面接官200人に聞く! Web面接での失敗、どこまで影響する?
コロナ禍で今や当たり前となったWeb面接。インターネット上にはそんなWeb面接での失敗・トラブル事例が数多く報告されており、回避するための対策についても様々な情報が行き交っています。
しかし、そうしたWeb面接での失敗・トラブルは、実際のところ、どこまで選考(合否)への影響があるのでしょうか?面接官を対象にしたアンケートから見えた実態を紹介します。
Web面接での失敗・トラブル! 選考への影響度ランキング
今回、転職Hacks編集部では、インターネット上でささやかれるWeb面接での失敗・トラブルを14個ピックアップ。それぞれについて「どれだけ選考(合否)への影響があるのか」を、アンケートで約200人の面接官経験者に5段階評価してもらいました。
その結果が下記のランキング。順位が高いほど、選考への影響度が高いということになります。
選考への影響が大きいもの・小さいものをそれぞれ紹介していきます。
※アンケートについて
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方法:Webアンケート
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期間:2022年12月9日~13日
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対象者:過去5年以内に、自社の中途採用におけるWeb面接の面接官を1回以上担当したことがある、日本全国の22歳以上の男女195人
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ランキングの計算:5段階評価のポイントをそれぞれ「ほとんど影響がない(0pt)」「多少影響する(1pt)」「かなり影響する(3pt)」「一発NG(不採用)(10pt)」「遭遇したことがない(0pt)」とし、回答者の人数と掛け合わせ。合算値が大きいものから降順で並び替え
影響度「大」:「準備できるのにしない」のはNG
ランキング上位の、選考への影響が大きいWeb面接の失敗・トラブルの共通点として「応募者自身の事前準備でどうにかできるもの」という点が挙げられます。
少し準備すればいいだけのことをしないのは「やる気がなく、熱意が感じられない」と評価する面接官が多いようです。
それぞれの失敗・トラブルについて、くわしく見ていきましょう。
1位:上半身はスーツだったが、下半身が私服のままだった
Web面接での失敗・トラブルとして、選考への影響が最も大きいとされたのは「上半身はスーツだったが、下半身が私服のままだった」というもの。
Web面接では上半身しか映らないため、ついつい「面倒だし、下は私服でいいや」などと手を抜きたくなってしまうもの。ただ、カメラの画角を変えたり、ふと立ち上がったときなど、思わぬタイミングで下半身が映ってしまうことも。
たとえ面倒であっても、対面の面接と同様、基本的な服装・身だしなみのマナーはきちんとしておいた方が無難でしょう。
▼面接時の服装・身だしなみマナー
▼面接官の声(NG理由・エピソード)
見える部分だけで良いと思っている時点で、仕事も表面上以外は手を抜きそうだから。
(27歳男性・製造業)
隠し通して上半身のみ映っている分には構わないが、私服が見えた場合はマナー違反だと思う。
(46歳女性・製造業)
2位:カフェなどにいるせいか、周囲がうるさかった
Web面接での失敗・トラブルのうち、2番目に選考への影響が大きいのは「カフェなどにいるせいか、周囲がうるさかった」というもの。
帰宅する時間がなく、仕事帰りや出先で面接を受けざるをえない状況も、たしかにあるでしょう。
ただ、カフェやビルのロビーなど、周りに人がいたり絶えず音がするような場所は、Web面接を受ける環境としてはやはり不適切。準備不足という印象を与えるだけでなく、人の声や雑音をマイクが拾い、発言内容が聞き取りづらくなってしまいます。
また、とくにプライバシーに関わる企業・業種の場合「リテラシーが低い」と判断されてしまうこともあるようです。
Web面接は自宅など人のいない静かな場所で行うか、出先であればレンタルルームやレンタルスペースを使用するようにしましょう。
▼面接官の声(NG理由・エピソード)
周りに人がいる環境で打ち合わせをする心構えがよくない。
(47歳男性・サービス業)
機密情報の取り扱いが多いため、ふさわしい環境の準備不足だと感じた。
