思いつかないときの対処法も 面接でのキャリアプランの答え方・例文集
面接で「キャリアプラン」を聞かれたとき、言葉に詰まってしまう人は少なくありません。
この記事では、伝えるべき2つの要素や答え方、職種別の例文、思いつかないときの対処法などを解説します。
キャリアプランとは|面接官は何を見ている?
目指したいポジションや仕事内容の将来像のこと
キャリアプランとは、将来どのような組織・立場で、何の仕事を、誰としたいのかといった「理想の働き方」や目標を実現するための計画を指します。
キャリアプランに似た言葉として、キャリアビジョンやキャリアパス、キャリアデザインなどがあります。キャリアビジョンは将来的に叶えたい「理想の働き方」や目標・ゴールそのものを指し、そこまでの道筋をキャリアプランと捉えることができます。
一方のキャリアパスやキャリアデザインは、キャリアビジョンを実現するための計画という意味では、キャリアプランと似ています。
ただ、キャリアパスは「この会社ではこのタイミングでこのようなポジションに昇進します」など、会社や組織から提示されるもの、キャリアデザインは仕事だけではなくプライベートの要素も含むものといった意味合いが大きいようです。
面接でキャリアプランを聞かれるのは一般的?
転職の面接ではキャリアプランについての質問は一般的で、聞かれることが多いでしょう。キャリアプランは主に、下記のような聞かれ方をされます。
- 「あなたの今後のキャリアプランを聞かせてください」など、漠然とした聞かれ方
- 「10年後にはどうなっていたいですか?」など、スパンを限定した聞かれ方
- 「弊社に入ったとして、どのような仕事をしていきたいですか?」など、仕事内容にフォーカスした聞かれ方
一方、職務の範囲や業務内容がはじめからきっちり決まっているような職種・ポジションの場合、応募者が個人的に考えているキャリアプランをわざわざ聞かない企業もあるようです。
実際の答え方については「キャリアプランの答え方」、職種別の例文は「例文集|6職種のキャリアプラン」を確認してください。
面接官が見ている2つのポイント
面接官はキャリアプランを聞くことで、主に下記の2つのポイントを見定めています。
1.自社で実現できるキャリアプランかどうか
第一に、面接で答えるキャリアプランは、応募先で実現できる内容でなければなりません。そうではないことを述べた場合、入社後のミスマッチや短期間での離職を懸念され、マイナス評価につながってしまいます。
また「応募先で何ができるのか(何が求められているのか)を十分に理解できていない=企業研究が不足している」とも捉えられてしまうでしょう。
2.自身のキャリアについてきちんと考えているかどうか
第二に、キャリアプランは自分の言葉で具体的に話す必要があります。そうすることで初めて「自身のこれまでの経験を正しく認識し、将来像も明確にした上で仕事をしている=自己分析が十分にできている」と判断してもらえるのです。
このように、キャリアプランにまつわる質問で高評価を得るためには、しっかりとした企業研究と自己分析が必須です。
キャリアプランの答え方
例文を見ながら、面接でのキャリアプランの答え方について解説します。
キャリアプランに必要な2つの要素
面接でキャリアプランについて答える際には、下記の2つの要素を盛り込みましょう。
〈営業職の例文〉
- 前職では後輩2人のOJTを担当し、ノルマ達成に向けた動機付けや的確なフィードバックを評価されておりました。
- そうしたスキルや経験を活かし、将来的にはチームマネージャーを目指していきたいと考えております。
1.志望先で活かせるスキル・経験
まずは自分にどのようなスキル・経験(強み)があるのかを、具体的に伝えます。
その内容は、志望先の企業やポジションで活かせるものでなくてはなりません。例えばマネージャー志望であれば、後輩の指導やマネジメントの経験をアピールするといった具合です。
2.将来実現したい働き方・ポジション
次に、そうした強みを前提に、応募先で将来どのような働き方をしていきたいのか、あるいはどのようなポジションを目指していきたいのかを伝えます。
ただし独りよがりの夢をただ語ればいいという訳ではなく、求人票や採用ページをもとに、応募先で実現できる内容にしましょう。
迷ったときはテンプレートを使おう
面接で伝えるキャリアプランについて、回答の構成に悩む場合は、下記のようなテンプレートを参考にしましょう。
先述の「1.志望先で活かせるスキル・経験」「2.将来実現したい働き方・ポジション」を考えた上で、テンプレートにあてはめてみましょう。
〈テンプレート〉
- 私の◯◯の経験は、御社の△△の業務に貢献できると考えています。その強みを活かして、将来は××を目指していきたいと考えています。
- 現在●●業界では▲▲の流れとなっている中で、御社は■■に強みがあると考えています。そのような御社で、◯◯という経験を活かしながら、将来的には××を目指していきたいと考えています。
1つ目のテンプレートはオーソドックスなパターン。自分の経験と将来像を結びつけながら、ストレートに伝えることができます。
2つ目のテンプレートは、業界動向や企業の強みを含めたパターンです。業界研究・企業研究へのやる気が伝わり、好印象につながります。
コラム:ライフイベントについても伝えるべき?
