聞いていた話と違った… 転職者が入社後に後悔したことランキング
せっかく転職をしても「聞いていた話より収入が少ない」「人間関係が良くなかった」といった後悔によって、転職先を辞めてしまうケースは少なくありません。
こうした後悔を防ぐには、どんなことを入社前に確認しておけばいいのでしょうか?
この記事では、転職経験者200名へのアンケートをもとに「転職経験者が入社後に後悔したこと(=入社前に確認すべきだったこと)」をランキング形式でまとめました。
※アンケートについて
方法:Webアンケート
期間:2023年11月16日~17日
対象者:過去3年以内に転職の経験があり、なおかつ「転職先に入社して後悔したことがある」と回答した20代~30代の男女200名
転職後に後悔する人はどのくらいいる?
そもそも、転職後に後悔することは一般的なのでしょうか?
今回の調査に先駆けて、転職経験のある20代~30代の男女732名に対してWebで事前アンケートを実施したところ「転職後に後悔したことがある」と回答した人は447名。転職経験者の61%が、転職後に後悔したことがあると分かりました。
加えて、後悔したことがあると回答した人のうち約22%の人が「後悔したことをきっかけに、仕事を辞めた」と答えています。
では、実際にどのようなことで後悔している人が多いのでしょうか?次の章からは、転職経験者200名アンケートの結果から具体的な後悔の内容を紹介します。
入社後に後悔したことランキング
実際にどのようなことで後悔している人が多いのか、収入や仕事内容等、8つのジャンルに分けてランキング形式でまとめました。
後悔したことで最も多かったのが「収入」に関してで、全体の46.0%という結果になりました。次いで「仕事内容」「人間関係」「残業」「休日」に関する後悔も多く、それぞれ約34~39%の人が後悔しているという結果になっています。
逆に「成長・キャリアアップ」や「人事評価・査定」に関する後悔をしている人は少なく、全体の10%台にとどまる結果に。
キャリアアップや人事評価も仕事をしていく上で重要な要素ですが、それ以上に「収入」「仕事内容」といった日々の「働きやすさ」や「やりがい」と直結することで後悔する人が多いことが浮き彫りになりました。
【ジャンル別】後悔したことランキング
収入や仕事内容等、8つのジャンルそれぞれで具体的にどんなことで後悔している人が多いのでしょうか?
こちらもランキング形式で紹介します。
1. 「収入」に関して
最も多かったのは「給料の金額が、事前の話や希望より低かった」で、66.3%の人が回答しています。
2番目に多かったのは「賞与の金額が、事前の話と異なっていた」で40.2%、3番目に多かったのは「手当の金額や支給条件が、事前の話と異なっていた」で37.0%でした。
収入面で「聞いていた話と違う」と感じてしまう原因として多いのが、求人票や労働条件通知書に書かれている報酬額が「月給」か「月収」かという問題です。この二つは似た言葉ですが、それぞれ含まれているものが異なり、金額が変わってきます。
月給とは「基本給+毎月一定額支払われる手当(固定手当)」の合計のこと。一方で月収は、月給に加えて「残業手当や家族手当など、人によって金額が変わる手当(変動手当)」も含まれた金額であり、月給よりも金額が大きくなります。
「月給だと思っていたら、実は月収の金額が記載されていた」「家族手当込みの月収の金額を見て入社したが、家族手当の支給要件に当てはまらなかった」といった理由で、想定よりも給料の金額が低いと感じるケースは少なくありません。
また、求人票の給料には「固定残業代(みなし残業代)」が含まれていることもあります。この場合、実際に残業したかに関わらずみなし残業時間分の残業代が給料に含まれていますが、追加で残業代をもらうには、みなし残業時間を超えて残業しなければならないので注意が必要です。自分が見ている給料の中に何が含まれているか、手当とあわせてしっかり確認しておきましょう。
2. 「仕事内容」に関して
仕事内容に関する後悔として、最も多かった回答は「仕事が合わなかった・思ったよりも活躍できなかった」で、62.8%という結果になりました。
2番目に多かったのは「仕事内容が、事前の話や希望と異なっていた」と「自分の経験が活かせなかった」で、同率44.9%でした。
仕事内容については、求人票や面接の場で確認したつもりでも、実際に働き始めてみないとわからない部分も多いもの。そのため、入社後にギャップが生じがちです。特に人事から聞いていた「入社後の活躍イメージ(どんな仕事を任せたいか)」と現場担当者の認識がズレていて、いざ入社したら想定していた仕事内容と違ったというケースが多いと言われています。
「聞いていた仕事と違う」といったことにならないよう、入社前のオファー面談などで現場の人と直接話し、実際の仕事内容を確認することが重要と言えるでしょう。
3. 「人間関係」に関して
人間関係の後悔として最も多かったのは、65.3%の人が選んだ「職場の人間関係や空気が良くなかった」というものでした。
2番目に多かったのは「同僚や上司、部下との人間関係が上手くいかなかった」で56.0%、3番目に多かったのは「目標にできる社員がいなかった」で37.3%でした。
人間関係の悩みは「嫌がらせやパワハラを受けている」といった直接的なものから、「仕事のペースが合わない」「派閥がある」といったものまでさまざま。会社の人間関係がどうなのか、求人票や面接などで探ることは難しいもので、実際のところは入社してみるまでわかりません。入社前に少しでも情報を掴むには、オファー面談で社員に尋ねたり、会社のクチコミを確認したりするのがおすすめです。
また、もし入社後に人間関係でストレスを感じたり違和感を覚えたりしたら、下記の記事のようにケース別の対処法を試してみましょう。自分なりに工夫してみても改善されないようだったら、転職を検討してください。
4. 「残業」に関して