(29歳女性・サービス業)
ちなみに、Web面接を行う環境や音に関連する失敗・トラブルとして「スマホを手持ちしているせいか、画面が揺れていた」(5位)、「キーボードを叩いている音が響いた」(6位)も上位にランクイン。
いずれも面接官にとって「準備不足」「対策できることなのにできておらず、熱意が感じられない」という印象を与えてしまいます。
こうした失敗・トラブルは事前に準備をしたり、当日気をつければ避けられるもの。面接当日までに通信環境を整え、当日はむやみにタイピングをしないようにしましょう。
3位:目線でカンペを読んでいるのがわかった
面接官が選考への影響が大きいと判断したWeb面接での失敗・トラブルのうち、3位にランクインしたのは「目線でカンペを読んでいるのがわかった」というもの。
たしかに、いくら入念に準備していたとしても、当日緊張で内容が飛んでしまわないか不安になるのは当然のこと。面接官には見えないからと、カンペをPC画面に貼ったり、ノートを手元に置きたくなってしまうこともあるでしょう。
ただ、用意した回答をそのまま読み上げると、どうしても視線が泳ぐ上に、棒読みに聞こえてしまいがち。その不自然さは面接官にもすぐ伝わります。
面接中にカンペを読むという行為自体が「準備不足」や「不誠実」と評価されることはもちろん、「取り繕った耳障りの良い内容ばかりで、本音や本質・その人らしさがよくわからない」として、評価が悪くなってしまいます。
Web面接でも極力カンペは使わず、質問対策を徹底しましょう。回答内容は丸暗記しなくても、ポイントを押さえておけば当日スムーズに話せるでしょう。
▼回答を丸暗記しないで済む方法
また、万が一質問に答えられないときの対処法について知っておくことも大切です。
▼答えられないときの対処法
▼面接官の声(NG理由・エピソード)
カンペを見ているため、質疑に対しての回答内容が不自然だった。率直な本人の考え方がわからず、人物像を正しく判断できなかった。
(67歳男性・製造業)
実際の面接ではカンペを読まないのは当たり前なので、カンペを読んでいることがわかった時点で採用する気持ちがなくなります。
(36歳女性・その他)
4位:バーチャル背景がビジネスシーンにふさわしくないものだった
選考への影響が大きいWeb面接での失敗・トラブルのうち、「バーチャル背景がビジネスシーンにふさわしくないものだった」が4位にランクイン。
家族や友人とオンライン通話した際の設定を、そのままにしてしまう人が一部いるようです。また、場を和ませたり個性を表現しようと、あえてカジュアルな背景画像を設定する人もいるでしょう。
どちらにせよ、面接官の評価は良くありません。面接もれっきとしたビジネスの場。背景画像はWeb面接の開始から終了までずっと表示されていることもあり、印象を大きく左右します。
通話を開始する前に、無地などシンプルなデザインの背景画像に差し替えるか、「設定なし」に変更しておくようにしましょう。
▼面接官の声(NG理由・エピソード)
バーチャル背景がリゾート地や海辺だった方がいらっしゃいましたが、個性を出してする仕事ではないので、ビジネスの意識が低いとみなしました。事前に対策できる部分を対策しない方は、会社のカラーとあっていないと思います。
(51歳女性・金融・証券・保険業)
背景がアニメのキャラクターだったことがあり、常識的にあり得ないと思った。
(42歳女性・建設業)
関連するものとして「プロフィールの名前やアイコン画像が、プライベート用のものだった」も7位にランクイン。
背景画像とあわせて、プロフィールの名前やアイコン画像もあわせてチェックするようにしましょう。
8位:カメラではなく画面を見ているせいか、目が合わなかった
(※5位~7位は、他の項目で紹介済みのため割愛)
最後に紹介するのは、8位の「カメラではなく画面を見ているせいか、目が合わなかった」という失敗・トラブル。
Web面接ではPCの画面上に面接官と自分の顔が表示されるため、どうしてもそちらを見てしまいがち。しかし、その視線は面接官から見ると「やや下を見ていて、目が合わない」状態。
人と話すとき、目を合わせるのはコミュニケーションの基本です。面接官によっては「伏し目がちで暗そうに見える」「目が合わずコミュニケーション下手」という印象を与えてしまいます。
面接官の話を聞いたり、表情を確認したりするため、一時的に画面を見ることは問題ありませんが、自分が話している間は、基本的に画面ではなくカメラを見るようにしましょう。
影響度「小」:「不可抗力」や「些細なこと」は許容?