面接でキャリアプランを答えるとき、結婚や出産といったライフイベントの予定に触れる必要はありません。
なぜなら、採用側はできるだけ長期の就業を望んでいるため、結婚や出産といった短期の離職や休職をイメージさせるような内容は、マイナス評価につながる可能性があるからです。
特に女性の場合、そうしたイベントがキャリアに与える影響も少なくないため、つい触れたくなるかもしれません。しかし、具体的に聞かれない限り、あえて自分から話す必要はないでしょう。
例文集|6職種のキャリアプラン
6つの職種別に、キャリアプランの例文を紹介します。未経験向けの例文は最後に載せています。
エンジニア
〈例文〉
私はこれまでC言語やC++を中心に、家電製品の組み込み・制御に携わってきました。
チーム内でのフォローアップ姿勢に評価をいただいていたので、まずはテックリードを目指し、チームを技術面で引っ張っていく存在になりたいと考えております。
事務
〈例文〉
私はこれまでWordやExcelを使った資料作成や業務効率化の経験を積んでまいりました。
作業のスピードや正確性を強みとして、今後は自ら業務改善の提案を行えるような人材になるべく、勉強を続けていきたいです。
人事
〈例文〉
前職では新卒採用の窓口担当として、諸連絡対応やイベント運営、内定後フォローなど行っておりました。
今後は御社の採用チームで面接官としての経験も積み、ゆくゆくは採用計画の策定にも関わっていくことを目標としております。
経理
〈例文〉
これまで経理事務として、経費精算や請求書の発行などの基礎的な業務から、売掛金・買掛金の消し込みや預金管理など、月次補助も経験してまいりました。
現在は日商簿記2級の取得に向けて勉強しており、将来的には月次決算や年次決算にも挑戦していきたいと考えております。
看護師
〈例文〉
高齢化が進む日本においては、がん看護のニーズが今後ますます高まっていくと考えております。
がん治療連携拠点病院として高度先進医療に力を入れている貴院で、治療から緩和ケアまで一貫して行えるがん看護のスペシャリストを目指していきたいです。
未経験
〈例文〉
営業職として働くのは初めてなので、まずは少しでも早く仕事を覚え、チームの目標達成に貢献できるような人材になりたいです。
将来的には、前職で評価されていた後輩の指導や育成の経験を活かし、チーム力の底上げやマネジメントにも挑戦してきたいと考えています。
キャリアプランが思いつかないとき
面接で話すべきキャリアプランがわからない、思いつかないときは、下記の3つのステップを踏むことで、キャリアプランを導き出すことができます。
1.「自己分析」でスキルや将来像を洗い出す
自己分析では、自分のこれまでの経験を振り返り、持っているスキルや価値観を言語化します。
何ができるかだけではなく、何をしているときにやりがいを感じるのか、将来的に何をしたいのかなどもあわせて考えることで、自分の理想とする働き方が見えてくるでしょう。
〈具体例:営業職の場合〉
▼スキルや経験
- 企業の担当者との折衝など、基本的な営業スキル
- ◯◯業界の基礎知識
- 後輩2名のOJT経験
▼やりがいを感じる場面
- 目標達成計画の立案と、その実現に向けた手段の洗い出し
- 後輩の指導やサポート、フォローアップ
思考がまとまらない場合「キャリアデザインシート」など、仕事に関する価値観を整理する資料を作成してみるのもおすすめ。項目を埋めていくことで自然と頭が整理され、自己理解が深まります。
※参考:キャリアデザインシート|日本の人事部
▼自己分析のやり方についてくわしく
2.「企業研究」で企業が必要としていることを調べる
企業研究では、応募先の企業が目標とするあり方や理想像と、その実現に向けた達成計画を正しく把握します。いわば企業が抱えている課題と、その解決のために必要としていることを理解するイメージです。
〈具体例〉
- 新規Webサービス拡充のため、即戦力になるITエンジニアの増員を図っている
- 関東圏でのシェア拡大のため、1都3県の小売店に向けた営業活動経験のある人材を探している
- 現マネージャーの異動により、新たにチームをまとめるマネジメント人材を急募している
情報収集の手段としては、下記のようなものが挙げられます。
- ホームページや企業紹介サイトなどで社員インタビューの記事を読む
- IR情報などから中期経営計画の内容を確認する
- 応募先企業やその業界にまつわるニュースをチェックする
- 応募先企業で働いている知人がいれば、話を聞く
- (利用している場合)転職エージェントから内部情報を聞き出す
▼企業研究のやり方についてくわしく
3.1と2がマッチするような組み合わせを探る
自己分析と企業研究を終えたら、自分自身と応募先企業それぞれの現状と将来像を見比べ、共通点を探します。自分と企業双方の「キャリアプラン」が重なることで初めて、面接で評価される内容に仕上がります。
〈具体例〉
▼自己分析
- 後輩2名のOJT経験があり、丁寧かつ的確なフィードバックを評価されていた
- 実際に後輩2名は◯ヶ月連続で売上実績を更新している
▼企業研究
- 即戦力となる営業職経験者を募集している
- 組織拡大に伴い新人が多いため、基本的な営業スキルについて指導できる人材が欲しい
共通点が見つかったら「△△という特徴のある御社で、◯◯の経験を活かしていきたい。そして将来的には××を目指したい」などと、自分と企業が絡み合うような一本のストーリーを組み立てれば、キャリアプランは完成です。
〈完成した例文〉
前職では後輩2名のOJTを担当しており、両名の◯ヶ月連続の売上実績更新に貢献したとの評価を受けております。
御社は組織拡大のため営業職の新人を指導する人材を募集していると伺ったため、これまで培った指導力やサポート力を今後も伸ばしていきながら、将来的にはチームマネジメントに挑戦したいと考えております。
他の質問や当日のマナーも要チェック!
面接ではキャリアプラン以外にも、さまざまな質問がされます。自己紹介や志望動機など、よくある質問の回答例と考え方について、下記の記事から確認しておきましょう。
また、面接では質問の受け答え同様に、マナーや服装も厳しくチェックされています。下記の記事から、面接当日の入退室や服装のマナーについてもおさらいしておきましょう。
面接対策についてイチから始めたい方は下記の「面接ガイド」をチェック。面接対策でやるべきことについて、まるっとわかりやすく解説しています。