「残業」に関する後悔で最も多かったのは、57.1%が回答した「残業時間が思ったより多かった」というものです。
2番目に多かったのは「残業したのに、実際よりも残業時間が少なくなるように嘘の申告をさせられた」で55.7%、3番目に多かったのは「入社前の話が、明らかに嘘だった」で40.0%でした。
残業時間に関するトラブルは、退職理由としてもメジャーなものです。企業側が残業の実態を隠しているケースもありますが、求職者側の確認が不足していることも多いので注意しましょう。
よくあるのが、求人票の残業時間を鵜呑みにしてしまうケース。求人票の残業時間は平均値やモデルケースが記載されていることが多いですが、それらはあくまで参考値。実際の残業時間は担当業務の内容や、閑散期か繁忙期かなどその時々の業務量によって変動します。「自分が担当する業務でどれくらい残業が発生するのか」を確認しておかないと入社後にギャップを感じることになってしまうので、オファー面談や逆質問の場で実態を確認しておくのがおすすめです。
また、残業時間を少なく申告させる・サービス残業をさせる企業も存在します。そんな企業を事前に見分けるにはどうすればいいのか、これから転職を考えている人は下記の記事も参考に転職先を吟味してみましょう。
5. 「休日」に関して
休日に関する後悔として最も多かったのは「「土日休み」など曜日の指定があったのに、事実と異なっていた」というもので、64.7%の人が回答しています。
2番目に多かったのは「休日数が、事前の話より少なかった」で61.8%、3番目に多かったのは「有給休暇を取得しにくかった(取得できなかった)」で54.4%でした。
休日に関して注意したいのが、求人票に書かれている「週休二日制」を誤解しているケースです。
たとえば、求人票や労働条件通知書に「週休二日制(土日)」と書かれていても、実際には「毎週土日が休み」という意味ではありません。毎週ニ日必ず休めるのは「完全週休二日制」であり、誤解したまま「週休二日制」の企業に入社して休日が少ないと後悔しているケースは後を絶ちません。
そんなことにならないよう、休日に関する表記の意味を確認しておくといいでしょう。
6. 「社風・経営状態」に関して
社風・経営状態に関する後悔として最も多かったのは、56.6%の人が回答した「組織の風土や企業文化が合わなかった」というものでした。
2番目に多かったのは「周囲のモチベーションが低く、会社の今後が不安になった」で54.7%、3番目に多かったのは「前職までの経験を評価してもらえなかった」で50.9%でした。
社風や周囲のモチベーションといった情報もまた、実際に入社するまでは分かりにくいもの。ただし、実際に社風が合わないと感じても悲観的になりすぎないよう注意が必要です。それが全社的な風土や文化ではなく、所属している部署独自のものだったり、いつも接している同僚や上司の印象に引っ張られているだけだったりする可能性もあります。
転職後にギャップを感じた際は「本当に会社全体の風土なのか」を冷静に見極めて、そのまま仕事を続けるか・転職するかを考えるといいでしょう。
7. 「成長・キャリアアップ」に関して
成長・キャリアアップに関する後悔として最も多かったのは、「成長に繋がる制度・環境が不十分だった」「成長に繋がる仕事ができなかった」の2つ。同率で65.5%の人が回答しています。
中途入社の場合、即戦力と言われるように、入社後に育成する風土や文化がない企業も存在します。特に専門職採用の場合は、限られた範囲の仕事しか任されないことも多く「成長の機会が無い」と感じるケースも少なくないようです。
加えて、新卒入社と中途入社ではキャリアアップの道筋が異なり、中途入社の社員は、最初からいわゆる出世コースから外されている場合もあります。
こうした成長・キャリアアップに関する実情は、面接などでストレートに質問しても答えてもらいにくいものです。「自分と同じような立場で中途入社した人が、どのような立場で活躍しているか?」といった遠回しな質問で、実情を探ってみましょう。
8. 「人事評価・査定」に関して
人事評価・査定に関する後悔として最も多かったのは、73.9%の人が回答した「評価制度はあったが、自分の仕事内容やスキルを正当に評価してもらえないと感じた」というもの。
2番目に多かったのは「評価制度が整っていなかった(評価の根拠が曖昧だった)」で65.2%、最も少なかったのは「評価はされていたが、昇給や昇進・昇格にあまり反映されなかった」で52.2%でした。
評価制度は企業ごとに異なるため、前職と同じことをしていても評価されるとは限りません。転職先の上司が意図的に不当な評価をしているケースもありますが、単にその組織で評価されるポイントを押さえられていない可能性があります。
もし自分が正当に評価されていないと転職後に感じたら、まずは「上司が何を成果として求めているか確認する」「その企業で求められている成果の水準を確実に達成する」といった、評価に繋がりやすい行動をとってみましょう。周囲の評価されている人の行動も参考にすることで、解決の糸口が見つかることも少なくありません。
転職後の後悔を防ぐには…?
転職後の後悔を防ぐには、基本的にはオファー面談などの場で転職先の実態を質問するのが正攻法となります。
今回のアンケートでは、入社1年未満の人は「収入」に関して悩む割合が高く、在籍期間が長くなるにつれて「人間関係」や「仕事内容」に関する悩みが増えていく傾向が見られました。
収入や残業時間など、定量的な事柄は問題が表面化しやすいですが、人間関係や仕事内容といった定性的なものは、ある程度働かないと善し悪しがわかりません。そのため、事前に実態を質問できる機会があるなら、優先的に聞いておくといいでしょう。
下記の記事で、オファー面談での質問の仕方や例文を紹介しているので、よければ参考にしてみてください。
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。