ランキング下位5つの、選考への影響は比較的小さいとされたWeb面接での失敗・トラブルには「不可抗力で、本人の責任ではない」「よくある些細なことで、採用基準に関係ない」といった共通点があるようです。
例えば「インターネットの接続が不安定で、声が途切れたり映像が止まったりした」(9位)、「インターホンの音がしたり、家族やペットが部屋に入ってきたりした」(10位)などの失敗・トラブルは、本人がいくら入念に準備したとしても、不測の事態で起こりうるもの。面接官もさほど気にならないようです。
また「パソコンの通知音が鳴った」(12位)、「背景に私物などが写り込んでいた」(13位)、「カメラアングルの調整や音声の確認などで、もたついた」(14位)といった失敗・トラブルも、面接官からすると「よくあること」、あるいは「些細なこと」として映るようです。
こうしたWeb面接での失敗・トラブルは、実際に発生すると慌ててしまいがち。ただ、大きく選考に影響があるわけではないので、気にしすぎなくても良いのかもしれません。
▼面接官の声
生活している部屋なので、予期できないことが起きた場合は許容範囲です。
(61歳男性・商社・卸売り・小売業)
棚にずらーっと漫画が並んでいたのが映り込んでいたが、わざわざ隠す必要ないと判断したのだろうし、こちらとしても気にすることでもないと判断しました。
(40歳男性・製造業)
アンケートの結果をまとめると、Web面接での失敗・トラブルのうち、選考への影響が大きいのは「応募者自身の事前準備でどうにかできるもの」、逆に小さいものは「不可抗力で、本人の責任ではないもの」「よくある些細なことで、採用基準に関係ないもの」ということになります。
当日に向けて準備できるところは徹底しつつ、それでも起きてしまった失敗・トラブルについては気にしすぎないようにしましょう。
Web面接で失敗・トラブルがあったときどうする?
Web面接で実際に失敗・トラブルを起こしてしまったとき、どうすれば良いのでしょうか?マイナスイメージを挽回するための方法を面接官に聞きました。
一方、マイナスイメージをさらに悪化させてしまうNG行動もあわせて解説します。
失敗・トラブルを挽回するためのポイント4つ
もしWeb面接で失敗・トラブルを起こしてしまった場合、そのマイナスイメージを挽回するためにできることとしては、下記のようなものがあるようです。
前提として一番大切なのが、慌てず冷静に対処すること。それはそれとして、気持ちを早めに切り替えましょう。心を落ち着かせて、以下の対応をします。
まずはその場ですぐに謝罪すること。「大変失礼いたしました」「ご無礼いたしました」「申し訳ございません」など、言い訳をしたりヘラヘラしたりせずに謝ることができれば、選考への影響度を最小限にすることができます。
謝罪と同時に、今の状況や失敗・トラブルの原因について端的に説明することも重要です。致し方ない理由とわかれば、面接官も納得するでしょう。
最後に、どうしても回線が復活しないなど、大きなトラブルが発生してしまったときは、思い切って面接のやり直しを電話やメールで打診するのも一つの手。納得のいく理由であれば、後日改めて面接をセッティングしてもらえる可能性もあるようです。
失敗・トラブル発生時のNG行動
逆に、Web面接での失敗・トラブルによるマイナスイメージをさらに悪化させてしまうNG行動は、下記の通りです。
まず「無理のある言い訳をする」「ヘラヘラ笑ってごまかす」「失敗・トラブルを無視して続ける」といった行動はNGです。こうした行動は嘘をつくのと同じで、不誠実と判断されてしまうでしょう。
また「パニックになる」「ふてくされ、不機嫌になる」「無言になり、固まる」といった態度も良くありません。ビジネスマンとしての基本的な対処能力に欠ける印象を与えてしまうでしょう。
失敗・トラブルの発生時は誰しも慌ててしまうものですが、だからこそ冷静かつ誠実な対応を心がけましょう。
Web面接のポイントは対面と同じ
最後に、Web面接を通過するためのポイントについて面接官にアンケートをとったところ「対面の面接と変わらない」「誠実さ」「礼儀正しさ」「清潔感」といった回答が多数。
Web面接だからといって、気をつけるべきポイントは対面の面接と変わらないようです。基本的なWeb面接のマナーや注意点については、下記の記事で解説しているので、気になる方はあわせてチェックしてみてください。
▼Web面接の基本的なマナー・注意点
また、転職Hacksでは服装・身だしなみや話し方に関する記事もご用意しています。Web面接にもそのまま通じるポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
▼服装・身だしなみマナー
▼「話し方」のマナー
▼面接官の声(Web面接で大切なポイント)
質問に対して適切に回答することが大切。Web面接も対面面接も求められていることは同じ。
(37歳男性・製造業)
誰もが緊張すると思うので、礼儀正しさだけはしっかりと意識してほしいです。
(40歳男性・製造業)
見た目の清潔感と声のトーン、緊張していても話をよく聞くことを意識すれば、面接は上手く進む。どもっても問題無し。
(51歳女性・金融・証券・保険業)
自分の意見をきちんと持って真剣に取り組んでいることが、たいへん大事だと思います。
(36歳女性・その他)
画面上でもやる気や意気込みなどを、しっかり伝えようと努力していること。なぜなら、Web面接でも手を抜かない姿勢が好印象だから。
(27歳男性・製造業)