない」とはぐらかされてしまう事態を避けられます。

できれば具体的な内容まで、退職交渉の場で書面に残すことができたらベストですが、上司の一存だけでは待遇改善の内容を確定できない場合もあります。そのときは、人事・労務担当者も交えた話し合いの場を後日開く約束を取り付けましょう

4:転職先が決まっていたら早めに内定辞退する

別の企業からすでに内定をもらっている場合、カウンターオファーを承諾するなら、可能な限り早く内定辞退の連絡を入れましょう

会社は、内定辞退をされたら次の採用活動を始めなければなりません。採用活動には時間とコストがかかるため、迷惑をかけないよう最大限の配慮をするのが社会人としてのマナーです。

※内定辞退について詳しくは→転職活動時、波風立てずに内定を辞退するためのノウハウ集

まとめ

カウンターオファーとは、昇給・昇格などの待遇改善と引き換えに、退職を引き止めることです。

カウンターオファーを承諾するか迷ったときは、オファーの内容が自分の退職理由を根本的に解決できるものなのかじっくり考えましょう。その場しのぎでオファーしている可能性もあるため、もし会社に残る決断をする場合は、条件について書面に必ず残しましょう。

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